EU 一部プラスチック製品の使用禁止方針を発表

欧州連合(EU)の欧州委員会は28日、ストローや皿など一部の使い捨てプラスチック製品の使用を禁止する方針を発表したとのこと。

来年5月に承認されれば、2021年から実施されるもようだ。これは今年1月に提案された2030年までに域内でプラスチック容器包装をゼロにする(使ったものは100%マテリアルリサイクルする)という「プラスチック戦略」の実現に向けた対策の一環だ。

プラスチックを使用した綿棒やフォーク、ナイフ、スプーン、風船用スティックなどの流通を禁止し、プラスチック製漁網や漁具については、ごみ収集や処理の費用負担をメーカーに求める。また、EUは加盟国に対し、2025年までに使い捨てのプラスチック製飲料ボトルの9割を回収するよう義務づけることも提案したとのこと。

一方、英国では、綿棒やストローの禁止のほか、使い捨てコーヒーカップやプラスチック包装などには課税の動きがある。

欧州の使い捨てプラスチックに対する厳しい姿勢は、海洋汚染問題もさることながら、使い捨てプラスチックがリサイクルしにくいことから、中国のプラごみ輸入規制が追い風になったようだ。

英国は、2042年までに不要なプラスチックをすべてなくし、全量リサイクルするという方針に向かって進んでいる。

英国もフランスもインドも台湾も、それぞれ使い捨てプラスチックに関する国としての目標が発表された。

日本のプラごみ削減目標は、いつになったら決まるのだろうか。

<EUについて>

毎日新聞(2018.5.29)「欧州委 ストローなど使用禁止 使い捨てプラ製品で方針」↓

https://mainichi.jp/articles/20180529/k00/00e/030/215000c

日本経済新聞(2018.5.29)「使い捨てプラ製品禁止を ストローなど、欧州委提案」↓

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO31078420Z20C18A5EAF000/

<英国について>

INDEPENDENT(2018.5.19)New ‘plastic tax’ planned to drive use of unrecyclable material out of existence

https://www.independent.co.uk/news/uk/politics/plastic-tax-recyclable-material-single-use-government-environment-business-use-a8358251.html

 

ようやく日本もプラごみ削減戦略?

今日の讀賣新聞(2018.5.25)夕刊によると、「政府は、日常生活で大量に出るプラスチックごみの大幅削減を目指す「プラスチックごみ資源循環戦略」の策定に乗り出す」とのこと。

「リサイクルするだけでなく、プラスチック製品の使用量自体を減らそうという動きが世界的に進んで」いることにようやく気付き、同調する気になったようだ。レジ袋など使い捨てプラスチック使用量削減を図るとのこと。

具体的には、今夏にも、関係省庁や産業界、有識者らが参加する審議会を設置し、今年度中の戦略策定を目指すそうだ。

使い捨てプラスチック規制がここまで遅れたのだから、既に進んでいる諸外国を追い越すほど有効で画期的な手を日本が打つことを期待したい。

少なくとも、コンビニを含むすべての小売店のレジ袋の無料配布を禁止し、トレイやペットボトルなど使い捨てプラスチック製品は課税することで消費の大幅な抑制を図った上で、散乱しないような新たな回収システムを構築する必要があるのではなかろうか。

<補筆>

公的発表ではなかったようで、他紙情報もなく、ようやく翌夕オンラインに掲載された↓

YOMIURI ONLINE(2018.5.27)「プラごみ削減へレジ袋・食品トレーの使用抑制」

http://www.yomiuri.co.jp/eco/20180526-OYT1T50099.html?from=ycont_navr_os

北極の海氷にマイクロプラスチック 世界最悪レベルに匹敵

北極の海氷に大量のマイクロプラスチックが蓄積していたことが話題になっている。

ドイツなどの研究チームが、2014年から2015年に北極圏の5カ所で採取した氷中の量や種類を分析した。1リットル当たりの数を調べると、最大1万2000個に上り、これまで韓国やデンマークの沖などで報告された世界最悪レベルに匹敵するそうだ。

見つかったマイクロプラスチックは、包装材などに使われるポリエチレンが多いが、衣類の繊維くずとみられるナイロンやポリエステル、そしてタバコのフィルター起源のアセテート繊維なども見つかったとのこと。

温暖化により海氷が解けることで汚染が拡散されることも懸念されている。

<関連記事>

北極の海氷に蓄積されたマイクロプラスチックの映像を公開

<出所>

毎日新聞(2018.5.21)「プラ微粒子 北極の海氷に大量に蓄積 温暖化で拡散の懸念」

https://mainichi.jp/articles/20180522/k00/00m/040/021000c

バンクーバー ストローとスチロールカップ禁止 規制の緩い日本大丈夫?

