3リットル未満の容器のキャップを対象として、EU規制がまもなく始まる。
2018年に発表されたEU指令の1つで、開栓後もキャップが本体に付いたままになっていなければならない。
従来タイプのペットボトルは、開栓時にキャップが落ちやすく、散乱ごみになりやすかった。
ようやく7月3日から規制が開始される。
街や海岸を歩いていると、キャップが落ちているのをよく目にする。海鳥など野生生物にも誤食されやすく危険だ。日本も早くこの規制を導入してほしい。
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3リットル未満の容器のキャップを対象として、EU規制がまもなく始まる。
2018年に発表されたEU指令の1つで、開栓後もキャップが本体に付いたままになっていなければならない。
従来タイプのペットボトルは、開栓時にキャップが落ちやすく、散乱ごみになりやすかった。
ようやく7月3日から規制が開始される。
街や海岸を歩いていると、キャップが落ちているのをよく目にする。海鳥など野生生物にも誤食されやすく危険だ。日本も早くこの規制を導入してほしい。
以前から人間の精巣にマイクロプラスチックがあることは知られていたが、今年5月に発表された米ニューメキシコ大学の論文によると、生殖能力にも影響を及ぼしている可能性がある。
これまではフタル酸エステルやビスフェノール類などの環境ホルモン(内分泌かく乱化学物質)作用のある化学物質が、少子化に大きく影響するといわれていたが、マイクロプラスチックも影響している可能性が高いようだ。
米ニューメキシコ州で死亡した23人の男性と、去勢手術を受けた47頭の犬の精巣で調べたところ、精巣1グラムあたりのマイクロプラスチックの平均濃度は、体組織1gあたり329.44マイクログラム。また、犬の精巣のマイクロプラスチックのそれは、1グラムあたり122.63マイクログラムだったとのこと。
12種類のマイクロプラスチックが見つかり、最多はPE(ポリエチレン)だ。
また、犬の精子の数とマイクロプラスチックの比較では、PEは相関関係は認められなかったが、PVC(塩ビ)とPET(ポリエチレンテレフタレート)は認められた。PVCとPETは精子の形成を妨げるようだ。PVCの濃度が高いと精子の数が少ない傾向があった。
精巣内に蓄積されたマイクロプラスチック、とりわけPVCとPETは、少子化に影響しているようだ。
精巣から検出されたマイクロプラスチックの発生源は多数考えられるが、一番可能性が高いのは、PVCは壁のビニールクロスやクッションフロア(塩ビ製床材)、PETはペットボトルだろうか?
アメリカでは現在、10の州で飲料容器のデポジット制度がおこなわれているが、ニュージャージー州が11番目の州になるかもしれない。
同州の州議会議員がデポジット法案を提出したようだ。
法案によると、対象容器の材質はプラスチック、ガラス、紙、段ボール、金属(またはそれらの材料の組み合わせ)などの材料で、これらから作られたボトルや缶、カートンポーチなど。
サイズは1ガロン以下だが、飲料カップには適用されない。
デポジット制度に従わない企業は、100ドルから1,000ドルの罰金を科せられる可能性があるそうだ。
しかし、アメリカでは毎年どこかの州でデポジット制度が提案され、飲料業界などにより潰されている。実現までの道のりは遠そうだ。
瀬戸内海に面する岡山・広島・香川・愛媛の4つの県から出た海洋プラスチックごみのうち、回収できなかったごみが年間約60トンあったそうだ。
日本財団が4県と取り組んでいる海洋プラスチックごみ対策のプロジェクトで、2020年11月から2021年4月にかけて、4県にある河川の全長およそ1200キロでごみの調査を行った。
その結果、年間388トンのプラごみが海洋に流れ出していると試算された。
しかし、これまでに公的機関やプロジェクトなどが回収したプラごみは年間322トン。従って、約60トンのプラごみが回収できなかったと考えられるという。
https://www3.nhk.or.jp/lnews/okayama/20240515/4020020278.html
大雑把とはいえ、約60トンという数字が把握できたのはよかったと思うが、このニュースに違和感を覚える。
日本財団のプロジェクトの一環で、県内の中・高校生およそ80人が岡山市に集まり、これについて話し合われたようだが、このNHKニュースを見る限り、その結論は「みんなでごみ拾いに取り組もう」ということだったようだ。
もちろん清掃活動は重要だ。しかし、高校生が話し合ったならば、ごみの出ない法整備、たとえば「散乱しやすい使い捨てプラスチックを禁止しよう」とか「飲料容器はデポジット制度で回収しよう」、あるいは「マイボトル・マイカップ・マイ弁当容器を利用できるよう店に働きかけよう」などのような根本的な内容にまで踏み込んでほしいものだ。
落ちていたプラごみにどのようなものが多いかは、把握できたのだろうか?
