日本企業、バイオエタノールの量産計画進む。バイオマスを使い捨てプラの隠れ蓑にしないでほしい

バイオエタノールを使ってバイオマスプラスチックを作るため、日本企業はしのぎを削っているようだ。

日本経済新聞(2023.6.29)によると、旭化成はブラジル産のサトウキビの糖を発酵させてバイオエタノール量産を計画中。2027年にも商用化するそうだ。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC040RI0U3A400C2000000/

また、住友化学は積水化学工業と組み、2025年度をめどにエチレンなどの製造を実用化する計画とのこと。

三菱ケミカルグループは豊田通商を通じ外部調達し、プロピレンなどを製造。2025年度にも製造・販売する。

王子ホールディングスは木質資源からの製造を検討している。

各社バイオエタノールをプラスチック原料に活用する考えだ。

「リサイクルの難しいプラ関連製品は焼却処分されることが多く、廃棄までのバイオマスプラスチックの工程全体でCO2排出量を減らせる。製造コストは検証を進める」とのことだが、リサイクルの難しいプラスチック製品は、最初から作るべきではない。

医療品などのような必需品は別として、もし使い捨てプラスチック製品などを念頭に置いているならば、バイオマスプラスチックなど不要だ。バイオエタノールの量産が、使い捨てプラスチックの言い訳や隠れ蓑に使われてはたまらない。

「地球は既に限界」ネイチャー発表。「地球の表面の生態系はほぼ自然のまま半分は覆われる必要がある」

世界トップクラスの科学者グループが、英科学誌「ネイチャー」に論文を発表した。地球は既に安全の限界点を超えているそうだ。

気候、生物多様性、水、自然生態系、土地利用、肥料、エアロゾルの影響など8つの地球システムの限界点のうち、7つが限界点を突破したという。

「地球の表面の50〜60%はほぼ自然のままの生態系に覆われる必要があるが、既にそれ以下になった」とのこと。

日本国内を見ていても、神宮外苑は再開発の美名のもと木が伐られているし、全国各地で人工芝グラウンドも増えた。公園などはプラスチック遊具が置かれ、その下の地面はゴムチップ舗装か人工芝だ。家庭の庭さえも人工芝で覆う家が増えている。「ほぼ自然のままの生態系」が残っている土地など、いかに森林率の高い日本でも半分もあるだろうか。

ウクライナではダムまで壊された。人間は地球に寄生しながら、地球を滅ぼしている。

ネイチャーに掲載された論文の出典は日本経済新聞(2023.6.8)↓

https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20230608&c=DM1&ng=DGKKZO7170779007062023FFJ000

「チョコレートがガーナの森を壊す?」オンラインセミナーのお知らせ

熱帯林行動ネットワーク(JATAN)の興味深いオンラインセミナー(参加費は無料)です。

——-以下転載——-

4月21日(金)16:00〜開催【ウェビナー】
チョコレートがガーナの森を壊す?~ガーナの森林破壊とアグロフォレストリーの現状
https://www.jatan.org/archives/6003

カカオ生産の裏には児童労働や貧困の問題があることは知られていますが、森林破壊の問題については日本ではまだまだ知られていません。日本に輸入されるカカオの7割がガーナ産であり、ガーナからのカカオとカカオ製品の輸出先の第2位が日本であることから、日本にとってガーナの森林破壊には大きな責任があると言えます。今回は今年1月にガーナを調査した榎本より、ガーナにおける森林破壊とアグロフォレストリーの現状をご報告します。また、森林破壊をモニタリングする、マイティー・アースの作成したガーナのカカオ・アカウンタビリティ・マップについてもご紹介します。

【日時】2023年4月21日(金)16:00~17:30

【内容】
1.「ガーナにおける森林破壊とアグロフォレストリーの現状」
榎本肇(熱帯林行動ネットワーク/JATAN)

2.「ガーナ・アカウンタビリティ・マップについて」
マイティー・アース(未定)

3.質疑応答

【お申し込み】
Zoomでのオンライン開催となります。以下の登録フォームよりお申し込みください。
https://us02web.zoom.us/meeting/register/tZckde-pqjooEt2eCzFsh0swY8f3uN-mfIEA

【主催団体の概要】
・熱帯林行動ネットワークは、熱帯林をはじめとした世界の森林の保全のために、森林破壊を招いている日本の木材貿易と木材の浪費社会を改善するための政府、企業、市⺠の役割を提言し、世界各地の森林について、生物多様性や地域の住⺠の生活が守られるなど、環境面、社会面において健全な状態にすることを目指しています。2010年以降はプランテーションが森林や地域社会に及ぼす影響熱帯林保全に関わるNGO6団体のネットワークであるプランテーション・ウォッチの事務局団体として、環境・社会問題に配慮した責任あるパーム油等の調達を企業に求める活動も進めています。

