環境省、一括回収の「分別収集の手引き」を発表

プラスチック新法の政省令交付にあわせ19日、「プラスチック使用製品廃棄物の分別収集の手引き」が環境省から発表された。

読むとなかなか面白い。

要するに、小型家電や家電リサイクル法の対象のものは、外枠がプラスチックでもNG、汚れているものもNG、50cmを超えるものもNG。だから、ヒモや雨合羽などはカットする、など。

人工芝のシートはカットしているうちに、芝がマイクロプラスチックとして飛び散りそうだが、洗って、カットしなければならない。50cmを超えるプランターも同様だ。

使い古しのウレタンスポンジやメラミン樹脂製スポンジなどは、乾いていればそのまま出せるようだが、こんなもの本当にリサイクルできるだろうか?このような種類の樹脂は、家庭から出る場合、量的に少ないからリサイクルされることはないはず。しかもマイクロプラスチックの温床の1つ。

いっそ、この手のものは製造を禁止すべきではないか。代わりのものなど、既にたくさんあるのだから。

ベトナム、循環経済目指して新法。企業に廃棄物処理を義務づけ

日本のプラスチック新法(プラスチック資源循環法)には、残念ながら拡大生産者責任(EPR)の概念が著しく欠如しているが、ベトナムではEPRを義務づける「改正環境保護法」が発効した。

日経新聞によると、

「ベトナムで1日、企業に廃棄物処理を義務づける改正環境保護法が発効した。生産者は廃棄される製品の回収か、環境基金への拠出のどちらかを求められる。同国は海洋に大量のプラスチックごみを投棄してきた。新法をてこに循環型経済を築き、国際社会からの批判をかわす狙いだ」とのこと。

さらに「企業は消費者が使い終わった製品を回収してリサイクルするか、あるいは環境基金に拠出するかを迫られる。2つとも拒否すれば罰金を払わなければならない」そうだ。

このような当たり前の法律がなぜ日本にはできないのか。

日本は世界から取り残されそうだ。

<出典>

日本経済新聞(2022.1.14)「ベトナム、循環型経済へ新法 企業に廃棄物処理を義務づけ 国際批判かわす」↓

https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20220114&c=DM1&ng=DGKKZO7919790013012022FF8000

プラスチック新法の政令、ようやく閣議決定されたけれど・・

1月14日、プラスチック資源循環法の政令がようやく閣議決定された。4月1日に施行するということははっきりしたが、詳細がまだよくわからない。

たとえば、容リ法ルートに流れた製品プラはどうなるのだろうか。

製品プラの中でもポリバケツや文房具、ハンガー、衣装ケースなどのような単一素材のものは、容器包装よりも断然品質が良い。

マテリアルリサイクルの工場へ行けばよいが、製鉄所などへ行って、コークス炉などに入れられてしまうなどということはあるのだろうか。質の低い容器包装などをコークス炉に入れるのは良いだろうが、高品質の製品プラが製鉄所に回るのは惜しい気がする。

質の高いものはどこかで選別され、マテリアルリサイクル工場へ、という流れができればよいがそんな手間はかけられない。そのため、一括回収のプラはすべてマテリアル工場へ、という流れができるかもしれない。でもそうしたら、マテリアル工場でも困るところが出てきそうだし、それよりもむしろ自治体が困りそうだ。自治体は高い再商品化代金を請求される可能性がある。

一括回収された廃プラの何割が、自治体が再商品化費用を負担すべき製品プラなのかもわからない。自治体ごとに異なるだろうが、その辺りはエイヤで按分してしまうのだろうか。

製品プラを一括回収した自治体の話では、容器包装だけの時に比べ、追加費用がかからなかった自治体もあるようだが、かなりかかったといっている自治体もある。

どこの再商品化工場へ行くかによっても変わるのかもしれないし、自治体がどういうものを回収するかによっても変わりそうだ。各自治体の容器包装プラの回収内容をよく見てみると、自治体ごとに注意点が異なっており、回収するものも微妙に違っていたりする。

いずれにせよ、多くの自治体にとって、一括回収はまだまだ縁のない話のようだ。国が地方交付税で増額分の一部を負担するなどと言っているが、それだけで動く自治体など多くない。

