豪クイーンズランド州 11月1日からデポジット制度開始

オーストラリア大陸の4分の1を占め、2番目に大きい州であるクイーンズランド州で、2018年11月1日から飲料容器のデポジット制度が開始される。

州内には飲料容器と引き換えに、デポジット(預り金)を払い戻すためのリファンドポイントが230以上準備された。

デポジットもリファンド(返金)も10セントで、150mLから3Lまでの飲料容器が対象。牛乳やワインは対象外だ。

デポジット制度により、散乱ごみの減少とリサイクル率の向上、さらに新たな雇用などにより、地域経済に利益をもたらすと見込まれている。

<出所>

Queensland Government, “About the container refund scheme”

https://www.qld.gov.au/environment/pollution/management/waste/container-refund-about

名古屋市 ティッシュ外袋を紙へ とても良いがしかし・・・

名古屋市は、これまで啓発用に配布していたポケットティッシュの外袋がプラスチック製であるとして、紙製に切り替える方針を発表した。

とてもよいことだと思う。さすが、ごみ減量に早くから取組み、レジ袋やトレイの削減にも力を入れていた自治体だけある、と尊敬する。外袋が紙製のポケットティッシュが当たり前になれば、街頭でポケットティッシュを受け取ることにも罪悪感がなくなる。

しかし、それによって増える費用を、公共施設内に設置している自動販売機の売り上げの一部で賄う(まかなう)というのはどうだろうか?、

ポケットティッシュの袋の素材を切り替える際の一番の問題はコストで、これまでの4倍ほど、年におよそ6500万円余分にかかるとみられています。

名古屋市では、市役所や区役所などに設置されているおよそ1000台の自動販売機の売り上げの一部が「環境保全基金」に寄付される仕組みを整え、捻出する考えです。

河村名古屋市長:
「生物が食べるということもあるし、名古屋の環境基金になって行けばそれはありがたいことだで、もしそういうことになればありがたいことですよ。賛成ですわ」

マイクロプラスチック削減に向けた名古屋市の取り組みは、来年度から始められます。

何かが違うのでは?

自動販売機は電気も使うし、販売する飲料はペットボトルや缶だ。ペットボトルはもちろん全部が、缶も内面塗装部分が、散乱した場合にマイクロプラスチックになる。

公共施設内にはできるだけ給水器を設置し、市民に水筒持参を呼びかけるのがスジではなかろうか。

環境に良いとはいえないものの売上の一部を使って、環境に良いことをするのは悪いことだとはいわない。しかし、ティッシュの袋の切り替えと同時に、1000台もの自動販売機の設置が本当に必要なのか、見直しをすべきだろう(既に見直しているのかもしれませんが・・)。

さらにいえば、それほど大量のティッシュを配布する必要性も再検討すべき。啓発グッズとして配布しているものが、果たして本当に啓発に役立っているのか、事業消化の自己満足で終わってないか、今一度見直してはいかがだろう?

これまで使ってきたプラスチックをまるまる他のものに切り替える・・だけでも立派だとは思う。が、大量の配布ティッシュが本当に必要なのか、1000台の自動販売機が本当に必要なのか(給水器に置き換えられる場所はないのか)、それについても再検討してほしい。

<参考>

東海テレビ ニュースOne(2018.9.25)「マイクロプラスチック削減で全国初 名古屋市が配布する『ポケットティッシュ』袋素材見直しへ」↓

http://tokai-tv.com/tokainews/article_20180925_63532

北海のフルマカモメの9割から、海氷下の稚魚からもプラスチック片

プラスチックの生産拡大に伴い、海鳥への影響は深刻化し、40年程前から既にその兆候が海鳥に現れていたとのこと。

現在、北海では93%のフルマカモメがプラスチックを体内に取り込み、2010年から2014年にかけて調査した525羽のうち、58%は0.1グラム以上を飲み込んでいたという。

海鳥は、直接海面からプラスチックを取ることで体内に入れる場合もあれば、プラスチックを食べた魚をプラスチックごと捕食してしまう場合もあるそうだ。

また、北極海の海氷の下で採取したホッキョクダラの稚魚の体内からも微小なプラスチック片が見つかるとのこと。

<出所>

毎日新聞2018.9.24

 

