委員が提案したデポジット制度、都は無視?

東京都廃棄物審議会のプラスチック部会第1回の速記録が公開された。

http://www.kankyo.metro.tokyo.jp/basic/conference/resource/tokyo/index.files/30.09.20-gijiroku.pdf

読むと佐藤さん(弁護士)という委員がデポジット制度について述べている。(p.26抜粋)

大きな議論として、デポジット制をどうするかという問題があります。私は ことしの春にスウェーデンに行きましたが、デポジットが行われています。しかし、デポ ジットの回収場所が余りないんです。地元の人に聞くと、以前よりデポジットの回収場所 が減っているとのことです。
それで、デポジットをどのようにやっているのですかというと、ホームレス的な人に空 容器を寄付して、その人たちが集めて、デポジットの回収場所に持っていくような形もあ るとのことでした。散乱ごみ対策にもなるようです。
それが日本に合うかという問題は別ですけれども、色々な形がありうるという例だと思 いました。いずれにしろ、空容器はポイ捨てされやすいです。散乱ごみの対策としては一 つの選択ではないかと思いました。

非常に適切な意見だ。デポジット制度にはいろいろな形がある。それを知らずに、やみくもに反対する人を見かけるが、それは大きな間違いだ。

デポジット制度とは、「預り金上乗せ方式」などと呼ばれる制度で、散乱ごみの減少に絶大な効果をもつ経済政策だ。散乱ごみが減るのは回収率が上がるためであるが、消費抑制にも期待できる。消費抑制効果は散乱ごみ抑制効果ほどは知られていないが、上乗せしたデポジット額相応の抑制効果があると経済学ではいわれている。

飲料業界団体がデポジット制度に猛反対するのは、この消費抑制効果(販売量減少効果)のためである。

例えば、100円のペットボトルに30円のデポジット(上乗せされる保証金)がついて130円で売られれば、買う人が多少減る、ということだ。ペットボトルを戻せば30円戻ってくることが頭ではわかっていても、その時点では130円支払わなければならないため、購買意欲が多少削がれるのは当然だろう。

デポジット制度の散乱防止効果については、ペットボトルを戻せば30円戻ってくるならば、多くの人がペットボトルを戻すようになる、ということである。もしポイ捨てされた場合でも、拾えば30円戻ってくることがわかっていれば、ホームレス以外でも拾う人がいるはず(多分私も拾う)。そのため、経済政策の中で、最も散乱ごみ効果が高いのはデポジット制度だと言われている。

廃棄物分野では、ポイ捨てなどのため見えないフローへ行くごみを、また正規のルートに戻す仕組みが必ず必要なのだ。

デポジット制度は、1960年代後半から北米で大きな議論を呼び、1970年に入ると、カナダやアメリカで制度を導入する州が相次いだ。日本でデポジット制度が盛んに議論されるようになったのは、1971年に空き缶を対象にデポジット制度が導入された米・オレゴン州の影響が大きい。

飲料業界の猛反対に負けて導入できなかった州も多かったが、反対を抑え導入した州は、それぞれ手探りでデポジット制度をおこなった。

最初はリユースびんもまだ多かったため、飲料容器は小売店で回収され、小売店でメーカー毎に振り分けられ各メーカーに返却された。しかしカリフォルニア州で、「リデンプション方式」などと呼ばれるデポジット制度が導入された頃から様子が変わった。現在、北米で返却場所が小売店のみという州は見当たらない。使い捨て容器を小売店に戻す必然性がなくなったためである。中には、小売店回収を禁じている州すらある。多くの小売店でチマチマと回収していると、それを中間処理施設まで運ぶのにコストがかかりすぎる、など小売店回収にはいくつかのデメリットが存在するためだ。

現在北米では、容器を専門に回収する施設(アメリカではリデンプションセンターなどと呼ばれる場合が多い。カナダでは環境ディポあるいは単にディポなどと呼ばれる)がどこの州にもある。使い捨て容器は、その施設から直接中間処理施設(ウェアハウスなどと呼ばれる圧縮・保管する施設)へ行き、そのあとリサイクル工場に売却される。

小売店で回収されている場合も同様だ。使い捨て容器をメーカーごとに分別しメーカーへ戻すなどという非効率なことはもうとっくに行われていない(にも関わらず、いまだにデポジット制度反対論者は「日本の小売店は狭いからメーカー毎に分ける場所がない」とか「小売店負担が大きすぎる」などという)。

第2回目の同会議の議事録はまだ公開されていないが、傍聴に行った人の話によると、別の委員がハーフバック・デポジット制度について提案してくれたらしい。

ハーフバック・デポジット制度(上乗せしたデポジットを全額返金せず、半額返金)もデポジット制度の優れた1方式で、現在島嶼国の間で最も注目されているデポジット制度である。

このハーフバック制の利点は、返金しないデポジットを他の用途、例えば海ごみ対策などに利用できることだ。

たとえば30円のデポジットならば15円返金し15円残る。また、ハーフバック制は必ずしも半額とは限らないから、20円返金し10円残してその分を海ごみ対策に使うことも可能である。

現在ハーフバック制を導入している地域では、返金しないデポジットをごみ減量に利用したり、あるいは気候変動など環境対策全般に利用するなどしている。

しかし、東京都の第3回目の式次第を見ると、このデポジット制度について審議する様子はない。

もし、都が独自(*)で飲料容器を対象にハーフバック・デポジット制度を導入するならば、返金しないデポジットを海ごみ対策金として活用できるのに・・・残念だ。

*限定された地域内でのデポジット制度導入は難しいため、日本全土での制度導入が望ましい。しかし、東京都程度広ければ可能だと考えられる。

「東京都廃棄物審議会プラスチック部会(第3回)会議次第」↓

http://www.kankyo.metro.tokyo.jp/basic/conference/resource/tokyo/index.files/30.11.06-siryou.pdf

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