防災の日に、ポリ袋ご飯の給食?! 子どもの健康を危険にさらす「防災」

9月1日の防災の日、テレビを見ていて驚いた。ある学校の学校給食で「防災献立」として、子どもたちにポリ袋で炊いたご飯を食べさせていたのだ。

https://www3.nhk.or.jp/lnews/kochi/20250901/8010024552.html

一人分ずつ、1枚のポリ袋に米と水を入れて湯煎して炊いたものだという。

このポリ袋から、フタル酸エステルなどの化学物質がマイクロプラスチックと一緒に溶け出さないだろうか?なぜ子どもに、こんな危険なものを食べさせるのか。非常時ならば仕方ないと思うが、わざわざ災害でもない時に・・。

おそらく、ポリ袋にはフタル酸エステルは使わないから大丈夫だと考えているのだろう。しかし、塩ビ以外の製品からもフタル酸エステルは検出されている。日本のレジ袋からも検出されているから、このポリ袋だって怪しい。

プラスチックのこのような使い方は、子どもの健康にとって、リスクでしかない。米カリフォルニア州では、ジップロックが集団訴訟を起こされているが、日本ではわざわざ給食で子どもにポリ袋ご飯を提供する…。災害時でもないのに、「防災」という美名の下で。

フタル酸エステルはいわゆる環境ホルモンで、内分泌攪乱作用があるから子どもにとって特に有害だ。大人にとっても早死にリスクがあるなどの論文が出ている。

最近ではニューヨーク大学の研究チームが、「DEHPにさらされることが、世界的に年間およそ35万6000件の心臓病による死亡と関連しているとみられる」という研究結果を発表した。

https://life.chosunonline.com/site/data/html_dir/2025/05/21/2025052180070.html

DEHPは、フタル酸エステルの一種だ。

「DEHPにさらされることによる心臓疾患での死亡事例を地域別に見ると、中東や南アジアが全体の42%を、東アジアや太平洋地域が全体の32%を占めた」そうだ。日本を含むアジアの国々が、無防備にプラスチックを食品容器として濫用しているせいだろうか。

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大阪・関西万博で使用の「ヨギボー」50個、2日間の使用で廃棄

大阪・関西万博の屋外イベント広場で使用されたビーズソファのヨギボーが、たった2日間使用しただけで廃棄されていたそうだ。

https://voiceofnara.jp/20250815-news1221.html

イベント期間は3日間だったが、1日は天気が悪く使用できなかった。たとえ1日でも2日でも、こんな洗えないものを不特定多数の人が使えば、イベント終了と同時に廃棄されるのは当然だろう。

しかも、ヨギボーが置かれていたのは人工芝の上。人工芝も当然、万博終了と同時に廃棄されるはず。プラスチック削減のための国際会議が開かれる時代に、こんなプラスチックだらけの企画をたてる広告代理店のセンスもひどいが、それを了承している万博実行委員会の良識も疑いたくなる。

万博開催前に環境NGOなどからごみの出ない万博を目指すよう要請があったはずだが、全く無視されているようだ。

ビーズソファを廃棄しようとパッカー車に積み込むと、圧縮され「爆発」して(布が破れて)中の発泡スチロール製ビーズが盛大に飛び散ることが知られている。

50個を産廃処理場までどうやって運んだのか、無事焼却できたのか、ビーズが飛び散り汚染された場所はなかったのか、知りたいものだ。

さいたま市浦和、DIC跡地から1リットルあたり1万ngの高濃度PFAS 原因はフッ素系インキの開発? 

高濃度のPFASが検出されたのは、日新火災海上保険のさいたま本社の敷地内。この場所は、1986年までは「財団法人大日本インキ理化学研究所」(途中で財団法人川村理化学研究所と改名)と大日本インキ化学工業(現DIC)だったそうだ。

DICによると、財団研究所で1968年から1986年まで、PFOS関連物質の開発研究が行われていたとのこと。同社と財団研究所による共同研究も行われていたという。

PFAS汚染が発覚したきっかけは、損保会社から約5キロ離れた川で150ng/LのPFOSとPFOAが検出されたことだ。不審に思ったさいたま市が、雨水管をさかのぼって水質調査を行ったところ、この土地が発覚した。

39年経ってもこの濃度だったということは、元はどれだけ高濃度にこの土地が汚染されていたのか。おそらく当時、PFASを垂れ流していたのだろう。

川の濃度は今年1月以降の水質調査で上がり続けており、最大2万6000ng/L(指針値の520倍)だそうだ。

DICは責任を取り、土壌の入れ替えや遮水壁費用などを出すべきだ。

それにしても、塗料にPFASが入っているのは知っていたが、インキにもPFASが使われているのだろうか?

