イタリア、PFAS汚染企業に有罪判決 日本人3人も禁固刑

東京新聞(2025.9.7)によると、イタリア・ベネト州のPFAS汚染の原因企業に有罪判決が出た。

刑事裁判は今年6月に判決が下され、「ミテニ」の元幹部ら11人に禁錮17年6月〜2年8月の判決が下された。日本人は4人が起訴され、2人が禁錮16年、1人が禁錮11年、1人が無罪だった。

ミテニの「ミ」は三菱の「ミ」だそうだ。1988年に三菱商事を含む事業体に買収された。工場は2009年、ルクセンブルクの投資グループに1ユーロで売り渡されたという。

現地での疫学調査では、心疾患やがんによる死亡率が増加したと報告されているそうだ。

詳しくは↓

https://www.tokyo-np.co.jp/article/434043

日本では、PFAS汚染企業(神奈川県相模原市の3M、静岡市清水区の三井ケマーズ、大阪府摂津市のダイキンなど)の責任は問えるのだろうか。有害だとわかってからも製造を続けたことは明らかだから、有害性を認識していた幹部には責任があるはずだ。

防災の日に、ポリ袋ご飯の給食?! 子どもの健康を危険にさらす「防災」

9月1日の防災の日、テレビを見ていて驚いた。ある学校の学校給食で「防災献立」として、子どもたちにポリ袋で炊いたご飯を食べさせていたのだ。

https://www3.nhk.or.jp/lnews/kochi/20250901/8010024552.html

一人分ずつ、1枚のポリ袋に米と水を入れて湯煎して炊いたものだという。

このポリ袋から、フタル酸エステルなどの化学物質がマイクロプラスチックと一緒に溶け出さないだろうか?なぜ子どもに、こんな危険なものを食べさせるのか。非常時ならば仕方ないと思うが、わざわざ災害でもない時に・・。

おそらく、ポリ袋にはフタル酸エステルは使わないから大丈夫だと考えているのだろう。しかし、塩ビ以外の製品からもフタル酸エステルは検出されている。日本のレジ袋からも検出されているから、このポリ袋だって怪しい。

プラスチックのこのような使い方は、子どもの健康にとって、リスクでしかない。米カリフォルニア州では、ジップロックが集団訴訟を起こされているが、日本ではわざわざ給食で子どもにポリ袋ご飯を提供する…。災害時でもないのに、「防災」という美名の下で。

フタル酸エステルはいわゆる環境ホルモンで、内分泌攪乱作用があるから子どもにとって特に有害だ。大人にとっても早死にリスクがあるなどの論文が出ている。

最近ではニューヨーク大学の研究チームが、「DEHPにさらされることが、世界的に年間およそ35万6000件の心臓病による死亡と関連しているとみられる」という研究結果を発表した。

https://life.chosunonline.com/site/data/html_dir/2025/05/21/2025052180070.html

DEHPは、フタル酸エステルの一種だ。

「DEHPにさらされることによる心臓疾患での死亡事例を地域別に見ると、中東や南アジアが全体の42%を、東アジアや太平洋地域が全体の32%を占めた」そうだ。日本を含むアジアの国々が、無防備にプラスチックを食品容器として濫用しているせいだろうか。

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相模原市、道保川公園でPFAS浄化の実証試験 10月から

相模原市が、中央区上溝の道保川公園で、PFAS浄化の実証試験をするとのこと。奥村組の提案を受けての実施だそうだ。

具体的には、「10月から3カ月間程度、同公園のせせらぎの沢周辺に小さなプラント型の処理施設を設置し、水質中のPFASを活性炭とイオン交換樹脂を使って吸着させ」、その後、奥村組の研究施設で触媒を用い、分解する試験も併せて行うそうだ。

https://news.jp/i/1330512363826692495?c=899922300288598016

道保川公園のPFAS汚染がこれで少しはおさまればよいが、3ヶ月程度ではこの浄化方法が現実に可能かどうかを確認するだけだろう。

もし、この方法がうまくいけば、長期にわたり奥村組から浄化してもらうことになるのかもしれないが、その費用はぜひ3M社の負担にしてほしい。

そうでなければ、3M社は自社敷地内から染み出す地下水を早急に止めようとは思わないだろう。遮水壁や土壌入れ替えなどにより、至急汚染水の敷地外への流出を止めなければ、近隣地域のPFAS汚染は止まらず、いくら浄化してもイタチごっこになる。

それに、自然災害ではないものの回復に、税金を使われてはかなわない。PFAS汚染は公害だから、汚染者負担の原則が適用されるべきだ。

<相模原市の発表>

大阪・関西万博で使用の「ヨギボー」50個、2日間の使用で廃棄

大阪・関西万博の屋外イベント広場で使用されたビーズソファのヨギボーが、たった2日間使用しただけで廃棄されていたそうだ。

https://voiceofnara.jp/20250815-news1221.html

イベント期間は3日間だったが、1日は天気が悪く使用できなかった。たとえ1日でも2日でも、こんな洗えないものを不特定多数の人が使えば、イベント終了と同時に廃棄されるのは当然だろう。

