イルカの呼気からマイクロプラ見つかる

野生のイルカがマイクロプラスチックを呼吸で吐き出したそうだ。

マイクロプラスチックを吸い込むのはわかるが、吐き出した息から見つかったようだ。

サウスカロライナ州チャールストンにあるチャールストン大学などが発表し、PLOS ONEに掲載された。

クジラ目の動物がマイクロプラスチックに暴露される有力な経路として吸入を調べた初めてのものだそうだ。

https://www.cnn.co.jp/fringe/35225106.html

https://www.sciencedaily.com/releases/2024/10/241017113845.htm

人工芝から発生するマイクロプラスチック対策のための人工芝?!中学生より高齢者を重視

人工芝から発生するマイクロプラスチックを防止するための人工芝、というものがあるらしい。

以前もある事業者のサイトで読み、怪訝に思っていたが、確かに相模原市内のグラウンドでも、外周に、他よりも少しだけ丈の長い人工芝が使われている。

これでどれほど対策になるのかわからないが、メーカーにとってはうまい儲け話であることは確かだ。マイクロプラスチックを警戒する自治体に、防止する方法がありますよ、と持ちかけ、より多くの人工芝を売り込むことができるのだから、これほどうまい話はない。

厚木市の市議会報告を読んでいたところ、この対策用人工芝の話があった。

https://www.city.atsugi.kanagawa.jp/soshiki/gikaisomuka/4/r6_1_houkoku_6/42439.html

質問者が、「人工芝とマイクロプラスチックの関連性が問題視されているが対策は」と聞いたところ、

「劣化や摩擦しやすい人工芝の張り替えを行うことで、マイクロプラスチックの発生を抑制するものである。併せて、通常の人工芝よりも長く密度の高い、外周バリア人工芝をテニスコートの外周に張ることで、マイクロプラスチックが排水溝に流れることを抑制する」と答弁したのだ。

はて?

「外周バリア人工芝」で内側のマイクロプラスチック流出を多少抑制できるとして、その外周バリアの人工芝のマイクロプラスチックはどうなるのだろう?

内側の人工芝から発生したマイクロプラスチックを、バリアで一時的に補足できたとしても、大雨が降れば、せっかく補足した分のマイクロプラスチックにさらに外周バリア分のマイクロプラスチックが加わって、マイクロプラスチックは余計たくさん流れるのではなかろうか。

マイクロプラスチックは、テニスコート上を人が走り回ってのみ発生するわけではない。紫外線や風の影響で誰も触らなくとも発生する。当然外周バリアからも発生する。そのため、外周に背の高い人工芝を張ることは、まともなマイクロプラスチック対策にはなり得ない。

また次も面白い。

質問者「人工芝は滑りやすいが、ハードコートは滑りにくく、中学テニス部の生徒からの評判もいい。環境問題も考え、今後、ハードコートに変えていく考えはあるか。」
【答弁】砂入り人工芝はクッション性があり、足腰への負担が少なく、子供から高齢者まで幅広い世代に適しており、転倒などによるけがのリスクも軽減され、コートの乾きも早く、天候に影響されにくいなどのメリットがあるため、利用者が多く、稼働率も高い南毛利テニスコートは、利用者からも好評を得ている砂入り人工芝が最も適していると考える。

将来のある中学生にとり、国際標準コートであるハードコートは必要だ。それがわかっていながら、市があえて人工芝コートを選ぶのは、おそらく人工芝コートは高齢者に人気があるため、あるいはあると思い込んでいるためだろう。

