アサヒと墨田区がペットボトルで協定?!飲料メーカーは自治体に頼らず、全額自腹で回収すべき。「自治体よ大志を抱け」

飲料メーカーが全国各地の自治体のペットボトルを買いあさっている。6月9日、アサヒ飲料と墨田区、ペットリファインテクノロジーの3者が協定を結んだ(日本経済新聞)。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC095JF0Z00C23A6000000/#:~:text=アサヒ飲料などを傘下,資源として再利用する%E3%80%82

2024年4月から墨田区が回収する年間1200トンのペットボトルを引き取り、再びペットボトルの資源として再利用するそうだ。

1年契約で、1年ごとに更新される。

ペットリファインテクノロジーは川崎でケミカルリサイクルでペットボトルの再生樹脂を作っている会社だ。親会社は日本環境設計(以前の社名)。確か今の社名はJEPLANか(前の名前の方が覚えやすかった)。

メーカーが引き取るということは自治体にとって、容器包装リサイクル協会のようにうるさいことを言われずに済む。容リ協会はラベルを剥がせだの何だのと、うるさい限りだ。しかも入札でないから、決まった金額で買い取ってもらえるという利点もある。

メーカーにとってはもっと大きな利点がある。きれいなペットボトルが安定的に入手できるのだ。

しかし、何か変だ。本来ペットボトルのようなものは、世界では「拡大生産者責任」が当たり前だ。回収からメーカーが自力でするか、自治体に依頼するならば、回収費用を全額自治体に払うべきものだ。

墨田区の場合、回収費用はほぼ税金負担で、容リ協会よりも少し高めの金額で、集めたペットボトルを買い取ってもらっているだけのはず。

飲料メーカーが使用済みペットボトルを欲しがるようになったのは、ボトルtoボトルが奨励され始めてからだ。その機運はプラ新法で加速している。

ようやく自治体にとり、タダでペットボトルを回収しなくて済む好機が訪れたのだ。

こんな協定などで妥協せず、今こそ「拡大生産者責任」のもと「メーカーは回収費用を全額負担せよ」と声を大にして叫んでほしい。

わずかな金額で妥協せず、自治体にはもっと大志を抱いてほしい。それが、ペットボトルなどの処理困難な使い捨てプラスチック製品が登場して以来の悲願だったはずだ。

神奈川県とウォータースタンド社が連携協定「プラごみ削減と脱炭素社会実現」

ウォーターサーバーのレンタルを行うウォータースタンド社が神奈川県と「プラスチックごみ削減と脱炭素社会実現に関する協定」を締結した。

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000124.000045090.html

5月30日(ごみゼロの日)から「県庁本庁舎1階に2台、新庁舎4階給湯室に1台のマイボトル用給水器を設置」したそう。神奈川県としては「よくやった」と思うけれど、せめて設置と同時に、庁舎内でのペットボトル使用禁止や販売禁止、自販機撤去なども打ち出してほしかった。

単に「3台ウォーターサーバーを設置しました」というだけでは効果もおそらくしれている。

「かながわプラごみゼロ宣言」も宣言のみで、プラスチックを元から減らそうという発想は全く感じられない。

これを機に、県庁以外にも給水器を設置したり、自販機を撤去したりなどの取組を進めてほしいものだ。

仏、五輪でペットボトルやカップなどの使い捨てプラを使わない方針

ロイターによると、2024年にフランス・パリで開催されるオリンピック・パラリンピックでは、使い捨てプラスチックを禁止にするそうだ。

さすがフランスだ。東京五輪でもそうしてほしかったが、東京は「スポンサーの意向」などでできなかった。スポンサーとは主にコカ・コーラを指していたと思う。

パリ五輪では、コカ・コーラも協力し、ガラス瓶を使用するとのこと。

マラソンでも再利用可能なカップが提供される。

ロイター↓

https://jp.reuters.com/article/olympics-environment-idJPKBN2XI01W

フランスでは2025年までに使い捨てプラスチック包装の年間市場投入量を、2018年比で20%減らす目標を立てている。

そのため、既に青果のパッケージなども一部を除きほとんど禁止され、ティーバッグやファストフード店の子ども用おもちゃなども禁止された。2024年からはマイクロプラスチックを含む医療機器の販売が禁止となるそう(JETROビジネス短信)。