使い捨てストローやカップを禁止する国や地域がどんどん増えている。

カナダ・ブリティッシュコロンビア州バンクーバーでも、2019年6月1日から、プラスチック製ストローとポリスチレンフォーム製の使い捨てカップ(foam cup)が禁止されるとのこと。

同市の「ゼロ・ウェイスト戦略2040」は粛々と進められているようだ。

日本のストロー使用量は、欧米ほど多くないだろうと思っていたが、最近は500mLの紙パックを買った客にまでストローをつけるコンビニが増えていると聞く。学校給食の牛乳にもストローをつける学校が増えているようだが、もし紙パックにストローが必要であるならば、使い捨てでないコップを別途用意するか、びん牛乳に変更すべきだ。

缶コーヒーのペットボトル化(コカ・コーラほか)やノンアルコールビールのペットボトル化(サントリー)も同様だが、これほどプラスチック汚染が問題になっている時に、使い捨てプラスチックを増やしている国は日本くらいではなかろうか。

使い捨てプラスチックを増やす日本は、時代に逆行している。原因の一端は、ごみの回収費用を税金で賄い、メーカーに回収責任を義務付けていないことにあるのではなかろうか。そのうちに、なんでも作りっぱなしにできる規制の緩い日本めがけて、海外で禁止された製品が流れてきそうだ。

NEWS1130(2018.5.17)Vancouver approves ban on plastic straws, foam cups;

Vancouver approves ban on plastic straws, foam cups

ドキュメンタリー「プラスチック・チャイナ」

ドキュメンタリー映画「プラスチック・チャイナ」を見た。
プラスチック工場で働く一家。その一家の11歳の長女が、プラスチックの選別を手伝いながら、毎日弟や妹の面倒を見ている。お金がないため、学校にも行かれない。
故郷へ帰りたくても、乗車券を買うお金が足りずに、帰省もできない。
雇用主である工場オーナーも働きづめだ。
プラスチック汚染の影響か、工場主の身体に数箇所の腫瘍ができているが、病院には行かない。
もし、病気だということがわかると、困るからだという。
川にはたくさんの魚が死んでいる。それも食料になっている。
この映画からわかることは、海外から届く資源ごみは決して中国を豊かにしなかったということ、そして病気と環境汚染をもたらしたということだ。

日経ビジネス(2018.5.18)によると、これまで中国頼みだった日本のシュレッダーダストは、中国が輸入規制をしたため行き場を失い、このままでは単純焼却か埋立しかない、という。

焼却や埋立でもよいから、国内処理すべきだろう。車や家電メーカーは、生産者責任として最後まで責任もって国内処理すべきだ。

日本は、中国に代わる国として、ベトナムやタイなどへの資源ごみ輸出を検討しているようだが、国内処理もできないような資源ごみは汚染を生み、汚染は貧困しか生まないことをこの映画は教えてくれる。

この映画はBSでも放送されたようだ。

BS世界のドキュメンタリー↓

http://www6.nhk.or.jp/wdoc/backnumber/detail/index.html?pid=180412

日経ビジネス(2018.5.18)「中国頼みだったスクラップ処理が危機に」↓

http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/16eco/042500006/051700009/?P=1

 

韓国のスーパー レジ袋禁止

プラスチックごみの海洋汚染問題と中国の廃プラ輸入規制の打開策として、使い捨てをなくし、プラスチック包装を限りなくゼロにする政策に切り替える国が増えている。

1994年の「一回用品使用規制」により、使い捨て製品全般を規制していた韓国も例外ではない。熊捕(2012)によると、韓国ではレジ袋を最初は禁止しようとしたという。しかし、その需要の高さから、1999年に規制方針が転換され、2002年から有料化となった。今韓国へ行くと、ほとんどのスーパーやコンビニでレジ袋を有料化している。

しかし今回の措置は、スーパーでの有料でのレジ袋配布を、今年の10〜11月には全面禁止にするというものである。レジ袋だけでなく、売り場でのプラスチック包装使用も50%削減する。

また、2030年までにプラスチックごみの発生量を50%削減し、リサイクル率をこれまでの34%から70%まで引き上げる計画。

現在、アジアの環境政策を牽引しているのは、韓国と台湾だ。

(後日付記 2018.8.6)

*レジ袋禁止は、年末からに決定したようだ。詳細は↓

韓国 年末からレジ袋禁止

<韓国のレジ袋禁止についての出所>

KONEST「スーパーでのレジ袋配布 10月にも全面禁止へ=韓国政府」↓

https://www.konest.com/contents/news_detail.html?id=37388

<関連記事>

NHK 「ペットボトルがついに限界!?」続編に期待、日本にもプラスチックフリーのスーパーを

<中国の廃プラ輸入規制の関連記事>

PLASTIC CHINAは終わったか?

