J&Jがベビーパウダーを自主回収、アスベスト混入!

ジョンソン アンド ジョンソンが、アメリカで生産・出荷されたベビーパウダー製品の一部を自主回収すると発表した。

発がん性物質であるアスベストが米食品医薬品局(FDA)の検査で、検出されたためだ。

「ベビーパウダーに使われる鉱物「タルク(滑石)」はアスベストと組成が似ており、鉱脈が近いことも多い」とのこと。

J&Jは既に同製品に1万件を超える訴訟を抱えているが、一貫して混入の可能性を否定してきた。しかし、今後裁判への影響は避けられないようだ。

日本経済新聞(2019.10.19)↓

2018年に米国で生産・出荷したベビーパウダー約3万3000本が対象。J&Jによると、ネットで購入した同社のベビーパウダーからごく微量のアスベスト(石綿)を検出したと17日にFDAから通知を受けた。

以前からベビーパウダーを赤ちゃんが吸い込むことによる健康被害は指摘されている。「アスベストの混入を防ぐ対策は30年以上も前に日本では採られているから安全」という専門家の声もある。

しかし、検査漏れの可能性などはいくらでもあり、赤ちゃんにそのようなロシアンルーレットまがいのことをする必要はない。

仮にアスベストが含まれていなかったにせよ、微粒子を吸い込むことによる悪影響も懸念される。

これを機に、ベビーパウダー使用者は使用を止めた方が安心だ。

<参考>

日本経済新聞(2019.10.19)「J&J、ベビーパウダー3万本自主回収 発がん物質混入」↓

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO51176370Z11C19A0000000/

Bloomberg(2019.10.19)「J&Jが「ベビーパウダー」自主回収、微量のアスベスト混入」↓

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-10-19/PZLVAJDWX2Q301

ハウスが生ごみをバイオプラの原料に、アップサイクルかも??

最近よくアップサイクルという言葉を聞く。

単なるリサイクルではなく、元の製品より価値の高いものにリサイクルすることを指すらしい。

しかし、アップサイクルを謳っているものをみると、たいていは単なるリサイクルに見える。

そう思っていたところ、ハウス食品が工場から出る野菜を植物性プラを製造するアミカテラに原料として提供するという報道があった。(日経新聞2019.10.19↓)

SBIインベストメント(東京・港)と共同で設立した「ハウス食品グループイノベーションファンド」を通じて出資した。ハウス食品グループ本社は、工場で廃棄される野菜などの植物繊維をアミカテラに原料として提供する。工場からの廃棄量削減につなげる。

アミカテラで作られる植物性プラスチックでもし必需品(「安易に使い捨てられないもの」という意味で)が作られるならば、これは「アップサイクル」の事例かもしれない、と思った。

<参考>

日本経済新聞(2019.10.19)「ハウス食品、植物性プラ製造のベンチャーに出資」↓

https://www.nikkei.com/article/DGKKZO51172270Y9A011C1TJC000/

 

 

日本でもスタバなど紙コップリサイクル試行開始 でも店舗回収って?

東京都が伊藤忠紙パルプと組み、東京都内の飲食チェーン店で紙コップのリサイクルの実証実験を始めるとのこと。

10月21日から1ヶ月間、スターバックス5店舗とマクドナルド2店舗が参加して開始されるそうだ。

回収・リサイクル(紙袋などに再生)を担当するのは伊藤忠子会社。回収場所は店舗のみのようだ。

店舗回収ということは、店舗利用者が使った紙コップだろう。店舗ではリユースカップをなぜ使わないのか、と気になる。洗い場がない、洗っている時間が惜しい、顧客の希望などの理由はあるだろうが、都が絡むならば、店舗利用者は基本リユースカップを使うように促すのが本来の姿だ。

リサイクルしたら良いという問題ではない。

カナダのある自治体では、スタバなどの紙コップを市中回収していると聞く。市民がテイクアウトしたものだろう。EPRが徹底しているから、おそらく費用はスタバなどが負担しているのだろうと思う。