量り売りや容器持参の取組も進んでいる。

https://www.jetro.go.jp/biznews/2021/05/413407e4a686561c.html

一方日本は、使い捨てプラスチックは一部減ったような気もしないでもないが、増えているプラスチック製品の方があまりに多すぎて、プラ新法の効果はいまだ見えない。海外の人から指摘される日本人の「プラスチック中毒」は、かなり深刻なようだ。

たった1ミリリットルのペットボトル水から1億超ナノプラスチックを検出。これまでの5億倍!?(加筆)

国際研究チームがペットボトルに入ったミネラルウォーターを調べたところ、1ミリリットル当たり1億個以上のナノプラスチックを検出した。1リットル当たりではなく、1ミリリットル当たりだ。

https://japanese.joins.com/JArticle/304826?servcode=400&sectcode=400

調べたのはノルウェー科学技術大学と中国の南開大学、ベルギーのゲント大学などの研究チーム。サンプルは、ノルウェーで市販されている4つのブランドのペットボトル入りの飲料水だ。

これまでの検出方法とは違う方法で調べたため、これまで得られていた結果とは桁違いに多い。

これまでは、世界平均で「1リットル当たり325個」とのことだった。

https://toyokeizai.net/articles/-/236346?page=2

しかし、今回は「1ミリリットルにはナノプラスチックが平均1億6600万個」とのことなので、1リットルに換算すると1660億個?!

ということは、これまでの5億倍!?!

環境省はいまだに「プラスチック・スマート」などと、プラスチックと賢く付き合うなどといっているが、プラスチックを使っている限り、マイクロプラスチックの大量曝露から逃れられないことは明白だ。

あまりにも数が多いので、気になって元の論文を調べてみた。

これのようだ↓

https://pubs.acs.org/doi/10.1021/acs.est.3c00842

調べたのはノルウェーのスーパーで購入した4つのブランドのペットボトル入りの水。採取したポリエチレンテレフタレート(PET)ナノプラスチックは、平均サイズ約88.2 nmだったそう。

採取したサンプルの濃度は、1ミリリットル当たり約108(10の8乗だから1億!)個/mLと推定された。ボトル入り飲料水によるヒトの年間ナノプラスチック消費量は、成人の飲水量を1日2リットルと仮定すると、約1014個(100兆!?)と推定されたとのこと。

桁が多すぎて混乱する。

「日本にデポジット制度は向かない」というウソ、そのワケは

世界の飲料容器は、デポジット制度による回収に移行している。「自主的」に容器を回収に出す人ばかりではないから、当然だろう。

日本人は、表向きだけ「自主的」であることを好む。それを国と事業者はうまく利用している。

多くのマスコミは、自ら学ぼうとせず、政府や事業者の発表を右から左へ流すだけだから、国や事業者寄りの情報ばかりを、流布している。そのため、環境団体の人までも「デポジット制度は日本には向かない」などとビックリするようなことをのたまう。

デポジット制度が嫌ならば、容器に入った飲食物など売るべきではない。にも関わらず、デポジット制度を批判する人はマト外れの批判を展開してくれる。

その批判の根拠は、2003年にドイツがデポジット制度を導入した際に、飲料メーカーなどが7000を超す訴訟を起こしたが、その際にメーカーが流した偽情報だったりする。その偽情報を元に、論文を書いた研究者もいたくらいだから、一般の人が信じていても不思議はない。

日本人は「海外はそうでも、日本は違う」という話が大好きだ。日本を特別視するあまりの発言で、それをデポジット制度批判につなげると、こうなるらしい。

「日本人はまじめで、決められたことはきちんと守るし、教育レベルも高い。だから、デポジット制度にしなくても、飲料容器は9割以上回収されている」などとなる。

本当に9割以上回収されているならば、少なくとも目に見える範囲にはペットボトルや空き缶など落ちているはずがない。9割以上の回収率というのはそういうレベルの話だ。

日本がデポジット制度に移行しないのは、製品価格に上乗せされるデポジットが需要を下げるため、販売量の減少を恐れるメーカーが嫌がるためだ。

2003年当時、あることないこと流布され、ドイツのデポジット制度が失敗した、などと日本で喧伝された。しかし今、ドイツのデポジット制度が失敗などと言ったら笑われるので、デポジット制度に反対する人は代わりに「日本にデポジット制度は向かない」と言っているようだ。

