ラテンアメリカ発 ウルグアイでデポジット制度開始

ウルグアイで飲料容器のデポジット制度が開始された。ラテンアメリカで初めてとのこと。

出典:https://www.logisticsbusiness.com/packaging-ecommerce/uruguay-launches-deposit-return-system/?utm_source=chatgpt.com

対象は、ガラス、アルミ、プラスチック、そしてlong-life multilaminates(長寿命のマルチラミネート?アルミ付き紙パックのようなものか?)とのこと。

詳しい情報はないので不明だが、2022年に環境省が承認した国家計画のようだ。

Reloopの『2022年グローバル保証金システムマニュアル』(Global Deposit Book 2022)によると、「現在全世界に50種類以上の異なる「保証金制度」があり、飲料容器の回収率は平均76%に達する。2026年末には、約7億4800万人がデポジット制度を導入している国や地域に住むことになる」のだそうだ。

デポジット制度の根底には「生産者責任」の考えがある。生産者が責任を持って容器を回収すべきだという考えのもと、世界各地でデポジット制度が採用されている。

日本のように企業と政治家、官僚が密接に結びついている国では、残念ながらデポジット制度が採用されることはない。

わからないのは、デポジット制度を推奨することと、ペットボトルを推奨することは同じだと決めつける一部の「環境系」の人たちの言動だ。

デポジット制度を理解していないにも関わらず、反対派の尻馬に乗って「ペットボトルなど回収してもしようがない。使わないことが一番大事なのだから」としたり顔でデポジット制度反対を唱える。どうにもガマンできない。

そんなわかりきったことを言うならば、さっさと「ペットボトル反対運動」でもやるべきだ。

オランダのプロサッカーリーグ、今年から天然芝でのみプレー

オランダのプロサッカーリーグの1部リーグであるエールディヴィジのすべてのクラブは、2025-26シーズン以降、天然芝またはハイブリッドピッチでのみプレーする。

エールディヴィジとファーストディビジョン(2部リーグ)のクラブは、プロサッカーの総会でこの決定に投票。人工芝でのプレーは完全に終了したことを意味しているそうだ。

「オランダのプロサッカーでは、クラブが天然芝やハイブリッドピッチに切り替えると報酬が支払われるため、人工芝のフィールドの数はしばらく減少している。この移行は、2018年にエールディヴィジ変更アジェンダから始まった」とのこと。

https://eredivisie.eu/news/no-more-artificial-turf-in-the-eredivisie-from-the-2025-26-season/

この報酬については、「2018年には欧州カップ戦のグループステージに進出したチームが受け取れるUEFAの分配金・テレビ放映権料の5%を、天然芝を採用しているチームに補助金として支給するルールができ、天然芝への回帰をオランダリーグ全体で促していった」と、この日本語の記事(2020.5.26)にも記述されている↓

かつての人工芝ブームから一転、天然芝の香りが戻ったオランダ

人工芝が減り、天然芝グラウンドが復活することは、気候変動対策にもなるのでとてもうれしい。

日本では、Jリーグ(日本のプロサッカーリーグ)の公式試合は天然芝グラウンドでのみ行われているが、日本サッカー協会の助成金により、各地のサッカー場は人工芝が多い。日本サッカー協会もそろそろ脱人工芝に舵を切るべきではないだろうか。

人工芝化する校庭の増加理由は、不完全な「学校保健安全法」のせいか

以前は大学などのサッカー部が使うサッカー場を人工芝にする傾向があった。特に強豪校といわれる学校は、人工芝が好きだった。最近では、サッカー部を強くしたい高校のサッカー場も人工芝になってきた、と思ったら、小中学校の校庭まで人工芝にする学校が増えているようだ。

理由は、近隣への砂塵対策などだと聞くが、人工芝化された校庭をもつ学校に通う児童は気の毒だ。

人工芝には内分泌かく乱作用のある化学物質が含まれている。芝葉の部分にはノニルフェノールやUV-328など、ゴムチップにはフタル酸エステルをはじめ、気になる物質がてんこ盛りに含まれる。PFASも含まれている可能性が高い(PFASは芝葉部分に多い傾向)。

人工芝から発生するマイクロプラスチックが大気へ放出されると、そのマイクロプラスチックに付着したこれら化学物質も一緒に放出されることになる。それを吸い込むのは、通っている児童・生徒だけではないが、やはり毎日学校にいる子が多く吸い込みそうだ。

