プラスチック戦略素案をめぐる攻防、パブコメ募集開始

プラスチック戦略素案が小委員会で承認された。以降、各方面の関係者の感想を見聞きした。中にはある勉強会の場で、「バカか!」と吐き捨てるようにおっしゃった業界団体の方もいた。

公式には10月29日、市民団体(15団体)により「減プラスチック社会提言書」が発表された。11月13日には経団連が「「プラスチック資源循環戦略」策定に関する意見」を発表した。

市民団体の提言書は、黙殺を恐れザッとでも目を通してもらうことを優先(しかもすぐに実現可能であり素案に考慮されることを重要視)したため薄く1枚のみ。経団連のそれは、多少長くても読まれるに違いないことを確信しているから、自信に満ちあふれた11頁にもわたる立派な意見書である。内容も経団連のそれは図表も挿入し、わかりやすい。しかも文の末尾では、宣戦布告することも忘れていない(下記)。

http://www.keidanren.or.jp/policy/2018/098_honbun.pdf

今般、政府が策定する「プラスチック資源循環戦略」は、施策の方向性を示す ものであり、戦略に基づく具体的な制度や施策は今後、審議会等で検討される。 経団連としてもこれらの議論に参画し、持続可能な社会の実現に貢献していく。

経団連は、中西会長が先般表明した「物言う経団連」を取り戻すべく、審議会の場で強硬に素案に反対するつもりのようだ。国際的には「小粒」になったといわれる日本企業だが、国内での経団連の力はまだまだ強力だ。しかし、これまで国が財界を荒波から守りすぎたため、企業の「小粒化」が進んだのではないか、との見方もある。

海外の企業は、プラスチックの大幅削減に邁進している。日本企業も個別には削減に取り組み始めているように見えるが、海外企業に比べ「遅れ」を実感している企業も多い。宣戦布告はそんな「焦り」の裏返しのようにも見える。

環境省の発表した素案の目玉は「使い捨てプラスチックの25%削減」である。ようやく目標とする数値が出て、安堵する思いもあるが、やはり海外の意欲的な目標値に比べ「低すぎる」との感が否めない。

来年日本で開催されるG20で、この数値目標で日本が本当にリーダーシップを取れるのか?笑われるだけでは?と心配になる。しかし、国はおそらくそのあたりはスルーし、プラスチックを熱回収することの意義と効果をアピールすることに専念するのだろう。

<補筆>素案に対するパブコメが開始された。

環境省「プラスチック資源循環戦略(案)に対する意見の募集(パブリックコメント)について」↓

http://www.env.go.jp/press/106186.html

<参考>

●環境省「プラスチック資源循環戦略(素案)」↓

http://www.env.go.jp/water/marirne_litter/conf/c02_14_shiryo03-1.pdf

●市民団体の提言書↓ *デポジット制度にも触れていない簡易なもの。一部誤植も?

環境大臣 原田 義昭 殿

呼びかけ:減プラスチック社会を実現するNGO ネットワーク

国際環境NGO グリーンピース・ジャパン
一般社団法人 JEAN
特定非営利活動法人 パートナーシップオフィス
容器包装の3Rを進める全国ネットワーク
全国川ごみネットワーク
さがみはら環境問題研究会
公益財団法人世界自然保護基金ジャパン(WWF ジャパン)
特定非営活動法人プラスチックフリージャパン
ダイオキシン環境ホルモン対策国民会議
NPO 法人 菜の花プロジェクトネットワーク
「ごみゼロプラン静岡」市民ネットワーク
奈良エコライフ研究会
エコハウスしずおか
特定非営利活動法人プロジェクト保津川
認定NPO法人環境市民
※ 2018 年10 月26 日時点までの賛同団体として

はじめに
貴省において審議中の「プラスチック資源循環戦略」(以下、同戦略)について、以下のとおり提言します。
同戦略においては、①先のG7シャルルボワ・サミットで提示された「海洋プラスチック憲章」の内容を超えた取り組み(目標設定)、②使い捨てプラスチック使用量の大幅な削減、③プラスチック容器包装廃棄物の資源有効利用率に熱回収分を加算しないことを明記等すべきです。とくに③で指摘した事項は、現行の算定手法を改めないまま2019年のG20において同戦略を日本モデルとして世界に表明した場合、日本への不信感を招きかねない重要事項です。

