ルーマニアで、飲料容器のデポジット制度が段階的に開始されるらしい。
Viorica Dancila首相が先週火曜日、リサイクル率を高めるため、政府は包装ごみを規制する緊急条令を採択していると発表した。
2019年3月31日からリターナブル(リユース)容器のデポジット制度を開始し、使い捨て飲料容器のデポジット制度は2022年3月1日から開始するようだ。使い捨て容器の対象は0.1から3リットルまで。
<出所>
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ルーマニアで、飲料容器のデポジット制度が段階的に開始されるらしい。
Viorica Dancila首相が先週火曜日、リサイクル率を高めるため、政府は包装ごみを規制する緊急条令を採択していると発表した。
2019年3月31日からリターナブル(リユース)容器のデポジット制度を開始し、使い捨て飲料容器のデポジット制度は2022年3月1日から開始するようだ。使い捨て容器の対象は0.1から3リットルまで。
<出所>
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2018年の「オーバーシュート・デー」は8月1日。あと2日で、地球は赤字生活に入る・・というより、あと2日で私たちは子孫の使うべき資源を借用して使う借金生活に入る。
オーバーシュートとは、人間が地球の収容力(バイオキャパシティ)を超えてCO2を出したり資源を使ったりすることで、オーバーシュート・デーとはちょうど地球のバイオキャパシティを使い果たし、元本に手を付け始める日のことである。
地球のバイオキャパシティの範囲内で暮らしていたならば、地球温暖化は起きなかったはずで、ごみ問題の解決もこれ程難しくなかったはずだ。
子孫に残すべき資源に手を付けても、今の世代の人間がそれを穴埋めすることはおそらくできない。穴は毎年大きくなり、地球のバイオキャパシティはそのうち急落するだろう。
現在人間は、世界平均で地球1.7個分の暮らしを送っており、先進国など資源浪費国はどこも平均を軽くオーバーしている。今の日本人と同じ暮らしを世界中の人たちが送ると、地球は2.9個必要になるそうだ。
<参考>
共同通信(2018.7.26)「あと1週間で地球は赤字 今年の「アース・オーバーシュート・デー」は8月1日」
https://www.kyodo.co.jp/mamegaku/2018-07-26_1845070/
朝日新聞(2018.7.3夕刊)「日本の暮らし、地球2.9個分 環境負荷、独自の単位で数値化」
イギリスでは、デポジット制度の導入を前に、環境団体が制度への詳細な希望を表明したり、既に制度を一部先取りして開始する大手スーパーなども現れ、動きが慌ただしい。
コカ・コーラ・ヨーロッパ・パートナーズとコカ・コーラ・ブリティッシュ・コロンビアも、イギリスでのデポジット制度に役立つだろう11の提案を公表した。
財務管理と不正行為の管理、イギリス全土をカバーする共通のアプローチ、非営利団体へのスキームの委託などだ。
運営費用は、回収された容器の売却益や、容器を返還しないため残った消費者の支払ったデポジット(預り金)、そして生産者と小売店によってカバーされるべきであると提案している。また、すべての当事者が制度に確実に参加するため、法律によってデポジット制度は規定されるべきだとしている。
以前公表された日本のコカ・コーラのビジョンには、回収を自治体に任せ続けたい気持ちが透けて見えて失望させられたが、ヨーロッパとイギリスのコカ・コーラは非常にまっとうな考えを持っているようだ。
デポジット制度の運営費用は、小売店によってカバーされるべきかは異論もあるだろうが(確かにそれもよいかもしれない)、容器売却益と未返還デポジットの不足分は、生産者責任によりカバーされるべきという意見には大賛成だ。
もちろん、イギリス全土にデポジット制度を導入するため、法律で規定すべきという意見も当然であろう。
<出所>
PACKAGING(2018.7.17)Coca-Cola unveils vision for deposit return scheme
https://www.packaging-gateway.com/news/coca-cola-unveils-deposit-return-scheme/
使い終わったペットボトルの約半分はこれまで中国に輸出されていたが、中国の輸出規制のため、日本は国内リサイクル量を至急拡大させる必要がある。
これまではランクの落ちるペットボトルのベールは中国に買い負け、日本のリサイクル工場の処理容量は余っていた。しかし、今は容量不足だ。
この容量不足を補うために、各地で工場が増設されている。
例えば、西日本ペットボトルリサイクルは現在、年1万トンの再生PET樹脂を生産しているが、約12億円投資し、2019年1月から1万5000トンに引き上げるとのこと。
