ハシゴを外された容リ協。公取が容リ協に「待った!」

公正取引委員会が容器包装リサイクル協会(容リ協会)に待ったをかけた。

https://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/2023/oct/231016petbottle.html

容リ協会が、廃ペットボトルの買い取りに積極的に動いていた大手飲料メーカーを牽制したことを受けて、公取が調査した結果だ。

公取にしてみたら、飲料メーカーが自治体と直接契約し、廃ペットボトルを直接買い取ることを容リ協会が邪魔するのは「独禁法違反だからケシカラン」ということだろう。

確かに、飲料メーカーが自治体と契約するのを容リ協会が邪魔するのは独禁法違反だろうと思う。

しかし、容リ協会にしてみたら、以前中国が日本の廃ペットボトルを買いまくっていたとき、容リ協会に来る廃ペットボトルは少なかったのに、中国が買いにこなくなった途端に廃ペットボトルが日本に溢れ、容リ協会がてんやわんやになったことがあったので、その二の舞はゴメンだと思うのは当然だ。

もともと容リ協会ルートでリサイクルする容器は、再商品化義務(リサイクル費用を負担する義務)の対象となっている容器のみ、つまり普通では売れないものだけなので、アルミ缶やスチール缶などのように集めれば売れる(お金になる)ものは容リ法の再商品化義務の対象にはなっていない。

つまり、集めれば金になるものは容リ協会を通さず、自治体が直接適当なところに売り渡してリサイクルすることになっていて、金にならないものだけ容リ協会を通してリサイクルすることになっているのだ。

容リ法が施行された当時は、ペットボトルは集めても金にならなかったので、再商品化義務の対象になり、容リ協会を通してリサイクルすることになった。

しかし、今はペットボトルは集めれば金になる。環境をウリにするメーカーが再生PET樹脂でボトルを作りたがるようになったからだ。そうであれば、本当ならばペットボトルを再商品化義務の対象から外すべきだ。国が外さないからこのような事態になったのだと思う。こういう事態は、以前から予測されていた。

国が外さない理由は、離島などではまだペットボトルは金にならず、お金を払わないとリサイクル工場が引き取りに来ないので、再商品化義務から外すとそのお金の出所がなくなってしまう、ということがあるのかもしれない。それに、飲料メーカーは、全ての自治体のペットボトルを買い取ってくれるわけではない。今のところ、自社工場に近い自治体のペットボトルがほしいだけで、将来的にどうするつもりかもわからない。要は、いつ手のひら返しをするかわからないのだ。

そのため、容リ協会にしてみれば、今回の公取の判断は「何も知らんヤツが勝手なことをいってる」としか映らないだろう。容リ協会にしてみたら、環境省のかけた柱を登って屋根で作業をしていたら、公取からハシゴを外された。それを環境省は黙って見ていた・・というような感じか。

容リ法を現状に合わせて改正しない国の責任は大きい。国が容リ法を維持しようと思うならば、容リ協会の味方をすべきだったと思う。

いずれにせよ、自治体はペットボトルの回収などさっさとやめるべきだ。飲料メーカーに回収もすべて任せてしまうか、それとも回収費用が全額まかなえるだけの金額をメーカーに請求するのがよい。

現状では、廃ペットボトルを売った金額よりも、回収費用の方がはるかに高いので、こんなものに多額の税金を使って回収するならば、もっと他のことに税金を回してほしい。

もともとペットボトルのように環境負荷の高いものは、生産者責任で回収すべきものだ。

多くの先進国は、実際に回収するのが自治体でも、費用は全額生産者が負担している。欧州だけでなく、韓国や台湾でもペットボトルの回収費用は生産者だ。

ペットボトルの回収費用を自治体が負担するなどあり得ない!と、自治体のペットボトル回収車を見る度、怒りがこみ上げる。

アイルランド、来年2月開始のデポジット制度準備整う。ラテ税はまだ

アイルランドは首都ダブリンで開催された年次循環経済会議で、スミス国務大臣が来年2月1日からデポジット制度を全国で開始することを確認した。

対象はアルミ缶とペットボトル。今後、対象を増やすことも視野に入れているが、まずは対象をこの2つに絞ったという。

アイルランドのすべてのスーパーに、容器を回収する自動回収機を設置する。

大臣は、制度の目的は毎年捨てられている20億個の缶とペットボトルの大半を回収することだ、と話した。

デポジット制度については明確に言及したが、予定されているラテ税に関してはまだ明確な言及はない。

ラテ税は使い捨てのテイクアウト用カップにかける予定の税で、20セントを予定している。

<出所>

https://www.rte.ie/news/environment/2023/0927/1407658-deposit-return-scheme/?eType=EmailBlastContent&eId=e825228b-19f5-448e-969c-f065090d2d09