提言1.2030年までに「減プラスチック社会」への構造転換を図ること

私たちは、同戦略はこれまでの「大量生産、大量消費、大量廃棄」の経済構造から、EUが提唱する「循環経済」型の社会構造に転換することを国として国内外に宣言するものである、と考えます。その将来的なあるべき姿として「減プラスチック社会」を提唱します。減プラスチック社会への構造転換は、SDGsの目標達成と連動して図られるものであり、新たな雇用や産業の育成・創設にもつながります。

(1) 使い捨てプラスチック使用量の削減
2025年までに、少なくともこれまで国外に輸出していた量に相当する150万トン(累積プラスチック排出抑制30%)の使い捨てプラスチックを削減する。そして2030年までに使い捨てプラスチック使用削減50%以上を目指す。

(2) レジ袋の削減
レジ袋の有料義務化後、使用量削減の一つの指標として「レジ袋辞退率」の採用。2020年を目処にレジ袋の有料義務化が図られたのち、2025年までにレジ袋辞退率を90%以上とする目標を設定する。レジ袋の辞退率を向上させる一連の取り組みを通じて、減プラスチック社会の姿を国民各層において共有し、プラスチック資源循環戦略の各目標の達成を図る。

提言2.法的規制(製造、販売、使用に係る措置)等を課すべき事項

(1)日本の川辺や海岸に多いプラスチック廃棄物(タバコのフィルター、食品容器包装、ペットボトル、レジ袋、プラスチックの使い捨て食器)と漁具及び農業系プラスチック廃棄物について消費削減、市場規制、製品デザイン要求等について規制すること

(2) 2020年までに、マイクロビーズの製造、含有製品の販売及び使用を禁止すること

(3) サーキュラーエコノミーに準じた循環型社会形成推進基本法の見直しをはじめとする、減プラスチック社会への構造転換を図るための法整備を行うこと

提言3.プラスチック容器包装廃棄物の熱回収について改善・推進すべき事項

プラスチック容器包装廃棄物の「資源有効利用率」は84%とされているが、これには熱回収57%が包含されています。パリ協定では今世紀後半の実質的な排出ゼロ、つまり化石燃料からの脱却を目指しており、我が国もこれを受けて、2050年までの温室効果ガス排出量80%削減を目指しています。この文脈によりG7海洋プラスチック憲章でも熱回収がCO2排出に繋がるためリサイクルとしては加算されていません。

(1)適切な指標による国民理解の向上のためにも、プラスチック資源循環戦略(素案)に記載ある「有効利用される割合は、我が国では一定の水準に達している」との認識を改め、資源有効利用率には熱回収分を含めないこと

(2)減プラスチック社会及び脱炭素社会の構築に向けた財源としての炭素税等を確保すること

●毎日新聞「NGO プラごみ「熱回収」に懸念 環境省に提言」↓

https://mainichi.jp/articles/20181030/k00/00m/040/120000c

 

 

 

 

豪 クイーンズランド州でデポジット制度スタート

オーストラリアのクイーンズランド州が、11月1日からデポジット制度をスタートさせた。

最初の週末に約150万個の缶やペットボトル、ビール瓶などが回収・リサイクルされたとのこと。

多くの人は容器を現金と交換することを希望し、銀行口座への入金を求める人も多かったとのこと。小売店のバウチャーとの交換を望む人は少なかったようだ。

オーストラリアでまだデポジット制度を導入していない州はあと3州のみである。

<関連記事>

豪クイーンズランド州 11月1日からデポジット制度開始

<出所>

brisbane times(2018.11.4)1.5 million containers collected in first weekend of Queensland recycling scheme;

https://www.brisbanetimes.com.au/national/queensland/1-5-million-containers-collected-in-first-weekend-of-queensland-recycling-scheme-20181104-p50dyc.html

委員が提案したデポジット制度、都は無視?

