人工芝の問題はゴムチップだけではない。粉茶のような芝片もマイクロプラとして流出

人工芝から流出したマイクロプラスチックというと、自宅玄関マットなどに使われる小さな木べらのような形の芝片がよく紹介されている。

しかし、最近の人工芝は、家庭の庭用のものでさえも、もっと丈の長い本物の草のような形状だ。根元から千切れた場合、細いとはいえ、長さは数センチあるからマイクロプラスチックとは言い難い。まして、競技場などで使用されるロングパイル人工芝は5センチはあるから、千切れてもフィルターさえあれば捕捉出来るだろう、と思っていた。

ところが、本当の芝片は粉状のものだ。すり切れて、芝はだんだん短くなる。それに伴って、粉茶のようなものが場外に流出している。

関東学院大学の鎌田 素之先生の模擬講義(「水の世紀」に化学にできること)の36分目から人工芝の話だ。どう見ても苔か粉茶にしか見えない大量の芝片(芝粉?)の流出光景が紹介されている↓

https://univ.kanto-gakuin.ac.jp/academics/science-and-engineering/applied-chemistry.html

こんなマイクロプラスチックが人工芝を敷設したところから流出しているのかと思うとゾッとする。

人間はプラスチックで様々なものを作ったことで、どうしようもない間違いを侵してしまった気がしてならない。この芝粉からもPFASがでているのだろうか。

ストックホルム条約に新たな規制対象、人工芝からも検出されるUV328が加わる

有害化学物質を国際的に規制するストックホルム条約の今年の会合で、自動車製造などで使われるプラスチック添加剤2物質の使用、製造、輸出入を禁止することが合意された。

プラスチックが劣化したり変色したりするのを抑える紫外線吸収剤「UV328」と、燃えにくくする難燃剤の「デクロランプラス」だ。

https://news.yahoo.co.jp/articles/1e412be8c2d713cec1800f639e699e897f25f67d

この難燃剤もあちこちに使われているようだが、UV328は人工芝からも検出されている。

2021年に発表されたカナダの研究によると、UV328のようなベンゾトリアゾール紫外線吸収剤は、農村部の川よりも都市部の川で最大4倍の濃度で見つかったそうだ。

そして、人工芝からもUV328が見つかった。

https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S2589914721000281

人工芝は相模原市内でも増えてきたが、東京都23区内の学校や幼稚園の校庭・園庭でも使われている。

人工芝をやたらにあちこちに敷くのはやめてほしい。子ども達の健康も心配だ。

EUの意図的添加のマイクロプラ、REACH委員会が決議。これについて、AIに聞いてみた

REACH委員会が、4月26日に意図的添加のマイクロプラスチックを決議した。これについて詳細を調べたけれど、なかなか追加情報が出てこない。

わかっていることは、今後欧州議会と理事会が精査し、3ヶ月後には正式に発効される可能性が高いということだ。しかも、猶予期間は当初いわれていたよりもかなり延びてしまった。当初は最長で8年といっていたのに、化粧品などは12年になった。

そうだ、こういう時こそAIだ!とAI博士に聞いてみたが、要領を得ない答えしか返ってこなかった。どうも欧州の意図的添加のマイクロプラスチック規制を理解していないらしい。

そのため今度は、perplexityに聞いてみた。今度はまともな答えだったが、少し前の情報ばかりで、最新情報については知らなかった。

いろいろ試しているうちに、「日本でも同様の規制が導入される予定はありますか」という質問例がでてきたので、クリックすると、以下の答え。

「日本でもプラスチック問題に対する規制強化の動きがありますが、マイクロプラスチックに関する具体的な規制についてはまだ明確になっていません。2020年7月1日からは、 全国でプラスチック製買物袋の有料化が開始され、 プラスチック製買物袋の過剰な使用抑制が呼びかけられています。ただし、 日本でもプラスチック問題に対する関心が高まっており、 G20サミットでの発信や、 環境省によるマイクロプラスチックに関する調査・研究が進められています。今後、 国内外の動向を踏まえ、 日本でも同様の規制が導入される可能性があります」

とのこと。認識が甘いなぁと思い、次の質問例「日本のマイクロプラスチック規制は他国と比べてどうか?」をクリックした。

すると、的を得た答えがでてきた(後半の太字部分)。ただし前半は古い情報で、事実とは異なる。

「日本は、 プラスチック問題に対して積極的な取り組みを進めていますが、 マイクロプラスチックに関する具体的な規制についてはまだ明確になっていません。一方、 欧州連合(EU)では、 2022年最大5mmの意図的に追加されたマイクロプラスチックの禁止が施行される予定であり、 一部の製品では最大8年の移行期間が提案されています。また、 中国は2017年にプラスチックの輸入規制を実施し、 マイクロプラスチックを含む海洋プラスチックごみに対する取り組みを進めています。日本は、 プラスチック製買物袋の有料化を2020年に開始するなど、 プラスチック問題に対する取り組みを進めていますが、 他国と比べるとまだ規制が進んでいないと言えます」