<補筆>

調べたところ、フッ素系塗料があるようにフッ素系インキというのもあるそうだ。PTFE(いわゆるテフロン)などのフッ素樹脂が使われているらしい。

<出典>

https://toyokeizai.net/articles/-/896089

どうなる?英ウェールズの人工芝禁止方針

米ロサンゼルスでもまだ人工芝禁止をめぐり議論されているが、英国ウェールズの人工芝の動向からも目が離せない。

2023年の「State of Nature報告書」によれば、ウェールズで記録された3,897種のうち約18%が絶滅の危機にあり、ウェールズの植物種の42%は過去よりも生息域が狭まっているとのこと。

使い捨てプラスチック製品の規制を進めるウェールズの気候変動大臣ジュリー・ジェームズ議員は2023年6月、使い捨てプラ製品禁止法に人工芝も適用できるか検討したいと発言。しかし、数日後にこの方針を撤回した。(使い捨てプラ製品禁止法は同年6月に成立。皿・カトラリー・ストロー・飲料かき混ぜ棒・風船スティック・綿棒・発泡スチロール製のカップ・テイクアウト容器などの使い捨て製品は同年10月30日から禁止)

その後、人工芝を含むマイクロプラスチック問題に関してどのような研究が行われているかを把握するため、Environment Platform Walesに対し、マイクロプラスチックに関するイベントの開催を依頼。2025年3月にイベントが開催された。

英国は、生物多様性を最重要視するお国柄だ。ウェールズでも、自然回復目標や気候変動対策を盛り込んだ新たな法案が準備されており、人工芝の規制強化も含まれる可能性があるとのことだが、まだ具体的な規制はないようだ。

ウェールズの今後の動きを注視したいが、あまり情報が入ってこない。

<参考>

https://business.senedd.wales/documents/s154752/Research%20brief.pdf?utm_source=chatgpt.com

https://news.sky.com/story/artificial-lawns-could-be-banned-in-wales-minister-says-12898818?utm_source=chatgpt.com

恥ずかしい大阪万博 人工芝の上に子ども達の絵画

大阪・関西万博の会場で、参加158国・地域と日本の子どもたちが、友情や平和を主題に共同制作した巨大絵が展示されたそうだ。

https://www.kobe-np.co.jp/news/society/202508/0019313642.shtml

よりにもよって、人工芝の上に、だ。

スイス・ジュネーブで開催中の国際プラスチック条約では、プラスチック生産量に制限をもうけるかが議論のカギとなる。未来をうたいながら、万博会場に人工芝を敷いたこと自体とても恥ずかしいのに、子ども達の絵などを飾ったら、人工芝がより目立ってしまう。

日本は世界の子どもたちの未来など知らない、プラスチックにまみれようがどうしようが構わない、とアピールしているようなものではないか。

日本政府はあくまでも、プラスチック問題は海洋汚染問題であり、不適切な廃棄物処理の問題だとして、プラスチックをあちこちに使えるよう「配慮」し、生産量を増やそうとしているように見える。

中国の「デフレ輸出」の影響で最近、アメリカでシェールガスから作ったポリエチレン樹脂が、中国経由で日本にも入ってきているのではないか。人工芝もそれで安く作られそうだ。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB144I70U5A710C2000000/

人工芝はヒートアイランド現象をも加速する。この猛暑を少しでも緩和するため、人工芝などさっさと剥がし、本物の草木を植えてほしい。

GP調べ:「プラスチック生産量削減すべき」が69% 

国際環境NGOのグリーンピースが、国際プラスチック条約第5回政府間会合再開セッション(INC5.2)を前に、1000人を対象に意識調査を行った。

「プラスチックの世界生産量を削減するべきと思うか聞いたところ、「削減するべきだとある程度思う」が39.1%で、「削減するべきだと強く思う」29.7%と合わせると、削減するべきだと思う人は合計68.8%となり、「削減するべきだとあまり思わない」4.3%、「削減するべきだとまったく思わない」3.8%を大きく上回った」そうだ。

プラスチックの生産量は、2050年までに約3倍増えると言われている。削減しないと人類に未来はないから、削減しなくてもよいと考える人は、2050年まで生きていない人(生きている気のない人)なのだろうか。

8月にスイス・ジュネーブで開催される会議には、日本政府からも代表団が参加する。中東の産油国やロシア、アメリカなどに同調しているようでは、税金を使って参加する意味はない。

