プラスチック戦略素案をめぐる攻防、パブコメ募集開始

プラスチック戦略素案が小委員会で承認された。以降、各方面の関係者の感想を見聞きした。中にはある勉強会の場で、「バカか!」と吐き捨てるようにおっしゃった業界団体の方もいた。

公式には10月29日、市民団体(15団体)により「減プラスチック社会提言書」が発表された。11月13日には経団連が「「プラスチック資源循環戦略」策定に関する意見」を発表した。

市民団体の提言書は、黙殺を恐れザッとでも目を通してもらうことを優先(しかもすぐに実現可能であり素案に考慮されることを重要視)したため薄く1枚のみ。経団連のそれは、多少長くても読まれるに違いないことを確信しているから、自信に満ちあふれた11頁にもわたる立派な意見書である。内容も経団連のそれは図表も挿入し、わかりやすい。しかも文の末尾では、宣戦布告することも忘れていない(下記)。

http://www.keidanren.or.jp/policy/2018/098_honbun.pdf

今般、政府が策定する「プラスチック資源循環戦略」は、施策の方向性を示す ものであり、戦略に基づく具体的な制度や施策は今後、審議会等で検討される。 経団連としてもこれらの議論に参画し、持続可能な社会の実現に貢献していく。

経団連は、中西会長が先般表明した「物言う経団連」を取り戻すべく、審議会の場で強硬に素案に反対するつもりのようだ。国際的には「小粒」になったといわれる日本企業だが、国内での経団連の力はまだまだ強力だ。しかし、これまで国が財界を荒波から守りすぎたため、企業の「小粒化」が進んだのではないか、との見方もある。

海外の企業は、プラスチックの大幅削減に邁進している。日本企業も個別には削減に取り組み始めているように見えるが、海外企業に比べ「遅れ」を実感している企業も多い。宣戦布告はそんな「焦り」の裏返しのようにも見える。

環境省の発表した素案の目玉は「使い捨てプラスチックの25%削減」である。ようやく目標とする数値が出て、安堵する思いもあるが、やはり海外の意欲的な目標値に比べ「低すぎる」との感が否めない。

来年日本で開催されるG20で、この数値目標で日本が本当にリーダーシップを取れるのか?笑われるだけでは?と心配になる。しかし、国はおそらくそのあたりはスルーし、プラスチックを熱回収することの意義と効果をアピールすることに専念するのだろう。

<補筆>素案に対するパブコメが開始された。

環境省「プラスチック資源循環戦略(案)に対する意見の募集(パブリックコメント)について」↓

http://www.env.go.jp/press/106186.html

<参考>

●環境省「プラスチック資源循環戦略(素案)」↓

http://www.env.go.jp/water/marirne_litter/conf/c02_14_shiryo03-1.pdf

●市民団体の提言書↓ *デポジット制度にも触れていない簡易なもの。一部誤植も?

環境大臣 原田 義昭 殿

呼びかけ:減プラスチック社会を実現するNGO ネットワーク

国際環境NGO グリーンピース・ジャパン
一般社団法人 JEAN
特定非営利活動法人 パートナーシップオフィス
容器包装の3Rを進める全国ネットワーク
全国川ごみネットワーク
さがみはら環境問題研究会
公益財団法人世界自然保護基金ジャパン(WWF ジャパン)
特定非営活動法人プラスチックフリージャパン
ダイオキシン環境ホルモン対策国民会議
NPO 法人 菜の花プロジェクトネットワーク
「ごみゼロプラン静岡」市民ネットワーク
奈良エコライフ研究会
エコハウスしずおか
特定非営利活動法人プロジェクト保津川
認定NPO法人環境市民
※ 2018 年10 月26 日時点までの賛同団体として

はじめに
貴省において審議中の「プラスチック資源循環戦略」(以下、同戦略)について、以下のとおり提言します。
同戦略においては、①先のG7シャルルボワ・サミットで提示された「海洋プラスチック憲章」の内容を超えた取り組み(目標設定)、②使い捨てプラスチック使用量の大幅な削減、③プラスチック容器包装廃棄物の資源有効利用率に熱回収分を加算しないことを明記等すべきです。とくに③で指摘した事項は、現行の算定手法を改めないまま2019年のG20において同戦略を日本モデルとして世界に表明した場合、日本への不信感を招きかねない重要事項です。

提言1.2030年までに「減プラスチック社会」への構造転換を図ること

私たちは、同戦略はこれまでの「大量生産、大量消費、大量廃棄」の経済構造から、EUが提唱する「循環経済」型の社会構造に転換することを国として国内外に宣言するものである、と考えます。その将来的なあるべき姿として「減プラスチック社会」を提唱します。減プラスチック社会への構造転換は、SDGsの目標達成と連動して図られるものであり、新たな雇用や産業の育成・創設にもつながります。

(1) 使い捨てプラスチック使用量の削減
2025年までに、少なくともこれまで国外に輸出していた量に相当する150万トン(累積プラスチック排出抑制30%)の使い捨てプラスチックを削減する。そして2030年までに使い捨てプラスチック使用削減50%以上を目指す。

(2) レジ袋の削減
レジ袋の有料義務化後、使用量削減の一つの指標として「レジ袋辞退率」の採用。2020年を目処にレジ袋の有料義務化が図られたのち、2025年までにレジ袋辞退率を90%以上とする目標を設定する。レジ袋の辞退率を向上させる一連の取り組みを通じて、減プラスチック社会の姿を国民各層において共有し、プラスチック資源循環戦略の各目標の達成を図る。

提言2.法的規制(製造、販売、使用に係る措置)等を課すべき事項

(1)日本の川辺や海岸に多いプラスチック廃棄物(タバコのフィルター、食品容器包装、ペットボトル、レジ袋、プラスチックの使い捨て食器)と漁具及び農業系プラスチック廃棄物について消費削減、市場規制、製品デザイン要求等について規制すること

(2) 2020年までに、マイクロビーズの製造、含有製品の販売及び使用を禁止すること

(3) サーキュラーエコノミーに準じた循環型社会形成推進基本法の見直しをはじめとする、減プラスチック社会への構造転換を図るための法整備を行うこと

提言3.プラスチック容器包装廃棄物の熱回収について改善・推進すべき事項

プラスチック容器包装廃棄物の「資源有効利用率」は84%とされているが、これには熱回収57%が包含されています。パリ協定では今世紀後半の実質的な排出ゼロ、つまり化石燃料からの脱却を目指しており、我が国もこれを受けて、2050年までの温室効果ガス排出量80%削減を目指しています。この文脈によりG7海洋プラスチック憲章でも熱回収がCO2排出に繋がるためリサイクルとしては加算されていません。

(1)適切な指標による国民理解の向上のためにも、プラスチック資源循環戦略(素案)に記載ある「有効利用される割合は、我が国では一定の水準に達している」との認識を改め、資源有効利用率には熱回収分を含めないこと

(2)減プラスチック社会及び脱炭素社会の構築に向けた財源としての炭素税等を確保すること

●毎日新聞「NGO プラごみ「熱回収」に懸念 環境省に提言」↓

https://mainichi.jp/articles/20181030/k00/00m/040/120000c

 

 

 

 

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