東京都廃棄物審議会のプラスチック部会第1回の速記録が公開された。

http://www.kankyo.metro.tokyo.jp/basic/conference/resource/tokyo/index.files/30.09.20-gijiroku.pdf

読むと佐藤さん(弁護士)という委員がデポジット制度について述べている。(p.26抜粋)

大きな議論として、デポジット制をどうするかという問題があります。私は ことしの春にスウェーデンに行きましたが、デポジットが行われています。しかし、デポ ジットの回収場所が余りないんです。地元の人に聞くと、以前よりデポジットの回収場所 が減っているとのことです。
それで、デポジットをどのようにやっているのですかというと、ホームレス的な人に空 容器を寄付して、その人たちが集めて、デポジットの回収場所に持っていくような形もあ るとのことでした。散乱ごみ対策にもなるようです。
それが日本に合うかという問題は別ですけれども、色々な形がありうるという例だと思 いました。いずれにしろ、空容器はポイ捨てされやすいです。散乱ごみの対策としては一 つの選択ではないかと思いました。

非常に適切な意見だ。デポジット制度にはいろいろな形がある。それを知らずに、やみくもに反対する人を見かけるが、それは大きな間違いだ。

デポジット制度とは、「預り金上乗せ方式」などと呼ばれる制度で、散乱ごみの減少に絶大な効果をもつ経済政策だ。散乱ごみが減るのは回収率が上がるためであるが、消費抑制にも期待できる。消費抑制効果は散乱ごみ抑制効果ほどは知られていないが、上乗せしたデポジット額相応の抑制効果があると経済学ではいわれている。

飲料業界団体がデポジット制度に猛反対するのは、この消費抑制効果(販売量減少効果)のためである。

例えば、100円のペットボトルに30円のデポジット(上乗せされる保証金)がついて130円で売られれば、買う人が多少減る、ということだ。ペットボトルを戻せば30円戻ってくることが頭ではわかっていても、その時点では130円支払わなければならないため、購買意欲が多少削がれるのは当然だろう。

デポジット制度の散乱防止効果については、ペットボトルを戻せば30円戻ってくるならば、多くの人がペットボトルを戻すようになる、ということである。もしポイ捨てされた場合でも、拾えば30円戻ってくることがわかっていれば、ホームレス以外でも拾う人がいるはず(多分私も拾う)。そのため、経済政策の中で、最も散乱ごみ効果が高いのはデポジット制度だと言われている。

廃棄物分野では、ポイ捨てなどのため見えないフローへ行くごみを、また正規のルートに戻す仕組みが必ず必要なのだ。

デポジット制度は、1960年代後半から北米で大きな議論を呼び、1970年に入ると、カナダやアメリカで制度を導入する州が相次いだ。日本でデポジット制度が盛んに議論されるようになったのは、1971年に空き缶を対象にデポジット制度が導入された米・オレゴン州の影響が大きい。

飲料業界の猛反対に負けて導入できなかった州も多かったが、反対を抑え導入した州は、それぞれ手探りでデポジット制度をおこなった。

最初はリユースびんもまだ多かったため、飲料容器は小売店で回収され、小売店でメーカー毎に振り分けられ各メーカーに返却された。しかしカリフォルニア州で、「リデンプション方式」などと呼ばれるデポジット制度が導入された頃から様子が変わった。現在、北米で返却場所が小売店のみという州は見当たらない。使い捨て容器を小売店に戻す必然性がなくなったためである。中には、小売店回収を禁じている州すらある。多くの小売店でチマチマと回収していると、それを中間処理施設まで運ぶのにコストがかかりすぎる、など小売店回収にはいくつかのデメリットが存在するためだ。

現在北米では、容器を専門に回収する施設(アメリカではリデンプションセンターなどと呼ばれる場合が多い。カナダでは環境ディポあるいは単にディポなどと呼ばれる)がどこの州にもある。使い捨て容器は、その施設から直接中間処理施設(ウェアハウスなどと呼ばれる圧縮・保管する施設)へ行き、そのあとリサイクル工場に売却される。

小売店で回収されている場合も同様だ。使い捨て容器をメーカーごとに分別しメーカーへ戻すなどという非効率なことはもうとっくに行われていない(にも関わらず、いまだにデポジット制度反対論者は「日本の小売店は狭いからメーカー毎に分ける場所がない」とか「小売店負担が大きすぎる」などという)。

第2回目の同会議の議事録はまだ公開されていないが、傍聴に行った人の話によると、別の委員がハーフバック・デポジット制度について提案してくれたらしい。

ハーフバック・デポジット制度(上乗せしたデポジットを全額返金せず、半額返金)もデポジット制度の優れた1方式で、現在島嶼国の間で最も注目されているデポジット制度である。

