日本のレジ袋使用量は何枚?

JB PRESSの記事によると、中国のプラスチックごみ輸入禁止により、韓国ではレジ袋の処理に困っているそうだ。

それによると、韓国のレジ袋の使用量は年間1人420枚で、EUなどと比べかなり多い。日本の使用量は年間1人300枚などといわれているから、日本よりも韓国のほうが多いことになる。しかし、1994年に一回用品使用規制を開始した韓国は、日本よりレジ袋規制が進んでいるはずである。実際、韓国のコンビニでもレジ袋は有料であることが多い。

おそらくレジ袋の概念が日本と海外では異なるのだろうと思い調べてみたところ、日本でいうレジ袋とは持ち手部分(縛る部分)が付いているHDPEのものを指し、持ち手のないファッションバッグやアームバッグは統計上HDPEの「産業用その他」、あるいはLDPE・LLDPEの「その他」に区分されるという(経産省ウェブサイト)。英語のPlastic Bagを日本語でレジ袋と訳すことが多いが、Plastic Bagとレジ袋は必ずしも一致しない。韓国のレジ袋もおそらくPlastic Bagで、持ち手のないものも含め統計の対象になっているものと思われる。

ところで、日本のレジ袋の使用量(300枚/人・年)はもう15年以上も前から変わらずに聞く数値だ。しかし、大手スーパーがレジ袋を有料化したり、自治体がスーパーと有料化協定を締結したおかげで、レジ袋使用量は大幅に削減されたはずである。それにも関わらず、巷でいわれる使用枚数に変化はない。

その理由として考えられることは、レジ袋使用量に関してきちんとした統計がなかなか見つからないこと、そして使用量(トン)が変化しても1枚当たりの重量を変えることでいつも同じ数字(1人年間300枚)を言っていても間違いにはならないことではないか。

かつてレジ袋は1枚10グラムで計算されたが、薄肉化により最近は7グラムを切って計算されることも多い。前述の経産省ウェブサイトによると、2007年には約20万トンのレジ袋が国内メーカーにより出荷されていたらしいが、この数字にはメーカーを通さずに輸入されたレジ袋は含まれていない。しかし、レジ袋輸入量は不明だ(貿易統計では、「ポリエチレンバッグ」全体の量しかわからないため、そのうちの何パーセントがレジ袋か全くわからない)。

安田・丸茂(2008)によると、年間約300〜500億枚のレジ袋が流通しているとのこと。

包装資材シェア事典の数字を見ると、2015年の国内需要は19万7000トンだ(2016年版)。同事典もヒアリング先変更により大きく数字が変わった年もあるから正確とは言い難いが、少なくとも筆者が知る限り最も信頼できるデータである。これより前の年度の同事典では毎年二桁単位で減少する年が何年か続いているから(同事典の2007年は調べていないが)、おそらく2007年はもっと多かったはずだ。仮に2007年が30万トンだったとしても1枚10グラムで計算すると年間300億枚、日本の人口を1億人で計算するならば、1人年間300枚といえる。

同様に、2015年の年間19万7000トンを1枚当たり6.7グラムで計算すると、1人年間約300枚といっても間違いではない。レジ袋の使用量が何年も変わらない理由はこれだと思われる。

しかし、何年たっても数字が変わらない理由が分かったとしても、これ自体にそれほど意味はない。問題はコンビニの使用量が近年増加傾向にあることだ。

街中を歩いていて大きなレジ袋はあまり落ちていないが、小さいレジ袋はよく落ちている。小さいレジ袋が増え、しかも薄くなっている、ということはより散乱しやすく、破片化しやすくなっているということだろう。

これらが海ごみになるとすると、コンビニのレジ袋は早急に規制する必要がある。東京都の「レジ袋ゼロ」目標に、望みを繋いでいる。

<関連記事>

日本のレジ袋消費量は本当に20万トン?

