トリニダード・トバゴ政府は7月26日、飲料容器のデポジット制度を開始するため、国家飲料容器預金返還システム(BCDRS)の実施に関するフレームワークを発表した。
対象は、密閉された5リットル以下の飲料容器(ペットボトルや缶、びん、カートンなど)で、紙コップや既にリユースされている飲料容器は含まない。
容器の返却先になる事業者には手数料を支払う。
目的は、埋立地で終わる資源物をリサイクルに転換することだ。
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トリニダード・トバゴ政府は7月26日、飲料容器のデポジット制度を開始するため、国家飲料容器預金返還システム(BCDRS)の実施に関するフレームワークを発表した。
対象は、密閉された5リットル以下の飲料容器(ペットボトルや缶、びん、カートンなど)で、紙コップや既にリユースされている飲料容器は含まない。
容器の返却先になる事業者には手数料を支払う。
目的は、埋立地で終わる資源物をリサイクルに転換することだ。
米メーン州のPFASに関する法律が更新された。
新たな法律では、意図的にPFASを添加した以下のような製品を販売禁止とした。
・2023年1月1日発効:カーペットまたは敷物、ファブリック処理
・2026年1月1日発効:クリーニング製品、調理器具、化粧品、デンタルフロス、生理用品、繊維製品(例外あり)、スキーワックス、布張りの家具、容器
・2029年1月1日発効:人工芝、屋外用アパレル(ただし、PFASで作られたことが表示されていればOK)
・2032年1月1日発効:メーン州で販売されている意図的にPFASが添加された製品(使用が避けられないものは除く)など
・2040年1月1日発効:冷房、暖房、換気、空調または冷凍装置など
2029年までにPFASを含まない人工芝が開発されるだろうか?
<出典>
バーモント州ではすでに、食品包装、カーペットや敷物、シミや防水処理剤、スキーワックスなどの一部の家庭用品や商業用品についてPFAS禁止措置を講じていたが、今年5月30日に制定された新しい法律により、禁止対象のPFAS含有製品が大幅に拡大。人工芝も対象になった。
この記事によると、同州は2026年1月1日から、下記の製品に意図的にPFASを添加することを禁止するそうだ。
・アフターマーケットの汚れと耐水性処理
・人工芝
・調理器具
・化粧品
・食品包装
・失禁防止製品
・子ども用品
・生理用品
・敷物、カーペット
・スキーワックス
・繊維製品
なお、同州では、「規制対象PFAS」の定義も改正され、以下のものが含まれる:
(A)製造者が意図的に製品に添加し、製品において機能的または技術的効果を有するPFAS
(B)製品または製品成分中に、全有機フッ素で測定して50ppm以上のPFASが存在すること
他州でも規制が進んでいるので、今後アメリカではPFAS入り製品が減りそうだ。
<関連記事>
3リットル未満の容器のキャップを対象として、EU規制がまもなく始まる。
2018年に発表されたEU指令の1つで、開栓後もキャップが本体に付いたままになっていなければならない。
従来タイプのペットボトルは、開栓時にキャップが落ちやすく、散乱ごみになりやすかった。
ようやく7月3日から規制が開始される。
街や海岸を歩いていると、キャップが落ちているのをよく目にする。海鳥など野生生物にも誤食されやすく危険だ。日本も早くこの規制を導入してほしい。
EU理事会と欧州議会は今月4日、包装・包装廃棄物規則案に関して暫定的な政治合意に達した。法案は、「レストランやカフェなどで消費する飲料・食品やホテルの小分けシャンプーなどに使用される使い捨てプラスチック包装材の禁止、輸送用包装材の最小限化要件、再利用可能な包装材の利用率に関する飲料用や輸送用など包装用途別の目標値、すべての包装材に基準値以上のリサイクル可能性を課す要件、プラチック包装材におけるリサイクル済みプラスチックの最低使用要件など多岐にわたる規制を新たに導入する」とのこと。
https://www.jetro.go.jp/biznews/2024/03/783c82db1560ea37.html
具体的には、ファストフード店で提供される使い捨ての皿、コップ、箱や、ホテルで提供される小型シャンプー、そして食品店で提供される軽いプラ袋も禁止する。