セブンイレブンがレジ袋有料化を検討!ストローはバイオマス素材で

オルタナによると、セブンイレブン・ジャパンがレジ袋有料化を検討すると明らかにしたとのこと。

これまで最も強硬に有料化に反対し、かつ最もレジ袋使用量の多いセブンイレブンが、レジ袋有料化を検討するならば、他のコンビニも追随することは間違いない。

ついでに、セブンイレブンのコンビニコーヒーカップも、タンブラー持参者にはカップをもらわなくてもコーヒーを購入できるようにしてほしい・・

日経ESG(2018.8)によると、セブンイレブンは店内の商材や包装材を環境配慮型にするため、セブンカフェでは、カップに間伐材、ふたにリサイクルPET、ストローにバイオマス素材を使った材料を使い、シャンプーや洗剤の詰替用包材にはリサイクルPETを使う、とのこと。

しかし、現在はタンブラー持参者でカップが不要な人にまでカップを使わせている。

セブンイレブンは全国に約2万店あり、セブンカフェでは年間10億杯を販売しているそうだ。

(後日補筆)

セブン&アイは2030年をメドに、グループでのプラスチック製レジ袋の使用量ゼロを目指すと発表。紙やバイオマス、生分解性といった素材に切り替える(日本経済新聞2019.5.8)。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO44513320Y9A500C1HE6A00/

<参考>

alterna

セブン-イレブン、レジ袋有料化検討:コンビニで初

日経ESG(2018.8)「食材、容器、電力を持続可能に」

海プラの9割は10河川から流出 石化協会も解決に向けぜひ協力を

海洋へ流出するプラスチックごみの9割は10河川から流れ出ているといわれる。その10河川のうち8河川はアジアにある。日本は流出国にはカウントされていないが、決して他人事ではない。

日本を含む「先進国」は、これまでこれらの国々にプラスチック製品を輸出したり、あるいは工場を作り製品を製造したり、またプラスチック製廃棄物を「資源」として輸出してきたが、その過程で出るごみについては責任を負ってこなかった。

そのツケがこのような形で現れたと考えられる。

石油化学工業協会会長は、自動車の軽量化や食品の品質保持を例に挙げ「プラスチックのプラス面を考えるべき」と強調するが、プラスチックのプラス面については誰もが既に十分知っている。だからこそ、ここまで普及したのだ。

今考えるべきは、マイナス面を克服するために何ができるか、である。

石油化学工業協会も一丸となって、この問題に取り組んで欲しい。

汚染のひどい新興国に適切なごみ回収ルートを作れば、それですべて解決するという話ではない。十分な回収ルートのある日本でも散乱ごみ問題は解決されてこなかった。ここにプラスチックごみによる海洋汚染問題の根深さがあり、多様な解決策の必要性があると考えている。

<参考>

NEWSWEEK(2018.7.12)「世界の海洋プラスチック廃棄物の9割は、わずか10の河川から流れ込んでいる」↓

https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2018/07/910.php

毎日新聞(2018.9.16)「10河川からごみ9割 海洋汚染、新興国で排出 陸上の管理不適切 独研究所推計」↓

https://mainichi.jp/articles/20180916/ddm/003/040/099000c

SankeiBiz(2018.9.21)「石化協会長、「脱プラ」流れに反論 食品廃棄問題への貢献強調」↓

https://www.sankeibiz.jp/business/news/180921/bsc1809210500001-n1.htm

脱ペットボトルを進めるロンドン 公衆水飲み場を16カ所増設

ロンドン動物学会と共同で#OneLessキャンペーンに取り組み、脱ペットボトルを進めるロンドンで、公衆水飲み場を16カ所も増設しているそうだ。

市内には、既に4カ所の公衆水飲み場がある。

東京都も2020年までに公衆水飲み場を増やさないと、都内がペットボトルごみで溢れてしまう。「脱使い捨てプラスチック」の態度を鮮明にするためにも、最低でもレジ袋とペットボトルの削減姿勢を「見える化」すべきだ。