シンガポールのデポジット制度、2025年から開始

シンガポール国家環境庁(NEA)によると、2025年4月から10セントのデポジットを飲料に上乗せし、制度を開始するとのこと。上乗せされた飲料には容器にラベルが貼られる。ラベルのない飲料もまだ出回っていることから、4月から6月まで3ヶ月の移行期間がもうけられている。

すべての飲料関連企業と小売店は2025年7月1日までに、デポジット制度を完全に実施しなければならない。

シンガポールでは、ペットボトルと缶が飲料容器の70%を占めるという。

https://youthopia.sg/read/beverage-container-return-scheme-launching-in-april-2025-canned-bottled-drinks-to-cost-0-10-more/?eType=EmailBlastContent&eId=225d7e5f-0e54-495b-a27c-28f281ed69a4

これまでシンガポールのデポジット制度は、2023年開始とされていた。

https://www.nna.jp/news/2160348

遅れたようだが、中止にならずによかった!

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スコットランドが「ゲームチェンジ」、今年8月16日からデポジット制度開始

スコットランドでは、イギリスの他の地域に先駆けて、2023年8月16日からデポジット制度を開始する。

コロナ感染禍により、1年遅れだ。

スコットランドのデポジット制の制度設計に関わったゼロ・ウェイスト・スコットランドのイアン・がランド最高経営責任者は

「ゼロ・ウェイスト・スコットランドはスコットランドのデポジット制の設計に助言したことを誇りに思います。これにより二酸化炭素が削減され、より良いリサイクルが進み、街路からのごみが最大3分の1が除去できるなど、いくつもの利点をもつゲームチェンジャーだ」

と述べている。

https://www.gov.scot/news/scotlands-deposit-return-scheme/

20ペンスのデポジットを払って飲料を購入し、その容器を用意された何万もの回収スポットに持参することで、デポジットは返却されるとのこと。

使い捨てのペットボトルや飲料缶などはなくすべきだとは思うが、それは現実的でない。デポジット制度はベストではないが、現状よりはるかにマシになる。日本にもデポジット制度が必要だと思うが、既得権益にしがみつく人たちの反対で、日本ではできそうにない。

「拡大生産者責任とデポジット制度の実現を目指す全国ネットワーク」が解散

「拡大生産者責任とデポジット制度の実現を目指す全国ネットワーク」(通称:デポネット)から10年ぶり?に封書が届いた。会を解散したという。運営委員会で決まったそうだ。

中心になって会を立ち上げた人が亡くなってからはほとんどそれらしい活動はなかったので、解散はむしろ遅すぎたくらいだろう。

解散できなかった理由は、会費の残金があったからとのこと。

「2014年以降は会費をいただいておりませんが、これまでにいただいた貴重な会費で2022年度までの東京都消費者月間事業実行委員会への参加が出来ました」とのこと。

「東京都消費者月間事業実行委員会」なるものを知らないが、環境展か何かに出展していたのだろうか?よくわからない。

それでもまだ少し残金があるそうなので、活動を引き継ぐ人に寄付してくれるそうだ。

立ち上がった時は、新聞でも大きく報道され、地方在住者も会員になることができ、当初はそれなりに活発に活動していたが、ここ10年以上の間の活動はよくわからない。

発足当時の団体名には「拡大生産者責任」は入っておらず、「デポジット制度」だけだった。それがある日突然この名前に変わったという知らせが届いた。変わった理由は不明だが、デポジット制度だけでも難しいのに、さらに拡大生産者責任まで入れてどうするつもりだろう?と思った記憶がある。

そもそも、デポジット制度は拡大生産者責任の1形式なのだから(日本のローカルデポジットを除く)、わざわざ拡大生産者責任などという言葉を入れてハードルを上げる必要はなかったはず。