やはり拡大生産者責任にして、製品プラの再商品化費用もメーカーから徴収すべきだ。

<参考>

経産省:「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律の施行期日を定める政令」及び「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律施行令」が閣議決定されました↓

https://www.meti.go.jp/press/2021/01/20220114001/20220114001.html

環境省:「プラスチック資源循環法関連」

https://www.env.go.jp/recycle/plastic/circulation.html

カナダ今年後半から使い捨てプラ禁止、バンクーバーはレジ袋禁止

カナダでは、以前から使い捨てプラ禁止規制案が発表されていたが、2022年内に使い捨てプラスチック製品についての新たな規制が施行される。

また、カナダBC州バンクーバー市では1月1日時点で、プラスチック製レジ袋(堆肥化可能なレジ袋を含む)が禁止されている。紙袋は最低でも1枚15セントの料金を請求する必要があるとのこと。2023年には1枚25セントに上がる。

料金の支払いを避けるためには、マイバッグを持参する必要があるが、既に多くの消費者がマイバッグを利用しているそうだ。

また、使い捨てカップは25セントになるとのこと。

BC州では既に20以上の自治体が使い捨てプラスチックを禁止する条例を作成している。昨年7月、州政府は地方自治体が大臣の承認を得ずに使い捨てプラスチック製品を禁止することを合法化したという。

<出典>

https://bc.ctvnews.ca/ban-of-single-use-plastic-bags-fee-for-disposable-cups-now-in-effect-in-vancouver-1.5726675?eType=EmailBlastContent&eId=dfdef0ee-0129-474c-ac5d-fe89fa00fd39

ラトビア、2月1日からデポジット制度開始。ペットボトル返却は「キャップ付きのまま」を推奨

スロバキアに続き、ラトビアでも2月1日から飲料制度のデポジット制度が開始される。対象は、ガラス、プラスチック(PET)、金属(缶)の容器。

ペットボトルは返却の際、キャップ付きでもキャップなしでも返金を受けられるが、推奨されているのはキャップ付きだそうだ。

理由は、その方がキャップもリサイクルされるので、よりクリーンな環境を保つことができるためとのこと。また、キャップを付けたままの方が、ペットボトルが最初の形状を維持したまま回収されるためだそうだ。

日本のようにキャップが散乱ごみになりやすいのを承知の上で、その方がボトルをリサイクルしやすいからと、キャップをはずせ、ラベルを剥がせ、などと消費者に馬鹿げた要求をしないところがよい。

日本の環境政策は本当に遅れている。環境よりもメーカーを守ることを優先しているためではないか。

<出典>

ドイツ、1月からレジ袋禁止 バイオプラ製レジ袋も

ドイツでは今年(2022年)1月1日からプラスチック製レジ袋が禁止された。

植物から作られたバイオマスプラスチックも禁止だ。これらは環境にやさしいとは限らないからとのこと。理由は、ほとんどリサイクルされず、プラスチック生産のための植物の栽培は農薬の使用の増加と関連しており、単一栽培で行われるため、とのことだ。また、それらが環境中に入ると、非常に長い間とどまり、原油から作られるプラスチックと同じくらい有害だ、と手厳しい。

さらに、生分解性プラスチックで作られたレジ袋も禁止の対象だ。理由は、ほとんど劣化せず、不適切な廃棄を助長するため。そして、有機性のごみにもならないため、とのことである。

ドイツで推奨される買い物袋(マイバッグ)は、何度も使えるバッグで、再生プラスチックやポリエステル製で作られたもの、あるいは有機農業で作られた亜麻や綿のバッグだそう。

なるほど、さすがドイツ。合理的だ。

https://www.bmu.de/faq/welche-alternativen-zur-plastiktuete-sind-sinnvoll-welche-nicht

なお、禁止されるレジ袋は15から50マイクロメートルまでのもので、15マイクロメートル未満の薄い袋は、肉やソーセージなど腐りやすい食品を入れるため衛生上必要であるとして禁止されない。50マイクロメートルを超えるものは、再利用できるため、やはり禁止されないようだ。

https://www.bmu.de/pressemitteilung/bundesrat-macht-weg-fuer-plastiktuetenverbot-frei

