山梨、産廃の最終処分場からPFAS。全国の処分場からの検出が今後相次ぐ可能性

山梨県北杜市の産業廃棄物の最終処分場内からPFASが見つかった。

https://news.goo.ne.jp/article/abematimes/nation/abematimes-10129489.html

山梨県が5月に産業廃棄物の最終処分場である「明野処分場」の敷地内6カ所で採水調査した。その結果、PFOSとPFOAが検出されたという。

「処分場の廃棄物層を通過した雨水を集めた処理前の水には、この指針値は適用されませんが、今回、指針値の約6倍以上の320ナノグラム」とのこと。

処分場のPFASの川への影響を調べるため、県は6日、処分場に近い湯沢川の2地点で水質調査が行った。結果は、約1カ月後に出るようだ。

以前から、最終処分場の浸出水のPFAS汚染が研究による確認されていた。

たとえば、

https://www.jstage.jst.go.jp/article/mcwmr/32/1/32_33/_pdf

もちろん、一般廃棄物の最終処分場も例外ではない。

この千葉県環境研修センターの研究によると、一般廃棄物の最終処分場の浸出水から1リットルあたり1,000ナノグラムを越えるPFASが多数検出されている↓

クリックして12_shimizu.pdfにアクセス

今回判明した山梨県の処分場の数値は、一部のPFASしか測っていないせいか、想像していたよりもかなり低い。これまで処分場近くで測定していなかった自治体も、これからは測定する可能性がある。もっと高い数値のPFASが、今後各地の一般廃棄物などの処分場で検出されることが予想される。

米ロードアイランド州、人工芝などPFAS含有製品の禁止法が上院を通過 下院でまもなく投票

ecoRi news(2024.6.8)によると、アメリカのロードアイランド州で5月5日、消費者PFAS禁止法が可決された。6月中旬には下院で可決される可能性がある。

もし可決された場合、PFAS禁止法は2027年に発効し、製造プロセスの一部として意図的にPFASが添加され、かつ法律に記載されている製品にのみ適用されることになる。法律に記載されている製品は、カーペット、化粧品、調理器具、月経製品、テキスタイル、ファブリックトリートメント※、スキーワックス。さらに、2029年からは、人工芝と屋外用アパレルにも禁止が拡大される。また、来年から、泡消火剤にも制限が追加されるそうだ

フィルムやデジタルカメラ機器、子ども用電子機器関連製品であり、集積回路、半導体チップなどは法律に含まれなかった。

下院での投票は6月11日(火)の予定だという。

※布地を柔らかくしたり、防水や撥水処理することなどを指すようだ。

出所

ecoRi news(2024.6.8)「House Passes Slimmed-Down PFAS Ban」

米マサチューセッツ州やカリフォルニア州で人工芝設置を禁止する自治体が増えている

アメリカではPFASのために人工芝を禁止する自治体が増えつつあるが、マサチューセッツ州のオークブラフでも禁止が決まったようだ。

理由は「化学物質が島の主要な帯水層を汚染する可能性がある」ため。

https://vineyardgazette.com/news/2024/04/23/oak-bluffs-board-health-bans-turf-fields

ボストン市を皮切りに、マサチューセッツ州では人工芝を禁止する自治体が増えているようだ。

同州のシャロンでも人工芝が禁止されているが、PFASだけでなく、マイクロプラスチックやゴムチップの有害性も禁止理由にあげられている。

https://ecode360.com/37379890

また、同州のコンコードは、ゴムチップに含まれる化学物質を理由にモラトリアムが2016年から継続しているようだ。同州ウェイランドもモラトリアム(一時停止)を決めている。

https://www.wgbh.org/news/local/2022-05-10/more-games-or-more-grass-fields-turf-wars-play-out-across-massachusetts

カリフォルニア州ではミルブレーで人工芝が禁止されている。個人住宅の庭に敷くのもNGらしい。

https://www.ci.millbrae.ca.us/276/Prohibition-of-Artificial-Turf

同州のサンマリノはモラトリアムを決めているそう。

https://abc7.com/fake-grass-artificial-turf-california-environmental-concerns/13942121/