<参考>

ロイター(2018.8.29)「英ロンドン、公衆水飲み場を増設 ペットボトル利用の削減呼び掛け」↓

https://jp.reuters.com/article/britain-fountains-idJPKCN1LE0C4

#OneLess

LONDON’S REFILL REVOLUTION

三井住友海上も損保ジャパンも 社員食堂のプラカップ廃止

三井住友海上火災保険は社員食堂で、使い捨てのプラスチック製ストローとカップおよびふたを廃止し、それらを紙製に切り替えるとのこと。国内の全ての社員食堂で行う。年間9万6千本のプラスチック製ストローの削減につながる見込み。

損保ジャパン日本興亜もコーヒー用のプラスチック製カップを廃止し紙製に切り替える。プラスチック製ストローは廃止。10月から本社の社員食堂で行うとのこと。1日あたり、1千個の削減になるそうだ。

よいことだとは思うが、社員食堂ならばマイカップ持参を促して、持参者には値引きするなどできないものか?とも思う。リユースも進めてほしい。

<出所>

朝日新聞(2018.9.20)「社員食堂でもプラ製カップ廃止 1日千個削減の企業も」↓

https://www.asahi.com/articles/ASL9M5HDJL9MULBJ01Y.html

未来世紀ジパングの海ごみ特集 途中まで良かったが、最後まさかのLIMEX押し?!

昨日(2018.9.12)放送された未来世紀ジパングの「世界のごみ問題第3弾 人類vs使い捨てプラスチック」を見た。

最初は、本ブログでも取り上げていたインド・マハラシュトラ州のプラスチック禁止令下での現地の状況報告で、プラスチックGメンや代替品の開発に沸く現地の様子を取り上げていて面白かった。

次に日本のプラスチック消費量と日本近海のマイクロプラスチック状況を取り上げ、日本は使い捨てプラスチックを使いすぎていることを指摘。ナビゲーターとコメンテーターが、スーパーのレジで食品を薄い小袋(レジ袋より薄く小さい半透明の袋)にいちいち詰めてくれるレジ係に、不要だと告げることを紹介、これもよかった(私もこれまで、レジ袋以上に役立たずごみになるだけのこの小袋をだいぶガマンしていたが、最近はきっぱり断るようにしている)。

しかし、最後に取り上げられたTBMのLIMEX容器。これでせっかくの番組が盛り下がった。

石灰石と生分解性プラを組み合わせた容器は一見すると画期的に見える。もともとは、石灰石を6割程度にプラスチック(ポリオレフィン)を4割程度混ぜて容器や名刺を作っていたLIMEXのポリオレフィン部分を生分解性プラに変更したものだ。生分解性プラはおそらくポリ乳酸を使用か。

しかし、従来のポリ乳酸は海で分解しないため、海ごみ対策にはならない。それならばむしろ、従来の紙容器にポリ乳酸で作ったフィルムをラミネートしたものの方がマシではないか。

紙は木材を使うから環境に悪いという人もいるが、木材は再生可能な資源である。適切に管理された森林から原料調達するならば、環境を破壊しない。それに比べ石灰石は、地球上に大量にある素材かもしれないが、再生不可能で、採掘は山の破壊に直結する。

いずれにせよ、インドのように脱使い捨てプラスチックを宣言し、まずは減らすことが大事だろう。そうなればさまざまな代替品が開発され、代替品市場が活性化する。G7の海洋プラスチック憲章に署名した国々はそれを狙っていたはずだ。

<参考>

未来世紀ジパング(2018.9.12)「人類vs使い捨てプラスチック」

http://www.tv-tokyo.co.jp/zipangu/backnumber/20180912/

<関連記事>

インド マハーラーシュトラ州のプラスチック禁止令

インド・マハラシュトラ州のペットボトル回収制度

石塚硝子 ペットボトル需要増で生産を拡大

缶コーヒーもペットボトルが増え、ノンアルコールビールもペットボトルで売出しはじめた。

使い捨てプラスチック削減のかけ声はあるが、ペットボトルは増え続けている。

石塚硝子がペットボトル需要の増加に対応するため、東京工場の生産ラインを1本増やし、全体の生産能力を5%引き上げることを決めた。これにより来年4〜5月頃から、年間3億5000万本もペットボトルの生産量が増えるそうだ。

