最近、少し風が強いと近所から強い異臭が漂ってくるようになった。
香り付きの合成洗剤か柔軟剤かわからないが、マイクロカプセルに香料が入った高残香性タイプのものだということはおそらく間違いない。
匂いだけでなく、プラスチック製のマイクロカプセルも一緒に飛来してきているのだろう。想像しただけで気分が悪い。
なぜこんなハタ迷惑なものが商品として認可されているのか、と不思議で仕方がない。
使用者はおそらく匂いになれてしまい、あまり感じないだろうが、高残香性タイプの洗剤や柔軟剤は本当に近所迷惑だ。
暑くなってきたが、うっかり窓も開けられない。
プチ「脱プラ」宣言⑭納豆も「脱マイクロプラ」で
発泡スチロール入り納豆がイヤでたまらない、と思いつつ、毎日1パック戴いている。
パカッとパックを開くと、ポリスチレンの粉末(マイクロプラスチック)が舞い、せっかくの納豆の中に入ったような気がするのだ。
スチレンは発がん性も疑われる物質*だから、納豆容器だけでなく、発泡スチロールトレイもできれば避けたいと思っている。(しかし、スーパーは肉も発泡スチロールトレイ入りのものばかり・・)
たまに発泡スチロール入りではない納豆を見ることはあるが、たいていは値段が高すぎて毎日買う気にはとてもなれない。
紙コップ入りもたまに見かけるが、1パック30g入りと小さすぎて買う気になれなかった。
先日ようやく、それ程高すぎもせず、素材も納得できるものが見つかった!
経木と紙でくるまれている。
毎日スーパーで売られているかはわからないが、見つかれば今度から毎回これにしたいと思う。
いつも買う納豆は、国産大豆が3パック(1パック40グラム)で98〜128円程度。
この「都納豆」は80グラム入りが1個で98円。少し高めだが、大粒の北海道産大豆で経木入りならば、この程度の値段は許容範囲だろう。
有り難いことに、発泡スチロール製の納豆パックを開けると納豆の上に必ずかけられているプラスチック製のフィルムもない。
これで久々に少しだけ脱プラできた気がする。
*アメリカ国家毒性プログラムは、スチレンを「発がん性があるとする合理的理由がある」としている。また、東京都衛生研究所は2001年7月、スチレンダイマーとスチレントリマーの一部に環境ホルモンとしての作用があることを乳がん細胞を使った実験から突き止めた。
(東京都衛生研究所の件の出所:村田徳治著『化学はなぜ環境を汚染するのか』)
(後日捕捉)
その後、この「都納豆」を扱うスーパーへ行き、あったら必ず購入している。昨日は2個しかなかったが、数日前にはまだ5個残っていた。買い占めるのは気が咎めるが、夕方だから許してもらうことにして、全部買い占める。とても美味しい!
すぐに食べない分は、冷凍庫へ。
他のメーカーではなぜ経木にしないのか、不思議だ。
<関連記事>
プラスチック利用、企業に開示要求 合成繊維は?
日本政府は、年内に企業に対しプラスチックの利用状況について開示を要求するそうだ。
年内に指針を発表するとのことだが、強制はしないので、開示したくない企業はしなくても構わない。
しかし、グローバル企業であれば、開示しないとESG投資は期待できないので、当然開示することが見込まれている。
ガイドラインは年内にまとめて、企業に提示するとのこと。
これを機に、「プラスチック」の概念をきちんと整理して示して欲しい。
欧米では合成繊維や合成ゴムをプラスチックにカウントしているが、日本はこれらをプラスチックとみなしていないようで、日本のプラスチックの数字にこれらは含まれていない。
例えば、プラスチック資源循環戦略にも出てくる「廃プラスチックのリサイクル率 27.8%と熱回収率 58.0%を合わせて 85.8%の有効利用率」は、一般社団法人プラスチッ ク循環利用協会の出している数字なので、合成繊維や合成ゴムは含まれていない。
そのため、海外と比較できない上、日本では合成繊維や合成繊維はプラスチック問題の陰に隠れている。
今回政府が開示要求するプラスチックの利用状況の中に、まさか合成繊維が含まれていないということはないと思うが、これを機に明確にしてほしい。
<開示についての出所>
日本経済新聞(2020.6.7)「プラスチック利用、企業に開示要求 政府が年内に指針 」↓
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO60080100W0A600C2MM8000/
タスマニア州も2022年までにデポジット制度を導入
オーストラリアで、デポジット制度の導入をまだ計画していないのはタスマニア州だけ、と思っていたが、タスマニア州でも計画していた。
ニュースを見落としていたが、昨年(2019年)環境大臣が、2022年までにデポジット制度を実施すると発表した。
これでオーストラリアは、全土で2023年頃までには制度が導入されそうだ。
タスマニア州では、15年前からデポジット制度の調査をしていたとのこと。これまでは産業界などの反対で導入できなかったが、ようやく環境団体や研究者、地方自治体等の長年のロビー活動が実り、実現の運びとなった。
日本はまだデポジット制度が議論の俎上にも上らない。
日本の環境政策の遅れは、既に周回遅れを通り越してしまった。
<参考>
Tasmanian Government(2019.6.6)Container Refund Scheme for Tasmania;