しかも、ヨギボーが置かれていたのは人工芝の上。人工芝も当然、万博終了と同時に廃棄されるはず。プラスチック削減のための国際会議が開かれる時代に、こんなプラスチックだらけの企画をたてる広告代理店のセンスもひどいが、それを了承している万博実行委員会の良識も疑いたくなる。

万博開催前に環境NGOなどからごみの出ない万博を目指すよう要請があったはずだが、全く無視されているようだ。

ビーズソファを廃棄しようとパッカー車に積み込むと、圧縮され「爆発」して(布が破れて)中の発泡スチロール製ビーズが盛大に飛び散ることが知られている。

50個を産廃処理場までどうやって運んだのか、無事焼却できたのか、ビーズが飛び散り汚染された場所はなかったのか、知りたいものだ。

さいたま市浦和、DIC跡地から1リットルあたり1万ngの高濃度PFAS 原因はフッ素系インキの開発? 

高濃度のPFASが検出されたのは、日新火災海上保険のさいたま本社の敷地内。この場所は、1986年までは「財団法人大日本インキ理化学研究所」(途中で財団法人川村理化学研究所と改名)と大日本インキ化学工業(現DIC)だったそうだ。

DICによると、財団研究所で1968年から1986年まで、PFOS関連物質の開発研究が行われていたとのこと。同社と財団研究所による共同研究も行われていたという。

PFAS汚染が発覚したきっかけは、損保会社から約5キロ離れた川で150ng/LのPFOSとPFOAが検出されたことだ。不審に思ったさいたま市が、雨水管をさかのぼって水質調査を行ったところ、この土地が発覚した。

39年経ってもこの濃度だったということは、元はどれだけ高濃度にこの土地が汚染されていたのか。おそらく当時、PFASを垂れ流していたのだろう。

川の濃度は今年1月以降の水質調査で上がり続けており、最大2万6000ng/L(指針値の520倍)だそうだ。

DICは責任を取り、土壌の入れ替えや遮水壁費用などを出すべきだ。

それにしても、塗料にPFASが入っているのは知っていたが、インキにもPFASが使われているのだろうか?

<補筆>

調べたところ、フッ素系塗料があるようにフッ素系インキというのもあるそうだ。PTFE(いわゆるテフロン)などのフッ素樹脂が使われているらしい。

<出典>

https://toyokeizai.net/articles/-/896089

どうなる?英ウェールズの人工芝禁止方針

米ロサンゼルスでもまだ人工芝禁止をめぐり議論されているが、英国ウェールズの人工芝の動向からも目が離せない。

2023年の「State of Nature報告書」によれば、ウェールズで記録された3,897種のうち約18%が絶滅の危機にあり、ウェールズの植物種の42%は過去よりも生息域が狭まっているとのこと。

使い捨てプラスチック製品の規制を進めるウェールズの気候変動大臣ジュリー・ジェームズ議員は2023年6月、使い捨てプラ製品禁止法に人工芝も適用できるか検討したいと発言。しかし、数日後にこの方針を撤回した。(使い捨てプラ製品禁止法は同年6月に成立。皿・カトラリー・ストロー・飲料かき混ぜ棒・風船スティック・綿棒・発泡スチロール製のカップ・テイクアウト容器などの使い捨て製品は同年10月30日から禁止)

その後、人工芝を含むマイクロプラスチック問題に関してどのような研究が行われているかを把握するため、Environment Platform Walesに対し、マイクロプラスチックに関するイベントの開催を依頼。2025年3月にイベントが開催された。

英国は、生物多様性を最重要視するお国柄だ。ウェールズでも、自然回復目標や気候変動対策を盛り込んだ新たな法案が準備されており、人工芝の規制強化も含まれる可能性があるとのことだが、まだ具体的な規制はないようだ。

ウェールズの今後の動きを注視したいが、あまり情報が入ってこない。

<参考>

https://business.senedd.wales/documents/s154752/Research%20brief.pdf?utm_source=chatgpt.com

https://news.sky.com/story/artificial-lawns-could-be-banned-in-wales-minister-says-12898818?utm_source=chatgpt.com

