米マサチューセッツ州やカリフォルニア州で人工芝設置を禁止する自治体が増えている

アメリカではPFASのために人工芝を禁止する自治体が増えつつあるが、マサチューセッツ州のオークブラフでも禁止が決まったようだ。

理由は「化学物質が島の主要な帯水層を汚染する可能性がある」ため。

https://vineyardgazette.com/news/2024/04/23/oak-bluffs-board-health-bans-turf-fields

ボストン市を皮切りに、マサチューセッツ州では人工芝を禁止する自治体が増えているようだ。

同州のシャロンでも人工芝が禁止されているが、PFASだけでなく、マイクロプラスチックやゴムチップの有害性も禁止理由にあげられている。

https://ecode360.com/37379890

また、同州のコンコードは、ゴムチップに含まれる化学物質を理由にモラトリアムが2016年から継続しているようだ。同州ウェイランドもモラトリアム(一時停止)を決めている。

https://www.wgbh.org/news/local/2022-05-10/more-games-or-more-grass-fields-turf-wars-play-out-across-massachusetts

カリフォルニア州ではミルブレーで人工芝が禁止されている。個人住宅の庭に敷くのもNGらしい。

https://www.ci.millbrae.ca.us/276/Prohibition-of-Artificial-Turf

同州のサンマリノはモラトリアムを決めているそう。

https://abc7.com/fake-grass-artificial-turf-california-environmental-concerns/13942121/

カリフォルニア州が自治体の人工芝禁止を認めてから、禁止する自治体が増えている。

また、ニュージャージー州のケープ・メイ市でも公共施設と私有地の両方の人工芝が禁止になったようだ。

ワシントン州エドモンズは、ゴムチップを充填する人工芝の設置に30ヶ月のモラトリアムを課した。

メリーランド州では人工芝の処分を受け入れていないので、処分したい場合はバージニア州など近隣の州で処分する必要がある。

unsustainable「Artificial Turf: Impacts on Environment and Human Health」2024.2.28

そういえば、ニューヨーク州では2023年に人工芝のモラトリアム法案が提案されたが、その後どうなったのだろうか。

日本ではなかなか人工芝を禁止しないだろうから、早晩日本の庭や公園は人工芝だらけになりそうだ。

犬とヒトの精巣からマイクロプラ。塩ビやPETは生殖能力に影響か

以前から人間の精巣にマイクロプラスチックがあることは知られていたが、今年5月に発表された米ニューメキシコ大学の論文によると、生殖能力にも影響を及ぼしている可能性がある。

https://academic.oup.com/toxsci/advance-article-abstract/doi/10.1093/toxsci/kfae060/7673133?redirectedFrom=fulltext

これまではフタル酸エステルやビスフェノール類などの環境ホルモン(内分泌かく乱化学物質)作用のある化学物質が、少子化に大きく影響するといわれていたが、マイクロプラスチックも影響している可能性が高いようだ。

米ニューメキシコ州で死亡した23人の男性と、去勢手術を受けた47頭の犬の精巣で調べたところ、精巣1グラムあたりのマイクロプラスチックの平均濃度は、体組織1gあたり329.44マイクログラム。また、犬の精巣のマイクロプラスチックのそれは、1グラムあたり122.63マイクログラムだったとのこと。

12種類のマイクロプラスチックが見つかり、最多はPE(ポリエチレン)だ。

また、犬の精子の数とマイクロプラスチックの比較では、PEは相関関係は認められなかったが、PVC(塩ビ)とPET(ポリエチレンテレフタレート)は認められた。PVCとPETは精子の形成を妨げるようだ。PVCの濃度が高いと精子の数が少ない傾向があった。

精巣内に蓄積されたマイクロプラスチック、とりわけPVCとPETは、少子化に影響しているようだ。

精巣から検出されたマイクロプラスチックの発生源は多数考えられるが、一番可能性が高いのは、PVCは壁のビニールクロスやクッションフロア(塩ビ製床材)、PETはペットボトルだろうか?