このハーフバック制の利点は、返金しないデポジットを他の用途、例えば海ごみ対策などに利用できることだ。

たとえば30円のデポジットならば15円返金し15円残る。また、ハーフバック制は必ずしも半額とは限らないから、20円返金し10円残してその分を海ごみ対策に使うことも可能である。

現在ハーフバック制を導入している地域では、返金しないデポジットをごみ減量に利用したり、あるいは気候変動など環境対策全般に利用するなどしている。

しかし、東京都の第3回目の式次第を見ると、このデポジット制度について審議する様子はない。

もし、都が独自(*)で飲料容器を対象にハーフバック・デポジット制度を導入するならば、返金しないデポジットを海ごみ対策金として活用できるのに・・・残念だ。

*限定された地域内でのデポジット制度導入は難しいため、日本全土での制度導入が望ましい。しかし、東京都程度広ければ可能だと考えられる。

「東京都廃棄物審議会プラスチック部会(第3回)会議次第」↓

http://www.kankyo.metro.tokyo.jp/basic/conference/resource/tokyo/index.files/30.11.06-siryou.pdf

鎌倉市も「かまくらプラごみゼロ宣言」

今年9月の「かながわプラごみゼロ宣言」に次いで10月に「かまくらプラごみゼロ宣言」が発表された。

内容は、神奈川県の宣言よりも多少具体性がある。

1 これまでの取り組みの強化

(1) 市民や事業者等に対する取り組み
1 ライフスタイルの見直しに向けた啓発
マイバック、マイボトル、マイ箸を使用し使い捨て製品の使用を控えるなどの啓発 を引き続き実施し更に徹底します。
・自治・町内会説明(平成 29 年度 56 回)、鎌倉ごみ減量通信等においてマイバッ ク、マイボトル等の啓発
2 生産、流通、販売工程における使い捨て物品の削減
工場における容器包装の減容化、販売工程におけるレジ袋の削減等の啓発を引き続き実施し更に徹底します。
・分別徹底等事業者訪問の際にレジ袋等の削減について要請(平成 29 年度 個別訪問 561 社)
3 3Rに貢献している事業者等の地域での取り組みPR
・ごみの減量資源化に取り組む(マイバックの推進やレジ袋有料化など)の市内事業者を「エコショップ」として認定し公表しています。
4 リユース(再使用)の推進
・お祭りやイベント時のリユース食器の補助制度を更に推進します。
5 滞在者に対する協力の呼びかけ
・観光旅行者等に対するマイバックの使用やごみの持ち帰りなどチラシ等による情 報発信を行ってまいります。
(2) 鎌倉市役所の取り組み
1 職員のマイバック、マイボトルの使用を徹底します。
2 ペットボトル飲料の会議等での使用制限を徹底します。

2 今後の取り組み
新たな取り組みとしてプラスチック製ストローの利用廃止や市役所の自販機でのペッ トボトル飲料の販売を極力廃止するなど、神奈川県と歩調を合わせながら新たな取り組 みを検討し実施してまいります。

できればもう一歩踏み込んで、市役所内の自販機でのペットボトル販売廃止のみならず、屋外も含めた公共スペース内でペットボトルを販売しない、あるいはアディダスのように、オフィス内での職員のペットボトル使用禁止、などまで踏み込んでほしいところだが、今のところこれが精一杯なのだろう。