一方ドイツ・ハノーファー市などは、テイクアウト用にリユースカップを採用し、デポジット(保証金)を付けて、どこのカフェでも回収できるようにしている。つまり、店内利用者はもちろん、テイクアウトする人もリユースカップを使うということだ。さすがドイツ・・

ドイツではハノーファー以外にも多くの都市で、1ユーロ(130円)〜2ユーロ程度のデポジットを付けて、リユースカップを利用している。

都主導で、店舗利用の紙コップリサイクルの実証実験開始・・というニュースに「今さら?」と違和感を覚える。

今、試行すべきは、リサイクルではなくリユースだ。

やらないだけマシかもしれないが・・・海外のスタバやマック本社も、「使い捨てカップの店内提供を禁じる国(例えば、韓国)も増えている中、日本はまだ使い捨てコップを使ってよいのか」と驚いているのではなかろうか??

以下、日経新聞(2019.10.19)の一部↓

伊藤忠紙パルプによると、国内の飲食店ではプラ製コップが年間で十数億個、紙コップは同二十数億個が使われている。紙コップはにおいや汚れが残っていることなどからリサイクルが難しく、ごみとして焼却処理される場合が多いという。

同社は実験店から使用済みの紙コップを原則毎日回収する。洗浄して中間処理後に紙袋などに再生する。都は実証実験で成果を得られれば、他の飲食チェーンにも取り組みを広げたい考え。

<韓国についての参考>

https://www.konest.com/contents/nowseoul.html?id=15237

<ドイツについての参考>

http://www.newsdigest.de/newsde/regions/reporter/hannover/8747-1056/

テイクアウトでも使い捨てないカップ  〜ドイツにおける地域ぐるみの新しいごみ削減対策

シカのプラごみ誤食と「おもてなし」ごみ回収

奈良公園のシカは以前からレジ袋や菓子袋などを誤食し、被害を受けているが、その被害が急増しているとのこと。

今年3月〜6月に原因不明で死亡したシカ14頭中9頭の胃からプラスチックごみが見つかったそうだ。

公園近くのスーパーのレジ袋が有料化されれば、多少被害は減るかもしれないが、小さい店のレジ袋は有料化されそうもないから、被害は減らないかもしれない。

その被害のこともあってか、奈良市が始めたのは観光客の小型ごみの無料引き取り「もてなし×エコ」だ。

「回収協力店」に月5000円を支払い、観光客のごみを対面で受け取ってもらう。この5000円は、協力店が受け取ったごみを「事業系ごみ」として、有料で回収に出す時に使うことが想定されている。

小型ごみは、ペットボトルとか飲料缶などを想定しているらしいが、本来これらはメーカー責任で回収すべきもの。

奈良市がこれをするならば、同時に、強く国に「拡大生産者責任」を求めて欲しいものだ。

観光客が使い捨てたペットボトルや飲料缶の回収費用まで、税金で負担されては、一般市民はたまったものではない。

<参考> 奈良新聞(2点)↓

奈良市のおもてなし

 

安倍首相発言「イノベーションはプラごみ汚染を解決する」は本当か

安倍首相が、海洋汚染の問題について「プラスチックを敵視するのではなく、必要なのはごみの適切な管理だ」と指摘。技術革新の面を重視して問題解決を図るべきだと強調した。

また、「必要なのはごみの適切な管理で、イノベーションに解決を求めること」だと国際会議で述べたそうだ。

安倍首相は本気でそう思っているのだろうか。イノベーションでプラスチック汚染が解決するならば苦労はない。

例えば、日本が推し進めようとしているバイオプラスチックも、まだ完全なものはない。最も生産量の多いポリ乳酸(PLA)を土の中に埋めるとミミズが体重を減らすことが実験によりわかっている。