<参考>

JB PRESS「資源ごみ処理を中国に頼ってきた韓国の悲鳴」↓

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/52808?page=3

経産省ウェブサイト

http://www.meti.go.jp/policy/recycle/main/data/research/h20fy/200811-2_mri/200811-2_2.pdf

 

世界初 オランダに脱プラスチック包装の陳列棚のある店がオープン

オランダ アムステルダムに世界初のプラスチック フリー包装の陳列棚のある店がオープンしたそうだ。オランダのスーパーマーケットEkoplazaが、環境キャンペーン団体Plastic planetの協力のもと誕生した店である。

Ekoplazaは年末までに74店舗に拡大する予定とのこと。

また台湾には、竹製ストローなどプラスチックの代替品を集めて販売している店があるそうだ。プラスチックの代替品ならば、日本にも数多くあるので、それらを集めて販売するのは難しくなさそうだ。

しかし、残念ながら日本では、「プラスチックを完全になくすのはムリ」という意識が根強く、自らプラスチックフリー商品を求めようという人は、環境団体メンバーでさえ少ない。

中庸の美徳?なのかもしれないが、その意識が日本の環境行政の進展を阻害していることは確かである。

プラスチックごみによる海洋汚染も、農薬や柔軟剤等化学物質による水や大気の汚染も、脱原発や気候変動と同様、直接自分や家族の身体にも被害をもたらす可能性のある問題だということを認識し、対応すべきであろう。

人が何人か死ぬまで何の対応もできないようでは、あまりにも情けない。

 

<オランダについての出典>

The Guardian(2018.2.28)First plastic-free aisle is an example for other supermarkets to follow

https://www.theguardian.com/environment/2018/feb/28/first-plastic-free-aisle-is-an-example-for-other-supermarkets-to-follow

<当ブログの関連記事>

北京にばら売りの店がオープン↓

北京にばら売りの店がオープン

PETのサーキュラーエコノミー戦略

サーキュラーエコノミー(循環型経済)についての話題を各地でよく聞くようになった。

2015年末に採択されたEUのサーキュラー エコノミー パッケージは、確かに画期的だった。経済価値も創出され、環境も雇用も守れるならば、いうことはない。

しかし、最近話題になっているサーキュラーエコノミーは、単にリサイクル率をいかに高めるかが主流になっている気がする。これでは、大量消費・大量リサイクル時代は終わらない。

先日、ヨーロッパのPETバリューチェーンがブリュッセルに集まり、PETのサーキュラーエコノミー戦略について、2日間にわたり200人以上の業界の専門家をまじえ話し合われたとのこと。

詳細な内容はわからないが、デポジット制度による回収と非デポジット制度によるそれとの比較についても話題になったようだ。

リサイクルしやすい製品設計に変えていくことが必要なのは当然だが、消費者からの使用済み製品をいかに回収するかが、サーキュラーエコノミーのカギになるはずである。

次回は、海ごみを減らすためにも、せめて散乱しやすいペットボトルは、デポジット制度により回収することを決議してほしい。

その上で、PET業界のみならず、地球全体が持続可能になるようなサーキュラーエコノミー戦略について考えてほしいものだ。

 

Recycling Magazine: Petcore: Strategy for PETin the Cicular Economy;

Petcore: Strategy for PET in the Circular Economy

 

ダンキン・ドーナツも2020年までに紙カップを使用

環境ホルモンの疑いがあるとして有害性を指摘されながらも、ファーストフードチェーンは長期に渡りスタイロフォーム(押出し発泡ポリスチレン)のカップを使い続けてきた。

それが、ようやく使われなくなるようだ。年内の切替を表明したマクドナルドに続いて、ダンキン・ドーナツでも紙コップへの切替を表明した。

ダンキン・ドーナツは2020年までに切り替えるとのこと。理由の1つは消費者の安全志向であるが、もう1つは海ごみ対策であろう。紙コップは、家庭などから排出された場合は禁忌品としてリサイクルされないが、紙コップのみで大量に回収し、それなりの設備のある製紙工場へ運べば、今でもトイレットペーパーなどにリサイクルできる。また最近では、簡単にリサイクルできる紙コップも開発されている。例えば、フィルムが簡単に剥がれて一般的な製紙工場でもリサイクル可能になっていたり、生分解性の素材が使われ堆肥化できるようになっていたりする紙コップもある。

ダンキン・ドーナツがどのタイプの紙コップを採用するつもりかは不明だが、売りっぱなしの姿勢をあらため、容器包装ごみの回収を前提とした場合、紙コップへの移行は必須であることは確かだ。