米ニュージャージー州でデポジット制度を検討

アメリカでは現在、10の州で飲料容器のデポジット制度がおこなわれているが、ニュージャージー州が11番目の州になるかもしれない。

同州の州議会議員がデポジット法案を提出したようだ。

https://www.nj.com/mercer/2024/05/nj-may-want-to-give-you-a-refund-for-returning-bottles-and-cans.html?eType=EmailBlastContent&eId=fc74e2cf-24e5-40f8-8cd9-27bcf7fc8cfa

法案によると、対象容器の材質はプラスチック、ガラス、紙、段ボール、金属(またはそれらの材料の組み合わせ)などの材料で、これらから作られたボトルや缶、カートンポーチなど。

サイズは1ガロン以下だが、飲料カップには適用されない。

デポジット制度に従わない企業は、100ドルから1,000ドルの罰金を科せられる可能性があるそうだ。

しかし、アメリカでは毎年どこかの州でデポジット制度が提案され、飲料業界などにより潰されている。実現までの道のりは遠そうだ。

瀬戸内海4県から年間60トンのプラごみが回収できず海へ どんな意見交換をしたの?

瀬戸内海に面する岡山・広島・香川・愛媛の4つの県から出た海洋プラスチックごみのうち、回収できなかったごみが年間約60トンあったそうだ。

日本財団が4県と取り組んでいる海洋プラスチックごみ対策のプロジェクトで、2020年11月から2021年4月にかけて、4県にある河川の全長およそ1200キロでごみの調査を行った。

その結果、年間388トンのプラごみが海洋に流れ出していると試算された。

しかし、これまでに公的機関やプロジェクトなどが回収したプラごみは年間322トン。従って、約60トンのプラごみが回収できなかったと考えられるという。

https://www3.nhk.or.jp/lnews/okayama/20240515/4020020278.html

大雑把とはいえ、約60トンという数字が把握できたのはよかったと思うが、このニュースに違和感を覚える。

日本財団のプロジェクトの一環で、県内の中・高校生およそ80人が岡山市に集まり、これについて話し合われたようだが、このNHKニュースを見る限り、その結論は「みんなでごみ拾いに取り組もう」ということだったようだ。

もちろん清掃活動は重要だ。しかし、高校生が話し合ったならば、ごみの出ない法整備、たとえば「散乱しやすい使い捨てプラスチックを禁止しよう」とか「飲料容器はデポジット制度で回収しよう」、あるいは「マイボトル・マイカップ・マイ弁当容器を利用できるよう店に働きかけよう」などのような根本的な内容にまで踏み込んでほしいものだ。

落ちていたプラごみにどのようなものが多いかは、把握できたのだろうか?

米企業、本体から落ちないPET製のペットボトルキャップを開発 キャップと本体を同じ材質に

米カリフォルニアのウェストサクラメントに本拠を置くOrigin Materials Inc.は、ポリエチレンテレフタレート(PET)製のテザードキャップを開発した。

まもなくEUでは、EUシングルユースプラスチック指令により、開栓時にキャップが本体からはずれてしまうタイプのペットボトルの販売を禁止する。

ペットボトルキャップの散乱は世界中に多いことから、この指令は欧州に留まらず、世界中に影響すると考えられる。

しかし、ペットボトルのキャップは通常ポリエチレンやポリプロピレン製だ。リサイクル時に比重などによりPETと分離できるとはいえ、そのまま出されることを懸念するリサイクル事業者の声もある。

キャップもPET製であるほうが、リサイクル事業者にとってはリサイクルしやすいし、ペットボトル利用者にとってもよいことだろう。日本のようにしつこく、キャップをはずしてから回収に出せと、まるでキャップの散乱を助長するかのような「指導」をする国は多くないと思われるが、それでも材質の異なるものを一緒に回収に出すのは気が引けるという人は多い。

この度、オーランドで開かれたカンファレンスで発表されたキャップは、従来のキャップに比べ「優れた性能を提供し、製品の貯蔵寿命を延ばし、軽量化を可能」にするという。

しかも、100%PET製で、バージンPETであろうとリサイクルPETであろうとバイオマスPETであろうと、どんなPETからも製造できるとのこと。その上、キャップを開閉しても本体から落ちないタイプだ。

日本で販売されているペットボトルのうち、キャップが落ちないタイプのものはまだ少ない。しかし、国内でもペットボトルキャップの散乱は多い。PET製キャップがあるならば、キャップが落ちないタイプのペットボトルを売らない理由はもうないはずだ。