堆肥化できないポリ乳酸など、何の役に立つのだろう。しかもポリ乳酸は、海の中では分解しない。

イノベーションには期待したいが、まだ解決策につながるようなものはない。

気候変動とプラスチック汚染は多くの面で連動している。どちらもまだ解決の兆しは感じられない。それどころか、日々深刻度を増している。

首相の発言は、やる気のありそうな小泉環境相を牽制しているのだろうか。

<安倍首相発言についての参考記事>

日本経済新聞(2019.10.4)「「プラ必要 敵視すべきでなく適切な管理を」首相」

https://www.nhk.or.jp/politics/articles/statement/23907.html

 

食品から有害化学物質をとらずに済む方法、国際セミナー講師がビデオで事前解説

11月24日(日)、ダイオキシン・環境ホルモン対策国民会議が「有害化学物質から子どもを守る」という国際セミナーを開催する。

講師の一人であるトラサンデさんが、有害化学物質を食品から摂取しないで済む簡単な方法を、事前に動画で解説している。

例えば、

1.プラスチック容器を電子レンジにかけない。電子レンジ対応と書かれていてもNG。

2.缶詰を減らす。ビスフェノール類の暴露を減らすため。

3.リサイクル番号3,6,7のものは使わない。3は塩ビだからフタル酸系の添加剤が使われている。6番はスチレンで発がん物質。7番にはビスフェノール類が使われている可能性があるとのこと。

4.プラスチック容器は、キズが付いたら捨てどき。

5.焦げ付き防止加工のある調理器具は使わない。フルオロアルキル化合物が使われており、食品に吸収され、人の体内にも吸収される。

など。

また、講師は冷凍食品がプラスチック容器に入っていれば、ガラス容器に移し替えるとのこと。

冷凍食品ではないけれど、我が家の味噌は買った時のままプラスチック容器に入っている。梅干しも。ガラス容器に移した方がよいだろうか?

トラサンデさんの詳しい解説は、動画をご覧下さい↓

http://kokumin-kaigi.org/?p=3092

<関連記事>

奪われし未来の著者らが来日、環境ホルモン国際セミナー

 

亀岡市、レジ袋禁止条例 来年8月スタートか

京都府亀岡市で、日本で初めてレジ袋の提供禁止条例が来年の3月議会に提出される。

8月1日の施行を目指すそうだ。

紙製や生分解性プラスチックの提供は禁止されない。

日本全体としては、来春からレジ袋の有料化がスタートするが、有料化ではすぐに慣れ、一時期は減ってもまた増える可能性がある。

レジ袋の材料であるポリエチレンは、人間にとり安全なプラスチックだと思われていたが、マイクロプラスチックになった場合、実は環境にとって悪い面の多いことが最近わかっている。

例えば、劣化したポリエチレンはメタンなどの温室効果ガスを大量に発生させる。メタンは二酸化炭素よりも25倍も温室効果の高いガスだ。

レジ袋に空の弁当容器やペットボトルを入れて、自然の中に放置されているのをよく見かける。しかし、少し時間の経ったレジ袋は、拾おうと思ってもすぐにバラバラになり拾えないことが多い。

そのため、せめてレジ袋に入れずに捨ててくれれば・・と思うこともある。

ある種の甲殻類が、レジ袋1枚を175万個ものマイクロプラスチックにしたという実験結果もある。

レジ袋は、クジラやウミガメなど海洋生物に被害をもたらす以外にも、他に多くの悪影響を環境に対し与えている。

世界も有料化から禁止の方向へ向かっている。禁止条例は妥当だと思われる。

<参考>

徳島新聞(2019.10.4)「レジ袋禁止、違反業者公表も」

https://www.topics.or.jp/articles/-/264481

奈良新聞

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成田市議会「見た目を揃えるため」マイボトルを禁止、ペットボトルと紙コップに統一

千葉県の成田市議会では、議会の委員会室に持ち込める飲料容器はペットボトルのみとし、マイボトルの持ち込みを禁止にしたそうだ。

きっかけは、市民からの苦情だったという。

以下、転載(AERA, 2019.9.30)↓

「市民から『議員がペットボトルで直接飲み物を飲むのは見栄えがよくない』との苦情があり、委員会室ではペットボトルから紙コップに注いでから飲むことだけが認められました。その時にマイボトルの話も出たのですが、『マイボトルでも直接口に付けて飲むタイプとコップに注ぐタイプがある』ということになり、最終的には議員団が用意したペットボトルの飲み物だけを許可し、紙コップに注ぐことで統一することになりました」