カリフォルニア州が自治体の人工芝禁止を認めてから、禁止する自治体が増えている。

また、ニュージャージー州のケープ・メイ市でも公共施設と私有地の両方の人工芝が禁止になったようだ。

ワシントン州エドモンズは、ゴムチップを充填する人工芝の設置に30ヶ月のモラトリアムを課した。

メリーランド州では人工芝の処分を受け入れていないので、処分したい場合はバージニア州など近隣の州で処分する必要がある。

unsustainable「Artificial Turf: Impacts on Environment and Human Health」2024.2.28

そういえば、ニューヨーク州では2023年に人工芝のモラトリアム法案が提案されたが、その後どうなったのだろうか。

日本ではなかなか人工芝を禁止しないだろうから、早晩日本の庭や公園は人工芝だらけになりそうだ。

PFAS:ドイツの米軍基地は責任を認め、4億円かけ自ら浄化

ドイツの拡大生産者責任は世界的にも有名だ。

そのドイツでは、駐留する米軍兵士までもが生産者責任(というか汚染者負担の原則)をまっとうしようとするようだ。

バイエルン州にある米陸軍駐屯地の飛行場では、約10年前に消火訓練場周辺の土壌と地下水がPFASで汚染されていることがわかった。米陸軍は、汚染した地下水が基地外に流出しないように9つのの井戸を掘ってポンプをくみ上げ、浄化して小川に流す計画を策定。工事費として約260万ドル(約4億円)を計上したとのこと。

4月10日に工事の起工式が開かれ、駐屯地司令の大佐が「飲料水を守り、環境を大切にすることは、国籍に関係なく全ての市民の責任です。米軍兵士として、私たちはどこに駐留していても良き市民でありたい」と語ったとのこと。

https://x.com/kakusanbuchoo/status/1797776721141436692

日本の米軍関連施設の人達も、「良き市民」として日本に駐留してくれればよいけれど、日本ではどうなのだろうか。

犬とヒトの精巣からマイクロプラ。塩ビやPETは生殖能力に影響か

以前から人間の精巣にマイクロプラスチックがあることは知られていたが、今年5月に発表された米ニューメキシコ大学の論文によると、生殖能力にも影響を及ぼしている可能性がある。

https://academic.oup.com/toxsci/advance-article-abstract/doi/10.1093/toxsci/kfae060/7673133?redirectedFrom=fulltext

これまではフタル酸エステルやビスフェノール類などの環境ホルモン(内分泌かく乱化学物質)作用のある化学物質が、少子化に大きく影響するといわれていたが、マイクロプラスチックも影響している可能性が高いようだ。

米ニューメキシコ州で死亡した23人の男性と、去勢手術を受けた47頭の犬の精巣で調べたところ、精巣1グラムあたりのマイクロプラスチックの平均濃度は、体組織1gあたり329.44マイクログラム。また、犬の精巣のマイクロプラスチックのそれは、1グラムあたり122.63マイクログラムだったとのこと。

12種類のマイクロプラスチックが見つかり、最多はPE(ポリエチレン)だ。

また、犬の精子の数とマイクロプラスチックの比較では、PEは相関関係は認められなかったが、PVC(塩ビ)とPET(ポリエチレンテレフタレート)は認められた。PVCとPETは精子の形成を妨げるようだ。PVCの濃度が高いと精子の数が少ない傾向があった。

精巣内に蓄積されたマイクロプラスチック、とりわけPVCとPETは、少子化に影響しているようだ。

精巣から検出されたマイクロプラスチックの発生源は多数考えられるが、一番可能性が高いのは、PVCは壁のビニールクロスやクッションフロア(塩ビ製床材)、PETはペットボトルだろうか?

南橋本の汚染源はやはりスリーエム。相模原市長はPFAS汚染をどう考えているのか

相模原市南橋本の汚染源(あるいは汚染源の1つ)はやはりスリーエムジャパングループの「スリーエムジャパンイノベーション相模原事業所」(以下、3M)であることが判明した。

これまでの時系列は以下になる。

・2022年10月7日:3Mが相模原市にPFAS汚染結果を報告。資料「スリーエムジャパンイノベーション相模原事業所のPFAS類分析結果」によると、3MのPFAS分析(サンプル採取)は5/27、7/26に行われ、3M敷地内の井戸#5ではPFOAが優勢(最高値が7/26で870ng/L)、他の井戸や雨水池手前、雨水池ではPFOSが優勢(最高値が7/26の井戸#7で360ng/L)で、PFHxSやPFHxA、PFBS、PFBAも検出されている。