現在、世界では多くの国がデポジット制度を導入しているか、導入準備中だ。日本が導入できないのは、飲料容器の処理に責任を持ちたくない事業者が反対するからで、事業者に忖度している環境省や経産省も動かないためだ。

デポジット制度が導入されると、販売時の飲料価格にデポジット(保証金)が上乗せされるため、販売量が落ちるから事業者に嫌われるということも指摘されている。

導入しない後付けの理由として、日本は既に90%以上回収しているからデポジット制度にする必要はない、ということも言われている。しかし、本当にこれだけ回収されているのだろうか?ごみとなったものの回収量など、正確にはだれもわからない。アンケートや貿易統計などを見て、推定に推定を重ね、こうだったらいいなぁ、これならおかしくないかも、という数値を出しているものと思われるが、これがデポジット制度になったら正しくわかるはずだ。

正しい数値を知りたくないし、知らせたくないということも、事業者のデポジット制度反対理由の1つではないかと想像している。

折しも、中国の「プラスチックフリーチャイナ」が発表した論説に「世界的な飲料包装回収「デポジット制」がブームになっていますが、あなたは参加したいですか?」(2023.2.6)と書かれていたと聞いた。

世界では、「ブーム」といわれるほどびん・缶・ペットボトルを対象としたデポジット制を導入する国が増えているのに、日本ではこの有様。

この団体の残金がいくらあるのかは知らないが、デポジット制度の実現に向けて活動する若い人たちが残金を引き継ぎ、新たな会を立ち上げてくれればよいと強く願っている。

マサチューセッツ州、デポジット額を上げる法案提出

マサチューセッツ州で先週、デポジット額を5セントから10セントに上げる法案が提出された。

アメリカやカナダでは、まだ5セントで飲料容器のデポジット制度を運営している州がある。マサチューセッツ州もその1つ。

40年程前に開始された時は、5セントでも返却インセンティブとして機能したが、近年5セントでは機能しにくくなっている。

そのため、10セントに上げる州が増えているが、業界の反対が強い州はなかなか上げられない。

マサチューセッツ州の環境擁護者は、少なくとも20年前から制度の近代化を求めているという。

確かに5セントでは難しいと思うが、5セントでもデポジット制度が実施できているだけ日本よりマシだ。

日本では、スーパーやコンビニの前に置かれているペットボトル自動回収機をデポジット制度だと誤解している人が多い。あれは単なる店側の顧客サービスで、デポジット制度ではない。そのため、せいぜいが1本当たり0.25円だ。

<参考>

https://www.wamc.org/news/2023-01-26/bill-filed-in-massachusetts-legislature-to-increase-bottle-deposits-to-10-cents-expand-to-more-beverage-containers?eType=EmailBlastContent&eId=97661751-d58d-44a5-8322-dd7d1c8acbd1

英政府、デポジット制度の概要を発表 2025年から開始

イギリス(イングランド、ウェールズ、北アイルランド)で2025年10月1日から飲料容器のデポジット制度が開始される予定だ。

英国政府が、デポジット制度についての意見公募の政府回答を発表した。

回答者の83%が新しいシステムに賛成しているという。

デポジットの対象は、プラスチックと缶(スチール、アルミ)から作られた使い捨て飲料容器だ。2024年夏までにシステムを運用する機関を決める。

デポジット制度により、導入3年後には廃棄される飲料容器ごみが85%減になるのを目指す。

ガラスびんはイングランドと北アイルランドではデポジット制度 によって回収されず、ガラスのリサイクルに関連して生産者に目標を課す拡大生産者責任の対象となるとのこと。

しかし、ウェールズではガラスびんも対象になるようだ。

https://www.daera-ni.gov.uk/news/deposit-return-scheme-drinks-containers-progresses

以前の発表によると、スコットランドは今年8月16日から開始される。対象は、ペットボトルとアルミ缶、スチール缶、ガラスびんで、デポジット額は20ペンスだ。

<英国政府ウェブサイト>

https://www.gov.uk/government/news/deposit-return-scheme-for-drinks-containers-moves-a-step-closer

https://www.gov.uk/government/consultations/introduction-of-a-deposit-return-scheme-in-england-wales-and-northern-ireland

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