オサガメのお腹からプラシートとお茶PETのラベル

福井県美浜町の海岸に死んで打ち上げられた絶滅危惧種のウミガメ「オサガメ」の体内から、1メートルあまりのプラスチックシートとペットボトルのラベルが見つかった。

ラベルは国産のお茶のペットボトルで、ブランド名もはっきりわかる。好物のクラゲと間違えて食べたのだろうか。

https://digital.asahi.com/articles/ASSDM4DB8SDMULBH004M.html?iref=pc_photo_gallery_bottom

ペットボトルからラベルが勝手に剥がれることはほとんどないため、誰かが剥がしたラベルが回収ルートから環境中に漏れだし、海へ流れ出したのかもしれない。

前々から苦々しく思っていたが、日本ではラベルを剥がすことがまるで良いことのように宣伝されている。リサイクルしやすくするとして、そのように「教育」されるが、ラベルを剥がせばラベルはごみ回収から当然漏れ出しやすくなる。

しかも、剥がされたラベルは他の雑多なプラごみと一緒くたになるため、質の高いリサイクルがなされるか疑問だ。

デポジット制度を導入している国では、返却前のボトルからラベルを剥がすことは禁じられている。ラベルを剥がすとペットボトルの由来がわからなくなるため、デポジットは返金されない。ラベルを剥がさなくとも、当然きちんとリサイクルはできている。

日本のこのラベル剥がしのおかしな習慣は一体誰のためのものなのか、いつも疑問に思う。

国際プラ条約、合意できないまま閉幕

韓国・釜山で開かれていた国際プラスチック条約会議。

期待していたにも関わらず、合意できないまま閉幕した。日本の姿勢は終始消極的で、参加国の半数以上が賛成していたプラスチック生産を削減することにも賛成しなかった。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCD301N40Q4A131C2000000/

これではまるで、日本が産油国などと足並みを揃えたように見える。とても恥ずかしい。

プラスチックは地球の三大危機に直結することが報告されている。気候変動、生物多様性喪失、汚染だ。地球環境あっての経済だということを、日本は理解していないのだろうか。

昨夜遅く(今朝早く?)グリーンピースが、声明を発表した↓


国際プラ条約、プラ生産規制に日本賛同せず

韓国・釜山で今行われている国際プラスチック条約会議。条約には「プラスチック生産規制」を盛り込まないと意味がない。

しかし、グリーンピースによると、昨日生産規制に賛同する80ヶ国以上が提案書を提出したが、日本は賛同しなかった。

高野心連合に早くから参加し、日本よりも環境に熱心なはずの韓国も参加しなかったようだ。

参加した国は、EU加盟国と英国、オーストラリア、ニュージーランドやノルウェー、フィンランド、スイス、フィリピンのほか、アフリカ各国や南米、島嶼国など。

詳しくは↓

ロサンゼルス郡、コカコーラとペプシコを提訴 プラ汚染の責任を追及

米ロサンゼルス郡がコカ・コーラ社とペプシ・コーラ社を訴えた。

「プラスチック汚染が環境と公衆の健康に悪影響を与えることへの責任と、プラスチック飲料容器のリサイクル可能性を公衆に誤解させたこと、そしてプラスチック飲料容器の使用に関連する重大な環境および健康被害を開示しなかったこと」がその理由だ。

https://lacounty.gov/2024/10/30/la-county-sues-pepsi-and-coca-cola-over-plastic-beverage-pollution-and-deceiving-public-on-plastic-recycling/#:~:text=Los%20Angeles%20County%20filed%20a,their%20failure%20to%20disclose%20significant