・2022年10月13日:相模原市の調査で中央区南橋本のPFOAが1500ng/L、PFOSが37ng/L

・2023年8月2日:相模原市の要請により3Mが井戸#5の分析結果を市に報告。これによると、2022年10月6日に採取された井戸#5から1700ng/LのPFOAを検出

・2023年10月23日:相模原市が中央区南橋本の地下水を分析。結果はPFOAが1400ng/L、PFOSが29ng/L、PFHxSが20ng/L

・2023年12月26日:3Mが市を訪問。そのときの資料によると、井戸#5(サンプル採取日10/23)の結果はPFOAが1300ng/Lなど。放流水(サンプル採取日10/6)の結果はPFOSが520ng/L、PFOAが59などと放流水はPFOSが優勢。井戸#7はPFOSが210ng/L、PFOAが160など。また、市の分析場所を3Mがクロスチェックしたところ、PFOAが1300ng/L、PFOSが23ng/L。

・2024年3月 :市民団体「相模川さがみ地域協議会」が市へ公文書公開請求

・2024年4月 :相模原市は黒塗りの文書を開示。南橋本の企業が市に相談していたことは明かしたものの、企業名は秘匿

・2024年4月25日:再度、同協議会が公文書開示請求を行う

・2024年5月25日:市が公文書を開示。相談企業が3Mだということを公式に認める

・2024年5月31日:市と協議会が面談。協議会が出していた質問に市が回答

以上でわかったことは、相模原市の隠蔽体質(3Mに忖度しているように見える)と南橋本の汚染源の1つはやはり3Mだったことだ。しかも、同社は今でもPFAS入りの水を放流していて、それについての有効な手段を市は打てないでいる。

わからないのは、3M相模原事業所は工場ではないとHPには書かれているが、何を製造(あるいは研究)し、PFASを流出させているのか、ということ。相模原事業者が絡んでいる同社のフッ素系の商品は同社資料によると、粘着テープとポストイット、フッ素系不活性液体とのことで、既に製造を中止した商品は泡消火剤だ。

一番、わからないのは相模原市長がなぜ無言のままなのかという点だ。何を考えているのかさっぱりわからない。ふつうならば、市の財産(土地)を汚染した汚染者に対し、現状復帰を求めるはずだと思うのだが、何も感じていないのだろうか?

千葉県柏市でもPFAS、原因は海上自衛隊の消火訓練か

千葉県と柏市は16日、同市と白井市の市境を流れる「金山落(かなやまおとし)」で行った追加調査(3月11日)の結果を発表した。

柏市側の海上自衛隊下総航空基地北東側の水路で1800ナノグラム、同南東側の水路2地点でそれぞれ1000ナノグラムを検出したそうだ。

また、伊藤ちかこ県議が16日、独自の調査(3月14日)結果を公表した。それによると、同基地南東側の柏市調査地点の水路上流で3300ナノグラム、北東側の水路で1800ナノグラムを検出したという。

https://www.tokyo-np.co.jp/article/321715

汚染源は、海上自衛隊の航空基地の消火訓練で使われた泡消火剤の可能性が大きいようだが、現在備蓄されている泡消火剤にPFASは含まれていないのだろうか。

しっかり確認した上で、早急に汚染対策(復旧)を進めてほしい。

欧州:卵からPFAS、汚染源はエサの魚粉か。日本の卵は大丈夫?

昨年11月に発表されたデンマークの国立食品研究所の研究によると、大規模農場の有機卵からPFASが検出された。

検出されたPFASは、たとえばある農場の卵は、卵黄1グラム当たりの濃度がPFOA 0.07±0.02ng、PFNA 0.37±0.04ng、PFDA 0.13±0.00ng、PFUnDA 0.22±0.04ng、PFDoDA 0.06±0.02ng、PFTrDA 0.15±0.04ng、PFTeDA 0.02±0.02ng、PFHxS 0.10±0.04ng、PFOS 2.62±0.11ngとのこと。

有機飼料生産に使用される魚粉が、ニワトリに与えられたためだと推定されている。このため、有機卵生産者は魚粉の使用をやめることを決定した。

検出されたPFAS濃度は、4歳から9歳の子どもが1週間に5から6個の卵を食べると、4.4 ng / kg 欧州食品安全機関の許容週摂取量を大幅に超過するそうだ。

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/37944762/#full-view-affiliation-1