人工芝は球速が遅く、弾みも悪いため、あまりうまくなくてもラリーが続く。しかし、ハードコートは球速が速く攻撃的なプレーになるため、ラリーは続かない。

趣味で楽しみたい人には人工芝コートのほうがよいだろうが、将来プロをめざすかもしれない若者にとってはハードコートの方が当然よいはず。

市が人工芝コートを選ぶのは、選挙権のない若者よりも、選挙権のある高齢者に配慮しないと議員に叱られるせいだろうか。

しかも、人工芝にはPFASやフタル酸エステルなど、特に若い人に影響が大きい化学物質も含まれている。人工芝で練習しなければならない若い人たちは、本当に気の毒だ。

重慶で比較:都会の人の尿中のマイクロプラ、農村部の人よりはるかに多い

今年発表された研究によると、都市部の人は農村部の人よりも尿中のマイクロナノプラスチックや種類がはるかに多かったそうだ。

中国・重慶の都市部と農村部に住む12人のボランティアの尿サンプルを2つの異なる方法で分析した。

見つかったポリマーは、ポリエチレンやPVC(塩ビ)、ナイロン、アクリル(ACR),

PMMA、ポリウレタン、ポリプロピレン、PETなど。

さらに、プラスチックのおもちゃとの定期的な接触や、パーソナルケア製品の使用は、マイクロナノプラスチックの存在に関連していたという。

DOI: 10.1016/j.scitotenv.2024.170455

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38286288/

食品包装に含まれる約1300の化学物質が人体に蓄積

スイスの非営利団体フード・パッキング・フォーラム財団(Food Packaging Forum Foundation)などの研究チームが、食品に接触する化学物質を1万4000以上のデータを調査したところ、うち3601(約25%)の物質が、皮膚、毛髪、血液、母乳、脂肪組織などの人体サンプルから見つかった。

2024年9月17日に「Journal of Exposure Science and Environmental Epidemiology」で発表された。

これにはプラスチックだけではなく、紙や段ボール、インクなどの物質も含まれているそうだ。

https://www.businessinsider.jp/post-293805

食品包装に乳がん原因物質が約200種類

食品包装に乳がんと関連する化学物質のいずれかが約 200 種類含まれているそうだ。

「一般的に使用される食品包装材には、乳がんを引き起こす可能性のある189の化学物質が含まれている」と研究者が報告したそうだ。

PFASやビスフェノール、フタル酸エステル類などの危険な化学物質は「米国、欧州連合、中国、南米、その他の場所で、使用制限することを目的とした規制にもかかわらず、食品包装に含まれている」とのこと。

これはプラスチック製の包装に限らず、紙で販売されているものも対象のようで、「乳がんに関連するプラスチック包装材料に使用されている143の化学物質を特定し、そのうち89は紙や段ボールで見つかった」。

研究者らは、人間が食事を通じて少なくとも76の発がん性化学物質に日常的に曝露されているという強力な証拠がある」と話している。

「がんを引き起こす化学物質上位76種のうち約40種は、すでにさまざまな国際規制当局によって何らかの形で有害物質として分類されているが、依然として食品包装に使用されている」と研究者らは指摘している。

Journal of Exposure Science & Environmental Epidemiologyに掲載されたレポートによると、そのうち79の化学物質が、がんや遺伝子変異、内分泌および生殖問題を引き起こすことが知られているそうだ。

<出典>

https://www.usnews.com/news/health-news/articles/2024-09-24/almost-200-chemicals-linked-to-breast-cancer-are-found-in-food-packaging

PFASが原因?日本人の腎臓がんは7割が特殊なタイプ 国立がん研究センターを含む国際共同研究結果

今日のPFASセミナーで、講師から標記の報告があり驚いた。

日本の国立がん研究センターなど国際共同研究による研究で、日本人の腎がん(腎臓がん)の7割以上に、他国ではまれな遺伝子変異が存在することが判明したそうだ。

https://www.ncc.go.jp/jp/information/pr_release/2024/0514/index.html#:~:text=解析の結果、日本人,ことが分かりました%E3%80%82

世界11ヶ国で腎がん(ccRCC)を全ゲノム解析し、ネイチャーに発表された研究論文だ。何らかの環境要因である可能性が高いとのこと。

リスク因子には、「年齢、喫煙、肥満、高血圧、糖尿病、PFASへの環境曝露」などが考えられるとネイチャーに書かれているそうだ。しかし、特殊なタイプは日本だけということで、消去法でPFASが原因である可能性が高い。発表した先生はPFNAを疑っている。PFNAは日本で作られているPFASで、他国ではあまり使われていないためだ。

恐ろしいことに、PFOAやPFOSが規制されるなか、日本ではPFNAの使用が増えている。

やはりPFASは徹底的な規制が必要だ。

そういえば、以前読んだニュースで、胎児期のフッ素への曝露で、7歳児のIQがわずかに低下するとの報告があった。

母胎が汚染されていれば、当然胎児も汚染される。PFASから逃れられない胎児は本当に可哀想だ。

(付記)

