国連大学とペットボトル

先日、国連大学にて開催されたエコロジカル・フットプリントの考案者であるウィリアム・リース先生の講演会に参加した。

講演会開始前、司会者が「飲料につきましては、キャップのできるペットボトル飲料の水・お茶のみ会場内で飲むことができます。」とアナウンスしたので、驚いた。

え!ペットボトルの水とお茶だけ?水筒はダメなの?

聴衆は外国人も多く、外国人は水筒を持参している人が少なくなく、ペットボトル持参者はいなかった。日本人は水筒持参者もいたが、ペットボトル持参者も少なからずいる。

ペットボトルしか許されていないのならば、水筒をバッグにしまうべきかとも考えたが、講師やパネラーの席にはペットボトルではなく、コップに入った水が置かれている。

水筒持参者は全員司会者の注意を無視し、水筒を使い続けていた。

国連大学の中は、なぜペットボトルの水とお茶しか飲用してはいけないのか?国連環境計画(UNEP)は使い捨てをやめようと言っているのに、国連大学ではペットボトルを推奨しているのか?などと考えながら、リース先生のオーバーシュートの話を聞いた。

小型ペットボトルを多用している限り、オーバーシュートは避けられないだろうと思う。

タイやベトナムもプラごみ輸入規制に乗り出す

中国が廃プラや未選別古紙の輸入を禁止したことに伴い、輸入量が急増していたタイやベトナム。

タイは「廃プラや電子機器関連などの資源ごみを違法に輸入する業者が増加。焼却処分する際の悪臭や不法な埋め立てなどが社会問題となり、警察当局が輸入業者などへの取り締まりを強化している。港湾では大量の廃棄物や資源ごみを積んだコンテナが多数発見されている。現地メディアは「不法に輸入した業者は法的な措置を受け、積み荷は(輸出国に)送り返す」との政府関係者のコメントを伝え、政府が資源ごみの輸入を規制する方針」とのことである。

ベトナムも「政府は6月、資源ごみの輸入などを一時的に制限する措置を講じており、今後本格的に適用されるとの見方もある」とのこと。

当然だが、資源という名のごみは、どこの国でも要らない。自国処理が原則だ。

日本も、廃プラ輸出先を探すよりも、使い捨てプラスチックを規制する方向で進むべきだろう。

<出所>

日経新聞(2018.6.5)「世界のリサイクル網転機 アジアで資源ごみ輸入規制」↓

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO32634150V00C18A7MM0000/

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中国のごみ輸入規制は日本へのモーニングコール

東京都 G7の海洋プラスチック憲章を支持

東京都は、日本が署名を見送った「海洋プラスチック憲章」を支持することを明らかにした。

「小池百合子知事は6月30日、小笠原諸島の米国からの返還50周年式典で「G7の憲章を強く支持する」と語り、「産業界や非政府組織(NGO)などと連携し、使い捨てプラスチックの削減を推進する」と述べた」(日経新聞)。

レジ袋やペットボトルなど海洋を汚染しているプラスチックごみを減らすことに賛成したということである。

それならばまず、都で開催しているレジ袋の検討会で、レジ袋の無償配布を禁止する条例化に取り組んではいかがだろうか?

かけ声はもちろん大事だが、実効性のないキャンペーンではなく、国に影響を与えるほどの環境政策を都には示してほしい。

<都の憲章支持表明についての出所>

日経新聞(2018.7.4)「環境対策も都独自、プラごみ削減のG7憲章を支持」↓

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO32567790T00C18A7L83000/

時代に逆行?キューピードレッシング

キュービーはドレッシングの容器を、150ミリリットル入りのガラスびんボトルから180ミリリットル入りのプラスチックボトルに変更するとのこと。

脱プラスチックを目指し、各国が包装材への規制を強める中、日本のメーカー各社は脱プラスチックを目指しているようには見えない。

国の海洋プラスチックごみへの対応の鈍さが、民間企業にも伝染しているように見える。

マクドナルドなども海外ではストローをプラスチック製から紙製に切り替えているが、日本では切り替えるという話は聞かない。

日本の消費者は環境に疎いから、何をしても大丈夫!と企業から思われているのではなかろうか。

<出所>

日本経済新聞(2018.7.4)「キユーピー、ドレッシング容器刷新 使い切り想定」↓

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO3256567003072018XQH000/

 