<出典>

https://www.recyclingtoday.com/news/origin-materials-introduces-tethered-pet-beverage-cap/?utm_campaign=Plastics+Recycling+Report&utm_source=05%2f09%2f2024+-+Unilever+updates+plastic+goals+%7c+Plastics+Industry+Association+announces+award+winners&utm_medium=email&utm_term=https%3a%2f%2fwww.recyclingtoday.com%2fNews%2forigin-materials-introduces-tethered-pet-beverage-cap&utm_content=547419&isid=3633CF&eType=EmailBlastContent&eId=7d931343-fc61-44ea-b0a3-12099d53ba7f

サッカーでPFOSが人工芝から選手の皮膚へ 人工芝によるPFAS曝露実験

アメリカでは調べたすべての人工芝からPFASが検出されている。人工芝のPFASは、サッカーをする選手たちに移るのだろうか?

その疑問を解決するため、非営利団体PEER(Public Employees for Environmental Responsibility:環境に責任をもつ公務員?)が小さな実験を行った。

南カリフォルニアの3人のサッカー選手と1人のサッカーコーチが、人工芝と天然芝の上でサッカーの試合をし、試合前後の皮膚を綿棒でこすり、PFOS(最も危険なPFASの1つ)を調べたのだ。

その結果、4人中3人でPFOS濃度が上昇した。うち1人は2倍以上になった。

一方、天然芝の上でプレーした場合では、4人中3人のPFOSレベルが低下した。

PFOSはパッケージから取り出した新しいサッカーボールにも付いていたという。

この研究ではPFOSしか調べなかったが、今後もっと対象を拡大して調べる必要がある。

PEERのカイラ・ベネット氏は「まだこんなものを使おうとしている人たちがいるなんて、あきれるばかり」と、プラスチック製の化石燃料製品を何エーカーも敷き詰めることを批判している。

フィラデルフィア・フィリーズに所属していた元野球選手の中には、チームメイトを死に至らしめた希少な脳腫瘍の背景に、人工芝の存在があるのではないかと疑っている者もいる。また、ナショナル・フットボール・リーグの選手組合は、すべての人工芝フィールドを芝生に置き換えるよう求めている(英紙ガーディアン2024.3.15)。

https://www.theguardian.com/environment/2024/mar/15/athletes-higher-pfas-levels-artificial-turf

実験結果↓

国際プラ条約会議閉幕。話まとまらず釜山の前に追加の話し合いか

第4回国際プラスチック条約会議(INC-4)が昨日、カナダ・オタワで閉幕した。

プラスチック汚染をなくすために最も効果が高いプラスチック生産制限は、やはり話がまとまらなかった。中東の産油国や中国が反対したためだ。

最後のプラスチック条約会議となるINC-5は、今年11月25日から韓国・釜山で開催されるが、それに先立ち8月末頃タイ・バンコクで追加協議になるという。

バージンプラスチックの生産制限を強く主張したフィリピンなどの提案に多くの国が賛同した。フィリピンはプラスチック汚染で最も苦しんでいる国の1つだ。

プラスチックで儲ける国と、プラスチック汚染に苦しむ国の間で、落としどころは見つかるのだろうか。

プラスチックで儲けようとする国や企業は、プラスチック汚染や気候変動で苦しむ国々のことはもちろん、自分の子や孫たちが苦しむことさえ気にしないようだ。

SDGsのゴール「誰1人取り残さない」はやはり難しいと、現地に参加していたNGOらの話を聞いてつくづく思う。

ピーファスって何?今さら聞けないPFASの基礎 Q&A

「ダイオキシン問題を超えた」と思うほど、私の周りはPFASで盛り上がっている。それもそのはず、相模原市には2カ所以上の汚染源がある、とPFAS研究の第一人者である京都大学の原田浩二先生から指摘されている。

しかし、「それ何?」という人もまだまだ多い。この聞き慣れない化学物質名の氾濫に戸惑い、腹立たしく(胡散臭く?)思っている人もいるようだ。メディアの報道でも、時々エッ?と思うようなことが書かれている。

そこで、PFASについて少し簡単に解説したい。

Q1.PFAS(ピーファス)って?