NHK 「ペットボトルがついに限界!?」続編に期待、日本にもプラスチックフリーのスーパーを

5月9日のクローズアップ現代「ペットボトルがついに限界!?世界に広がる中国ショック」を見た。

中国が廃プラ輸入規制に踏み切ったことから、世界中で廃プラスチックが溢れ、輸出する廃プラの7割を中国に頼っていた日本もその例外ではない、散乱も多い、という内容だ。

確かに海外でも、中国ショックは最近よく話題になっている。韓国・ソウルでも廃プラが溢れ、資源ごみとして別回収されていたレジ袋などプラスチック袋の回収が中止され、ゴミ袋の中にそれらが入っているのが見えると回収しない、などのルールができたと聞く(結果的に、韓国はスーパーでのレジ袋配布を禁止することになった)。米国では州によって差があるようで、これまで中国に全面的に頼っていた地域が困っているようだ。

しかし、中国の輸入規制は突然ではない。2017年7月にWTOに廃プラや古紙など一部廃棄物の輸入停止が通告され、8月には日本でも大きな話題になっていた。9月にはJETROが詳しい内容を公表している。つまり、中国に頼っていた企業は、半年以上も対策を練る時間があったということだ。おそらく「上に政策あれば、下に対策あり」の国だから、国がああいってもなんとかなるだろう、とタカをくくっていたのではなかろうか?

番組の内容で残念だったことは、廃プラのデータを使いながら「ペットボトル」のことだと誤認させるような説明をするなどしていたこと(ペットボトルは廃プラのごく一部に過ぎない。タイトルをペットボトルとするならば廃ペットボトルの貿易コードで調べたペットボトルだけのデータを使うべき。「廃プラ」全体のデータを使って、ペットボトルのことだと誤解させているように思えた)、そして、対策がリサイクルに偏っていたことである(時間の制約上やむをえなかったならば、続編に期待したい)。確かに、ベトナムやタイに輸出先を変更したり、国内のリサイクル工場を拡充できれば、私たちはこれまで通り何もしないでラクかもしれない。

しかし、世界はもう大量のプラスチックごみに行き詰まり、為す術がないところまで来ていることをもっと強調したほうがよかった。

きれいなままペットボトルを回収できれば、少なくともペットボトルに関しては、中国に頼らずとも、日本には既に十分な容量のリサイクル施設がある(日本の廃ペットボトル再商品化工場の受入れ可能量は38万4000トン、指定PETボトル販売量は59万6000トンなので、受入れ容量不足ではあるが、廃PETでなく廃プラとしての処理ならば可能)。問題は、鉄道やコンビニ前などから回収されるペットボトルは内容物が残っていたり、他のごみが混在していたりするため、国内のリサイクル工場では受け入れにくいということだ。

しかし、デポジット制度でペットボトルを回収するならば、きれいな状態で回収できるため、これらはデポジット制度により容易に解決できる問題である。もちろん、デポジット制度で散乱ごみも減ることは、既に多くの事例から判明している。

また、フランスやイギリス、台湾、インドなどで決定しているような使い捨てプラスチックを禁止する政策を、日本でも選択すべきだろう。

レジ袋をいまだに無料配布しているスーパーやコンビニを黙認する日本の環境行政を至急見直す必要がある。ペットボトルにしても飲料メーカーは作り放題、消費者は使い放題で、回収方法はお寒いばかり。サントリーのノンアルコールビールのペットボトル化は、ビール容器のペットボトル化の引き金となり、ペットボトル散乱をより加速させるだろう。次回の番組制作では、そこまで踏み込んでほしい。

レジ袋やペットボトル以外にも、減らせるプラスチックごみは多数ある。日本で、プラスチック包装に包まれていない製品を購入することは本当に難しい。このままでは、日本中プラスチックごみとリサイクル工場、焼却場だらけになってしまいそうだ。

オランダでは2月下旬にオープンしたプラスチックフリーの陳列棚を有したスーパーが好評で、今後も継続、拡大するようだ。日本の小売店も、ぜひプラスチック包装を使わない商品を提供してほしい。

NHKクローズアップ現代(2018.5.9)↓

http://www.nhk.or.jp/gendai/articles/4126/index.html

毎日新聞(2018.5.9)「使い捨ての包装は全廃へ 欧州のプラスチックごみ対策最新事情」↓

https://mainichi.jp/articles/20180509/mog/00m/030/005000c

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世界初 オランダに脱プラスチック包装の陳列棚のある店がオープン