今後に期待したい。

また、他市町村にも早く宣言してほしい。

<関連記事>

鎌倉市の先進的な取組

<出所>

鎌倉市(2018.10.1)「かまくらプラごみゼロ宣言」↓

https://www.city.kamakura.kanagawa.jp/kisya/data/2018/documents/plasticwaste.pdf

日本も来年からようやく省庁での使い捨てプラを禁止か

環境省が、国の省庁の庁舎内で営業する食堂でストローなどの使い捨てプラスチック製食器類を使用禁止とするよう、すべての省庁に求める方針を固めたとのこと。

これまで配り放題だった庁舎内のコンビニのレジ袋も削減する方針。

来年度以降、業者との契約内容に次の案を盛り込むようだ。

▽庁舎内で営業する食堂では再利用可能な食器に限る

▽会議の運営を外部委託する場合も使い捨てプラ製カップやペットボトル入り飲料などは使用禁止

▽コーヒーなどの飲料を販売する店舗などでは再利用可能な容器に対応できるかどうかを契約の判断基準に加える

▽店舗で配布するレジ袋は植物由来のプラスチックに限る

庁舎の会議でのペットボトル飲料の使用禁止などは、イギリスなどは2008年からやっている。ちょうど10年遅れたが、ようやく日本でも禁止になると思うとホッとする。

ついでに庁舎に出入りする弁当屋の使い捨て弁当容器もなんとかすべきだと思うが、どうだろう?昼食後の環境省の廊下に多数の使い捨てプラスチック弁当殻が積まれているのを見たことがある。リユース弁当容器を扱う弁当業者のみ、出入りを許可するのがよいのではないか。大学でさえ、弁当容器をデポジット制度で回収するところがあるのだから、環境省も真似てはいかがだろう?

さらにいえば、環境省が入っている合同庁舎内のコンビニで、ペットボトル飲料や使い捨てカップ入りコーヒーの代わりにリユースびん入り飲料を販売するようにしたならば、他省庁や地方自治体も見倣うかもしれない。ぜひ範を示して欲しい。

<参考>

毎日新聞(2018.10.31)「環境省 全省庁で「使い捨てプラ食器」禁止へ」↓

https://mainichi.jp/articles/20181031/k00/00m/040/146000c

日本でも「脱プラ」進む 那須どうぶつ王国も使い捨てプラ食器廃止

海外からのプラスチック削減報道は毎日のように届くが日本の動きは遅い・・と思っていた。しかし、日本の各企業も確実にプラスチック削減に向かって進んでいるようだ。

昨日の日経新聞によると、那須どうぶつ王国は10月23日から、園内の飲食店5カ所で使用していたプラスチック製のストローやカップ、食器を紙製カップや木製・金属製の食器に切り替えた。

また、アクアワールド茨城県大洗水族館も、来年4月までにプラスチック製ストローを廃止。プラスチック製ナイフやフォークも見直しを検討するとのこと。

東日本を中心に多数の店舗を展開するスーパーマーケット・ベイシアは惣菜用容器を「紙と透明なフィルムでできた袋」*に切り替えた。

全国にカラオケ「まねきねこ」や温浴施設などを展開しているコシダカは、約530ある全店でストローを廃止、希望者にのみ提供する。

日本でもようやく、使い捨てプラスチックを提供することは「サービス」ではなく「CSRリスク」に繋がりかねないことが、認識され始めたようだ。

*ベイシアのウェブサイトを調べたところ、「紙と透明なフィルムでできた袋」とは袋型のハーフクリアパックのようだ。確かによくスーパーの惣菜コーナーで見かけるプラスチック容器よりもこの袋型の方がエコかもしれない。https://www.beisia.co.jp/企業情報/環境への取り組み

<出所>

日本経済新聞(2018.1.1)「「脱プラ」北関東でも コシダカ・那須どうぶつ王国」

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO37253130R01C18A1L60000/

日本を含む8カ国の人の便からマイクロプラスチック検出

ウィーン医科大学などのチームが発表したところによると、日本を含む8カ国の人の便を調べたところ、全員の便から0.05~0.5ミリのマイクロプラスチックが見つかったとのこと。

便10グラム当たり平均20個が検出された。1人当たり最大で9種類のプラスチックだそうだ。

8カ国とは、日本、オーストラリア、フィンランド、イタリア、オランダ、ポーランド、ロシア、英国。これらの国に住む33歳から65歳の人の便を調べた。

食品包装などに使われるポリプロピレンや、ペットボトルの素材のペット樹脂などが多かったとのこと。

「食品の包装などに使われるポリプロピレンや、ペットボトルの素材のペット樹脂などが多かった。検出との因果関係は不明だが、食事の記録から8人全員がプラスチックで包装された食品や、プラスチック容器に入った飲み物を摂取していた。6人は魚を食べていた。米メディアは「ハウスダストや容器など、何に由来するのか調べる必要がある」との英ヨーク大の専門家の話を紹介した。

動物での研究によると、マイクロプラスチックの中でもごく小さいものは、消化器で吸収されて血管やリンパ管に入り込む可能性があるという。」

食品容器やペットボトルなどの飲料容器、魚介類などが主な由来(原因)として疑われているのだろう。

早急にもっと大規模な調査をして、どこの国のどのような生活をしている人からどのような種類のプラスチックが多く検出されるのか、そしてその影響について、調べて欲しい。

<出所>

日本経済新聞(2018.10.24)「人の体内に微小プラ粒子 日本含む8カ国、便で検出」↓

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO3684888024102018CR0000/

 

マレーシア2030年までに使い捨てプラゼロ、日本は25%削減?!