もちろん、すぐに毒性が現れるような物質ではないので、気にしない親も多いだろうが、私ならば我が子を通わせるのは躊躇する。こんな幼い子どもたちまで、なぜプラスチック付けにして育てようとするのか、理解できない。

韓国では日本よりも早く、校庭の人工芝化が始まった。しかし、2008年に環境団体が校庭の人工芝から基準を超える鉛を見つけた。その後、2014年に国の外郭団体が全国調査を行ったところ、約17%の学校の校庭の人工芝から基準値を超えた重金属やベンゾピレンなどの発がん性物質などが見つかった。そのため、基準を超えた人工芝校庭は土の校庭などに戻された(天然芝校庭になった学校もある)。それ以降、多くの自治体が2年ないし3年ごとに校庭の有害物質調査を行い、結果を公表している。

日本ではなぜこのような調査が行われていないのか?と不思議に思い、「学校保全安全法」を調べてみた。この法律には、感染症や事故、衛生問題などは想定されているが、校庭に存在するかもしれない有害物質については考慮されていないようだ。

確かに、昔は校庭の危険性などは、せいぜい砂場の砂の衛生問題(たとえば、砂場にペットが排泄するなど)程度しか考えられていなかっただろう。

しかし、今の校庭は心配な人工物だらけだ。人工芝にゴムチップ舗装、陸上競技用のウレタントラックなど。日本にそれらに含まれる(あるいはそれらから揮発する)有害化学物質の基準値はあるのだろうか?

「学校環境衛生管理マニュアル」(文科省)などを見ても、校庭についてはほとんど触れられていない。「屋上や校庭の側溝等の雨水排水溝について検査を行う」程度だ。

人工芝やゴムチップなどは、施工時は基準値内でも周辺から多環芳香族炭化水素(PAHs)などを吸着し、有害性を増すことが知られている。日本の校庭や公園は、敷設の際に調べられた形跡はないし、敷設後も調べられることはないと思われる。

メーカーから安全性に関する書類を提出させるのかもしれないが、敷設時はもちろん、数年ごとに有害物質調査をする必要がある。

韓国では人工芝だけでなく、校庭の陸上トラックも調べたところ、問題のある物質がいくつもの校庭から見つかった。ウレタン舗装時に早く乾燥させるために使われた薬剤に問題があったようだ。

今のままの学校の安全基準で、子どもたちを守ることは到底できそうにない。至急、校庭の有害物質を調査し、さらに教室内の電磁波なども測定すべきだ。

国際プラスチックごみ条約会議の再会、8月に決定

プラスチックごみ条約会議が8月5〜14日に再会されることになった。場所はスイスのジュネーブ。

INC-5.2という位置づけだ。昨年暮れに韓国で開かれたINC-5では、プラスチックの生産削減や有害化学物質の排除など、大事な点で紛糾したため、何も決まらなかった。

サウジアラビアやロシアなどが反対したためだが、日本や中国、米国の態度も曖昧だった。こういう大事な局面で、曖昧な態度しかとれない日本にも失望するが、今回米国はどう出るのだろうか。

もし、意欲的な内容で決まっても、真っ先に「批准しない」といいそうな大統領がいる。少なくとも4年間は、アメリカには何も期待できそうにない。プラスチックの生産削減すら決まらないようであれば、未来の地球はマイクロプラスチックと有害化学物質で覆われていそうだ。

イランもデポジット制度をめざす?テヘラン大学で「デポジット制度デー」を開催

イランのテヘラン大学では、2月17日に「デポジット制度デー」イベントを開催した。

過去数年間、イランではデポジット制度に焦点を当てた活動があり、2022年にはイラン科学技術大学で最初の全国デポジット制度会議を開催した。また、2024年には同大学で「イランデポジット制度パイロットプロジェクト」が開催されたという。

今年のイベントには、イランの環境省や科学技術副大統領、観光省、テヘラン市の専門家を含む150人以上の参加者が招待され、環境専門家によるデポジット制度についての講演を聞いた。

イランでも早晩、デポジット制度が採用されるかもしれない。

イベントについての出典↓

https://www.tehrantimes.com/news/510204/Deposit-Return-Scheme-Day-held-in-Tehran

アントシアニンでマイクロプラの毒性が軽減?

アントシアニンが、マイクロプラスチックによる生殖系への影響を軽減するという研究が発表されている。

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39925697/#full-view-affiliation-1

本当だろうか?