ペットボトル激増のきざし? サントリーがノンアルPETビールを発売

ペットボトル激増のきざし? サントリーがノンアルPETビールを発売

プラスチックによる海洋汚染問題が深刻な中、ペットボトルの散乱がますます増えそうだ。

サントリーがノンアルコールビール容器にペットボトルを採用する。コンビニ限定商品で、6月19日から販売するとのこと。
380mLと野外でも利用しやすい小型サイズなので、おそらく海水浴客やドライバーなどにもニーズが広がりそうだ。

ペットボトル入りビールは、かつて大容量のものが売られていたが、容器の性能上の問題で人気が今一つだったことや、容器の処理に困った自治体がメーカーに自主回収を求めたことなどから、販売中止になった。
2004年には、アサヒビールがペットボトル入りビールを販売しようとしたが、散乱等を懸念したグリーンピースなど多くの環境団体が猛反対したため、販売が中止された。
2017年、キリンが1Lサイズのペットボトル入り宅配用ビールを販売した。しかし、大容量で家飲み用と考えられたことから、それほど多くの反対の声はなかった。

今回のサントリーのノンアルコールPETビールは、おそらくこれから本格的にビール容器にペットボトルを採用することの前哨戦だと考えられる。

海のプラスチック汚染がますます深刻になりそうだ。

また、デポジット制度などにより自主回収するならばともかく、回収を自治体に頼り回収費用を税金まかせにしておきながら、ごみになるものを次々と販売する企業の姿勢にも疑問を覚える。

SUNTORY(2018.5.8)「ペットボトル入りの透明なノンアルコールビールテイスト飲料 「オールフリー オールタイム」コンビニエンスストア限定新発売」

https://www.suntory.co.jp/news/article/13170.html?rss=0000000029

北極の海氷に蓄積されたマイクロプラスチックの映像を公開

北極の海氷からマイクロプラスチックを取り出し、分析している映像が公開されている。

想像以上に多くのポリエチレンなどのプラスチックが蓄積されていることがわかる。

USA TODAY(映像), “Record amount of plastic waste discovered in Arctic sea ice”

https://www.usatoday.com/videos/news/2018/04/25/record-amount-plastic-waste-discovered-arctic-sea-ice/34252631/

ドイツのアルフレッド・ウェゲナー極地海洋研究所の研究チームによると、北極海氷中のマイクロプラスチックの蓄積は、「重大な汚染源」になるそうだ。

レジ袋や食品包装、船の塗料、漁網、合成繊維のナイロンやポリエステル、たばこのフィルターなどに由来するプラスチックが多いとのこと。

AFP(2018.4.25)「北極海氷にマイクロプラスチック蓄積 「重大な汚染源」に、独研究」↓

http://www.afpbb.com/articles/-/3172445

過度期にあるごみの分別 分別もバリアフリーに

最近、ごみ分別と専業主婦の役割について考えている。

これまでは、ごみ排出量を減少させるためには、ごみの排出に手間がかかるようにする必要があると考えていた。
ごみを排出しやすくすればするほど、安易にごみを捨てる。ごみ量は増える一方だと思っていたためである。
もちろん、この考えは間違ってはいないだろう。ごみ回収日を減少させた自治体はごみが減るし、分別数を増やした自治体のごみも減る傾向がある(資源ごみもごみ量としてカウントした場合でも、ごみ全体量は減少する)。
しかし最近、ごみ分別に困難をきたす高齢者が多いと聞く。弱視でごみを分別できなかった町議が、不法投棄をして逮捕されたというニュースもまだ記憶に新しい。

今の容器包装リサイクル法は、プラマークやPETマークなどが頼りだ。真面目に分別しようと思うと、弱視者には難しいだろう。
どれが容器包装のプラスチックで、どれが容器包装に分別してはいけない製品プラスチックなのか、高齢者や弱視者でなくとも悩む人は多い。
また、ペットボトルにしても、ノンオイルの青じそドレッシングはPETボトルに分別できるが、オイル入りの一般的なドレッシングは、たとえPET製であってもPETボトルでなく、プラスチック製容器包装として分別しなければならない。

このような複雑な分別を消費者に求めるリサイクル法は、専業主婦が分別することを前提とした法律ではないだろうか?専業主婦のいない家庭で、ごみ分別に手間をかけるのは時間的にも厳しいし、そもそも分別に関心をもつのも難しそうだ。

これからゼロ・ウェイスト社会に進んでいくためにも、住民に手間をかけさせないで済む仕組み(手間をかけられない住民もラクにごみを出せる仕組み)で、かつ分別したり、ごみを減らしたりすると得になるような経済的インセンティブを付加した仕組み(手間をかけられる人は手間をかけることで、ごみを減らせる人は減らすことで得になる仕組み)が必要になるのではないか、と考えている。

そうでなければ、高齢化や女性の社会進出に対応できるごみ処理システムとはいえないのではないだろうか。