プラスチック新法の政令、ようやく閣議決定されたけれど・・

1月14日、プラスチック資源循環法の政令がようやく閣議決定された。4月1日に施行するということははっきりしたが、詳細がまだよくわからない。

たとえば、容リ法ルートに流れた製品プラはどうなるのだろうか。

製品プラの中でもポリバケツや文房具、ハンガー、衣装ケースなどのような単一素材のものは、容器包装よりも断然品質が良い。

マテリアルリサイクルの工場へ行けばよいが、製鉄所などへ行って、コークス炉などに入れられてしまうなどということはあるのだろうか。質の低い容器包装などをコークス炉に入れるのは良いだろうが、高品質の製品プラが製鉄所に回るのは惜しい気がする。

質の高いものはどこかで選別され、マテリアルリサイクル工場へ、という流れができればよいがそんな手間はかけられない。そのため、一括回収のプラはすべてマテリアル工場へ、という流れができるかもしれない。でもそうしたら、マテリアル工場でも困るところが出てきそうだし、それよりもむしろ自治体が困りそうだ。自治体は高い再商品化代金を請求される可能性がある。

一括回収された廃プラの何割が、自治体が再商品化費用を負担すべき製品プラなのかもわからない。自治体ごとに異なるだろうが、その辺りはエイヤで按分してしまうのだろうか。

製品プラを一括回収した自治体の話では、容器包装だけの時に比べ、追加費用がかからなかった自治体もあるようだが、かなりかかったといっている自治体もある。

どこの再商品化工場へ行くかによっても変わるのかもしれないし、自治体がどういうものを回収するかによっても変わりそうだ。各自治体の容器包装プラの回収内容をよく見てみると、自治体ごとに注意点が異なっており、回収するものも微妙に違っていたりする。

いずれにせよ、多くの自治体にとって、一括回収はまだまだ縁のない話のようだ。国が地方交付税で増額分の一部を負担するなどと言っているが、それだけで動く自治体など多くない。

やはり拡大生産者責任にして、製品プラの再商品化費用もメーカーから徴収すべきだ。

<参考>

経産省:「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律の施行期日を定める政令」及び「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律施行令」が閣議決定されました↓

https://www.meti.go.jp/press/2021/01/20220114001/20220114001.html

環境省:「プラスチック資源循環法関連」

https://www.env.go.jp/recycle/plastic/circulation.html

カナダ今年後半から使い捨てプラ禁止、バンクーバーはレジ袋禁止

カナダでは、以前から使い捨てプラ禁止規制案が発表されていたが、2022年内に使い捨てプラスチック製品についての新たな規制が施行される。

また、カナダBC州バンクーバー市では1月1日時点で、プラスチック製レジ袋(堆肥化可能なレジ袋を含む)が禁止されている。紙袋は最低でも1枚15セントの料金を請求する必要があるとのこと。2023年には1枚25セントに上がる。

料金の支払いを避けるためには、マイバッグを持参する必要があるが、既に多くの消費者がマイバッグを利用しているそうだ。

また、使い捨てカップは25セントになるとのこと。

BC州では既に20以上の自治体が使い捨てプラスチックを禁止する条例を作成している。昨年7月、州政府は地方自治体が大臣の承認を得ずに使い捨てプラスチック製品を禁止することを合法化したという。

<出典>

https://bc.ctvnews.ca/ban-of-single-use-plastic-bags-fee-for-disposable-cups-now-in-effect-in-vancouver-1.5726675?eType=EmailBlastContent&eId=dfdef0ee-0129-474c-ac5d-fe89fa00fd39

ドイツ、1月からレジ袋禁止 バイオプラ製レジ袋も

ドイツでは今年(2022年)1月1日からプラスチック製レジ袋が禁止された。

植物から作られたバイオマスプラスチックも禁止だ。これらは環境にやさしいとは限らないからとのこと。理由は、ほとんどリサイクルされず、プラスチック生産のための植物の栽培は農薬の使用の増加と関連しており、単一栽培で行われるため、とのことだ。また、それらが環境中に入ると、非常に長い間とどまり、原油から作られるプラスチックと同じくらい有害だ、と手厳しい。

さらに、生分解性プラスチックで作られたレジ袋も禁止の対象だ。理由は、ほとんど劣化せず、不適切な廃棄を助長するため。そして、有機性のごみにもならないため、とのことである。

ドイツで推奨される買い物袋(マイバッグ)は、何度も使えるバッグで、再生プラスチックやポリエステル製で作られたもの、あるいは有機農業で作られた亜麻や綿のバッグだそう。

なるほど、さすがドイツ。合理的だ。

https://www.bmu.de/faq/welche-alternativen-zur-plastiktuete-sind-sinnvoll-welche-nicht