 

オーストラリア 上院で5年以内に使い捨てプラ廃止を検討

オーストラリアでは、クイーンズランド州や一部大手スーパー(コールス)などで、7月1日からレジ袋が廃止された。

一部混乱も起きたようだが、大半の州や店舗では既に廃止されているので、順調に使い捨てプラスチック規制が進んでいるといえる。

上院では、2023年までに、レジ袋や食品パッケージ、コーヒーカップなどの使い捨てプラスチック製品の廃止を検討しているとのことである。

<上院についての出所>

日刊ベリタ(2018.7.1)「オーストラリア上院、5年以内のレジ袋などの廃止を検討」↓

http://www.nikkanberita.com/print.cgi?id=201807011636470

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オーストラリアでもレジ袋禁止広がる

シアトル プラ製ストロー、ナイフ、フォーク等の提供禁止

アメリカ・ワシントン州シアトル市では、市内すべての飲食店において、プラスチック製ストローの提供を禁止する措置に昨日(2018.7.1)から踏み切った。

違反した飲食店には約2万7000円の罰金を科すとのこと。

スターバックスやマクドナルドなどは、紙製ストローなどに切り替えた。

(追記 2018.7.4)

シアトル市では、プラスチック製ストローの他、使い捨てナイフやフォーク、マドラー(カクテル用ピック)なども7月1日より禁止された。

今回の措置は、2008年に決められた環境対策の一環である。

<出所>

NHK(2018.7.2)「プラスチック製ストロー禁止 米シアトル」↓

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180702/k10011504081000.html

Seattle public utilities;

https://www.seattle.gov/Util/cs/groups/public/@spu/@foodyard/documents/webcontent/1_072578.pdf

 

日本 来年のG20でG7目標を上乗せか

2019年6月28日・29日に大阪で開催されるG20サミット首脳会議で、日本は先般拒否したG7の「海洋プラスチック憲章」の目標を上回る目標を発表するようだ。

以下、時事通信 官庁速報(2018年6月27日)より

「サミットで日本は、国内の企業や消費者の理解を得る必要があるとして、合意を見送った。しかし、目標自体は十分に達成できる可能性があることから、さらに上積みした目標を盛り込んだプラスチック資源循環戦略を19年6月までに取りまとめ、同月に大阪で開かれる20カ国・地域(G20)首脳会議でアピールすることにした。

しかし、日本が署名しなかった海洋プラスチック憲章は、プラスチックのリサイクル率目標だけではない。日本が達成できそうな目標は「2030年までに、プラスチック用品を全て、再利用可能あるいはリサイクル可能、またはどうしても再利用やリサイクル不可能な場合は、熱源利用する」ということや「2030年までに、可能な製品について、プラスチック用品の再生素材利用率を50%以上にする」、あるいは投資を加速させることについてなどの項目である。

これらの項目については、言葉の解釈の仕方でいくらでも言い逃れ(達成)できる。例えば、日本が2030年までにペットボトルを50%再生材で作ることはそれほど難しくない。技術的には現在でも十分可能なはずだ。

投資額を多少増加させることについても難しくないはずだ。これまで日本が行ってきた投資は、抜本的にプラスチックごみを減らそうというものではない。例えばセブン・イレブン店頭にペットボトルの自動回収機を設置することに環境省は補助金を出したが、これなどはどうみても、使い捨てを助長する投資だ。ペットボトルの消費拡大にはつながるが、ポイ捨てを減らすことには働かないだろう。セブン・イレブンまでペットボトルを持参し、0.2円分のポイントを得ようとする人はもともとポイ捨てするような人ではなく、自治体回収やスーパーの回収ボックスにペットボトルを排出していた人たちだ。

これまでおこなってきたこのような投資先を見直した上で、金額を多少上乗せすることは、それ程難しくない。

問題は、「不必要な使い捨てプラスチック用品を著しく削減する」ことである。これを、日本は本当にするのだろうか?