ドイツのデポジット制度、対象を拡大

ドイツは、2022年1月1日から飲料容器デポジット制度の対象を拡大した。

2003年に開始されたドイツのデポジット制度は、これまで対象がかなり限定されていた。例えばビール容器は対象だが、ワインの容器は対象外。炭酸フルーツジュースは対象だが、非炭酸のフルーツジュースは対象外だった。

これからは、3リットルまでのサイズのほぼすべてのワンウェイ飲料容器(ボトル、缶)が対象となる。ミルクは除外されるが、それ以外は中身に関係なくすべて25セントのデポジット(保証金)が上乗せされて販売される(ミルクは2024年からデポジット制度の対象)。デポジットは、容器返却後に返金される。

既に販売済みのボトルや缶は除外されるが、猶予期間は7月までだ。

ただし、紙パックは環境にやさしいと見なされているため、デポジット制度の対象から除外される。

<出典>

BR24(2022.1.1)↓

https://www.br.de/nachrichten/bayern/neue-pfand-regel-ab-1-januar-2022,SrZ1TtI

スロバキアで飲料容器のデポジット制度開始

今年(2022年)いよいよスロバキアでは、飲料容器(アルミ缶、ペットボトル)を対象にデポジット制度が開始されたようだ。デポジット(保証金)が上乗せされるボトルや缶には特別な「Z」文字が付けられる。まだZの文字がついていない容器を持参してもデポジットが上乗せされていないため、リファンド(返金)は受けられない。

デポジット制度開始前のスロバキアでの回収率は約60%だが、制度導入後には、同制度を採用している他の国々と同様に90%になる計画だ。

ヨーロッパでデポジット制度を既に導入している国は、スウェーデン、デンマーク、フィンランド、エストニア、ドイツ、オランダ、リトアニア、クロアチア、ノルウェー、アイスランド。今後も導入国は増えそうだ。

<出典>

<追記>

スロバキアでは、月曜(1月3日)から容器をスーパーに戻せるようになったとのこと。スロバキアは中央ヨーロッパでデポジット制度を導入した最初の国となった。EUでは8番目だそうだ。

<出典>

Slovakia first country in region to adopt deposit scheme for plastic bottles

ペルーにも脱使い捨ての波、プラ製食器や食品容器など生産・流通禁止

ペルーで2021年12月20日から、リサイクルできない使い捨てプラスチックや発泡スチロール製品(袋・食器・コップ・食品容器など)」の生産、輸入、流通、納品が全面的に禁止された。

禁止の法律は2018年12月に施行されており、36ヶ月後に発効することが明記されていたという。

ペルーでは、プラスチック袋(ポリ袋・レジ袋)やストロー、発泡スチロール製容器は既に使用が禁止されていた。

日本も早くペルーのように、プラ製の使い捨て食器やストロー、無駄な容器包装などを禁止してほしい。

<出典>

JETRO(2021.12.27)「ペルーでプラスチック・発泡スチロール製容器などの使用が全面禁止に」

https://www.jetro.go.jp/biznews/2021/12/e653cc5b8059cf56.html

1998年の「紙容器、環境ホルモンで脚光」は、今再びよみがえる?

ため込んだ資料の整理をしていたところ、1998年6月10日(日経産業新聞)の「酒類・食品の容器、環境配慮で衣替えーー紙容器、環境ホルモンで脚光」という過去記事が目に入った。

すっかり忘れていたが、脱プラで紙製容器に注目が集まる昨今と同じような話が、過去にもあったのだった。

しかし、その内容を読むと、ハナマルキが発泡スチロールカップから紙製カップ入りの即席味噌汁を発売したという話以外は、紙とはあまり関係がない。例えば宝酒造が、ペットボトル入り焼酎「宝焼酎2.7<エコペット>」を発売するなどという話などは、どこが「紙」なのか?

要するに、紙容器に注目が集まったものの、採用例は少なく、書くネタがなかったということだろう。

しかし、最近の紙への注目度はこれまでにないほど高いような気がする。

紙容器といっても、これまでのようなプラスチックがラミネートされているようなものではなく、これからのものは本当に全部分解するものがよい。撥水加工も要らない。

もちろん基本はガラスや金属、陶磁器、木などを使ったリユース容器で、使い捨ての紙容器はあくまでも補助的な位置づけだ。来年はそういうものが普及してくれるとうれしい。