プラスチックだけではなかった死産の原因 ネオニコ系農薬も原因か 

名古屋市立大学で昨年、週1回以上市販の弁当や冷凍食品を食べる妊婦は、ほとんど食べない妊婦に比べ、死産率が2倍以上高まるという発表があった。エコチル調査をもとにした調査結果なので、きわめて信憑性が高い。

原因は不明ながらも、弁当容器や冷凍食品をプラスチック容器ごと電子レンジにかけることで、プラスチックに使われている添加剤(ビスフェノール類やフタル酸エステル類などの環境ホルモン)が溶出するためではないかと疑われた。

除草剤も死産率を高めるようだ。秋田県は日本で一番自然死産率が高い。秋田市の水道水を調べるとネオニコチノイド系農薬が高濃度で検出されたという。

水道水からはジノテフランが3060ng/L(2023年8月16日)、スルホキサフロルが510ng/L(同日)検出された。この数値は前者がEUの水道水基準値の約30倍以上、後者が5倍以上とのこと。

しかし、日本の水道水中のジノテフラン基準値(目標値)は60万jg/L(0.6mg/L)だから、日本のバカ高い基準値はクリアしているらしい。EUの水道水基準値は、単一農薬で100ng/L、総農薬で500ng/L。しかも、EUはジノテフランの使用を認めていない。スルホキサフロルも昨年、禁止された。

http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=202205272256105

EUはネオニコ系農薬の全面排除に向かっている。一方、日本は農薬会社への配慮から、禁止しないどころか規制を緩和している。少子化を騒ぎながら、赤ん坊でさえ切り捨てているようだ。

https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/0378fb4a8233b876ecebdb1e5de91de78748a25c

東京大学の山室先生のブログにあった講演録画を見て死産との関連を知り、愕然としている。

なぜペットボトルからフタル酸エステルが検出されるのか。キャップやラベルからの移行かも(追記)

「ペットボトルには、可塑剤としてフタル酸エステルは使われていない」ということをよく聞かされる。

しかし、それならばなぜペットボトルに入れた水などからフタル酸エステル類が検出されるのだろうか?

それについて、先日行われた環境ホルモン講演会に参加し、講師に聞いてみた。講師曰く「フタル酸エステルは移りやすい性質を持っているので、保管時に他の製品(例えば、消しゴムなど)からフタル酸エステルが移ったのではないか」とおっしゃった。

しかし、ある程度は他の製品から移行したものであるにせよ、これまで多くの論文がペットボトルのフタル酸エステルについて指摘・研究している。それら論文の著者が皆オマヌケで、保管場所など気にせず、保管により汚染されたペットボトルばかりを調べていたとはちょっと考えられない。

ペットボトルに入れられていた水などからフタル酸エステル類を検出する研究は、1つや2つではないのだ。

気になって、10本ほどの関連論文を調べたが、ペットボトルにフタル酸エステルがなぜどのように使われているかはわからなかった。しかし、ペットボトルを高温・長期間で保存するほどフタル酸エステル類はペットボトルから中身へ移行することは確かなようだ。

これについては複数の論文で言及されている。例えば↓

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2854718/

また、空になったペットボトルを個人で再利用するのもよくない。再利用により、フタル酸エステル類の一種であるDEHPが「驚くべき早さで移行」するそうだ。

https://bibgraph.hpcr.jp/abst/pubmed/32642892

1つ確かなことは、たとえフタル酸エステルが直接ボトル成形時に使われていなかったとしても、ペットボトルのキャップやラベル(インクや接着剤)に使われているため、そこから移行することだ。

この論文にもフタル酸エステルやビスフェノールAは、キャップやラベルから移行すると書かれている。

https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0304389422001984

一部機械翻訳↓

「カラフルなラベルが付いたPETボトルや、使用されるキャップ(Cincotta et al., 2018)など、ブランディング目的と市場性のための包装慣行は、これらの物質の移行源である可能性があります」。

また、英紙ガーディアン(2022.3.18)によると、「広く使用されている種類のリサイクルペットボトルは、新しく製造されたボトルよりも潜在的に有害な化学物質を中身にもたらす、と研究者は警告している」そうだ。「ペットボトルから飲み物に浸出する150の化学物質を発見し、そのうち18の化学物質は規制を超えるレベルで発見された」。

https://www.theguardian.com/environment/2022/mar/18/recycled-plastic-bottles-leach-more-chemicals-into-drinks-review-finds

ちなみに、ペットボトルの中身からよく検出されているビスフェノールAは、ペットボトルのキャップが汚染源であることは確かなようだ。先述の論文でも指摘されていたが、Bach et al. (2012)も、「PETボトル入り飲料水の容器のキャップがBPAの供給源である可能性」を指摘している。