国連や、G7の海洋プラスチック憲章が、日本のような国(回収率はそこそこ高いが、使い捨てプラスチック製品を多用している国)に本当に求めていることは、リサイクル率を上げることよりも、大幅に使い捨て製品を減らすことではなかろうか。

そうでなければ、今と変わらない「大量生産・大量消費・大量リサイクル」になってしまう。使ったものを100%回収することは、今の日本の回収システムでは不可能で、その結果が今の川ごみや海ごみの現状だ。

リサイクル率を上げることも大事だが、それよりもまず、使い捨てのプラスチック製品を大幅に削減できるような方策(例えば、使い捨てプラスチックコップや使い捨て食器の段階的禁止や課税、レジ袋の禁止、ペットボトルを規制できない場合はデポジット制度により100%の回収を目指す、など)を考えるべきである。

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「プラスチック資源循環戦略」策定へ

 

インド 使い捨てプラ禁止違反でマックやスタバに罰金

インド第2の州マハラシュトラ州(人口1億人以上)で、使い捨てプラスチックの使用を禁止する州法が施行され、マクドナルドやスターバックスなどの大手チェーンが相次いで罰金を命じられた。

州法は2018年3月に発表され、同年6月23日施行された。インドの29州のうち少なくとも25州で使い捨てプラスチック禁止が制定されている。厳格に執行されている州ばかりとは限らないが、マハラシュトラ州では即座に取り締まりに乗り出したという。

マクドナルドは、これまでのプラスチック製品を木製容器やコーンスターチ製のストロー、紙コップに切り替えたものの、デリバリー用の飲料容器のフタについては代替品を見つけられなかったと説明している。スターバックスはコメントしていない。

罰金は、初回5000ルピー(約8000円)、2回目以降は2万5000ルピー(約4万円)、悪質な場合は禁固刑もありうるとのこと。医薬品や牛乳などは例外。

<出所>

CNN(2018.6.26)「インドの州がプラスチック禁止、スタバやマックに罰金」↓

https://www.cnn.co.jp/business/35121438.html

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インド 2022年までに使い捨てプラスチックを全排除

グアムでレジ袋禁止決定 2021年1月から

グアムで6月5日、レジ袋禁止が法制化された。

開始は、2021年1月1日から。

パラオやフィジー、マーシャル諸島、ヤップ等も既に同様の禁止を決めているとのこと。

<出所>

THE GUAM DAILY POST(2018.6.18)Recycling advocates: Plastic bag ban marks progress;

https://www.postguam.com/news/local/recycling-advocates-plastic-bag-ban-marks-progress/article_a5cb2280-6eb6-11e8-9e80-77fbfd20e9bd.html

日本のムール貝からもマイクロプラスチックを検出

先日(2018.6.14)、イギリスで検査したすべてのムール貝からマイクロプラスチックが検出されたとのニュースがあった。英ハル大学とブルネル大学ロンドンの共同研究チームが、学術雑誌「エンバイロメンタル・ポリューション」でそれについて発表したのだ。

2015年には、アメリカとインドネシアの研究チームが両国の市場に売られていた魚の4分の1から、貝の3分の1からマイクロプラスチックを検出している。

日本の二枚貝からもマイクロプラスチックが出るだろうね、と話し合っていたところ、やはり日本のムール貝からもマイクロプラスチックが検出されたそうだ。

東京農工大学の高田教授のグループが、2015年から2017年に東京都と川崎市の東京湾でムラサキイガイ(ムール貝)など、座間味島ではイソハマグリの体内を調べ、マイクロプラスチックを確認した。

NEWSWEEK(2018.6.14)「魚や貝を通じてプラスチックを食べている」という研究結果が明らかに↓

https://www.newsweekjapan.jp/stories/woman/2018/06/post-10378.php

共同通信(2018.6.18)「貝に微小プラスチック粒子が蓄積」↓

https://jp.reuters.com/article/idJP2018061801001419