なお、禁止されるレジ袋は15から50マイクロメートルまでのもので、15マイクロメートル未満の薄い袋は、肉やソーセージなど腐りやすい食品を入れるため衛生上必要であるとして禁止されない。50マイクロメートルを超えるものは、再利用できるため、やはり禁止されないようだ。

https://www.bmu.de/pressemitteilung/bundesrat-macht-weg-fuer-plastiktuetenverbot-frei

ペルーにも脱使い捨ての波、プラ製食器や食品容器など生産・流通禁止

ペルーで2021年12月20日から、リサイクルできない使い捨てプラスチックや発泡スチロール製品(袋・食器・コップ・食品容器など)」の生産、輸入、流通、納品が全面的に禁止された。

禁止の法律は2018年12月に施行されており、36ヶ月後に発効することが明記されていたという。

ペルーでは、プラスチック袋(ポリ袋・レジ袋)やストロー、発泡スチロール製容器は既に使用が禁止されていた。

日本も早くペルーのように、プラ製の使い捨て食器やストロー、無駄な容器包装などを禁止してほしい。

<出典>

JETRO(2021.12.27)「ペルーでプラスチック・発泡スチロール製容器などの使用が全面禁止に」

https://www.jetro.go.jp/biznews/2021/12/e653cc5b8059cf56.html

1998年の「紙容器、環境ホルモンで脚光」は、今再びよみがえる?

ため込んだ資料の整理をしていたところ、1998年6月10日(日経産業新聞)の「酒類・食品の容器、環境配慮で衣替えーー紙容器、環境ホルモンで脚光」という過去記事が目に入った。

すっかり忘れていたが、脱プラで紙製容器に注目が集まる昨今と同じような話が、過去にもあったのだった。

しかし、その内容を読むと、ハナマルキが発泡スチロールカップから紙製カップ入りの即席味噌汁を発売したという話以外は、紙とはあまり関係がない。例えば宝酒造が、ペットボトル入り焼酎「宝焼酎2.7<エコペット>」を発売するなどという話などは、どこが「紙」なのか?

要するに、紙容器に注目が集まったものの、採用例は少なく、書くネタがなかったということだろう。

しかし、最近の紙への注目度はこれまでにないほど高いような気がする。

紙容器といっても、これまでのようなプラスチックがラミネートされているようなものではなく、これからのものは本当に全部分解するものがよい。撥水加工も要らない。

もちろん基本はガラスや金属、陶磁器、木などを使ったリユース容器で、使い捨ての紙容器はあくまでも補助的な位置づけだ。来年はそういうものが普及してくれるとうれしい。

増える木製カトラリー(スプーンなど)、マックも採用

プラ新法に関する政省令の閣議決定は遅れており、この分では来年になりそうだが、企業による木製スプーンなどの採用は増えているようだ。

マクドナルドは来年2月からスプーンやフォークなどのカトラリーを木製に、ストローを紙製に順次切り替えるとのこと。まずは横浜市を中心に30店舗から導入を始める。これにより年間約900トンのプラスチックの削減につながるそうだ。

2025年末までにすべてを再生可能な素材に切り替える予定。

マクドナルドについての出典:TBSニュース(2021.12.22)「マクドナルド ストローを「紙製」に カトラリーを「木製」に切り替え」↓

https://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye4432880.html

すかいらーくグループでも、スプーンなどは来年1月から木製に切り替える。同グループはこれにより、プラスチックの使用量を年間86トン減らすことができるとのこと。

木製に切り替えても使用量が変わらないのではどうしようもないが、すかいらーくGは来年中には木製スプーンを有料化するというから安心だ。

すかいらーくGについての出典:日テレニュース(2021.10.5)「広がる“脱プラ”木製スプーンに切り替えも」

https://news.yahoo.co.jp/articles/2c4e94a44b99200addd445da2016f0d207444702

マイクロカプセル入り日用品は欠陥商品

先日拙宅に郵便を届けてくれた人から、信じられないほど強い柔軟剤の匂いがした。いかにも「汗かき」そうな体型の人だったので、きっとこの方の家では気を遣って、高残香性タイプの柔軟剤を使用しているのだろう。

他人の汗のにおいで不快になったことはないが、最近ほとほと柔軟剤や合成洗剤の不快な匂いに閉口している。「フローラルな香り」のせいで、本物の花の香りまでイヤになりそうだ。