米カリフォルニアのウェストサクラメントに本拠を置くOrigin Materials Inc.は、ポリエチレンテレフタレート(PET)製のテザードキャップを開発した。
まもなくEUでは、EUシングルユースプラスチック指令により、開栓時にキャップが本体からはずれてしまうタイプのペットボトルの販売を禁止する。
ペットボトルキャップの散乱は世界中に多いことから、この指令は欧州に留まらず、世界中に影響すると考えられる。
しかし、ペットボトルのキャップは通常ポリエチレンやポリプロピレン製だ。リサイクル時に比重などによりPETと分離できるとはいえ、そのまま出されることを懸念するリサイクル事業者の声もある。
キャップもPET製であるほうが、リサイクル事業者にとってはリサイクルしやすいし、ペットボトル利用者にとってもよいことだろう。日本のようにしつこく、キャップをはずしてから回収に出せと、まるでキャップの散乱を助長するかのような「指導」をする国は多くないと思われるが、それでも材質の異なるものを一緒に回収に出すのは気が引けるという人は多い。
この度、オーランドで開かれたカンファレンスで発表されたキャップは、従来のキャップに比べ「優れた性能を提供し、製品の貯蔵寿命を延ばし、軽量化を可能」にするという。
しかも、100%PET製で、バージンPETであろうとリサイクルPETであろうとバイオマスPETであろうと、どんなPETからも製造できるとのこと。その上、キャップを開閉しても本体から落ちないタイプだ。
日本で販売されているペットボトルのうち、キャップが落ちないタイプのものはまだ少ない。しかし、国内でもペットボトルキャップの散乱は多い。PET製キャップがあるならば、キャップが落ちないタイプのペットボトルを売らない理由はもうないはずだ。
<出典>
https://www.recyclingtoday.com/news/origin-materials-introduces-tethered-pet-beverage-cap/?utm_campaign=Plastics+Recycling+Report&utm_source=05%2f09%2f2024+-+Unilever+updates+plastic+goals+%7c+Plastics+Industry+Association+announces+award+winners&utm_medium=email&utm_term=https%3a%2f%2fwww.recyclingtoday.com%2fNews%2forigin-materials-introduces-tethered-pet-beverage-cap&utm_content=547419&isid=3633CF&eType=EmailBlastContent&eId=7d931343-fc61-44ea-b0a3-12099d53ba7f
日本を含む世界84ヶ国に落ちていたごみのブランドを調べたところ、コカ・コーラなど56社のごみが50%以上を占めていたことが、米科学誌「サイエンス」に掲載された。
調査期間は5年間で、2018年から2022年にかけ行われた。10万人以上のボランティアが調査に参加し、ごみのブランド名を調べた。
その結果、トップはコカ・コーラのごみで全体の11%を占め、続いてペプシコが5%、ネスレとダノンがそれぞれ3%、米たばこ大手アルトリア・グループの2%。これだけで24%を占めている。
企業のプラスチック年間生産量とプラスチック汚染の間には、明確で強力な関係があり、食品・飲料会社が不釣り合いに大規模な汚染者となっているとのこと。
「最大の汚染者による寿命の短い使い捨てされるプラスチック製品を段階的に廃止すれば、世界のプラスチック汚染は大幅に削減される」ことが判明した。
<出典>
昨年11月30日に開始されたルーマニアのデポジット制度は、順調に進んでいるらしい。
今年1月だけで200万個以上の容器が回収されたとのこと。
デポジット制度の対象は0.1から3リットルまでのびん、缶、プラスチックだ。
デポジット額は0.50RON(日本円で16円から17円程度)。
消費者が小売店に容器を返却すると、手動の場合は現金で、自動回収機の場合は店のバウチャーか、銀行振込で返金をうけることができる。
ルーマニアのデポジット制度に関する法律は2018年に可決された。
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Break Free from Plastic(BFFP)の発表によると、2023年も世界で拾われたプラスチックごみのトップが、コカ・コーラだった。