アントシアニンというと、ナスやブルーベリーなどに含まれているから、時々は食べているが、毎日多量に食べるようなものでもない。これが確かなら、ブルーベリーの錠剤などはバカ売れしそうだけれど、錠剤はデメリットがあるのかもしれない。

いずれにせよ、マイクロプラスチックのリスクをどの程度緩和するかはともかくとして、アントシアニンをたっぷり含んだ新鮮な野菜やベリー類を食べるのは健康に良さそうだ。

とはいえ、まず食品容器を脱プラしてほしい。

市販弁当をレンチンすると「心不全リスク」が上昇

コンビニや弁当店で売られているプラスチック容器入りの弁当を、そのまま電子レンジにかけると心不全のリスクを高める可能性のあることが中国の研究でわかった。

以前、名古屋市立大学の研究で、市販弁当を週に一回以上食べる人は死産リスクが2倍以上上昇するという結果があり、話題になった。悪影響は妊婦にとどまらないようだ。

中国国内の高齢者約3000人を対象に、プラスチック容器を使用する頻度と心疾患の発症率を比べた結果だ。

弁当や食事の際に使用する容器にプラスチックを利用する人はうっ血性心不全のリスクが有意に高かったという。

また、ラットを使った実験でも、プラスチック容器に沸騰したお湯を入れ、それぞれ数ヶ月飲ませたところ、ラットの腸内細菌そうが変化し、心筋組織も損傷が見られた。

レンチンによりマイクロプラスチックと一緒に化学物質が発生した結果だろうか。

元論文↓

https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0147651324014593?via%3Dihub

日本語記事↓

https://news.goo.ne.jp/article/nazology/world/nazology-170816.html

冷凍食品を容器ごとレンチンすると、細胞毒性が上昇

最近発表された香港城市大学の研究によると、プラスチック容器を冷凍したりレンチンするのは危険なようだ。特に冷凍したポリスチレン容器を電子レンジにかけると、大量のマイクロプラスチックを放出するという。

https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0304389425004534

マイクロプラスチックの毒性試験をしたところ、細胞毒性は冷凍食品容器由来のマイクロプラスチックでより顕著だったという。細胞生存率が有意に低下した。

マイクロプラスチックが細胞内に取り込まれることで、酸化ストレスや炎症反応が引き起こされ、細胞死に至った可能性がある。

冷凍食品を自然解凍した場合の発生量などは不明だが、冷凍食品をそのままレンチンするのは危険なようだ。プラスチックを低温と高温の両方にさらすことで、プラスチックの劣化が進むらしい。

以下、機械翻訳

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食品容器から放出されるマイクロプラスチックの細胞内毒性評価の要点

• 食品容器からのマイクロプラスチックの放出および潜在的な細胞毒性がテストされました。
• PP(ポリプロピレン)およびPS(ポリスチレン)の各食品容器は、抽出後に100,000から260,000のプラスチック粒子を放出しました。
• マイクロプラスチックの細胞毒性は、用量依存的な細胞生存率の低下を示しました。
• 冷凍保存されたPS食品容器は、最も顕著な細胞反応を示しました。
• 食品包装におけるマイクロプラスチックのリスクを軽減するためには、規制措置が必要です。

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マイクロプラスチック汚染と消費行動

メリーランド大学の最近の研究によると、大気汚染と消費行動は関連性があるそうだ。買い物による満足感で、空気の質の悪さによって引き起こされる不快感を払拭しようとするため、金遣いが荒くなるらしい。

https://today.umd.edu/study-consumer-spending-rises-with-air-pollution

ということはマイクロプラスチック汚染のひどい日は、無駄遣いが増える可能性が高い。消費者にとっては踏んだり蹴ったりの日だが、石油や天然ガスを「掘って掘って掘りまくれ」というトランプや、イーロン・マスクのような資本家にとっては、儲かる日なのだろうか。

ルーマニアのデポジット制度、14ヶ月でめざましい変化

2023年11月30日に開始されたルーマニアのデポジット制度はうまくいっているようだ。

ある記事によると、

• 35億個以上のパッケージが収集された
• 230,000トン以上の再生材料がリサイクルのために転用
• デポジット制度のために設立された7つのセンター
• 800以上のグリーンな雇用が創出され、地域経済とコミュニティを支援
• 2024年10月には、84%の記録的な回収率

とのこと。

まずは良かった!

出典↓

https://www.wastedive.com/press-release/20250210-first-14-months-of-romanias-deposit-return-scheme-marked-by-success/?utm_source=Sailthru&utm_medium=email&utm_campaign=Issue:%202025-02-10%20Waste%20Dive%20Newsletter%20%5Bissue:70316%5D&utm_term=Waste%20Dive