災害時の備蓄用としてペットボトルを使うのは仕方ないかもしれないが、普段の飲用にはやはり浄水器を通した水道水を飲むのが良さそうだ。

ちなみに我が家の備蓄用の水は、紙パック入りだ。飲む時は少々面倒かもしれないが、それは1リットル以上のペットボトルでも同じこと。なんとかなるだろうと思う。もちろん、紙パックのポリエチレンラミネートを100%信用しているわけではない。しかし、ビン入りを保管した場合のリスク(地震で割れてしまう可能性など)を考えると、他によい選択肢が思い浮かばない。

岐阜・各務原市のPFAS汚染、79人が米指針値超え 原因は航空自衛隊か

今朝の東京新聞(2023.12.5)によると、各務原(かかみがはら)市と岐阜市の住民131人のPFAS血中濃度を調べたところ、うち79人の血中濃度がアメリカの指針値を超えていた。

原因は航空自衛隊岐阜基地で使われている泡消火剤のようだ。三井水源地付近3カ所と航空自衛隊基地の東側2カ所で、国の暫定目標値を上回るPFASが検出されたという。

泡消火剤には危険だとして既に禁止されたPFOSが含まれている。その代替品として横田基地で使われていた消火剤にもやはりPFOSとPFOAが含まれていたことが、漏出事故により既に発覚している。

日本の航空自衛隊もこれまでは米軍基地と同じ消火剤を使っていたのだろうが、もしかしていまだにPFOS入り泡消火剤を使い続けているのだろうか。

そうであれば、岡山のPFAS汚染源も航空自衛隊だろうか?使用済み活性炭の入ったフレコンバッグを長期にわたりダム近くに置いていたため水が汚染されたといわれているが、活性炭の汚染源があるはずだ。

https://topics.smt.docomo.ne.jp/article/ohk/region/ohk-18988

<関連記事>

https://www.tokyo-np.co.jp/article/289798

「PFAS汚染問題シンポジウムin京都」の録画が公開

11月25日に開催された「汚染問題シンポジウムin京都」の動画が公開された。

当日視聴できなかったので、早速視聴したが、とてもよかった!

小泉先生のお話は専門的だが、わかりやすく、その後に続く地元団体の方のお話などもよかった。PFASは、原爆にも使われるほど軍事利用に役立つ技術だそうだが、人の健康にも生態系にも悪いことは間違いない。日本でも早急にPFASグループ全体を禁止してほしいものだ。

長時間にわたるシンポジウムだったため、録画は前半と後半に分かれている。

なお、チャット欄の記載で知ったのだが、シャボン玉石けんが北九州市立大学などと連携し、石けん系消火剤を開発。ウクライナにも贈ったそうだ。

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000056.000067163.html

PFASなど使わなくても泡消火剤が作れるのに、なぜいまだにPFAS入り泡消火剤の漏出事故が後を絶たないのだろうか。

横田基地から高濃度のPFAS漏出事故が判明。代替品にもPFOSとPFOAを使用。補償もなし

東京新聞(2023.11.14)によると、横田基地からPFASを含む泡消火剤約760リットルが、今年1月に漏出した。基地内のショッピングモールの物販搬入口で、消火用スプリンクラー設備が破損、PFASを含む泡消火剤に汚染されたがコンクリートなどの地面に漏出したのだそうだ。

地面上に広がった汚染水を吸収材などで拭き取ったとのことで、米軍は「基地外への流出はなかった」と説明しているという。

しかし、「回収された汚染水のPFAS濃度を調べたところ、PFOSとPFOAの合計値で、最も高くて1リットル当たり264万ナノグラムで、地下水や河川の国内の暫定指針値の5万3000倍だった」。

拭き取ったとは言え、地面にしみこんだPFASは当然地下水を汚染する。米軍は、日本のPFAS汚染をなんとも思わないようで、事故を繰り返している。

しかも、「この消火剤はPFASの国際的な規制を受け米軍が導入を進めてきた代替品だったが、PFASの一種であるPFOS(ピーフォス)とPFOA(ピーフォア)が高濃度で検出された」という。

https://www.tokyo-np.co.jp/article/289798

つまり、「代替品」とは名ばかりで、禁止されているはずのPFOSとPFOAを使っていたということだ。在庫処分のため、アメリカ国内では使えないから、「文句を言わない(言えない)」日本で使ったということか。

アメリカでは汚染地域の住民には水を配布したり情報開示したりするなど、それなりに対応しているらしいが、日本では何もしない。沖縄テレビによると、米軍のPFASに対する対応は、日米で大きな開きがあるそうだ。

https://www.fnn.jp/articles/-/591468

アメリカでは水産物や牛乳のPFAS汚染が問題になっている。

https://www.fnn.jp/articles/-/592141

牛乳の汚染原因は、下水汚泥とのこと。日本の下水汚泥も肥料にしたりせず、焼却するのがよさそうだ。

11/13、柔軟剤問題を「チャント」で放送。日本は「予防原則」に後ろ向き

11月13日の「チャント」で、柔軟剤に起因する「香害」の問題を放送するそうだ。

https://hicbc.com/tv/chant/

早稲田大学・大河内先生も出演されるらしい。

香害がようやく広く認識されるようになり、うれしい限りだ。これで香りなどを入れた「マイクロカプセル」入り製品(柔軟剤や洗剤など)がなくなってくれればいいなぁと思う。

最近、ベランダが近隣から流れてくる柔軟剤臭で臭くてたまらない。メーカーの人たちとそのご家族は健康なのだろうか?それとも、メーカーの人たちは自分の家族には使わせていないのかも?