8,804人のボランティアが、合計53万7719個のプラスチックごみを集め、メーカーを調べた。
世界のプラスチック汚染企業の上位を占めるのはコカコーラの他に、ネスレ、ユニリーバ、ペプシコなど。
https://drive.google.com/file/d/1YFyfRv4m_viZZXa8b1HdpucDX3WEwJzv/view
いずれも飲料や食品を使い捨てのプラスチック製容器包装で提供しているメーカーだ。
日本もドイツのようにこのようなすぐにごみになるものを生産する企業からは、公園や街路の「清掃費」をとるべきだ。
<関連記事>
オーストリアは来年1月から飲料容器のデポジット制度を開始する。
対象は、0.1から3Lのペットボトルと金属缶で、デポジット額は0.25ユーロ(0.27米ドル)とのこと。
デポジット制度の複雑なITシステムは、やはりSensoneo社を選択した。同社の技術は現在、欧州のデポジット制度の要となっているようだ。
「オーストリアは、Sensoneoのソフトウェアソリューションを選択した6番目の国で、同社は、スロバキア、マルタ、アイルランド、ハンガリーのデポジット制度のシステムに加え、ルーマニアの世界最大の集中デポジットシステムを含む、ヨーロッパのデポジットシステム6つの公開入札をすべて獲得したと伝えられている」とのこと。
同社はスロバキアの会社で、2017年に創業。70ヶ国で事業を展開し、スマート廃棄物管理ソリューションを提供しているそうだ。
https://ameblo.jp/s2021751/entry-12801371634.html
昔はデポジット制度の運営は面倒でお金もかかったが、今はIT技術の進歩でだいぶラクにできるようになった。
上記パッケージングサイトによると、オーストリアの飲料容器回収率は現在70%。来年デポジット制度が開始されれば80%になると予想されている。2027年には90%になり、EU目標を達成できる。ペットボトル回収率のEU目標は、2025年までに77%、2029年までに90%だ。
日本もいつまでも「ペットボトル回収率は既に90%以上」などと、過大な予測をしていないで、早くデポジット制度で「真水」の90%回収を達成して欲しいものだ。
どうしてもデポジット制度を導入したくないのであれば、フランスのようにペットボトル使用を半分に減らす半減目標を立てるべきだが、日本は経済界に配慮し、どちらも選ぼうとしない。
米科学アカデミーの紀要(PINAS)に、大量のマイクロプラスチックがペットボトルから検出されたとの研究結果が掲載された。
https://www.pnas.org/doi/10.1073/pnas.2300582121
メディアはマイクロプラスチックのみに注目しているが、本当の問題はそこに留まらない。プラスチックに付着あるいは添加されていた化学物質が何か、ということも問題なのだ。
PET樹脂には可塑剤は使われないから安全だ、とよく聞くが、そんなことは決してない。ペットボトルから、いろいろな化学物質が検出されている。
例えば昨年、熊大の研究で分析されたフタル酸エステル類は、胎児や子どもの発達、生殖能力などにも影響を与える環境ホルモンだ。
熊本大学の研究チームの研究「Polymer types and additive concentrations in single-use plastic products collected from Indonesia, Japan, Myanmar, and Thailand」(インドネシア、日本、ミャンマー、タイから集められた使い捨てプラスチック製品の樹脂の種類と添加剤濃度)↓
https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0048969723026049
しかも、PINAS論文によると、ペットボトルの水で見つかったプラスチックはPETだけではなく、ナイロンやポリプロピレン、ポリスチレン、塩ビまでもが見つかっている。ナイロンは水をろ過する際に使われたのかもしれないが、ポリスチレンや塩ビはなぜだろうか?ちょっと怖い気になる樹脂だ。
しかし、最近はコマーシャルの影響か、日本でも「水は買うのが当たり前」になっていると聞く。プラスチックに入れられた水の方がよほどアブナイと思うのだが・・。
「安心」な環境に慣れすぎたせいで、危険かもしれないプラスチックに心が動くのだろうか?怖い物みたさ?それとも「プラスチック中毒」の人が増えているのかもしれない。