http://www.premier.tas.gov.au/releases/container_refund_scheme_for_tasmania
EXAMINER(2019.6.6)Tasmanian government commits to introducing container refund scheme;
https://www.examiner.com.au/story/6204168/tasmania-to-implement-container-refund-scheme-by-2022/
テイクアウトで増えるプラごみに対抗、亀岡市のプラごみ削減の取組
レジ袋禁止条例を可決した亀岡市が、また新しい取り組みを始めた。
新型コロナ影響で増加するテイクアウト用のプラごみに対抗するため、テイクアウト用の容器やマイバッグ持参者には、来月末まで10円のクーポンをくれるそうだ。
そのため、弁当箱やタッパーウェアを持って、料理をテイクアウトする人が増えている。
これをきっかけに、日本全体で、テイクアウトする際には容器持参が当たり前の生活スタイルになることを期待したい。
下記で、取り組みを紹介するNHKの番組が見られる↓
https://www3.nhk.or.jp/lnews/kyoto/20200519/2010006760.html?fbclid=IwAR3sbotUf-CHfQhi1GqqsZkW4eVfjSbwnAvJEEoi1y2-Vbij0RnSPFJKKgo
アメリカではレジ袋禁止を一時ストップし、マイバッグの持ち込みを禁止するところもあると聞くが(マイバッグにウイルスが付着していることを懸念して)、日本はそうならなくて本当に良かった。
ついに日本の水道水からもマイクロプラスチックを検出!
やはり日本の水道水からもマイクロプラスチックが検出された。
これまで海外の水道水からは、マイクロプラスチックが検出されていた。
最初は2017年のオーブ・メディアから依頼された米ミネソタ大学と米ニューヨーク州立大学の研究チームによる調査で、世界13ヵ国(欧州7ヵ国とインド、インドネシア、アメリカなど)の水道水の83%からマイクロプラスチックが見つかったというものだった。
これが、過大だ、コンタミ(実験室での汚染)だ、と批判され、評判は良くなかったものの、その後各国での調査が相次いだ。
日本では、厚労省が2018年度の委託調査で、水道水のマイクロプラスチック検出方法や各国の状況についての報告書をコンサルに発注してまとめさせた。
それを読むと、各国でのマイクロプラスチックの検出方法がバラバラで、検出できるマイクロプラスチックの最低サイズもバラバラ。当然、結果にも大きなバラツキがあった。
日本の水道水のマイクロプラスチックについては不明なままだったが、関係者の間ではその存在は周知の事実のようだった。
今回ようやく、千葉工業大学の亀田先生たちが、北海道と沖縄の水道水中のマイクロプラスチックについて結果を発表した。
これらの地域では海外の水道水に比べ、マイクロプラスチック量は少ないようだが、他地域ではまだわからない。
今後、他地域でも調査し、自治体は対策を進めて欲しいものだ。
<参考>
オルタナ「水道水からも検出:マイクロプラスチックを考える(上)」↓
http://www.alterna.co.jp/30911
オルタナ「水道水からも検出:マイクロプラスチックを考える(下)」↓
http://www.alterna.co.jp/30915
英研究チーム、新種の深海生物からPET樹脂発見
英ニューカッスル大の研究グループが、太平洋のマリアナ海溝で新種の甲殻類を見つけた。そのうち1匹の幼生の消化管からPET樹脂のマイクロプラスチックを発見したそうだ。
水深6000メートルを超える深海とのこと。深海生物のマイクロプラスチック汚染は以前から報告されているが、新種の生物までもが汚染されていた。
以下、共同通信の記事を転載↓
グループは、2014年11月、米国のシュミット海洋研究所の調査船を使って、太平洋のグアム島に近いマリアナ海溝の6010~6949メートルの深海で多数のオキソコエビの仲間を捕獲した。この中から遺伝子や形態の分析から新種とみられるオキソコエビの成体3匹、幼生8匹を発見した。
1匹の幼生の消化管から、長さ約650マイクロメートル(マイクロは100万分の1)の繊維状のマイクロプラスチックが見つかった。ペットボトルや合成繊維などに使われるポリエチレンテレフタレート樹脂とみられるという。
<出所>
日本経済新聞(2020.4.2)「新種の深海生物にプラ粒子 6千メートル超のマリアナ海溝 」↓
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO57549270S0A400C2CR0000/
経産省、コンビニレジ袋の辞退率実験の結果を公表 写真は効果大
経済産業省が、コンビニでの3週間にわたるレジ袋実験結果を公表した。
「レジ袋を配布する」をデフォルト(初期設定のこと)とし、不要な場合に「辞退カード」を提示してもらうようにした店舗では、取組の前と比べて辞退率がほとんど変化しませんでした。
一方で、「レジ袋を配布しない」をデフォルト(必要な場合に「申告カード」を提示してもらう)にした店舗では、辞退率が大幅に上昇しました。さらに、カードの設定を無くした後も、一定の辞退率を維持しています。
「行動経済学」に基づく実験だそうだが、結果は既にわかっていた通りで、だいぶ前から多くのスーパーでも「必要な人はカードを提示」する方式を採用している。
