ルーマニアのデポジット制度、順調に進行

昨年11月30日に開始されたルーマニアのデポジット制度は、順調に進んでいるらしい。

今年1月だけで200万個以上の容器が回収されたとのこと。

https://www.romania-insider.com/deposit-return-system-romania-packages-january-2024?eType=EmailBlastContent&eId=5c983eb0-10c0-47a5-a076-cb8cde976f9f

デポジット制度の対象は0.1から3リットルまでのびん、缶、プラスチックだ。

デポジット額は0.50RON(日本円で16円から17円程度)。

消費者が小売店に容器を返却すると、手動の場合は現金で、自動回収機の場合は店のバウチャーか、銀行振込で返金をうけることができる。

ルーマニアのデポジット制度に関する法律は2018年に可決された。

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オーストリア、2025年1月からデポジット制度開始 Sensoneo社の技術を選択

オーストリアは来年1月から飲料容器のデポジット制度を開始する。

対象は、0.1から3Lのペットボトルと金属缶で、デポジット額は0.25ユーロ(0.27米ドル)とのこと。

デポジット制度の複雑なITシステムは、やはりSensoneo社を選択した。同社の技術は現在、欧州のデポジット制度の要となっているようだ。

「オーストリアは、Sensoneoのソフトウェアソリューションを選択した6番目の国で、同社は、スロバキア、マルタ、アイルランド、ハンガリーのデポジット制度のシステムに加え、ルーマニアの世界最大の集中デポジットシステムを含む、ヨーロッパのデポジットシステム6つの公開入札をすべて獲得したと伝えられている」とのこと。

https://www.packaginginsights.com/news/austria-chooses-sensoneo-tech-for-national-drs-launch-in-2025.html?utm_source=Newsletter&utm_medium=email&utm_content=25+Jan+%7C+FEVE+talks+essential+PPWR+changes+%7C+Packmatic+secures+€15M+in+funding+%7C+Austria+chooses+Sensoneo+for+2025+DRS+launch&utm_campaign=2024-01-23+PI+Daily&eType=EmailBlastContent&eId=fcf337f9-7334-4876-920a-faaad2dad365

同社はスロバキアの会社で、2017年に創業。70ヶ国で事業を展開し、スマート廃棄物管理ソリューションを提供しているそうだ。

https://ameblo.jp/s2021751/entry-12801371634.html

昔はデポジット制度の運営は面倒でお金もかかったが、今はIT技術の進歩でだいぶラクにできるようになった。

上記パッケージングサイトによると、オーストリアの飲料容器回収率は現在70%。来年デポジット制度が開始されれば80%になると予想されている。2027年には90%になり、EU目標を達成できる。ペットボトル回収率のEU目標は、2025年までに77%、2029年までに90%だ。

日本もいつまでも「ペットボトル回収率は既に90%以上」などと、過大な予測をしていないで、早くデポジット制度で「真水」の90%回収を達成して欲しいものだ。

どうしてもデポジット制度を導入したくないのであれば、フランスのようにペットボトル使用を半分に減らす半減目標を立てるべきだが、日本は経済界に配慮し、どちらも選ぼうとしない。

シエラクラブ、米メリーランド州でデポジット制度に関する法案を起草

メリーランド・シエラクラブが、デポジット制度法案を起草しているそうだ。法案はまもなく提出されるとのこと。

https://bnnbreaking.com/world/us/maryland-activists-propose-bottle-deposit-system-to-enhance-recycling/?eType=EmailBlastContent&eId=6cae144f-60cf-4ef9-a917-f14397808cc6

シエラクラブは、全米50州に支部を置く環境保護団体だ。

https://kotobank.jp/word/シエラ・クラブ-169266

頑張れ、シエラクラブ!日本の環境団体も、ここまで力があれば良いのだけれど・・。

アイルランド、2月1日からデポジット制度開始

アイルランドでは、予定通り2月1日から飲料容器のデポジット制度が開始される。対象となる飲料容器の種類は、プラスチックとアルミ、スチールの3種類だ。ガラスは除外された。

サイズは150mLから3リットルまで。150mL以上500mL以下のデポジット額(保証金額)は15セントユーロ、500mLを超える容器は25セントユーロになる。

デポジット付き容器にはロゴが印字されている。印字のない容器は、返金を受けることができない。牛乳などの容器はデポジット制度の対象外だ。

容器の返却場所は、販売店やスーパーなど。自動回収機に破損していない空き容器を入れると、レジで換金できるバウチャーが発行される仕組みだ。自動回収機でなく、店頭に持ち込んだ場合でも、容器が破損していないことを確認後返金されるという。