また、トレイ大手のエフピコは、既に関東エコペット工場に設備投資を行い事業拡大を進めていたが、さらに筑西工場(茨城県)の隣接地に食品容器の新工場を建設する(日経新聞2018.5.3)。
さらに、日本環境設計は、ペットボトルや古着から取り出した再生材で作る同社ブランドの衣料品を販売するとのことである(日経新聞2018.5.19)。
ペットボトルなど使い捨てプラスチックは減らすべきで、使わないほうが良いのは明らかだが、日本にこのようなリサイクルの受け皿ができることは、「燃やさない」「海外にごみを出さない」という2点において、有り難いことだと思う。
それにしても、国は来年のG20までに、使い捨てプラスチックをどの程度本気で規制するつもりだろうか。
<参考>
日経新聞(2018.5.3)「エフピコ、茨城に新工場 40億円投資、食品容器生産」↓
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO30095080S8A500C1LCC000/
日経新聞(2018.7.19)「廃プラ日本滞留、中国輸入停止で 再利用策急務に」↓
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO33111530Y8A710C1TJ2000/?n_cid=NMAIL007
中川環境大臣が、7月13日、プラスチックごみの海洋汚染問題の対策を中央環境審議会に諮問した。
中央環境審議会では「プラスチック資源循環戦略小委員会」を設置し、プラスチックの資源循環を総合的に推進するための戦略の在り方について検討する。
具体的には、今年度内に、先般のG7で署名しなかった「海洋プラスチック憲章」の事項や数値目標などを検討し、日本でも可能な事項や目標値を設定するものと考えられる。その上で、それを来年のG20で披露するつもりだろう。
<出所>
環境省「中央環境審議会循環型社会部会議事次第・資料」↓
https://www.env.go.jp/council/03recycle/post_136.html
先日、国連大学にて開催されたエコロジカル・フットプリントの考案者であるウィリアム・リース先生の講演会に参加した。
講演会開始前、司会者が「飲料につきましては、キャップのできるペットボトル飲料の水・お茶のみ会場内で飲むことができます。」とアナウンスしたので、驚いた。
え!ペットボトルの水とお茶だけ?水筒はダメなの?
聴衆は外国人も多く、外国人は水筒を持参している人が少なくなく、ペットボトル持参者はいなかった。日本人は水筒持参者もいたが、ペットボトル持参者も少なからずいる。
ペットボトルしか許されていないのならば、水筒をバッグにしまうべきかとも考えたが、講師やパネラーの席にはペットボトルではなく、コップに入った水が置かれている。
水筒持参者は全員司会者の注意を無視し、水筒を使い続けていた。
国連大学の中は、なぜペットボトルの水とお茶しか飲用してはいけないのか?国連環境計画(UNEP)は使い捨てをやめようと言っているのに、国連大学ではペットボトルを推奨しているのか?などと考えながら、リース先生のオーバーシュートの話を聞いた。
小型ペットボトルを多用している限り、オーバーシュートは避けられないだろうと思う。
キュービーはドレッシングの容器を、150ミリリットル入りのガラスびんボトルから180ミリリットル入りのプラスチックボトルに変更するとのこと。
脱プラスチックを目指し、各国が包装材への規制を強める中、日本のメーカー各社は脱プラスチックを目指しているようには見えない。
国の海洋プラスチックごみへの対応の鈍さが、民間企業にも伝染しているように見える。
マクドナルドなども海外ではストローをプラスチック製から紙製に切り替えているが、日本では切り替えるという話は聞かない。
日本の消費者は環境に疎いから、何をしても大丈夫!と企業から思われているのではなかろうか。
<出所>
日本経済新聞(2018.7.4)「キユーピー、ドレッシング容器刷新 使い切り想定」↓
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO3256567003072018XQH000/
ルーマニアで、持ち手のあるレジ袋が禁止される。
2018年7月1日以降は、国内市場における事業者向けの販売が、2019年1月1日以降は消費者向けも含めた全ての販売が禁止されるとのこと。
フランス同様、50マイクロメートル以上の厚手のレジ袋は、再利用できるとして、規制の対象外だ。
違反者には罰金が科せられる。
<出所>
JETRO(2018.5.1)「環境保護のためレジ袋の取り扱いを規制(ルーマニア)」↓
https://www.jetro.go.jp/biznews/2018/05/f8fe620b989dc185.html