一方、フランスでは自宅の裏庭で育てたニワトリの卵は食べないよう警告されている。

なぜ裏庭の卵がアブナイのかというと、収量を最大化することを目的としたプロの農場よりも裏庭の方がニワトリを長く飼育するためだとのこと。

「残留性有機汚染物質の蓄積は、暴露期間とともに増加します。たとえば、数年間ニワトリ小屋にいた雌鶏は、数ヶ月しかそこにいない雌鶏よりも汚染されている可能性が高い」ためだそうだ。

https://www.euronews.com/green/2023/11/21/millions-in-france-warned-not-to-eat-eggs-from-backyard-chickens-due-to-forever-chemical-p

卵を毎日のように子どもに食べさせている家庭は多い。子どもにはよいものを食べて欲しいとの思いから、有機卵を選ぶ家庭もあるだろう。スーパーの安価な卵も含め、日本でも早急に卵のPFAS濃度を調べて欲しい。

サッカーでPFOSが人工芝から選手の皮膚へ 人工芝によるPFAS曝露実験

アメリカでは調べたすべての人工芝からPFASが検出されている。人工芝のPFASは、サッカーをする選手たちに移るのだろうか?

その疑問を解決するため、非営利団体PEER(Public Employees for Environmental Responsibility:環境に責任をもつ公務員?)が小さな実験を行った。

南カリフォルニアの3人のサッカー選手と1人のサッカーコーチが、人工芝と天然芝の上でサッカーの試合をし、試合前後の皮膚を綿棒でこすり、PFOS(最も危険なPFASの1つ)を調べたのだ。

その結果、4人中3人でPFOS濃度が上昇した。うち1人は2倍以上になった。

一方、天然芝の上でプレーした場合では、4人中3人のPFOSレベルが低下した。

PFOSはパッケージから取り出した新しいサッカーボールにも付いていたという。

この研究ではPFOSしか調べなかったが、今後もっと対象を拡大して調べる必要がある。

PEERのカイラ・ベネット氏は「まだこんなものを使おうとしている人たちがいるなんて、あきれるばかり」と、プラスチック製の化石燃料製品を何エーカーも敷き詰めることを批判している。

フィラデルフィア・フィリーズに所属していた元野球選手の中には、チームメイトを死に至らしめた希少な脳腫瘍の背景に、人工芝の存在があるのではないかと疑っている者もいる。また、ナショナル・フットボール・リーグの選手組合は、すべての人工芝フィールドを芝生に置き換えるよう求めている(英紙ガーディアン2024.3.15)。

https://www.theguardian.com/environment/2024/mar/15/athletes-higher-pfas-levels-artificial-turf

実験結果↓

こんなものにもPFAS?! ハサミも粘着テープも焼き網も

あるPFASの資料に、PFAS使用例として「セロファンテープ」とあった。

まさか!と思い調べたところ、セロハンテープにPFASが使われているかはわからなかったが、その過程でフッ素加工された粘着テープとハサミを見つけた。

粘着テープは我が家にもあるタイプのもので、「フッ素樹脂粘着テープ」として各種売れられている。「フッ素樹脂フィルムを基材とし、滑り性や絶縁性など、フッ素樹脂の特性に加え、柔軟性や表面平滑性に優れたテープです」とのこと。

フライパンのフッ素樹脂加工と同様、TEFEを使っているそうだ。

また、「フッ素ハサミ」や「フッ素コートハサミ」などと書かれたものも多数売られていた。「テープやのりでベタつきにくく、汚れやサビにも強い」と書かれている。確かに、我が家で使っているハサミもこのタイプだ。

フライパンのように食品と触れるわけではないけれど、こんなによく使う日用品にまでPFASが使われていたとは・・・と驚いていたら、2日に1度は使用しているグリルの焼き網もフッ素樹脂加工されていた。

TEFEならば分子量が大きいから体に入っても吸収されることはなく体外に排出される、とは言われているが、少なくとも焼き網のように高温で食品と接触するものには使ってほしくない。

フライパンや炊飯器、ホットプレート、ポット、化粧品、衣類、人工芝などは気をつけていたが、もはや個人では防ぎきれないほど、市販品はPFASまみれだ。

日本もEUやアメリカのように、PFASに対する厳しい規制を早急に検討してほしい。