日本は、レジ袋やペットボトル、食品容器包装など使い捨てプラスチックを削減するためのプラ循環戦略の目標値を、「2030年までに現状からの25%削減」ということに決めたようだ。

レジ袋は、早ければ2020年に原則として有料化を目指すとのこと。国連環境計画や欧州、カナダなどに押された形で、「外圧」によりようやく・・といった感じだが、まだ目標値が低すぎるのではないか?

先頃、目標値を発表したマレーシアは、使い捨てプラスチックを2030年までにゼロを目指すとして、そのロードマップ(行程)を発表した。

レジ袋は原則禁止で、使用する分には課税する方針。

2019年1月1日からマレーシアの都市クアラルンプール、プトラジャヤ、ラブアンでは、使い捨てプラスチック製ストローの使用が全面禁止され、違反企業は2020年から貿易・食品取扱事業免許が更新されないそうだ。

マレーシアの目標は日本よりも、本気度が伝わる内容となっている。

JTBサイトによると、セランゴールド州でも2019年1月からレジ袋提供の規制が強化され、ポリスチレン容器も小売店などでの使用が禁止されるとのこと。

<参考>

朝日新聞(2018.10.17)「使い捨てプラ30年までに25%減 レジ袋原則有料検討」↓

https://www.asahi.com/articles/ASLBJ5DCDLBJULBJ00W.html

東京新聞(2018.10.13)「使い捨てプラごみ25%削減目標 環境省の戦略素案」↓

http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2018101301001633.html

Sustainable Japan(2018.9.29)「【マレーシア】政府、2030年までの使い捨てプラスチック製品禁止方針発表。2019年から大都市でストロー使用禁止」↓

https://sustainablejapan.jp/2018/09/29/malaysia-plastic-ban/34673

MALAYSIA’S ROADMAP TOWARDS ZERO SINGLE-USE PLASTICS 2018-2030

https://www.mestecc.gov.my/web/download/1905/2018/39652/malaysia-roadmap-towards-zero-single-use-plastics-2018-2030.pdf

JTB  LAPITA 「【マレーシア】レジ袋など提供禁止に、セランゴール州で来年1月から」↓

http://www.lapita.jp/2016/08/post-2174.html

 

レジ袋有料化にまさかの「ポイント付与」加わる!?

海洋プラスチック汚染はいまや待ったなしの状態で、使い捨てプラスチックは早急に減らす必要がある。

中でもレジ袋は、生物への悪影響や代替品の存在、使用時間の短さなどから「なくてよいもの」の筆頭だ。そのため海外では、既にレジ袋を60カ国以上の国で規制し、フランスやケニアなど既に禁止している国も多い。

しかし日本では、レジ袋禁止は難しいだろうと思っていた。イギリスや中国と同様に「有料化」で進むだろうと。

しかし、一昨日発表された環境省の提案はなんとポイント付与でもOKにするようだ。

環境省が、レジ袋の有料化や辞退する客へのポイント付与といった「プライシング(価格付け)」を、スーパーやコンビニなどの小売店舗に義務付ける方針を固めたことが12日、分かった。容器包装リサイクル法などの関連法改正も視野に、19日に公表する「プラスチック資源循環戦略」の素案に盛り込む。

この期に及んでまだ「ポイント付与」とは・・・開いた口が塞がらない。

最低でも「有料化」だろうと思っていた。「ポイント付与」と有料化とでは効果に雲泥の差がある。

一体誰がジャマをしているのか。少し前までの報道には、環境省は小売店でレジ袋を有料化する方針としか書かれていなかった。しかし、にわかに「ポイント付与」が加わった。

セブン・イレブンが有料化を検討しているという『オルタナ』の報道により、これで有料化はスムーズにいくだろう、と思っていたが、その後の報道でセブン・イレブンがその件で口を閉ざしている様子が感じられた。そのため、セブン・イレブンは環境省から自らに有利な条件(例えば、5円はイヤだ イトーヨーカドーと同様2円にしたい、だからレジ袋辞退率の目標を設定せず単に「有料化」であればよいとせよ、など)を引き出すための交渉で迷っているフリをしているだけだろうと思っていた。