⇒国際的に定まった定義はまだありません。環境省は『有機フッ素化合物のうち、ペルフルオロアルキル化合物及びポリフルオロアルキル化合物を総称して「PFAS」と呼ぶ』といっています。難しい定義はともかくとして、簡単にいえば、炭素とフッ素が結合した有機化合物です。有名どころはPFOS(ピーフォス)とPFOA(ピーフォア)。PFOSもPFOAもPFASの一種です。

Q2.4700種とか1万種以上とかいろいろ違う数字が飛び交っていますが、どっちが本当?

⇒経済協力開発機構(OECD)の報告(2018 年)で約4700物質のPFASが特定されました。しかし、その後PFASの定義が変わったこともあり、今では日本の環境省も「1万種以上」といっています。

Q3.泡消火剤に入っていると聞きますが、家庭用の消化器にもPFASが入っているの?

⇒いいえ、家庭用の消化器にPFASは入っていません。

Q4.PFASはどういう害があるの?

⇒発がん性や環境ホルモン作用などが指摘されています。アメリカの科学者委員会は、PFOA曝露と高コレステロール値や腎臓がん、甲状腺疾患、海洋性大腸炎、妊娠高血圧症とは「関連性が高い」と結論付けています。デュポンでPFAS製造に関わっていた妊婦7人のうち、2人の赤ちゃんの目が生まれた時から明らかな異常がみられました。詳しくは『毒の水』(ロバート・ビロッド著, 花伝社, 2023年)をお読みください。

また、北海道のコホートに2002~2005 年に参加した母子 428 組を対象とした調査では、母体血清 PFOS 濃度と子どもの出生時体重に負の関連が認められたそうです。また、PFOSは早産のリスクとも関連が認められています。

スウェーデンや中国の調査でも、母体の血清中のPFOSとPFOA濃度は、赤ちゃんの低出生体重と関連が認められています。(食品安全委員会のパブコメ資料よりhttps://www.fsc.go.jp/iken-bosyu/pc1_pfas_pfas_060207.data/pc1_pfas_pfas_060207.pdf)

Q5.なぜ「永遠の化学物質」と呼ばれているの?

⇒炭素とフッ素の結合が強く、自然環境下でなかなか分解しないためです。経済産業省の化学物質審議会に提出された資料では「自然環境条件下の水生環境内では、PFOAは92年以上(最もありえるのは235年)の半減期を持ち、直接的な光分解はみられない」と書かれています。また、「大気中の寿命は、短鎖ペルフルオロ酸のヒドロキシル反応による分解から、その分解半減期は約130日と推定されている」と書かれています。分解しにくく、高い蓄積性があります。

Q6.PFOSとPFOAはどう違うの?

⇒PFOSは撥水・撥油剤の原料や泡消火剤などによく使われています。汚染源が米軍基地や飛行場の場合、地下水はPFOS濃度が高いです。一方、PFOAはダイキンによると、界面活性剤としてフッ素樹脂製造時の助剤等に利用されていたそうです。また、PFOAを使用した化学製品は「撥水・撥油剤、防汚剤等、私たちの身近な製品(繊維、電子基板、自動車、食品包装紙、石材、フローリング、皮革、防護服等)に使われていました」とのこと。そのため、ダイキンやデュポン、3M(スリーエム)などのメーカーが汚染源の場合は、周辺の地下水はPFOA濃度が高いです。

⇒PFOSは2009年、「残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約」(POPs条約)の「廃絶」等の対象に指定され、2010年には日本でも「化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律」(化審法)により、原則として製造・輸入が禁止されました。

PFOAは、2019年にPOPs条約の「廃絶」等の対象になり、2021年10月には化審法で製造・輸入が禁止されました。

⇒PFOSもPFOAも禁止されたとはいえ、いまだに高い濃度で検出されています。米軍横田基地では、代替品として導入した泡消火剤にもPFOSやPFASが使われていました。それぞれ1リットル当たり最大80万ナノグラム含まれていると米軍の製品説明書に書かれていたそうです(東京新聞2023.11.14)

https://www.tokyo-np.co.jp/article/289798

Q7.他にどんなPFASがあるの?