既に同社は、岩倉工場でも生産ラインの増設を決めているとのこと。

近年ペットボトルのリサイクル工場も増設されているが、どんなにリサイクル施設を増やしても、それ以上にペットボトルが増える。

おそらく日本の場合、ペットボトルはプラスチックごみを減らす戦略会議の俎上にすら乗らないだろう。散乱ごみの見地でいえば、もっとも減らすべき製品であるはずだが・・・

<参考>

日本経済新聞(2018.8.31)「石塚硝子、ペットボトル増産 ボトルコーヒー需要増」↓

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO34840190R30C18A8L91000/

ノルウェーのデポジット制度 高い回収率維持の理由

飲料容器の回収に、デポジット制を採用している国・地域は多い。ノルウェー、スウェーデン、フィンランド、ドイツ、オーストリア、オランダ、イスラエル、アメリカ(10州)、カナダ(イヌイット自治準州を除いたすべての州・準州)、オーストラリア(実施あるいは実施予定のない州は2州のみ)・・・などなど、書き切れないほど多くの地域で、デポジット制度が実施されている。

それらはすべて異なる方法で行われている、といっても過言ではない。対象容器や回収方法、運営方法など、どの地域もそれぞれの考え方や状況に合わせ、少しずつ変化させている。

なかでもカナダのデポジット制度は、州ごとのバリエーションが豊かで、しかもデポジット対象容器の種類が多いので、私は最も気に入っている。しかし、「回収率の高さ」という点で、ノルウェーのデポジット制度を成功事例として取り上げるケースが多い。

確かにノルウェーのデポジット制度は回収率が高く、現在97%を超えている。デポジット制度実施国とはいえ、たまに8割を切るケースもある中、ノルウェーは恒常的に高い。

同国の高回収率の理由の一つに、国の税制が関係しているのではないか、とある記事(下記にURLを掲載)を読んで思った。

ノルウェーのプラスチック製造業者は、環境税を支払うことになっているが、リサイクル量が増えれば増えるほど税率は低くなる。95%を超えると環境税の支払いはゼロになるそうだ。既に7年間にわたり95%を超えたため、環境税を支払っていないという。

このことが、ペットボトルを利用する飲料メーカーの回収意欲を増している可能性がある。

デポジット制度を実施すると、回収率はたいてい急上昇するが、運営方法次第ではその後低迷するケースもある。デポジット額(預り金額)やリファンド額(払戻額)が物価と見合わなくなった場合や、回収ポイントの設置状況が適切でなかった場合には、回収率は当然低下する。

ノルウェーが恒常的に95%以上を維持できているのは、運営主体に高い回収意欲があり、常に回収率向上に気を配っていることが想像される。

ノルウェーの事例は、適切に課税し、正しくデポジット制度を実施することで、プラスチックでも100%近くの回収率が達成できることを証明している。

ひるがえって、日本の容器包装リサイクル法の下では、生産者は躊躇することなく、安易にペットボトルを採用することができる。回収量が多かろうと少なかろうとメーカーはほとんど関係ない。逆に、交通の便の悪い島などでヘタにペットボトル回収量が増えると、メーカーはかえって再商品化費用を余分に支払うハメになる。

これでは日本のメーカーは、売れれば売れるだけペットボトルを使い、回収には真剣に取り組まない。水やお茶、コーラ、果汁飲料、ノンアルコールビール、コーヒー、アルコール飲料・・・最近はお米までペットボトルに入れて売られている。

日本企業がペットボトルを好んで使う反面、デポジット制度を嫌がり、ペットボトルは散らかるままでよいと考える理由の1つは、いつまでも改正されないまま時代遅れとなった容器包装リサイクル法にあるのではないか。

<スウェーデンの環境税の参考>

HUFFPOST(2018.8.22)Norway Has A Radical Approach To Plastic Pollution, And It’s Working;

https://www.huffingtonpost.com/entry/norway-plastic-pollution_us_5b7c07e0e4b05906b41779ee

<関連記事>

デポジット制度:ノルウェーのペットボトルリサイクル制度