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レゴ、再生ペットボトルの使用を断念。より多くのCO2を発生

レゴブロックのレゴ(デンマーク)は、再生ペットボトルからブロックを製造する計画を断念した。現在の石油ベースのブロックよりも多くの汚染物質を製造過程で排出するためだという。

https://www.cnn.co.jp/business/35209518.html

レゴの広報は「3年を超える試験の結果、炭素の排出が減らないことが分かったため、再生PETを使用したブロックの製造を進めないことに決めた」とのこと。

再生素材でブロックを製造するには新設備への投資や工程の追加が必要になり、最終的には現状よりも多くの温暖化汚染物質を排出してしまうことも理由だ。また、再生プラスチックが耐久性や安全性の点でABSに劣ることや、ブロック同士をくっつけたり、離れやすくしたりするABSの「クラッチパワー」が得られないことも、試験により判明したそうだ。

ペットボトルはやはりペットボトルにリサイクルのが一番よいと思われるが、それにしても温室効果ガスは大量に発生する。しかも、歩留まりも悪そうだ。

ペットボトルに反対する東京農工大の高田教授も、「ペットボトルをリサイクル用に集めるだけでも1億円(調布市)かかる」、「水平リサイクルしてもペットボトルはガラス製リターナブル瓶に比べてエネルギー消費量、CO2発生量が2割程度多い」、「ペットボトル1本をリサイクルすると、エアコン20分使ったのと同じ量の二酸化炭素が発生する」などと批判している。(9月19日のfacebook)

https://www.facebook.com/hideshige.takada.9

プラスチックのリサイクルはどれも問題が多いが、最もマシなペットボトルも問題が多そうだ。やはり、1リットル未満のペットボトルは販売禁止にすべきではないか。

米コハセットで使い捨てペットボトル水の販売禁止を提案

米コハセットで、1ガロン未満のペットボトルなど使い捨てのプラスチック製ボトル水の販売禁止が提案されている。

承認された場合、2025年1月1日に発効される。炭酸水などは除外され、普通の水だけが対象だ。

インスタグラムによる調査では、70%が禁止を支持しているとのこと。今後、給水ステーションを増やす方針。

違反すると、最初は文書による警告だが2回目以降は罰金で、2回目は100ドル、3回目は200ドル・・と罰金額が増額される仕組みが考えられているようだ。

<出所>

インド・ゴア州でもプラ容器にデポジット制度導入か

これまでインドでは、マハラストラ州のみで200ミリリットル以上のペットボトルと牛乳容器(ミルクパウチ)にデポジット制度が採用されていた(200ミリリットル未満のペットボトルは禁止)。

ゴア州でも現在、デポジット制度を検討しているようだ。

ニレシュ・カブラル環境大臣は、月曜のゴア立法議会で、政府はデポジット制度を導入するため、生分解性の法案を修正すると表明した。

https://www.thegoan.net/goa-news/buying-goods-in-plastic-be-ready-to-pay-a-deposit/102156.html?eType=EmailBlastContent&eId=ff83d943-5896-43d5-aff1-470f252c4fb3

ペットボトルの水を購入する際は、Rs10またはRs5のデポジットを商品代金に上乗せして支払うが、ペットボトルを返却すると返金されるという。

マハラシュトラ州のペットボトルはせいぜいRs1からRs2だから、マハラシュトラ州よりもデポジット額を少し高めに設定するようだ。

東急ホテルでペットボトル廃止 カトラリーも紙製に

セルリアンタワー東急ホテル(東京都渋谷区)が、客室などの飲料水や一部の備品を変更した。

東急ホテルズ&リゾーツ株式会社が掲げるSDGs方針の一環とのことだが、ようやく昨年施行されたプラスチック資源循環法に対応したのだろう。

客室などに置かれていたペットボトルを紙製ボトルに変更し、テイクアウト用に使用しているスプーン・フォーク・カップの蓋などをプラスチック製から紙製に変更した。

また、ランドリーバッグをプラ製から布製にし、繰り返し使えるようにした。ハンガーも木製にしたそうだ。

他に、お風呂のシャンプーなどのミニボトルも順次廃止し、ポンプ式に切り替えるとのこと。

とてもよい変更だと思うが、もっと庶民的なホテルでは、廊下にウォーターサーバーなどが置かれていて、持参した水筒にも給水できるようになっていたりする。紙ボトルよりずっと便利だと思うのだが、どうなのだろう。