ガラス容器に関しては従来通りのルートで回収されるそうだ。

EU指令後、EU域内ではデポジット制度を導入する国が相次いでいる。

参考↓

米ニューハンプシャー州、生産者責任の下 デポジット制度法案進行中

アメリカ・ニューハンプシャー州では今年、デポジット制度の新たな法案が進められている。

下院法案1636は、プログラムを監督する生産者責任組織(PRO)を設立し、飲料生産者と流通業者を貢献メンバーとした。

制度を運営する費用は政府機関ではなく、生産者が負担するものとする。

法案の提案者の1人であるシェリー・ダジー・ローズ州下院議員は、「政府がシステムを設定して管理する従来のモデルは、とりわけ予算の制約上、ニューハンプシャー州では効果的ではない」と述べているそうだ。

https://www.sentinelsource.com/state_news/new-bottle-bill-shifts-responsibility-to-beverage-producers/article_e59a57d5-77c5-5163-89d8-0180aae5ac7e.html?eType=EmailBlastContent&eId=6cae144f-60cf-4ef9-a917-f14397808cc6

30年前に導入されたデポジット制度には生産者責任の考えが含まれていないものもあったが、これからのデポジット制度は当然、生産者責任の下で行われるべきだ。ニューハンプシャー州の法案に、生産者責任の考えが取り入れられたのは当然だろう。

ハンガリー、飲料容器のデポジット制度開始 欧州で15ヶ国目

ハンガリーは今年の1月1日から飲料容器のデポジット制度を開始した。ヨーロッパでのデポジット制度採用国は、15ヶ国目だという。

https://www.packaginginsights.com/news/new-year-new-drs-hungary-begins-recycling-single-use-drink-containers-with-tomra-and-envipco-machinery.html?utm_source=Newsletter&utm_medium=email&utm_content=4+Jan+%7C+Hungary+launches+national+DRS+with+Tomra+and+Envipco+%7C+Dubai+outlaws+single-use+plastic+bags+%7C+Researchers+convert+cardboard+into+high-strength+cushioning+foam&utm_campaign=2024-01-04-+PI+Daily&eType=EmailBlastContent&eId=35a2351a-187c-42df-8c15-4ec08012158a

EUの「使い捨てプラスチック指令」によるものだ。

デポジット額はHUF50(米ドルで約0.14ドル)。対象は、0.1から3リットルまでの缶・ガラス・プラスチック製の全ての飲料容器(牛乳と乳製品を除く)だ。スーパーなどに自動回収機が設置された他、人の手によっても返却できる。

ニューヨーク州がペプシコを提訴、コカコーラは?

米・ニューヨーク州が州裁判所にペプシコを訴えた。

理由は、「州西部を流れるバファロー川が、ペプシコの商品に使われているプラスチックのボトルやキャップ、包装紙によって汚れ、飲料水が汚染され、生態系を傷つけていると指摘。同社はプラ容器などが健康や環境に与える潜在的なリスクに関して、消費者に警告を怠った」ためとのこと。

https://mainichi.jp/articles/20231116/k00/00m/030/026000c

ニューヨーク州のバファロー川流域は、ペプシコの商品がよく売れているようだ。

世界的に見れば、コカコーラがトップのプラスチック汚染企業だ。脱プラスチックネットワークBreak Free from Plastic主導の「プラスチック汚染企業調査」によると、コカコーラが5年連続トップの汚染企業だ。ペプシコのプラごみは2番目に多いが、コカコーラとの差は歴然としている。

プラスチック生産量や世界的なプラごみ散乱量がトップのコカコーラよりも、ニューヨーク州ではペプシコが最大の汚染企業だったわけだが、その理由として考えられることは、ニューヨーク州では以前から飲料容器を対象にデポジット制度が採用されていることだ。

ニューヨーク州のデポジット制度は金額が低く(わずか5セント)、しかも対象容器の種類も少ないため、最近はそれほど効果を発揮していないように見えるが、それでもペットボトルやアルミ缶はそれなりに回収されている。

そのため、飲料容器の量よりもスナック菓子の袋などの包装材が、ニューヨーク州の調査では多くカウントされたのではなかろうか。

コカコーラが何位だったのかはわからないが、どうせならばニューヨーク州にはペプシコだけでなく、トップ3までの企業をすべて提訴してほしかった。しかし、「見せしめ」の効果は大きいと思われる。

いずれにせよ、ニューヨーク州は早急にデポジット制度を見直し、対象を拡大すべきだ。おそらく1983年の施行以来、見直されていないのではないか。今どき、5セントでは効果が薄すぎる。回収拠点やボトルキャップの扱いについても再考すべきだ。