詳しく知りたいと他の記事を探したところ、韓国メディアが日本語の記事を出し、業界団体のコメントを載せていました。

https://www.mk.co.kr/jp/world/11156486

日本でもこの手の訴訟が増えると、日本の人々ももっとペットボトルを警戒するようになるかもしれない。

少なくとも、日本人もあのペットボトルの回収率やリサイクル率の「大本営発表」をもっと疑うべきだ。

目からマイクロプラ検出 マイクロプラは目の健康にも影響か

目からマイクロプラスチックが検出された。

49人の目の硝子体(しょうしたい)を調べたところ、合計8543個の粒子が見つかった。このうち、1745個が主に50㎛未満のプラスチック粒子として特定されたという。

見つかったマイクロプラスチックは、ナイロン66が最多で、次いでポリ塩化ビニル、そしてポリスチレンが多かった。

マイクロプラは、目の健康リスクに関わっているそうだ。

https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0048969724012488

PFASとマイクロプラスチックの組み合わせで、毒性がパワーアップ:英研究

英バーミンガム大学の研究チームが新たな研究を発表した。マイクロプラスチックとPFASがミジンコに与える影響を調べたのだ。

その結果、マイクロプラスチック単独でもPFAS単独でもミジンコにとって有害だった(PFASの方が有害性が強かった)。

しかし、マイクロプラスチックとPFASを一緒にミジンコに曝露させると、単独のときよりも毒性が増した。しかも、複合効果は41%が「相乗的」とのこと。

つまり、ミジンコにとってマイクロプラの毒性が5,PFASの毒性が10だとすると、一緒に与えることでミジンコは15の毒性による影響を示すと考えられるが、それ以上の影響を示したということだ。

ミジンコは、成長が遅くなり、生殖への影響もでた。さらに、生存率も低下した。

https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0269749124018505?via%3Dihub

まさに「複合汚染」だ。

少し前に中国の研究で、湖にマイクロプラとPFASがセットで存在するという報告があったが、マイクロプラはPFASを引き寄せ、毒性をパワーアップさせているようだ。

この実験で使用したマイクロプラスチックはPET粒子、PFASはPFOSとPFOAだ。一般にPETの化学物質吸着能力は、ポリエチレンやポリプロピレンに比べ低いとされている。この実験では吸着させて与えたわけではなく、単に一緒に与えただけのようだが、もしかすると、PETの代わりにポリエチレンなどを使った方がより毒性がパワーアップしたかもしれない。

いずれにせよ、このままPFASとプラスチックをを使い続けると、ミジンコが激減し、ミジンコを餌にしていた生物も減り、生態系が大きなダメージを受けることは確かだ。

アイルランド「海岸のペットボトルとアルミ缶が大幅に減少」ペットボトルはキャップ付きのまま回収

今年2月にデポジット制度が導入されたアイルランドでは、「合計6億3500万個のペットボトルとアルミ缶がデポジットリターンスキームに返還」された。同国の環境・気候・通信省の新しいデータだ。

これは、顧客に返還された1億1000万ユーロの預金に相当するとのこと。8月の回収率は、その月に市場に出回った飲料の73%に相当する。

今年6月に発表された最新のアイルランドの調査結果によると、このスキームの導入により、路上に捨てられた飲料缶が30%、ペットボトルが20%減少したという。

今年2月から始まったアイルランドの飲料容器デポジット制度は、ペットボトル、アルミ缶、スチール缶を対象とし、ガラスびんや乳製品は対象外だ。

ガラスびんは既に80%以上回収されているため、デポジット制度の対象外とされた。

ペットボトルと缶のデポジット額は以下の通り。

 ○飲料容器≥150mLおよび≤500mL:15¢ユーロ

 ○飲料容器>500mL:25¢ユーロ

EUではペットボトルのキャップは開栓後もボトルに残ったままでないと今年7月からは販売できない。返却時も、キャップが付いたまま返却するよう呼びかけられている。

ボトルに付いたキャップは、適正にリサイクルされるそうだ。

<出典>

https://www.citizensinformation.ie/en/environment/waste-and-recycling/deposit-return-scheme/