だそうだ。

AIの進化はすごい。

無印良品の回収品目が増加中

無印良品の回収品目がどんどん増えているようだ。

すべての店舗で回収しているわけではないが、企業責任としての回収は評価できる。

これまでも絵本や保冷剤、プラスチックボトル、体にフィットするソファ、紙製ハンガーなどを回収していたが、2月3日から新たに「プラスチック収納」が加わった。

ただし、保冷剤はどこでもらったものでも回収してくれたが、プラ収納は無印良品で購入したもののみなので、注意が必要だ。

回収店舗や回収品目の詳細は同社ウェブサイトに掲載されている↓

https://www.muji.com/jp/feature/recycle/

堆肥化可能な食品容器からPFASが揮発

PFAS(有機フッ素化合物)は、まだわからないことが多い。

半減期の長い危険な化学物質で、内分泌をかく乱する環境ホルモンであることは確かなようだ。

しかし、いろいろなものに入りすぎていて、PFASを使わないように1日をやり過ごすのは結構大変だ。

テレビなどで目にするPFASの写真は粉状、つまり固体だ。しかし、温度次第で水に溶けたり、揮発したりする種類のPFASもあるようだ。

最近発表されたカナダの研究によると、ファストフードで使用される堆肥化可能なパッケージを調べたところ、PFASが検出された。

しかも、2年間その容器を保存した後、また調べたら、総PFAS濃度が85%も低下したという。どうも揮発したらしい。

半減期の長いPFASは、気体となっても空中でその影響力(内分泌かく乱など)を駆使するのだろう。

となると、人工芝に含まれるPFASも、光にさらされ揮発して、大気中を漂っているのだろうか。子どもたちが人工芝の上で遊んでいる光景は、ほのぼのして見えるが、実は危険だということだ。

すべてのPFAS類を、早く禁止してほしい。

<出典>

https://pubs.acs.org/doi/10.1021/acs.estlett.2c00926

凹みのできた鉄製フライパン vs 230万個のマイクロプラが発生するフッ素樹脂加工のフライパン

以前、本ブログで「フッ素樹脂加工のフライパンを使わない」と書き、鉄製フライパンだけを使っていた。

ところが、鉄製フライパンに小さな凹みができていることに、最近気づいた。

この凹みは孔食というものらしい↓

http://riverlight.co.jp/ja/koushoku.php

孔食ができた原因は、おそらく焦げついた時の洗い方がまずく、焦げに含まれる塩分などが落ちていなかったためではないかと思う。

フライパンの焦げを落とすには、やはり金属たわしが一番だが、一時期、金属たわしを使わず、しゅろたわしばかりを使っていた。そのためかもしれない。

鉄製フライパンの使い方にはよく「洗った後に油を敷くこと」と書かれている。油を敷くのはイヤなので、油を敷いたことはない。しかし、それでも問題なく使えているのは、洗剤を使わずに洗っているため、油分が残っているせいだろう。

昨年発表された論文(Luo et.al., 2022)によると、フッ素樹脂で加工されたフライパンは、コーティングの表面に少し傷が付いただけで約9100個のマイクロプラスチックが放出され、コーティングが壊れると約230万個ものマイクロプラスチックが放出されるとのこと。

https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S004896972205392X?via%3Dihub

「テフロン」とか「フッ素コート」などと呼ばれている焦げ付き防止機能のあるフライパンは便利だが、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)などのフッ素樹脂でコーティングされている。PTFEの人に対する毒性はまだわかっていないが、「永遠の化学物質」と呼ばれるPFAS(有機フッ素化合物)の仲間だから、楽観はできない。

こんなに大量のマイクロプラスチックが食べ物と一緒に体内に入るのを防ぐためにも、鉄製フライパンの凹みをこれ以上広げないように気をつけて、うまく使い続けたい。

<関連記事>

秩父宮ラグビー場の移転にも人工芝化にも反対します!