・マイティー・アース(Mighty Earth)は、土地、海洋、気候を守るため、活動する世界的キャンペーン団体。 森林破壊と人権侵害をサプライチェーンから排除する方針を採用するように世界大手の食品企業と農業法人を説得する上で主導的な役割を果たし、クリーンエネルギーに数十億ドル規模の資金の移転を行うよう推進しています。国際的に変化を訴えたり、あるいは地元レベルで呼びかけをし、環境保護の動きを促しています。チョコレートに関するキャンペーンは、Chocolate’s Dark Secret(2017年9月)というレポート発表から始まり、その問題提起を受けてカカオ業界は2017年にCocoa and Forests Initiative(CFI)を設立しました。マイティー・アースは、それ以降、現地での調査や衛星監視活動などにより、森林と人権の実態をモニタリングしています。

【主催】熱帯林行動ネットワーク(JATAN)、マイティー・アース(Mighty Earth)
【協力】プランテーション・ウォッチ、地球・人間環境フォーラム

<本件に関するお問い合わせ>
熱帯林行動ネットワーク(担当:中司、榎本)
住所:東京都渋谷区千駄ヶ谷1-13-11 JF千駄ヶ谷 4F
電話:03-5843-6720(テレワークのため留守番電話となっております)
Eメール:cocoa[@]jatan.org


木質バイオマス発電、高効率の闇。三隅火力発電所2号機も混焼

世界的に木質バイオマス発電が大きな問題になっている。先日のNGOのセミナーによると、EUでも問題になっているとのこと。

バイオマス発電は、カーボンニュートラルというトリックで、日本ではまだ持ち上げられているが、いずれバームオイル発電と同じ道をたどりそうだ。

11月1日に営業運転を開始した三隅火力発電所2号機も石炭に木質バイオマスを10%混焼する(日経.2022.11.1)。

カーボンニュートラルの計算式のおかげで、石炭よりカロリーが低いはずの木質チップを混ぜるほど額面上は「高効率」発電が実現できる。

木質バイオマス発電が増えれば増えるほど、森林破壊も温暖化も生物多様性減少も進んでしまう。

<三隅火力発電所の参考>

日本経済新聞(2022.11.1)「中国電力、三隅火力発電所2号機の営業運転を開始」

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCC013E50R01C22A1000000/

神宮外苑:イコモス案ならば、伐採2本、移植も1/4に

892本の樹木を伐採する上、残すイチョウ並木も球状に近いため、悪影響が指摘される神宮外苑の再開発計画。

イコモスが都に提言した案では、再開発を行っても伐採は病害虫の激しい2本のみで済み、移植する樹木も42本で済むとのこと。

現在進められている計画では、秩父宮ラグビー場と神宮球場の敷地をわざわざ入れ替える計画だが、イコモス案では入れ替えず、現在地もしくは近くで再建する。テニス場も移設しない。

イコモス案ならば、伐採を計画している約1000本の木が守られ、その上さらに1000本以上の新たな植栽が可能になるそうだ。

秩父宮ラグビー場と神宮球場を入れ替える計画の真意はどこにあるのか、できるだけ工事を大がかりにして誰がトクをするのだろうか、都市部にわずかに残されている生物多様性の場を破壊する理由はあるのか、など疑問だらけだ。