⇒PFHxS(ピーエフヘクスエス)がPFOSやPFOAの代替品として使われましたが、PFHxSも2022年にPOPs条約会議で規制され、化審法でも2024年2月から原則製造禁止です。輸入禁止は同年6月の予定です。

また、フライパンのフッ素樹脂加工はPFTEが使われています。PTFEは分子量が大きいため、胃などの消化管を通り抜けることが難しく、体内に吸収されにくいそうです(PFOAは約400であるのに対し、PTFEは1万以上)。

https://www.tokyo-np.co.jp/article/263505

しかし、体内に吸収されにくいとはいえ、フッ素樹脂加工のフライパンから放出されるマイクロプラスチック量は膨大なので、使わないに越したことはありません。

Q8.PFASの指針値は?

⇒河川・地下水等の水環境で PFOS、PFOAの暫定目標値は50 ng/L(1リットルあたり50ナノグラム)です。この他のPFASにはまだ指針値がありません。

Q9.汚染源から遠く離れて暮らしている人や、水道水が汚染されていない地域の人の血中からもPFASが検出されています。なぜ?

⇒食物からの汚染が多いと思われます。特に魚介類が多いといわれていますが、そうだとしても魚介類は体にいいので、食べた方がよいと原田先生もおっしゃっています。また、PFASは多くの製品にも含まれているので、口に入ったり吸い込んだり皮膚から吸収されたりします。

Q10. どんな製品にPFASが使われていますか?

⇒身近のものとしては、防水スプレー(スコッチガードなど)、汚れ防止機能や防水機能付きの繊維製品(制服、ソファー、アウトドア用品、飛行機の座席など)、調理器具(フッ素樹脂加工のフライパンなど)、包装材(ハンバーガーやフライドポテトの包装紙など)、化粧品(日焼け止めやファンデーション、アイメイク関連など)、その他さまざまなものにPFASは使われています。アメリカではコンタクトレンズや人工芝、サッカーボールなどのプラスチック製品からもPFASが検出されています。

とりあえず、10項目挙げました。今後も加筆予定です。

<主な参考>

環境省「PFOS、PFOA に関するQ&A集」(2023年7月時点)

原田浩二・藤井由季子「PFAS汚染とバイオモニタリング、 そこから見る健康リスクについて」『生活と環境』(2023.7)

プラスチック汚染企業トップはコカ・コーラ、56社で過半を占める:サイエンス

日本を含む世界84ヶ国に落ちていたごみのブランドを調べたところ、コカ・コーラなど56社のごみが50%以上を占めていたことが、米科学誌「サイエンス」に掲載された。

調査期間は5年間で、2018年から2022年にかけ行われた。10万人以上のボランティアが調査に参加し、ごみのブランド名を調べた。

その結果、トップはコカ・コーラのごみで全体の11%を占め、続いてペプシコが5%、ネスレとダノンがそれぞれ3%、米たばこ大手アルトリア・グループの2%。これだけで24%を占めている。

企業のプラスチック年間生産量とプラスチック汚染の間には、明確で強力な関係があり、食品・飲料会社が不釣り合いに大規模な汚染者となっているとのこと。

「最大の汚染者による寿命の短い使い捨てされるプラスチック製品を段階的に廃止すれば、世界のプラスチック汚染は大幅に削減される」ことが判明した。

<出典>

https://www.science.org/doi/10.1126/sciadv.adj8275

プラスチックが海洋生物の「胚」を殺す 繁殖不可能に

イタリアのアントン・ドールン生態学研究所とイギリスのエクセター大学が行った新しい研究によると、主な7種類の海洋生物にPVC(塩ビ)ペレットをさらしたところ、生存可能な胚をつくることができなかった。

塩ビにさらされた生物は、殻や脊索を作れなくなったり、正しい左右相称が形成できなかったり、何回か細胞分裂を繰り返した後に発達が止まったという。

https://www.newsweekjapan.jp/stories/sdgs/2024/04/post-104323.php

実験に使われた塩ビ製のペレット(プラスチックの小粒)の濃度は、通常の海洋よりも高い濃度だったが、船舶事故によるペレットの流出でこのような事態になることはこれまでも度々あった。

海に流れ込むプラスチックを減らすためには、プラスチック生産量を減らす必要がある。そのためにはまず、私たちがプラスチック製品を買わないことが大事だろう。