デュポンなど3社、ニュージャージー州に汚染除去費用として和解金3000億円 

化学大手デュポンとその関連会社3社が、米ニュージャージー州に最大約21億ドル(約3100億円)を支払うことで和解した。

同州のプラトキン司法長官は声明で「企業は何十年もの間、われわれの土地や水を故意に汚染してきた」とそうだ。

https://news.yahoo.co.jp/articles/522ee1e191979fcd2a16979daca3e95e66b4e182

和解金の内訳は、今後25年にわたって賠償金8億7500万ドルを支払う費用、およびPFASや他の化学物質による汚染浄化のため最大12億ドルの基金を創設する費用のようだ。

https://news.livedoor.com/article/detail/29318692/

3M社も長年にわたり、相模原市を汚染している。相模原市長は3M社を訴えないのだろうか?相模原市は、3M社をかばっているように見えるが、市長の意向だろうか。

恥ずかしい大阪万博 人工芝の上に子ども達の絵画

大阪・関西万博の会場で、参加158国・地域と日本の子どもたちが、友情や平和を主題に共同制作した巨大絵が展示されたそうだ。

https://www.kobe-np.co.jp/news/society/202508/0019313642.shtml

よりにもよって、人工芝の上に、だ。

スイス・ジュネーブで開催中の国際プラスチック条約では、プラスチック生産量に制限をもうけるかが議論のカギとなる。未来をうたいながら、万博会場に人工芝を敷いたこと自体とても恥ずかしいのに、子ども達の絵などを飾ったら、人工芝がより目立ってしまう。

日本は世界の子どもたちの未来など知らない、プラスチックにまみれようがどうしようが構わない、とアピールしているようなものではないか。

日本政府はあくまでも、プラスチック問題は海洋汚染問題であり、不適切な廃棄物処理の問題だとして、プラスチックをあちこちに使えるよう「配慮」し、生産量を増やそうとしているように見える。

中国の「デフレ輸出」の影響で最近、アメリカでシェールガスから作ったポリエチレン樹脂が、中国経由で日本にも入ってきているのではないか。人工芝もそれで安く作られそうだ。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB144I70U5A710C2000000/

人工芝はヒートアイランド現象をも加速する。この猛暑を少しでも緩和するため、人工芝などさっさと剥がし、本物の草木を植えてほしい。

GP調べ:「プラスチック生産量削減すべき」が69% 

国際環境NGOのグリーンピースが、国際プラスチック条約第5回政府間会合再開セッション(INC5.2)を前に、1000人を対象に意識調査を行った。

「プラスチックの世界生産量を削減するべきと思うか聞いたところ、「削減するべきだとある程度思う」が39.1%で、「削減するべきだと強く思う」29.7%と合わせると、削減するべきだと思う人は合計68.8%となり、「削減するべきだとあまり思わない」4.3%、「削減するべきだとまったく思わない」3.8%を大きく上回った」そうだ。

プラスチックの生産量は、2050年までに約3倍増えると言われている。削減しないと人類に未来はないから、削減しなくてもよいと考える人は、2050年まで生きていない人(生きている気のない人)なのだろうか。

8月にスイス・ジュネーブで開催される会議には、日本政府からも代表団が参加する。中東の産油国やロシア、アメリカなどに同調しているようでは、税金を使って参加する意味はない。

「生産量を削減すべき」と堂々と主張し、意義のある条約を締結してほしい。

1日平均7万個のマイクロプラを吸い込んでいる

私たちは、大気中のマイクロプラスチックを毎日吸い込んでいる。問題はその数だ。

屋内で7万個吸い込んでいるというフランスの研究結果が公表された。

https://www.vietnam.vn/ja/nghien-cuu-gay-soc-con-nguoi-hit-hon-70-000-hat-vi-nhua-moi-ngay-trong-nha

私が今まで読んだ論文の中で最も大きかった数字は、中国の屋外の大気から割り出した数字で、1日5万個のマイクロプラスチックを吸い込んでいるというものだった。それがさらに増えたようだ。

「成人が毎日これらの環境から吸い込むマイクロプラスチック粒子はおよそ71,000個で、そのうち68,000個は10マイクロメートル未満のマイクロプラスチック粒子だと推定」されている。

10マイクロメートル未満は、体内に取り込まれてしまうサイズだ。つまり、大気から取り込むほとんどのプラスチック粒子は、排泄されないということだ。

屋外より屋内の方がマイクロプラスチックの濃度が高いことは、これまでの研究でも示されている。今回は車内の大気も測定したため、数字が跳ね上がったようだ。

車内がなぜそれほどプラスチックで汚染されているのかわからない。プラスチックに囲まれた密閉空間だからだろうか?

カーペットから大量のマイクロプラスチックが発生していることは確かだろう。

それとも、車の換気口から取り込む外気が、路上に近いため、タイヤ屑や道路標識のマイクロプラスチックでひどく汚染されていて、それを取り込むせいだろうか?

いずれにせよ、マイクロプラスチックの取り込みを減らすには、車にあまり乗らないのが良さそうだ。乗る場合は、せめてこれ以上車内にプラスチック製品を持ち込むことはやめた方がよい。

電車やバスの車内も測定してほしい。