また、「再利用率の目標も設定、持ち帰り店の容器はワインとミルクを除き10%とする。運送用包装の空スペースは最大で50%までとする」などにより、「包装廃棄物を30年までに5%、40年までに15%削減することで合意。30年までに全ての包装を再利用可能にする」とのこと。
さらに、食品と接触する包装材へのPFAS使用も禁止するそうだ。
多くの現地メディアは、この法案に関係する多くの業界団体が激しいロビー活動を展開したことを報道している。ワインや包装用段ボールなどが、法的拘束力を持った目標値の対象から除外されたのもその成果だろう。
今後、法案は両機関により正式にする必要がある。採択されれば、施行18カ月後に適用を開始する。実際の適用開始時期は規制によって異なるそうだ(JETRO2024.3.8)。
PFAS(有機フッ素化合物)は、高密度ポリエチレン製(HDPE)のプラスチック容器にもよく使われているそうだ。昨年、アメリカ化学会で発表された。
発表したのは米ノートルダム大学の研究チーム。著名なPFAS専門家でこの論文の著者の一人であるグラハム・ピースリー教授によると、農薬の容器にフッ素化された容器が使われると、農薬を通してPFASが農作物に移行し、それを人間が食べることになるそうだ。
その結果、「前立腺癌、腎臓癌、精巣癌、低出生体重、免疫毒性、甲状腺疾患など、いくつかの健康問題に関連する有害化学物質への重大な曝露の直接的なルートになる」とのこと。
https://news.nd.edu/news/plastic-containers-can-contain-pfas-and-its-getting-into-food/
PFAS濃度の平均合計は、「63.75±13.2 ng/gプラスチック」。家庭用洗剤、農薬、パーソナルケア製品などを調べた結果だ。
https://pubs.acs.org/doi/10.1021/acs.estlett.3c00083
日本で使われているプラスチック容器にもPFASが使われていることは間違いないだろう。粘着性のある液体が容器にくっつきにくくするためには、おそらくPFASが役に立つ。
ハンバーガーなどの包装紙にもまだ使っている大手ファストフードチェーンがあるくらいだから、もしかしたら、食品用の容器にも使われているかもしれない。マヨネーズは大丈夫だろうか?
ドイツでは2022年11月、使い捨てプラスチック製造者に対し、公園や街路の廃棄物処理費用の負担を課す法案が承認された。
https://www.eic.or.jp/news/?act=view&serial=48448&oversea=1
廃棄物投棄への対応に取り組む公共機関にその処理費用を支払うシステムの管理・処理を行うデジタルプラットフォームが、今年4月から運用開始となる。
これにより、連邦環境庁は約56000機関の賦課金支払い対象組織の登録と入金、および約6400機関への処理費用の分配をデジタル処理できるとのこと。
https://www.eic.or.jp/news/?act=view&word=&category=51&serial=49983
日本はなかなか進まないが、ドイツの拡大生産者責任はどんどん進んでいく。
<関連記事>
オーストリアは来年1月から飲料容器のデポジット制度を開始する。
対象は、0.1から3Lのペットボトルと金属缶で、デポジット額は0.25ユーロ(0.27米ドル)とのこと。
デポジット制度の複雑なITシステムは、やはりSensoneo社を選択した。同社の技術は現在、欧州のデポジット制度の要となっているようだ。
「オーストリアは、Sensoneoのソフトウェアソリューションを選択した6番目の国で、同社は、スロバキア、マルタ、アイルランド、ハンガリーのデポジット制度のシステムに加え、ルーマニアの世界最大の集中デポジットシステムを含む、ヨーロッパのデポジットシステム6つの公開入札をすべて獲得したと伝えられている」とのこと。
同社はスロバキアの会社で、2017年に創業。70ヶ国で事業を展開し、スマート廃棄物管理ソリューションを提供しているそうだ。
https://ameblo.jp/s2021751/entry-12801371634.html
昔はデポジット制度の運営は面倒でお金もかかったが、今はIT技術の進歩でだいぶラクにできるようになった。