<出所>

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000002787.000005113.html

歯ブラシやカミソリについては触れていないが、当然何らかの対応を既にしているのだろうと思いググったところ、こんな感じだった↓

https://www.tokyuhotels.co.jp/cerulean-h/guide/greencoin/index.html

コンタクトレンズからも、ペットボトルからもPFAS

最新の調査結果によると、検査した18種のコンタクトレンズすべてから、高レベルのPFAS(有機フッ素化合物)が検出されたそうだ。

https://www.harpersbazaar.com/jp/beauty/health-food/a43953627/contact-lenses-contain-dangerous-amounts-of-forever-chemicals-pfas-230522-lift1/

100ppm以上とのことで、この数値はEPAが安全と認める飲料水に含まれる最大量の約5万倍に相当するという。

どの程度、PFAS入りレンズ着用を心配すべきかわからないそうだが、妊婦や子どもは使わないほうがよいことは確かだろう。

また、ペットボトル入り飲料水からもPFASが検出されたとのこと。

47のブランドをテストしたそうだ。35が水、12が炭酸水。

35の水のうち2つが1兆分の1のPFAS閾値を超え、12の炭酸水のうち7つが1兆分の1のPFAS閾値を超えたとそうだ。

ということは、原水がPFASで汚染されていたというよりも、ペットボトルからPFASが漏れ出した可能性の方が高いということだろうか?この結果を見る限り、炭酸水の方がペットボトルからPFASが溶出しやすいように見えるが、どうなのだろう?

アイルランドのデポジット制度、来年2月開始予定

アイルランドは、来年2月にデポジット制度を開始する予定だ。アイルランド銀行がこのスキームに関わるという。

500ミリリットルまでのペットボトルと缶のデポジット額は15セント、それを超える場合は25セント。返却には、自動回収機を利用することもできるし、レジも利用できるそうだ。

アイルランドでは、既に90%以上の生産者と2,500以上の店舗がデポジット制度に参加表明しているようだ。

<出所>

ペットボトルと鉄くずで作った巨大亀がインドに登場 啓発効果は?

街路から回収された約600kgの廃ペットボトルと700kgの鉄廃棄物から作られた全長9メートルものカメが、インド・チェンナイ市の浜辺に登場したそうだ。

カメの中に入れるとのこと。

インドの英字日刊紙「ザ・タイムズ・オブ・インディア」による取り組みで、使い捨てプラスチックに対する人々の意識を高めるために作られたという。

こういう話は面白いけれど、啓発になるかは疑問だ。多くの人はこれを見て面白がるだけで、使い捨てプラスチックを使わないようにしよう、とまで考える人は少数派だろう。

いつ撤去するつもりか知らないが、展示中のカメから少しずつ、紫外線で劣化したマイクロプラスチックが大気へ放出される。

しかも、ペットボトルから溶け出したフタル酸エステルなどの化学物質が砂浜を汚染しそうだ。

https://news.yahoo.co.jp/articles/2bf72ae358fbd729aba95c95d8a2b841b3dcdd31

価値のないものだからこそ、ペットボトルや使い捨てカップなどはデポジット制にする必要がある

ある環境系の人が、「リユースびんなどのように価値のあるものをデポジット制で回収するのは良いが、ペットボトルや使い捨てカップのような価値のないものはデポジット制はムリ」などと発言するので耳を疑った。

真実とは真逆の発言だ。まったくデポジット制度を理解せず、批判のための批判のようだ。

価値のあるものならば、デポジット制度にしなくても落ちていれば誰かが拾うので、散乱ごみにはならない。そもそも、本当に価値があれば、誰もポイ捨てなどしない。

しかし、ペットボトルなどのような使い捨ての価値の低いものはポイ捨てされやすいし、落ちていても誰も拾わない。そういうものこそ、デポジット制度にすべきなのだ。デポジット目当てに誰かが拾ってくれるので、散乱ごみになりにくい。

一見環境系の団体の人が、「日本ではデポジット制度は向かない」などと言い切るのが、全く理解できない。

もしかしたら、飲料メーカーからお金をもらってるの?と疑ってしまう。

リサイクルの善し悪しなどはまた別の話だ。使い捨てプラスチックはそもそも禁止したらよいと思うが、すぐに禁止できないのならば、せめてデポジット制度で回収しなければ汚染は止まらない。

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