プラ新法、安全面からも指針策定を 

今日の「中央環境審議会循環型社会部会プラスチック資源循環小委員会、 産業構造審議会産業技術環境分科会廃棄物・リサイクル小委員会 プラスチック資源循環戦略ワーキンググループ 合同会議(第9回)」を傍聴した。

最初に環境省から「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律」についての説明があり、次いで各委員からのコメント、といういつもの流れだ。

全都清の委員から、収集・リサイクル工程におけるリチウムイオン電池などの安全面にも配慮した指針を策定してほしいという意見があった。

確かに、これまでに起きたリチウムイオン電池に起因するパッカー車や焼却炉での火災事故を考えると、安全面に配慮することは必要だろう。

リチウムイオン電池のような危険物を使った製品は、拡大生産者責任(EPR)のもとで、しっかりと生産者が自主回収すべきだ。火災事故による被害は、作業員だけにとどまらず、修理や買い換えなどの費用は自治体にとって大きな負担だ。

なぜ、コストは自治体負担で、儲けはメーカーなのか。

そういう点でも、この新法はEPRの視点が欠如している、と考えていたところ、最後に座長の言葉に唖然とした。

この新法は従来のEPRよりももっと優れた日本ならではの??があるそうだ。エレン・マッカーサー財団がこだわるEPRはもう古いのだとか。

??部分はあまりにも驚いたため忘れてしまったが、EPRの神髄のようなものが新法にはあるらしい。

それにしても、日本流とか日本式などのような日本独自のスタイルに進化させることが、日本の研究者や産業界はお得意だ。いつのまにかEPRの考え方まで日本流に変化させたようだ。私には、ガラパゴス化したようにしか見えないけれど・・。

今日の資料は以下↓

https://www.env.go.jp/council/03recycle/9_4.html

1歳の雌死亡、シカのレジ袋被害は止まらない

奈良のシカはプラスチックごみを誤食し、被害を受けている。プラごみのなかでも、レジ袋のようなフィルム状のものは特に被害を受けやすい。紐状になり、排泄も吐き戻しもできずに、第一胃にたまったり、張り付いたりするからだ。

レジ袋有料化により、多少はレジ袋が減った。レジ袋が減った分だけ被害も減っただろうが、今でも有料化の抜け穴を利用して、レジ袋を無料で配っている店も多い。

また、有料で購入する人も少なくない。1円2円などと安く買えるため、その程度の値段ならばとためらわず買う人も多いのだ。

そのため、奈良のシカの被害は止まらない。

奈良の鹿愛護会のブログによると、1歳の雌ジカがプラごみを食べたことにより死亡したという。誤食したプラごみの写真を見る限りでは、レジ袋のようだ。

「プラスチックごみが第一胃の奥の方に詰まっており、それより先の消化管に食べ物があまり入っていなかったことから、プラスチックごみが食べ物の通過を邪魔して栄養不良となり、死亡に至る原因の一つになったのでは、と推測」されるとのこと。

<参考>

一般財団法人奈良の鹿愛護会ブログより

フランス、気候変動対策・レジリエンス強化法案を可決 量り売りも強化 

フランスで7月20日、「気候変動対策・レジリエンス強化法案」が採択されたようだ。

同法案は2月10日に閣議決定されたもの。抽選で選ばれた150人の市民から成る「気候変動市民評議会」がまとめた環境政策提言の一部を採用したことで有名だ。

主な対策として、15個掲げられている。

例えば、断熱性の低い住宅の貸し出し禁止、農地などから大型ショッピングセンターへ転換禁止、州は学校の食堂では週に1回ベジタリアンメニューを提供する、などだ。

ごみ関連のものとしては、2030年までに400平方メートル以上のスーパーでは店舗面積の20%以上で量り売りなど包装のない商品を販売しなければならない。

また、紙の大量消費対策として、チラシを制限するための実験を36ヶ月間おこなう。レターボックスに広告OKの表示をした世帯以外にはチラシを入れない。

他にも温暖化対策に資する具体的な施策が並んでいる。

<出典>

https://www.ecologie.gouv.fr/loi-climat-resilience

日本初、京都市内に量り売りスーパー誕生 デポジット制容器も導入

本日(2021.7.31)京都市上京区に量り売りで販売するスーパーがオープンした。「斗々屋(ととや)京都本店」だ。

全部で600から700種類の商品を扱っているとのこと。ゼロ・ウェイストを目指している。

小規模の店で一部商品(ナッツ類など)のみ量り売りにしている店はこれまでもあったが、この規模のスーパーで量り売りを中心に販売する店は全国で初めて。商品は、持参した容器や店にあるデポジット(保証金)制のリユース容器を使って購入する。