韓国、ストローや紙コップなどの使い捨て用品禁止を撤回か

飲食店内での使い捨てストローや紙コップの禁止を発表していた韓国が、また禁止までの啓発期間を延長した。また、コンビニのレジ袋禁止も同様に、禁止が延長された。いつまで延長するかは発表されていない。

KOREA WAVEによると「今月7日の発表によると、中小企業主の負担緩和を理由に、規制のかわりに勧告・支援する方向に路線を転換。ビニール袋に対して取り締まりを通じた過料ではなく代替品の使用定着を促進するとしている。事実上、使い捨て品規制から後退するものだ」とのこと。

「環境省は、生分解性袋や買い物かごなど代替品を使う傾向が定着したため、現場の肯定的な変化を考慮し、生活文化として定着させることを支援すると説明」しているという。

https://news.yahoo.co.jp/articles/f835e14326e2a27d9204035fe4771160739e10cd

「韓国コンビニ産業協会によると、大手コンビニが今年上半期に使用した袋は生分解性が70%を占めた」そうだ。

今年6月から施行する予定だった紙コップやプラスチックコップをテイクアウトする際の保証金制(デポジット制)は、既に2025年まで延期されている。

https://news.yahoo.co.jp/articles/2f01ac325315ce2a01cfcf235500982c937b61d6

韓国の政策は決まるのも早いが、変更も多い。

豪ビクトリア州でデポジット制度開始

11月1日、オーストラリアのビクトリア州でようやく飲料容器のデポジット制度が開始された。

デポジット額も返金額もどちらも10セント。返金は、現金でもバウチャーでも電子マネーでも可能なようだ。もちろん、寄付を選択することもできる。寄付先は、スキームに登録された慈善団体やコミュニティ組織などから選択できるそうだ。

容器の返却場所は、自動回収機や、小売店店頭、デポなど。

対象となる飲料容器は、150mL以上3L以下の飲料の入ったペットボトルやプラスチックボトル(HDPE)、ガラス、アルミニウム、スチール、板紙で作られた容器だが、牛乳などは例外となる。

オーストラリアでは既にほとんどの州でデポジット制度が実施されている。ビクトリア州が最後になる予定だったが、昨年導入開始が予定されていたタスマニアはどうなったのだろうか?無事開始されたのか、それともまだ延期されているのだろうか?

<出典>

https://www.energyportal.eu/news/community-celebrates-beginning-of-container-deposit-scheme/434889/?eType=EmailBlastContent&eId=d51b9f7e-3657-49c8-946e-6c9c90b0770f

ゼロ・ウェイスト宣言都市・独キールの取組とデポジット制度

ガーディアン紙にゼロ・ウェイスト(廃棄物ゼロ)宣言をしたドイツの都市を紹介した興味深い記事が掲載されていた。以下、一部抜粋。

ドイツ北部の港湾都市・キールは、ゼロウェイストヨーロッパにより、最も早く「ゼロ・ウェイスト」宣言されたドイツの都市だ。

子どもの紙オムツの代わりに布おむつを購入したい親は、自治体から最大200ユーロの助成金を受け取ることができる。

また、市最大のフェスティバルでは昨年、使い捨てカトラリー(フォークやスプーンなど)をやめ、代わりにデポジット制を取り入れたリユースできるカトラリーを採用した。

市議会は、公共施設での使い捨てアイテムの禁止や、公共の水飲み場の設置、小学生にごみについて教えるなど、さまざまなプロジェクトを発表している。また、プラスチック製ボトルに入った洗剤を使う代わりに固形石けんを使うなど、行動に簡単な変更を加えることも推奨する。

ドイツでは大半のガラス瓶がデポジット制度(保証金制度)の対象で、8から15セント多く支払って購入する。飲み終わった後、空のボトルをお店や自動回収機に返すことでお金(デポジット)を取り戻すことができる。そのガラスびんは、洗ってまた再利用される。

空の容器を返すのが面倒な人は、公園で飲んだ後そのまま放置したら、ボトルコレクターが拾ってくれる。コレクターの多くは、不安定な生活状況にあり、低賃金や年金を補うためにボトルを集めデポジットを手に入れる。このシステムは、通りを清潔に保ちながら、飲んだ人から貧困層にお金を少しシフトすることにも役立っている。

<出典>

英ガーディアン紙(2023.10.18)↓

https://www.theguardian.com/lifeandstyle/2023/oct/18/the-zero-waste-city-what-kiel-in-germany-can-teach-the-world?eType=EmailBlastContent&eId=3016872a-d659-411c-bc50-10a99ff3bdfb