「生産量を削減すべき」と堂々と主張し、意義のある条約を締結してほしい。

1日平均7万個のマイクロプラを吸い込んでいる

私たちは、大気中のマイクロプラスチックを毎日吸い込んでいる。問題はその数だ。

屋内で7万個吸い込んでいるというフランスの研究結果が公表された。

https://www.vietnam.vn/ja/nghien-cuu-gay-soc-con-nguoi-hit-hon-70-000-hat-vi-nhua-moi-ngay-trong-nha

私が今まで読んだ論文の中で最も大きかった数字は、中国の屋外の大気から割り出した数字で、1日5万個のマイクロプラスチックを吸い込んでいるというものだった。それがさらに増えたようだ。

「成人が毎日これらの環境から吸い込むマイクロプラスチック粒子はおよそ71,000個で、そのうち68,000個は10マイクロメートル未満のマイクロプラスチック粒子だと推定」されている。

10マイクロメートル未満は、体内に取り込まれてしまうサイズだ。つまり、大気から取り込むほとんどのプラスチック粒子は、排泄されないということだ。

屋外より屋内の方がマイクロプラスチックの濃度が高いことは、これまでの研究でも示されている。今回は車内の大気も測定したため、数字が跳ね上がったようだ。

車内がなぜそれほどプラスチックで汚染されているのかわからない。プラスチックに囲まれた密閉空間だからだろうか?

カーペットから大量のマイクロプラスチックが発生していることは確かだろう。

それとも、車の換気口から取り込む外気が、路上に近いため、タイヤ屑や道路標識のマイクロプラスチックでひどく汚染されていて、それを取り込むせいだろうか?

いずれにせよ、マイクロプラスチックの取り込みを減らすには、車にあまり乗らないのが良さそうだ。乗る場合は、せめてこれ以上車内にプラスチック製品を持ち込むことはやめた方がよい。

電車やバスの車内も測定してほしい。

EU、使い捨てプラ規制の推進を加速

欧州では国際プラ条約に向け、使い捨てプラ規制の推進を加速しているとのこと。

https://topics.smt.docomo.ne.jp/article/hedgeguide/business/hedgeguide-esg214047

特にクロアチアが頑張っているようだ。

クロアチアにはプラスチックフリーの島「ズラリン島」がある。

https://www.turistickeprice.hr/ja/本当に訪れる価値のあるクロアチアの緑豊かな目的地の持続可能な観光/

こういうところなら、安心して観光できそうだ。日本にもこんな島があれば、ぜひ行きたい。

プラスチック中毒になった生物

最近の研究で、プラスチックの味を学習する生物の話があった。

プラスチックの味を学習すると、マイクロプラスチック入りのエサの方が美味しいと感じるようになり、積極的に選ぶようになるそうだ。

香港の香港理工大学(Hong Kong Polytechnic University)で行われた研究によって、動物がマイクロプラスチック入りの餌を繰り返し食べることで、やがて汚染された餌を「おいしい」と認識し、積極的に選ぶように学習してしまう可能性が明らかになりました。(ナゾロジー2025.7.22)

元論文はこれ↓

https://pubs.acs.org/doi/10.1021/acs.estlett.5c00492

人間も既にしっかりプラスチックの味や感触を学習し、食べ物も環境もプラスチックだらけの方が落ち着くのかもしれない。

そうでなければ、ペットボトルや人工芝などこれほど売れるはずがないような気がする。

環境も心配だが、プラスチック中毒になった人類の健康への影響が気になる。

米研究:海洋のプラスチック汚染が高い地域は、心臓疾患などが多い

海洋のマイクロプラスチックレベル(MML)は、沿岸郡の心臓代謝疾患の有病率と有意に関連していると、米国の研究チームが発表した。

マイクロプラスチック濃度の高い海域の沿岸部に暮らす住民(平均年齢は43±6歳)は、マイクロプラスチック濃度の低い地域に暮らす住民と比べ、「2型糖尿病、冠動脈疾患、脳卒中の調整後有病率がそれぞれ18%、7%、9%高い」そうだ。

マイクロプラスチックの摂取が健康に影響するという報告は多いが、マイクロプラスチック汚染された海の近くに暮らすだけでも影響はあるようだ。潮風に乗って、マイクロプラスチックが海から陸へ流れてくるため、呼吸で吸い込んでしまうせいだろうか。

人工芝のようにマイクロプラスチックを大量に発生する施設は、やはりなくさなければならない。

<出典>

https://www.ahajournals.org/doi/full/10.1161/JAHA.124.039891