容器の重さを量ると、重量が電子的に記録されたタグがでてくる。それを容器に貼ると、商品の重さを測定した際に、自動的に容器の重さが引かれる仕組みだそう。この会計システムは寺岡精工が担当した。

https://www.teraokaseiko.com/jp/news/press-release/2021/20210728085927/

容器を持参しなくても、デポジットを払えばリユース容器を借りられるのはとてもありがたい。

ゼロ・ウェイストレストランも併設され、オーガニックの全粒粉を使ったうどん(パスタ?)などもあるようだ。

今度関西へ行く時には、容器を何種類も持参して、ぜひ立ち寄ってみたい。

<参考>

朝日デジタル「ごみゼロをめざすスーパー開店 「日本初」、京都に」↓

https://digital.asahi.com/articles/ASP7Z5H4RP7ZPLBJ001.html?_requesturl=articles/ASP7Z5H4RP7ZPLBJ001.html&pn=8

ソニーのイヤホンのパッケージがよさげ

ソニーの新製品のイヤホンのパッケージがなかなか良さそうだ。

古紙と竹、さとうきびの繊維でできている。古紙は各地で回収されたもので、竹は中国の3つの山のものに限定、さとうきびはタイ製で、砂糖を精製する際に焼却してしまう搾りかすの繊維だとのこと。

竹ならばすぐに生えてくるし、古紙とさとうきびは廃物利用だ。リサイクルには不向きかもしれないが(※)、地下資源を使わず、再生可能な資源のみを使っているところは好感が持てる。

耐久性も見た目もよさそうだ。

※NHK(7月26日)によると、古紙としてリサイクルできるそうだ(8月2日加筆)。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210726/k10013159701000.html

「ソニーグループは、先月発売したイヤホンのケースにプラスチックが使われていない素材を採用しました。自社で開発したこの素材は竹やサトウキビ、再生紙が使われ、古紙としてリサイクルできるということで、会社ではこの素材をほかの商品のパッケージにも使用できないか検討するとしています。」

<参考>

BUSINESS INSIDER(2021.7.27)

https://www.businessinsider.jp/post-239238

蜜蝋ラップ

友人が作ってくれた蜜蝋ラップ、なかなか使い勝手がよさそうだ。

これまではフタ付き容器を利用したり、小皿を上にかぶせたり・・などしていたが、小皿は落ちて欠けてしまうことも少なくなかった。

時々シリコーン樹脂もラップ代わりに使っていたけれど、添加剤が気になって直接食品に触れるものには使っていなかった。

蜜蝋ラップならば、使い残したニンジンやキュウリなども直接包めるのでうれしい。

蜜蝋ラップ

米国初、メイン州知事がEPR法に署名

メイン州知事が7月13日(火)、包装に関する拡大生産者責任(EPR)法に署名した。

これでメイン州は、包装に関するEPR法を可決したアメリカで最初の州になった。

メイン州には、電子廃棄物や塗料、水銀を含む製品など既に8つのEPR法があるそうだ。

<出所>

https://www.wastedive.com/news/extended-producer-responsibility-packaging-maine-oregon/602479/

陸橋に、マスク、不織布ティッシュなど270以上のごみ

時々通る近所の陸橋に、いつも多くのごみが落ちている。もう何年も気になっていたが、いつも足早に通り過ぎていた。最近マスクがよく落ちているなぁと、一昨日数えたところ陸橋の片側の歩道部分だけで6枚も落ちていた。