しかし、飛行機に乗ると、まだスタイロフォームで飲物を提供されることがある。早く機内での飲物容器も切り替えてほしいものだ。

Plastic News: Dunkin’ orders its coffee in a paper cup;

http://www.plasticsnews.com/article/20180207/NEWS/180209912/dunkin-orders-its-coffee-in-a-paper-cup

マクドナルドの容器包装に関する環境方針

2018年1月、マクドナルドが新たな環境方針を発表した。

この方針の背景には、世界銀行の「2025年までに毎日600万トンのごみが発生する」という見積もりと、エレンマッカーサー財団と世界経済フォーラムの「2050年までに海洋には魚より多くのプラスチックが存在することになる」という報告がある。

そのため、マクドナルドは100カ国に37,000軒を超えるレストランを展開する企業の責任として、2025年までに来客に提供する容器を改善する以下の目標を発表した。

・2025年までに、来客に提供するすべての容器包装を、再生可能か、あるいは再生品か、あるいはFSCなどの認定されたソースからのものとする。

・2025年までにマクドナルド店内で来客に提供した容器包装は100%リサイクルする。

既に、段階的に環境配慮設計を進めていたそうで、発泡スチロール容器も既に減らしており、2018年末にはすべてなくす方針とのこと。

ハンバーガーはあまり食べないので今まで気付かなかったが、マクドナルドは頑張っているようだ。

(追記)

『日経ESG 2018.8』によると、日本マクドナルドも持続可能な食材や紙を調達しつつあるようだ。

1.FSCの紙を使用(既に71%、2020年までに100%)

2.英国では試験的にプラスチックストローを紙製に切り替え

3.バンズにパーム油が使われているか確認中

4.将来的にASC認証のエビの使用を検討する

5.揚げ油にRSPO認証のパーム油を使用

6.MSC認証のスケソウダラを使用

<参考>

By 2025, all of McDonald’s Packaging to come from Renewable, Recycled or Certified Sources ;

http://news.mcdonalds.com/news-releases/news-release-details/2025-all-mcdonalds-packaging-come-renewable-recycled-or-0

千葉大:ペットボトルを減らすため、学生がタンブラーを制作・販売

千葉大学の環境活動団体が、レジ袋削減のための有料化により得られた基金を用いて、オリジナルタンブラーを製作した。

200円で販売する。ペットボトルをよく使う学生が、このタンブラーを使うことで、少しでもペットボトルを使わなくなれば・・という願いが込められている。

この千葉大学環境ISO学生委員会は、地球環境大賞を取得した実績もあるNPO法人で、他にもさまざまな素晴らしい取組を展開している。

「大学生協のレジ袋有料化による基金を活用・・」↓

https://mainichi.jp/univ/articles/20180205/org/00m/100/056000c#cxrecs_s

米コカ・コーラが自社製品の包装材の100%回収・リサイクルをめざす

最近、海外の廃棄物分野では画期的なニュースが相次いでいる。

例えば先日、マクドナルドが、世界中の店舗でお客さんに提供する包装材を100%再生可能かまたは認証済み資源に変更する、という目標を発表した。

このマクドナルドに続き、米コカ・コーラ社も意欲的な目標を発表した。

2030年までに自社製品の包装材を100%回収・リサイクルするというのである。

英国のコカ・コーラが海ごみ抑制のためにデポジット制度に賛同した昨年に続き、ついに米コカ・コーラ社が動いたのだ。

これでようやく日本のコカ・コーラも、これまで自治体任せであった回収をあらため、自ら回収するようになるのではないか、と期待している。

そうなれば、日本の容器包装リサイクル法も多少改善され、自治体の負担が減るかもしれない。

今後、米コカ・コーラ社が日本でどのように缶やペットボトルの回収を進めるつもりか、ぜひ聞いてみたいものである。

☆追記:しかし後日、日本コカ・コーラが日本での方針を発表したが、期待外れだった。「日本コカ・コーラのビジョンに失望」↓

日本コカ・コーラの「ビジョン」に失望

米コカ・コーラ取組の概要(日本語)↓

http://www.afpbb.com/articles/-/3159279

詳細↓(英語)

http://www.coca-colacompany.com/press-center/press-releases/the-coca-cola-company-announces-new-global-vision-to-help-create

マクドナルドについての詳細は当ブログ「マクドナルドの容器包装に関する環境方針」↓

マクドナルドの容器包装に関する環境方針