換気のためベランダの窓を開けると、近隣から匂ってくることも増えた。

日用品にマイクロカプセルのような野蛮なものを使って、他人に迷惑をかけるのは本当にやめてほしい。

マイクロカプセル入り柔軟剤で洗濯すると、衣類に付着したカプセルから徐々に香りが漏れ出し、匂いが持続する・・それと同時にカプセルに使われたカプセルが、壊れて空気中に飛散する。当然壊れたカプセル=マイクロプラスチックが、呼吸する度、鼻から肺に入る。

しかし、商品には「マイクロカプセル入り」などとは書かれていないため、消費者にはわからない。しかし、メーカーは「消費者が香りを求めているから」と言い逃れできる。

なぜ他人の使った柔軟剤が私の健康を脅かすのか、と考えると、だんだん怒りがこみ上げてくる。匂いの持続する柔軟剤や合成洗剤は、明らかに「欠陥商品」だ。

マイクロカプセル入りの日用品は早急に禁止すべきだ。

1本1本植物にかける防虫剤にマイクロカプセルを使用するのは、100歩譲って仕方がないかもしれないと思う。これらは、周りに農薬が飛散しないように開発されたものだと聞く。

しかし、ドローンやヘリコプターを使って、マイクロカプセル入り農薬をばら撒くのは、化学兵器をまくのと同じ事だ。日用品への使用と同様に、やめてほしい。

少子化で子どもの数が減っているが、昆虫も減っている。理由の一部に共通点があるのではないか。

こんな野蛮な商品を作り続けるメーカーの品性を疑うが、今日もテレビで宣伝している。

アサヒの新会社に期待

飲料メーカーには失望していたが、アサヒの新会社「アサヒユウアス株式会社」は期待が持てるかもしれない。

「森のタンブラー」はリユースカップのようだし、「もぐカップ」は食べられるからごみが出ない。蔵前BLACKはよくわからないが、蔵前WHITEはパンの耳を利用しているようだ。

リサイクルや、リデュースとは名ばかりの薄肉化を大義名分にして、使い捨てを続ける他社に比べマシな気がする。

2022年1月1日より事業を開始するとのこと。

<参考>

PR TIMES「サステナブルな社会の実現に貢献する商品の販売、サービスを提供する「アサヒユウアス株式会社」2022年1月1日事業開始」

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000070.000058947.html

不滅のペットボトル?

動画「不滅のペットボトル」を見た。最後にペットボトルがウインクするところが、正直キモい。

この動画は、なぜか気持ちを逆なでする。ペットボトルがヒーロー面しているからだろうか?

プラスチック汚染問題は日々深刻さを増している。昨年のトロント大学などの研究チームの発表によると、プラスチックごみの約11%が海に流出しているそうだ(2016年のデータを元にした推計)。ペットボトルも多数流出していることは間違いない。

2010年のデータをもとにしたジャムベックらの報告よりも、海洋へのプラスチック流出量はさらに増えている。

こんな深刻な事態なのに有効な手を打つことなく、ペットボトルをさもヒーローのように扱うこの広告は、どういう意図で作られたものだろうか。

せめてデポジット制度でメーカーが真剣に回収してくれていれば、これほど腹が立つこともないのだろうけれど・・。ペットボトルは「不滅」でないほうがいい。

「不滅のペットボトル」(全国清涼飲料連合会)↓

コカコーラ、4年連続トップの汚染企業

breakfreefromplasticの2021年レポートによると、2021年のプラスチック汚染企業は、「コカ・コーラカンパニー、ペプシコ、ユニリーバ、ネスレ、プロクターアンドギャンブル、モンデリーズインターナショナル、フィリップモリスインターナショナル、ダノン、マース、コルゲートパルモリーブ」とのこと。

コカコーラは、「販売量と同等量を回収」などという「2030年ビジョン」を大々的に掲げていながら、今年も汚染トップ。これで4年連続だ。

しかし、「ESGブランド調査」によると、コカコーラは5位。この手の調査結果は、環境団体の認識とはかけ離れているようだ。

https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00159/100600034/

イメージ戦略はうまいが、拡大生産者責任(EPR)は果たすつもりがないのだろうか。サスティナビリティをうたいながら、200mL前後の超ミニボトルを量産し、回収責任を果たさない・・。グリーンウォッシュを疑いたくなる。

そういえば、コカコーラはかつて日本で「空き缶公害」が問題になった際、汚染トップ企業だとして当時の若者たちが問題にした会社だ。当時の新聞によると、若者達は拾ったコカコーラの空き缶をトラックにいっぱい積み込んで、本社前に乗り付け、コカコーラに空き缶の買い取り要求をしたという。

その当時から会社の体質は何も変わっていないということか。回収責任をきっちり果たしてほしい。

<出典>

https://www.breakfreefromplastic.org/wp-content/uploads/2021/10/BRAND-AUDIT-REPORT-2021.pdf