しかし、まさか「ポイント付与」などというほとんどレジ袋が減らないことまで条件に加えるとは思っていなかった。

セブン・イレブン以外の大手コンビニで、有料化を嫌がるところがあるとは思えないが・・・まさかローソンが嫌がっているのだろうか?

しかし、ローソンは既に新潟県佐渡市内の8店舗で有料化を実施している。有料化によるレジ袋辞退率の効き目を十分知っているはずだ。セブン・イレブンが「有料化」のリーダーシップを取ろうとしていることに、ケチを付けるためだけに、これほど重大なことを言い出すとは考えにくい。

一体、誰が「ポイント付与」などということを言い出したのかわからないが、それを真に受ける環境省は本当に情けない組織だ。この「ポイント付与」が、どれほどレジ袋削減に効果がなく、その上有料化協力店の足を引っ張る愚策だということを、環境省は知っているはず。環境省の背後で、経産省や経団連がにらみをきかせているのだろうか?

それとも、消費税10%を予定通り強行したい自民党が、レジ袋有料化を和らげるため「ポイント付与」などという馬鹿げた提案をプラスチック戦略会議の「素案」に加えるよう、原田環境相を説き伏せたのだろうか?

いずれにせよ、レジ袋の海洋への悪影響はストローの比ではない。タイで瀕死の状態で見つかったクジラのお腹から、80枚ものプラ袋が出てきたこともまだ記憶に新しい。

このような低レベルの「戦略」がG20で発表されれば、世界からヒンシュクを買うことは間違いない。

(補筆2018.10.16)日経新聞(2018.10.16)によると、環境省は、コンビニにもレジ袋有料化を義務付け、レジ袋1枚当たり数円の支払いを想定しているとのこと。一体どちらが本当だろうか?コンビニやスーパーでは有料化し、もっと小さい個人商店はポイント付与ということだろうか?

日経新聞(2018.10.16)「コンビニでもレジ袋有料化 環境省、数円を想定」↓

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO36493620V11C18A0MM8000/?n_cid=NMAIL007

(補筆2019.12.26)

12月25日開催のレジ袋有料化検討小委員会で、環境省からレジ袋価格は1円以上にするという説明があった。

https://www.env.go.jp/recycle/council/03recycle/yoshi03-13.html

<引用文の出所>

JIJI.OM(2018.10.12)「有料化、ポイント付与を義務に=レジ袋削減へ取り組み強化-環境省」↓

https://www.jiji.com/jc/article?k=2018101201218&g=eco

ハザードラボ(2018.6.5)「悲報!漂着したクジラの腹からビニール袋80枚8kg分!タイ」↓

https://www.hazardlab.jp/know/topics/detail/2/5/25074.html

農水省 プラごみ削減有識者懇談会を開催

最近プラスチック問題の動きがめまぐるしく、フォローしきれていないが、今度は農水省がプラスチックごみ削減のための有識者懇談会を開催するとのこと。

有識者には大学院教授のほか、環境省や経産省の代表も参加。29日に初会合だそうだ。

懇談の内容は、食品容器包装のほか、レジ袋や飲料カップ・フタなど食品産業の関わるプラスチック全般が対象。

初会合は10月29日。来年3月までに3回開催し、食品産業の今後取り組むべき方向性をまとめるとのこと。

環境省の3回のプラごみ戦略会議もあと残り1回を開催した後、パブコメに入るようだ。市民団体を含め、各方面の動きが慌ただしい。

<出所>

時時通信(2018.10.11)「プラごみ削減へ有識者懇談会=食品の容器包装-農水省」↓

https://www.jiji.com/jc/article?k=2018101101149&g=eco

毎日新聞(2018.10.11)「農水省 プラごみ削減へ有識者会議 対策とりまとめ」↓

https://mainichi.jp/articles/20181012/k00/00m/020/110000c?fm=mnm