坂本龍一氏の遺言のようになった「神宮外苑再開発反対」。とんでもない計画であるにも関わらず、小池都知事らには見直す気はさらさらなさそうだ。

署名運動や要望書を送る運動も行われている。

https://www.change.org/p/神宮外苑1000本の樹木を切らないで-再開発計画は見直しを/u/31210494

こういうものまで無視されると、日本は本当に民主主義国家なのか?とむなしくなる。

それにしても、なぜ、野球場とラグビー場を入れ替える必要があるのか。その方が事業者にとって都合がよいからだろうが、新ラグビー場が人工芝になると聞き驚いた。

理由は、ラグビー場で音楽ライブなどもするため、密閉型のドームにすることにある。そのため、天然芝では育たないから、人工芝の方が都合がよいそうだ。

https://www.asahi.com/articles/ASQ8Q6GR4Q8QUTQP016.html

人工芝の方がケガをしやすいことをラグビー関係者はよく知っている。選手の健康よりも、儲けを優先して作るということだ。

元ラグビー選手もラグビー場移転と人工芝化などの「改悪」に反対し、署名を集めている↓

https://www.change.org/p/秩父宮ラグビー場をこの地で継承したい-ラグビーの聖地-の移転-改悪を止めよう?signed=true

人工芝はPFASなしでは作れない。また、充填材(ゴムチップ)にはフタル酸エステル類も入っている。

化学物質による環境汚染の見地からも、ラグビー場の移転と人工芝化に反対だ。

シンガポールのデポジット制度、2025年から開始

シンガポール国家環境庁(NEA)によると、2025年4月から10セントのデポジットを飲料に上乗せし、制度を開始するとのこと。上乗せされた飲料には容器にラベルが貼られる。ラベルのない飲料もまだ出回っていることから、4月から6月まで3ヶ月の移行期間がもうけられている。

すべての飲料関連企業と小売店は2025年7月1日までに、デポジット制度を完全に実施しなければならない。

シンガポールでは、ペットボトルと缶が飲料容器の70%を占めるという。

https://youthopia.sg/read/beverage-container-return-scheme-launching-in-april-2025-canned-bottled-drinks-to-cost-0-10-more/?eType=EmailBlastContent&eId=225d7e5f-0e54-495b-a27c-28f281ed69a4

これまでシンガポールのデポジット制度は、2023年開始とされていた。

https://www.nna.jp/news/2160348

遅れたようだが、中止にならずによかった!

(補筆2025.04.3)

デポジット制度の開始は1年遅れ、2026年からになった。

詳しくは↓

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人工芝から16種類のPFAS。マサチューセッツ州、コネチカット州、バーモント州で人工芝を禁止する法案提出

アメリカでは人工芝を規制する法律ができつつあるようだ。

マサチューセッツ州、コネチカット州、バーモント州で、人工芝を禁止する法案が提出されている。

ニュース(The Philadelphia Inquirer, 2023.3.7)によると、「マサチューセッツ州とカリフォルニア州のいくつかの町では、人工芝のモラトリアムを実施しています。マサチューセッツ州、コネチカット州、バーモント州には、偽の草を禁止する法案があります。メイン州は、PFASを含むラグ、カーペット、ファブリックトリートメントの販売を禁止しています。化学大手3Mでさえ、2025年以降はPFASを使用しないと発表した」(以上、機械翻訳)とのこと↓

https://www.inquirer.com/news/pfas-forever-chemicals-drinking-water-vet-astroturf-philadelphia-20230307.html

また、同記事によると、ベテランズ・スタジアムでプレーしていた野球選手6人が同じ脳腫瘍で、全員60歳未満で亡くなっているそうだ。

この球場はまだ人工芝が一般的ではなかった頃に作られた人工芝球場。既に破壊され、駐車場になったようだが、1977年から1981年までベテランズ・スタジアムのフィールドにあった芝の破片を調べたところ、16種類ものPFASが含まれていたという。

人工芝を巡っては、多くの女子サッカーチームのゴールキーパーが血液系のガンに係ったことなども報道されている。

日本では、人工芝を小学校の校庭や幼稚園の園庭、家庭の庭などに敷くのが流行っている。本当に安全なのだろうか?

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東大:メダカは淡水より海水でマイクロプラを多く取り込む

魚が淡水と海水とではどちらの方がより多くのマイクロプラスチックを取り込むのか、東大の研究グループがメダカを使って実験をした。

使ったメダカは海水でも生きられる種で、マイクロプラは1マイクロメーターのポリスチレン。

このサイズのマイクロプラの場合、魚はエサと間違えて食べるのではなく、水と一緒に否応なく取り込むそうで、浸透圧の関係で、海水魚は水分補給のため海水をよく飲む。そのため、がマイクロプラ取り込み量を淡水魚より多いという。

yahooニュースによると、海水魚も淡水魚も体液の浸透圧は海水の3分の1と変わらない。海水は体液より浸透圧が高いので、えらや体表から水が体から出て行ってしまう。「そのため海水魚は水分補給のため海水をよく飲み、食道や腸で塩分を除き、浸透圧を下げてから水を吸収する。一方、淡水は逆に体液より浸透圧が低いので、えらや体表から常に水が入る。そのため淡水魚は水をほとんど飲まず、体に入った不要な水は尿として排出する」とのこと。

https://news.yahoo.co.jp/articles/1c23d7120b04a07aaa2b36c9c7f39590542a44d8

魚は、汚染が進めば進むほどマイクロプラを体内に取り込む。人間もプラスチックによる大気汚染が進むほど、マイクロプラを体内に取り込んでしまう。人の呼吸は成人で1日2万回。既に膨大な量のマイクロプラを取り込んでいるが、一体蓄積量はどれ程なのだろうか。