https://www.rte.ie/news/2024/1024/1477146-bottle-collection/

プラスチック国際条約、素案を議長が各国に提示

毎日新聞(2024.11.1)によると、政府間交渉委員会のルイス・バジャス議長が条文の素案の非公式文書を各国に提示した。

やはり生産規制は盛り込まれていない。

生産規制なしではプラスチック汚染など防げるはずないから、多少期待していたのだが。

グリーンピースのいうようにまだ結果はわからないとはいえ、これより良くなることはないだろうと思うと、とても残念だ。

しかし、生産者が製品の使用後にまで責任を負う「拡大生産者責任」だけはしっかり盛り込まれた。拡大生産者責任の考え方を導入し、プラ素材の使用量の削減と、再利用や修理をしやすい設計などを推奨するとのこと。

日本もその点だけは少し変わるかもしれないと期待する。

日本の容器包装リサイクル法は拡大生産者責任が再商品化義務のみだし、プラスチック資源循環法ではその再商品化義務さえ、生産者に負わせていない。回収から再商品化まですべて税金でおこなわれる。環境省は否定するが、同法には拡大生産者責任はゼロだ。

素案については、毎日新聞にしか載っていないようだ。非公式文書のせいか、INCの公式文書が掲載されるウェブサイトにもまだ見当たらない。

https://mainichi.jp/articles/20241101/ddm/012/040/048000c

人工芝と容器包装を減らせば、大阪ブルーオーシャンビジョンは達成できる

2019年のG20大阪サミットで、2050年までに追加的な海洋プラスチック汚染をゼロにまで削減することを目指す「大阪ブルー・オーシャン・ビジョン」が提案された。

それを達成するには、海洋に流出するプラスチックごみの量を、2035年までに2019年比で32%削減する必要があると、九州大学の磯部先生たちの研究グループが報告している(重量ベース)。

https://www.kyushu-u.ac.jp/ja/researches/view/1132/

プラスチックの用途で最も多いのが容器包装で、プラスチック生産量の半分ほどを占めるため、容器包装を減らすのが最も有効だ。海洋への流出も多い。しかし、容器包装に使われているプラスチックをすぐに全廃するのは不可能だ。

そのため、バラ売りやシェアビジネスを増やすなどで容器包装を極力減らし、あとは必要性の高くないプラスチック製品を順次廃止するのがよいはず。

必要性の低いプラスチックの筆頭に上がるのが人工芝だ。健康にも環境にも悪く、使っていてもよいことは少ない。確かにメンテナンスはラクで、一度敷いてしまえばしばらくは維持費が安く済むかもしれないが、膨大な量のマイクロプラスチックを発生させることによる外部費用はバカ高い。

しかも、人工芝にはフタル酸エステルやノニルフェノールなど、内分泌かく乱作用のある化学物質(環境ホルモン)が含まれている。子どもや妊婦などへの悪影響は計り知れない。

さらに、PFASが含まれているという報告もあり、人工芝の販売禁止を決める米国の州も多い。

日本で最も人工芝に前向きなのは東京都で、都庁広場にまで人工芝を敷いてしまった。

東京都は、神宮外苑の木を伐り、人工芝を増やす・・・。まるでヒートアイランドを促進し、クーラーを使わせ、電力消費量を増やそうとしているようだ。それで誰が儲かるのだろうか?

PFASで睡眠障害に 血中濃度と睡眠時間に関連

7種類のPFASのうち、4種類のPFAS(PFDA、PFHxS、PFOA、PFOS)が睡眠と関連があるそうだ。

この研究は、生まれてから食品などを通してPFASに曝露したと考えられるケースで調べたそうだが、「出生前の胎児期の曝露に起因している可能性もある」とのこと。

600を超える遺伝子候補のうち、PFASによって活性化される7つの遺伝子候補が睡眠に影響を与えると推定されるそうだ。睡眠障害はアルツハイマー病などにも影響を与える。

https://diamond.jp/articles/-/352394

PFASは水中でプラスチックに吸着し、拡散しているという研究報告もあり、PFASの存在感が日々高まっている。

早く全面禁止してほしいものだ。

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