近年、多くの環境対策が後手に回っている日本だが、中でもレジ袋の規制遅れが著しい。
世界では既に67カ国で、禁止や有料化などの措置が取られているという。
この数は既に導入済みの国で、導入することが決まっている国(例えばモンゴルなど)も合わせると、かなりの数に上る。
日本のレジ袋対策は、いまだに事業者の「環境意識」に任されているため、自治体が努力して有料化協定を結んでも、「顧客離れ」などを理由に協定から離脱するスーパーも少なくない。コンビニにいたっては、大手チェーンなどはこれまで協定の席にすらつこうとしなかった。
レジ袋の素材であるポリエチレンは、PET樹脂などに比べても化学物質を引きつける力が強く、しかもすぐに劣化し、ボロボロになる。マイクロプラスチックの大きな発生源の1つだ。
有害化学物質を吸着したマイクロプラスチックを食べた生物への影響や、魚介類をとおしてヒトの健康への悪影響も懸念される。
かつて、海洋ごみ問題の先駆者である北海道大学の小城先生が、海のプラスチックごみの害について、ジワジワシンドロームだとおっしゃっていた。影響がジワジワと浸透し、人間が海洋プラスチックの被害に気付いた時には既に手遅れになっているだろうとのことであった。
レジ袋は顧客サービスではなく、マイクロビーズと同様の有害物質だということに、日本政府も早く気付き、手を打つべきだろう。
<レジ袋規制国数についての出所>
東京新聞(2018.6.30夕刊)「使い捨てプラ 日本規制遅れ 世界60カ国以上で生産禁止や課金」↓
http://www.tokyo-np.co.jp/article/world/list/201806/CK2018063002000276.html
2019年6月28日・29日に大阪で開催されるG20サミット首脳会議で、日本は先般拒否したG7の「海洋プラスチック憲章」の目標を上回る目標を発表するようだ。
以下、時事通信 官庁速報(2018年6月27日)より
「サミットで日本は、国内の企業や消費者の理解を得る必要があるとして、合意を見送った。しかし、目標自体は十分に達成できる可能性があることから、さらに上積みした目標を盛り込んだプラスチック資源循環戦略を19年6月までに取りまとめ、同月に大阪で開かれる20カ国・地域(G20)首脳会議でアピールすることにした。
しかし、日本が署名しなかった海洋プラスチック憲章は、プラスチックのリサイクル率目標だけではない。日本が達成できそうな目標は「2030年までに、プラスチック用品を全て、再利用可能あるいはリサイクル可能、またはどうしても再利用やリサイクル不可能な場合は、熱源利用する」ということや「2030年までに、可能な製品について、プラスチック用品の再生素材利用率を50%以上にする」、あるいは投資を加速させることについてなどの項目である。
これらの項目については、言葉の解釈の仕方でいくらでも言い逃れ(達成)できる。例えば、日本が2030年までにペットボトルを50%再生材で作ることはそれほど難しくない。技術的には現在でも十分可能なはずだ。
投資額を多少増加させることについても難しくないはずだ。これまで日本が行ってきた投資は、抜本的にプラスチックごみを減らそうというものではない。例えばセブン・イレブン店頭にペットボトルの自動回収機を設置することに環境省は補助金を出したが、これなどはどうみても、使い捨てを助長する投資だ。ペットボトルの消費拡大にはつながるが、ポイ捨てを減らすことには働かないだろう。セブン・イレブンまでペットボトルを持参し、0.2円分のポイントを得ようとする人はもともとポイ捨てするような人ではなく、自治体回収やスーパーの回収ボックスにペットボトルを排出していた人たちだ。
これまでおこなってきたこのような投資先を見直した上で、金額を多少上乗せすることは、それ程難しくない。
問題は、「不必要な使い捨てプラスチック用品を著しく削減する」ことである。これを、日本は本当にするのだろうか?
国連や、G7の海洋プラスチック憲章が、日本のような国(回収率はそこそこ高いが、使い捨てプラスチック製品を多用している国)に本当に求めていることは、リサイクル率を上げることよりも、大幅に使い捨て製品を減らすことではなかろうか。
そうでなければ、今と変わらない「大量生産・大量消費・大量リサイクル」になってしまう。使ったものを100%回収することは、今の日本の回収システムでは不可能で、その結果が今の川ごみや海ごみの現状だ。
リサイクル率を上げることも大事だが、それよりもまず、使い捨てのプラスチック製品を大幅に削減できるような方策(例えば、使い捨てプラスチックコップや使い捨て食器の段階的禁止や課税、レジ袋の禁止、ペットボトルを規制できない場合はデポジット制度により100%の回収を目指す、など)を考えるべきである。
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