衝撃的な「衣類の末路」、チリの砂漠に衣類ごみの山

NHK番組「「知られざる衣服の末路」ニュース 地球まるわかり 」の終わりの方だけ偶然目にして、気になっていた。昨日、まだNHKプラスで放送されていることを知り、急いで視聴した。

南米チリのアタカマ砂漠に大量の衣類の山が出来ている。理由は、チリの自由貿易港で、衣料品の関税が免除されていることにある。関税が免除されるため、世界各国から売れ残りの衣類や古着が集まるそうだ。

その量は年間約6万トン。それを求めて各地からバイヤーが集まり、売買されるが、売れるのは約4割。6割(約3万9000トン/年)は砂漠に捨てられる。

かさを減らすため燃やされることもあるそうだが、プラスチックを燃やしたときの臭いが発生するという。大半が合成繊維だろうから、当然だ。

この捨てられた衣類の山のせいで、土壌汚染や火災などが起きている。近くには住宅もあるため、近隣住民に被害を与えている。

このような「衣類の末路」となっている国はチリ以外にもあるそう。廃棄衣料とはいえ、先進国の流行のファッションが新品(あるいは古着も)で入ってくることで、自国の繊維産業は壊滅的な打撃を受ける。自国の産業保護のため、タンザニアやウガンダなどで作る「東アフリカ共同体」は2016年、自国の産業保護のため海外から来る衣類を禁止しようとしたが、アメリカが自国のごみが送れなくなるとアメリカ国内の環境が悪くなるので困ると強く反対した。そのため、禁止もできなったそうだ。

2014年だけで、世界で1000億着以上の衣類が作られた。これは2000年のおよそ2倍の量だったという。先進国のファストファッションは、途上国の産業を壊滅させ、しかも大量のプラごみを押しつける結果になっている。

衣料を廃棄したり途上国へ行かないようにしたりするための、何らかのシステムが必要なようだ。

もう一度番組を見たいと思い、今日またNHKプラスで見ようとしたところ、昨日の夕方までの期限だったようで、既に見られなくなっていた。再放送があればぜひまた見たいと思う。

<追記>

日経新聞(2022.2.15)「アパレルの脱炭素へ「在庫税」を 河合拓コンサルティング代表 河合拓」によると、日本のアパレル産業は構造的な課題を抱えていて、

「1990年に約15兆円あった衣料品市場は新型コロナウイルス禍の20年は約7兆5千億円と半減した。一方で衣服の供給量は年20億点から年40億点近くとなりほぼ倍増。容量の限られるバケツ(市場)に水(衣服)を入れ続けている状態で、結果として余剰在庫も増え続けているとのこと。

https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20220215&c=DM1&ng=DGKKZO8010685014022022KE8000

日本の2014年の衣服供給量はわからないが、現在40億着近いならば、世界の1000億着のうち、日本の衣服の占める割合は結構高そうだ。

スポンサーリンク

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です