上記パッケージングサイトによると、オーストリアの飲料容器回収率は現在70%。来年デポジット制度が開始されれば80%になると予想されている。2027年には90%になり、EU目標を達成できる。ペットボトル回収率のEU目標は、2025年までに77%、2029年までに90%だ。
日本もいつまでも「ペットボトル回収率は既に90%以上」などと、過大な予測をしていないで、早くデポジット制度で「真水」の90%回収を達成して欲しいものだ。
どうしてもデポジット制度を導入したくないのであれば、フランスのようにペットボトル使用を半分に減らす半減目標を立てるべきだが、日本は経済界に配慮し、どちらも選ぼうとしない。
米科学アカデミーの紀要(PINAS)に、大量のマイクロプラスチックがペットボトルから検出されたとの研究結果が掲載された。
https://www.pnas.org/doi/10.1073/pnas.2300582121
メディアはマイクロプラスチックのみに注目しているが、本当の問題はそこに留まらない。プラスチックに付着あるいは添加されていた化学物質が何か、ということも問題なのだ。
PET樹脂には可塑剤は使われないから安全だ、とよく聞くが、そんなことは決してない。ペットボトルから、いろいろな化学物質が検出されている。
例えば昨年、熊大の研究で分析されたフタル酸エステル類は、胎児や子どもの発達、生殖能力などにも影響を与える環境ホルモンだ。
熊本大学の研究チームの研究「Polymer types and additive concentrations in single-use plastic products collected from Indonesia, Japan, Myanmar, and Thailand」(インドネシア、日本、ミャンマー、タイから集められた使い捨てプラスチック製品の樹脂の種類と添加剤濃度)↓
https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0048969723026049
しかも、PINAS論文によると、ペットボトルの水で見つかったプラスチックはPETだけではなく、ナイロンやポリプロピレン、ポリスチレン、塩ビまでもが見つかっている。ナイロンは水をろ過する際に使われたのかもしれないが、ポリスチレンや塩ビはなぜだろうか?ちょっと怖い気になる樹脂だ。
しかし、最近はコマーシャルの影響か、日本でも「水は買うのが当たり前」になっていると聞く。プラスチックに入れられた水の方がよほどアブナイと思うのだが・・。
「安心」な環境に慣れすぎたせいで、危険かもしれないプラスチックに心が動くのだろうか?怖い物みたさ?それとも「プラスチック中毒」の人が増えているのかもしれない。
アメリカの消費者専門誌が「コンシューマーレポート」によると、スーパーとファーストフードの食品を調べたところ、プラスチックの添加剤が多く認められた。
検査した85種類のうち84種類に、プラスチックに柔軟性を持たせるために添加する可塑剤「フタル酸エステル」が含まれていたそうだ。さらに、79%の食品からビスフェノールAなどのビスフェノール類も見つかった。
https://jp.reuters.com/life/P5BI5HV735JYJKAEZ6Y4ZJCGC4-2024-01-05/
基準値は超えていなかったと言うが、そもそもフタル酸エステルやビスフェノールのような環境ホルモンの有害性には閾値がないため、基準値より低いから安全だとは限らない。
ビスフェノールAは2009年の検査時よりも低かったが、フタル酸エステル類は1サンプルを除き、全ての食品から見つかった。特に乳製品や調理済み食品にフタル酸エステルが多かったという。
フタル酸エステルが最大だったのは、缶に入ったアニーのオーガニックチーズラビオリだった。
プラスチック包装だけでなく、缶詰も避けた方が良さそうだが、包装材がなんであろうと調理済み食品は調理時に手袋や調理器具にプラスチックが使われているため、フタル酸エステルなどは避けようがない。
調理済み食品をやめ全てを手作りするのは難しいが、少なくとも子どものいる家庭は極力避ける必要がありそうだ。
最近流行の液体ミルクは安全なのだろうか。消費者庁は液体ミルク中のフタル酸エステル類を測っているのか?おそらく測っていないのではないかと、心配だ。