こんな計画に都が賛成している理由を知りたい。

<参考>

東京新聞(2022.4.27)「樹木伐採892本→2本でOK「逆に1000本以上植えられる」 明治神宮外苑再開発、イコモスが都に提言」↓

https://www.tokyo-np.co.jp/article/174107

神田のイチョウ並木、伐採開始

千代田区の「神田警察通り」に並ぶイチョウ並木。その並木の伐採を区が開始した。

保存を求める住民の声を無視した伐採に、集まった住民たちが抗議している。

住民団体は、伐採の手続きが不適切だとして関連予算を執行しないよう求める住民監査請求をしたそうだが、監査結果を待たずに伐採が強行された。

沿道のイチョウ32本のうち30本を伐採、2本を移植するというが、大きな木の移植は難しく、枯れやすい。

安易な開発計画で、都市部の古い木はどんどん減っている。

https://www.tokyo-np.co.jp/article/173884

https://www.tokyo-np.co.jp/article/173904

https://www.tokyo-np.co.jp/article/153695

石井のミートボールの包装材

石井食品は以前、ミートボールなどの包装材を、2021年までにLIMEXに切り替えると発表していた。

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000090.000016815.html

先日、ふと気になって、スーパーで確認したところ、まだ普通のプラスチック包装だったので、少しホッとした。

どうもLIMEXは、どこがエコなのかよくわからない。

このLIMEXを使ったノートの宣伝にも

https://nolty.jp/notebook/

「LIMEXの主原料である石灰石は、地球上にほぼ無尽蔵にあり、森林を伐採せず、水をほぼ使わず紙を代替できます」

などと書かれているが、森林は伐採しないが、石灰石を使うということは山を破壊するということだ。

森林伐採どころではない。石灰岩採掘のため削り取られた山は、岩肌がむき出しになり植生が復元されるかもわからない。

埼玉の武甲山など爆破されて、無残な姿になっている↓

https://gendai.ismedia.jp/articles/-/68367?page=2

フツーのプラスチックの方が、まだマシな気がする。

石井食品の包装材はこのままがいい。

アメリカ、大規模森林破壊を止める法案

先ほどこんな署名が回ってきたので、早速署名した。

「米国:大規模森林破壊をストップ」↓

https://secure.avaaz.org/campaign/jp/usa_deforestation_loc/?czgERsb

「牛肉やカカオ、パーム油、木材、紙などを生産するため」の大規模森林破壊につながるような商品を流通させないようにするための法案を可決させるための署名とのこと。

具体的にどんな法案なのだろうかと思い、調べたところ、アメリカの記事が見つかった↓

https://www.globalwitness.org/en/press-releases/us-congress-must-pass-new-bill-help-end-deforestation-around-world/

「ワシントンDC、2021年10月6日:グローバル・ウィットネスは、森林破壊は気候危機の主要な原因であるため、議会に対し、気候に影響を与える森林を維持するためにこの法案を迅速に可決するよう求めている」という。

具体的には以下の法案のようだ。

・森林破壊に関連する商品の輸入について、サプライチェーンのトレーサビリティを含むリスクベースのデューデリジェンスを実施し、報告することを企業に要求。
・米国の金融システムが、違法な森林伐採による資金洗浄に使用されるのを防ぐ。
・ガバナンスを改善し、森林破壊を減らすために有意義な措置を講じている国々に対する米国の関与と支援を強化。
・森林破壊関連の腐敗に取り組むためのツールを強化。
・森林を破壊しない製品に対する連邦政府の優先調達を確立。

ニューヨーク州でも「州と取引をしている企業が森林破壊の対象となる土地から製品を調達しないようにする」法案を検討中のようだ。

https://www.nysenate.gov/newsroom/press-releases/liz-krueger/international-day-forests-legislators-advocates-launch-renewed

確かEUでも、以前このような話があったので、既に成立しているのではないかと思う。

国内外の森林破壊を止めるため、日本にもこのような法律がほしい。

神宮外苑再開発、「意見を聴く会」で再考を求める声が相次ぐ

東京新聞によると、都が15日、手続き上の流れで開いた「都民の意見を聴く会」で、計画の再考を求める声が相次いだそうだ。

https://www.tokyo-np.co.jp/article/172051

都のアセスメント担当課長は、「今日の意見を踏まえ、審議会の中で議論していく」とコメントしたそうだが、おそらく審議会の場では結論ありき。

審議会が知事に答申し、知事が事業者に審査意見書を送ったあと、今年度中に着工するという流れになるそうだ。

こんな大事な緑の財産を、平気で「再開発」の対象とする人たちの気持ちが理解できない。

東京都知事がまるで、アマゾンの森林破壊を積極的に進めるブラジル大統領のように見える今日このごろ・・。

反対の署名を集めていたので、とりあえず署名した↓

https://www.change.org/p/神宮外苑1000本の樹木を切らないで-再開発計画は見直しを

神宮外苑再開発について、都知事が答弁。意味不明

東京新聞(2022.3.9)によると、小池都知事は9日、神宮外苑の再開発について議会で質問された際に、「新たな神宮外苑として、次の世代につなげていくことは創建の趣旨にかなう」と答えたとのこと。

小池知事は

「民間事業者は先人の思いや歴史にも思いをはせながら、1本1本の樹木を大切に扱い、樹木の状態などの詳細な調査を行って極力保存または移植をし、事業を進めることとしている」

と述べたそうだが、1000本もの樹木を気遣う気が本当にあるのか疑問だ。

もし、本当にその気があるならば、神宮球場と秩父宮ラグビー場の場所を入れ替えるような大がかりなことはしないはず。入れ替えなければ、伐採せずに済む樹木は相当あるはずだ。

また、高層ビルの建設も中止するはず。

こんなことが、「次世代につなげていくこと」に本当になるのだろうか。都内は、他に旨みのある開発地がなくなったから、こんな歴史的な風致地区にまで手を伸ばしたのではないか。

<出典>

東京新聞(2022.3.9)

https://www.tokyo-np.co.jp/article/164694