国際プラスチック条約(INC-3)に向け、今年6月にINC事務局に提出した文書で、日本は「予防原則」に反対することがわかる表現を用い、予防原則についての考えを表明した。

日本はますます「遅れた国」「意欲的な条約の足を引っ張る国」として、条約に前向きに取り組む国々からみなされたに違いない。

予防原則の立場に立たないとすると、深刻な被害者が大勢でて、訴訟を抱えた企業が自主規制に踏み切らない限り、マイクロカプセル香害もプラスチック汚染も止まらない。

(補筆)

チャントはここで一部見ることが出来た↓

https://locipo.jp/creative/a2b1e19b-7d42-4b38-a55b-096eaf1e6846?list=07738b35-6ce6-48b6-92f7-00167a95bb12&noautoplay=&redirect=true

花王が「生物多様性の行動指針」を公開、マイクロカプセルをやめなければ実現不可能

花王が生物多様性の行動指針を公開した。

https://www.kao.com/jp/sustainability/klp/policy/biodiversity-policy/action-policy/

大変結構なことだ。

「生活者やビジネスパートナーをはじめとするさまざまなステークホルダーと連携し、生物多様性の喪失の直接原因である土地利用、気候変動、汚染等に対して、緩和の階層に沿って、回避、削減、保全、回復と再生の行動を取る」など、とてもよいと思う。

しかし、花王の作っている製品にはマイクロカプセル入りが多い。毎朝窓を開けると、きつい柔軟剤臭がする。香り成分の入ったマイクロカプセルが漂っているのは間違いない。もちろん、花王の製品だけでなく、P&Gやライオンなどのもあるだろうが、いずれにせよこれら柔軟剤は、マイクロカプセルによる空気汚染の元凶だ。当然、生物多様性の喪失にも繋がる。ぜひ「緩和の階層に沿って」回避、削減してほしい。

また、「これらの試みに対して生活者とのコミュニケーションを継続し、真に安全でサステナブルな化学物質の使用方法をステークホルダーと共に追求する」とのこと。

花王は以前、香害被害者との面談を断ったと聞いているが、コミュニケーションを開始するのだろうか?そうだとしたら、素晴らしいことだ。ぜひ、コミュニケーションを図ってほしい。

EUでは、2029年10月にはこのようなマイクロカプセルは販売禁止になる。日本のメーカーも生活者とコミュニケーションを図るようになれば、このような体に悪い製品を販売し続けることはしないはずだ。

に悩んでいる身としては、

カリフォルニア州、人工芝政策を転換。自治体任せに

カリフォルニア州知事はこのほど、PFAS入り人工芝禁止の法案に署名しなかった。理由は、州では対策が手に負えないから、自治体に任せた方がよいと判断したためのようだ。

そのため、10年ほど前にできたこの↓法律(人工芝などのような干ばつに強い造園を禁止してはならないという法律)を取り消した。

https://leginfo.legislature.ca.gov/faces/billTextClient.xhtml?bill_id=202320240SB676

そのため、これからは各自治体ごとにPFAS入り人工芝を禁ずる法律を作ることになる。

州上院議員は、「人工芝はリサイクルできず、しかも鉛やPFASなどの毒素の存在により、環境に脅威をもたらす」と話し、芝だけでなく、ゴムチップの有害性も懸念している。また、専門家は、PFASは地下水や淡水を汚染し、海に入り、食物連鎖に入り込んで、私たちの血液や筋肉に入ったと話したとのこと。

米人工芝評議会会長は、「私たちの会員企業は、既にPFASを人工芝に意図的に入れていない」と明言しているそうだ。

<出典>

https://laist.com/brief/news/climate-environment/once-hailed-as-a-drought-fix-california-moves-to-restrict-synthetic-turf-over-health-concerns

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有害化学物質連続セミナーのお知らせ

昨日、有害化学物質連続セミナーの第1回目「PFAS(有機フッ素化合物)の環境汚染問題を考える」という講演会に参加した。講師は原田 浩二先生(京都大学医学部)で、とてもよかった。2回目以降は以下の内容だ。

11月16日(木) 10:00~12:00
香害・化学物質過敏症問題を考える
北條 祥子氏(尚絅学院大学名誉教授)

12月21日(木) 10:00~12:00
農薬再評価制度を考える
木村‐黒田 純子氏(環境脳神経科学情報センター)

1月18日(木) 10:00~12:00
環境ホルモン問題を考える
槌田 博氏(有害化学物質削減ネットワーク)

2月22日(木) 10:00~12:00
化学物質審査規制法・優先評価物質を考える
中地 重晴氏(有害化学物質削減ネットワーク)

申込みなど詳細は以下へ↓

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