しかし、面白いのは、カードの図柄が大きく影響したという点だ。同じ必要な人のみカードを提示する方式でも、カードの内容で辞退率に大きな差があった。
一番辞退率が大きかったのが、海洋ごみの写真が掲載されたカードで、文字だけよりも効果が大きい。しかもその効果は、日を追うごとにより鮮明になった。
それに比べ、文字のみのほうはリバウンドしている。
写真がいかに効果があるかがよくわかる。他のことにも応用できそうだ。
<参考>
経済産業省(2020.3.27)「ナッジを活用した庁舎内店舗におけるレジ袋削減の試行実験の結果を取りまとめました」↓
https://www.meti.go.jp/press/2019/03/20200327016/20200327016.html
「ペットボトルは使い捨て容器ではない」で論争
コカ・コーラとタイの包装会社Indorama Venturesが、マニラ南西部のカビテ州で、2021年に完成予定の1,900万ドルの施設の契約を締結したそうだ。
完成すればフィリピン最大の「ボトルtoボトル」(ボトルをリサイクルし、またボトルに戻す)の工場になる。
そこまではフツウのニュースだが、なんと両社が「ペットボトルは使い捨ての容器包装ではない」と主張し、論争を巻き起こしているとのこと。
両社の言い分は、ペットボトルは100%リサイクル可能で、使い捨てではない、ということだ。
それに対し環境団体は、ペットボトルは使い捨てモデルの一部だと主張。リサイクルされたとしても、水とエネルギーを必要とし、その結果、有毒な廃液と排出物が発生するとして、両社の言い分を一蹴。
環境系の人でなくとも、多くの人が、ペットボトルは使い捨てであることに同意するだろう。いかに回収され、仮にペットボトルに戻ったとしても、それまでの間にいくつものハードル(回収・選別など)があり、それを乗り越えなければならない。そのハードルを越えたとしても、劣化によりリサイクルできない繊維もある。
おそらくこの工場は、ケミカルリサイクルではなくメカニカルリサイクルの工場だろう。リサイクルする度に一定量の劣化は避けられない。
そもそも回収すらおぼつかず、これだけの汚染を引き起こしていながら「使い捨てではない」というコカ・コーラらの主張など、通るわけがない。
<参考>
Eco-Business(2020.3.24)Will Coke’s new recycling facility help ease the Philippines’ plastic woes?;
https://www.eco-business.com/news/will-cokes-new-recycling-facility-help-ease-the-philippines-plastic-woes/
新型コロナの影響で、スコットランドのデポジット制度開始を延期
コロナウイルスが各地のデポジット制度に影響を及ぼしている。
来年4月から開始が予定されていたスコットランドでも、コロナ対応に追われ、2022年7月まで開始が延期されることになった。
スコットランドのデポジット制度は、イギリスの他の地域に先駆け、使い捨てのガラスびん、缶、プラスチックボトルにそれぞれ20pのデポジット(保証金)を付けて販売される予定。返却すると、デポジットは全額戻る。
カニンガム環境大臣によると、「気候変動問題の目標達成のための重要手段の1つは、資源を可能な限り使い続ける循環型経済を構築すること。デポジット制度はその一環だ」とのことである。
また、スコットランド政府は、「スコットランドのデポジット制度は、リサイクル率を高め、ごみを減らす効果的な方法であるだけではない。高品質の素材の供給源であり、リサイクルのインフラを開発し、雇用を創出する大きなチャンス」であると分析している。
また、スコットランドのデポジット制度は、毎年費やされる4600万ポンド(約60億円)の税金による清掃費の節約になる上、85,500台もの車を道路から追放するのと同等の二酸化炭素節約効果もあるそうだ。スコットランドの経済規模で60億円というのはかなり大きい。
日本の政府や環境団体も、早くこの認識を持ってくれると良いのだが・・・、日本の大手環境団体の多くは、デポジット制度についてまだ全く関心がないようだ。
<出所>
HOLYROOD(2020.3.17)Deposit return scheme delayed to 2022 to allow businesses time to deal with impact of coronavirus;
https://www.holyrood.com/news/view,deposit-return-scheme-delayed-to-2022-to-allow-businesses-time-to-deal-with_15236.htm
HOLYROOD(2019.7.10)Deposit Return Scheme will increase trade and create jobs, finds Scottish Government analysis;
https://www.holyrood.com/news/view,deposit-return-scheme-will-increase-trade-and-create-jobs-finds-scottish-go_10560.htm