つまり、ペットボトルと紙コップをセットで使用することになり、それ以外はダメとのこと。

しかも、会津議員のブログによると、

「マイボトルは目立つからダメ。見た目を揃えるためにもペットボトルでなければならない。」

ということが、マイボトル排除の理由だったという。

冗談だろうか?もし、本当だとしたら、倒錯しているとしかいいようがない。

市民からの苦情は、ペットボトルに口をつけて飲むことであって、水筒で水を飲むことではなかった。にも関わらず、見た目を揃えるためにペットボトルと紙コップで統一する??意味がわからない。

近年、ごみ問題や温暖化問題を喫緊の課題と捉え、プラごみゼロ宣言を出す自治体が相次いでいる。ペットボトルの提供を中止する自治体も少なくない。

しかし、成田市議会が禁止したのは、ペットボトルではなくマイボトル・・・

ペットボトルも紙コップも、削減すべき使い捨て製品の筆頭だ。ルールを決めた人たちは、何か重大な勘違いをしている。

成田市にはごみやCO2削減を担当する課はないのだろうかと思い、市のホームページを見てみたところ、一般的な環境基本条例はある。

https://www.city.narita.chiba.jp/content/000010031.pdf

問題は、議員の多くがこの条例の意味を理解していないことのようだ。

<参考>

AERA(2019.9.30)「マイボトル禁止でペットボトルOKの成田市議会に批判噴出 懇談会ではコンパニオン派遣も」↓

https://dot.asahi.com/dot/2019093000049.html?page=1

会津素子成田市議会議員ブログ↓

https://ameblo.jp/koshary/entry-12530367421.html

固定価格買取制度の基準見直しを

FIT(固定価格買取制度)に温室効果ガス(GHG)の基準を入れるかどうかの議論が、佳境に入っている。

経産省は、相変わらずGHG基準を入れるつもりはないそうだ。

このままではパーム油や輸入木材などがどんどん燃やされて、再生可能エネルギーとして売られることになる。

私たちが電気代に上乗せして支払う再エネ賦課金は、決してバカにならない金額。それが、インドネシアやマレーシアのパーム油生産のための森林伐採や、泥炭湿地帯の破壊に使われるということだ。

インドネシアの森林火災による煙害は、今年も激しい。乳児らの死者も出ている。パーム油を買い続ける日本にも責任があるのではないか。

輸入木材にしても、伐採地によっては地球温暖化を加速させる。

パーム油や輸入木材を燃やして発電することが、なぜFITで認められるのか、理解に苦しむ。

<煙害についての参考>

朝日新聞デジタル(2019.9.23)「インドネシアで煙害深刻、乳児ら死亡 周辺国も巻き添え」

https://digital.asahi.com/articles/ASM9P2RP1M9PUHBI00L.html

 

ニュージーランド、デポジット制度導入か

ニュージーランドのユージニー・セージ環境副大臣が、飲料容器のデポジット制度を導入すると発表した。

制度設計については、2020年8月までに政府に提示され、2022年までには実施される見込み。

対象は、プラスチック、アルミ、ガラスを使った飲料容器で、デポジット(保証金)金額は5から20セントの予定。

ニュージーランドでは、長らく産業界がデポジット制度導入に強く反対していた。

オーストラリアの影響か、ようやく導入が決まったようだ。

欧州連合内では、海洋プラスチックごみ対策の一環で、最近デポジット制度の導入、あるいは検討する国が相次いでいるが、ニュージーランドではムリだろうと思っていた。

しかし、ニュージーランドでも導入が決まったということは、日本もあきらめるのはまだ早いかもしれない、と勇気づけられる。

<参考>

stuff(2019.9.25)Government announces beverage container return scheme;

https://www.stuff.co.nz/environment/116070622/government-announces-beverage-container-return-scheme