ウェットティッシュも目に付くし、たばこの吸い殻も多い。これではまるでスラム街だ。

昨日、ついに一大決心をし、プラスチック部分の多いごみだけ拾って数えてみた。

マスク10枚(うち布マスク3枚)、不織布製ウェットティッシュ・おしぼり16枚、菓子等の個包装3個、ペットボトル2本、ペットボトルのキャップ2個、飲料用パウチ1個、レジ袋1枚、ストロー1本、コンビニおにぎりのラップ1個、コンビニのサラダ容器1個、たばこの吸い殻200本以上(100までは数えたが、あとは面倒になり計200とした。数えていればおそらく200以上あったはず)、たばこの箱2個(うち中身が残っていた箱1個)などなど、合計272個のごみを拾った。

歩道の手すりに中身が半分ほど残ったペットボトル入りの水が1本置いてあり、ごみには見えたが誰か取りに来る可能性もあると思いそのままにした。また、車道の隅に車にひかれぺしゃんこになったペットボトルが2本落ちていて、歩道から手をのばせば取れる距離だったが、今回は歩道のみと決めていたのでそれも拾わなかった。

約30分、陸橋の両側の歩道(スロープを上って下りるまで)を歩いて拾ったごみが約270個。散乱ごみはマナーの問題ではなく、社会システムの仕組みの問題だ。きっと1週間後も同じくらい落ちているのだろうと思う。

日本のこの汚れ具合を見ていると、やはり日本のプラスチック政策は遅れていると思う。政策がプラスチック需要の増加に追いついていない。

数年前、海ごみサミットに招かれた環境省の人が「日本はまだまだきれいだ」といって、参加者を驚かせたが、きれいなのは掃除の行き届いた永田町周辺や観光地のような一部地域だけなのではないだろうか。

セブン、サンドイッチのパッケージのプラ量4割減

セブンイレブンが、サンドイッチのパッケージの一部を紙製に置き換えることにより、プラスチック使用量を40%削減できたとのこと。

7月27日から東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県の店舗にて順次、切り替えを開始するそうだ。

一歩前進だとは思うが、中身が見えなくてもいいから全部を紙に切り替えてくれればいいのに・・と思う。陳列棚に写真が1枚貼ってあれば、中身はわかるので。

本当は、ガラスケースに並んでいる無包装のサンドイッチを、持参の容器に入れて購入したいところだが、コンビニにそれを期待するのはムリだろうか・・。

<参考>https://www.ryutsuu.biz/strategy/n072120.html

日本はなぜ環境後進国になったのか

最近よく、日本は先進国ではなくなった、という言葉を聞く。確かに2000年以降、日本はもう先進国ではないなぁと思うことが増えた。近頃は特に「後進国」に見える。医療もデジタル関連も、コロナ禍のおかげで日本がいかに遅れているかがよくわかった。また、動物福祉や人権意識の低さも五輪のおかげで露呈した。

先月公布された新法、プラスチック資源循環促進法でも、先進国には当然あるはずの「拡大生産者責任」(EPR)がない。「広義ではある」と関係者の皆さんはおっしゃっているが、どう見ても通常の意味(広義ではなく)ではEPRの考えをベースにした政策はない。広義ではある?・・あまりにも広すぎて見えない。

容器包装リサイクル法ではEPRは50%といわれたが、今回の新法ではゼロに見える(少なくとも狭義では)。理由は、政府が経済界に配慮したからだろうが、一体どこの会社がそんなに働きかけたのだろうか?と思っていたところ、あるベンチャーが「経団連に入った」と得意そうに報告している文章が目に入った。

経団連はベンチャーにも門戸を開くようになったらしい。しかし、会費もバカにならないだろうに、経団連に入るメリットがそんなにあるのか?と思って、経団連のウェブサイトを見てみた。

https://www.keidanren.or.jp/nyukai.html

「会員のメリット」の項の1番目にこの文言がある↓

「1 貴社のご意見を経団連の提言に反映させて、政府等へ働きかけ、政策を実現することで、ビジネスの現場に即した環境を整備することができます。」

要するに、経団連に入会すれば、自社の利益になる要望を政策に反映させることができるということのようだ。まさに「物言う経団連」、要するに政府に圧力をかける団体ということか。

日本が、少なくとも「環境後進国」になったわけが、少しわかった気がする。