ネイチャーを確認したところ、確かに「年齢、喫煙、肥満、高血圧、糖尿病、PFAS化合物への環境曝露など」と書かれていた。国立がんセンターには早急に危険因子を解明してほしい。

<関連記事>

カリフォルニア州がプラ汚染でエクソンを提訴「リサイクルで解決できない」 フィラデルフィアは人工芝で訴訟

米カリフォルニア州が9月23日、世界的なプラスチック汚染を引き起こしたとして、エクソンモービルを提訴した。

同社は数十年間にわたり、人々にプラスチックの廃棄問題はリサイクルで解決できると人々に信じ込ませてきたことが詐欺や迷惑行為にあたるというものだ。

アメリカのことは好きではないが、プラスチックやPFASなどのメーカーを提訴し、責任を追及する国民性は素晴らしい。

日本人もここまでやれば、多少はマシな社会になるのだろうか?

そういえば、米フィラデルフィア市では今春、住民が市を提訴した。市が自然溢れる大きな公園に人工芝を敷くなどしていることが原因だ。

フィラデルフィア市が一体何を考えて、こんなによい自然公園を破壊しようとしているのかわからないが、この訴訟がどうなろうと、ペンシルベニア州の州議会で現在、PFAS規制の審議が進められている。

人工芝も規制対象になり可決される可能性が高いと聞く。可決されれば2027年からPFASを含む人工芝は使用できなくなるだろう。

科学者が警告:幼児は驚くべき早さでマイクロプラをカーペットから吸い出している

標記のタイトルのニュースがあった。何?と思い読んでみたところ、カーペットの繊維(マイクロプラスチックファイバー)を幼児が大人よりも多く吸い込んでいる、という内容だった。

根拠は、この英バーミンガム大学の研究。

https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0269749124016750?ref=pdf_download&fr=RR-2&rr=8ccd6b76cf38953e

それによると、カーペットは室内空気のマイクロプラスチックの重要な供給源として特定されたそうだ。

試料は英国の30の家庭と30の職場から採取した。とりわけ、PETとPVC(塩ビ)が多かったそうだ。

「幼児は大人よりも室内空気を吸い込み、より多くのマイクロプラスチックにさらされている。免疫系と神経系の発達がまだ不完全な幼児への潜在的なリスクに対する懸念が高まっている」とのこと。

人工芝:共産党都議団が都へ申し入れ

今月2日に、共産党都議団が人工芝について、都へ申し入れを行ったそうだ。

「炎天下で周辺環境より高温になる人工芝の都有施設への敷設を見直すよう小池百合子知事、浜佳葉子都教育長宛てに申し入れ」たとのこと。

https://www.jcp-tokyo.net/2024/1003/97212

受け取った都建設局は、「人工芝を敷設した箇所が何度以上になるかを認識していなかったことを認め」たそうだ。

人工芝は夏に60度以上の高温になる。そのため、設置している23区の小中学校では子どもへのやけどを防ぐため、スプリンクラーを設置している学校もある。

本当に知らなかったのだろうか?

人工芝の営業担当は、聞かれなければいわないかもしれないが、教育委員会は当然知っていたはずだ。

これ以上ヒートアイランドを促進しないために、人工芝を早く剥がすべきだと思う。

人工芝の問題はヒートアイランドだけではなく、マイクロプラスチックや、PFASなどの有害化学物質も問題だ。

「マスバランス方式」は新手のグリーンウォッシュか

「バイオマスを●%使っています」ではなく、「バイオマスを●%割り当てています」と表示された製品が増えてきた。

新手のサギかと思ったら、「マスバランス方式」の国際認証を取ったもののようだ。

国際認証とはいえ、民間の営利企業の認証だから、この機関との約束を破ったところで法的には何のお咎めもない。そのため、いかなる解釈もでき、グリーンウォッシュの温床にもなるらしい。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC091RP0Z00C24A9000000/

要は、実際に使用しているバイオマスを、表示の仕方次第で、実際より多く見せることが可能だということ。

「プラスチック・オフセット」とか「プラスチック・ニュートラル」にも感心したが、次から次へといろいろ考えるものだと思う。