海洋プラスチック汚染はいまや待ったなしの状態で、使い捨てプラスチックは早急に減らす必要がある。
中でもレジ袋は、生物への悪影響や代替品の存在、使用時間の短さなどから「なくてよいもの」の筆頭だ。そのため海外では、既にレジ袋を60カ国以上の国で規制し、フランスやケニアなど既に禁止している国も多い。
しかし日本では、レジ袋禁止は難しいだろうと思っていた。イギリスや中国と同様に「有料化」で進むだろうと。
しかし、一昨日発表された環境省の提案はなんとポイント付与でもOKにするようだ。
環境省が、レジ袋の有料化や辞退する客へのポイント付与といった「プライシング(価格付け)」を、スーパーやコンビニなどの小売店舗に義務付ける方針を固めたことが12日、分かった。容器包装リサイクル法などの関連法改正も視野に、19日に公表する「プラスチック資源循環戦略」の素案に盛り込む。
この期に及んでまだ「ポイント付与」とは・・・開いた口が塞がらない。
最低でも「有料化」だろうと思っていた。「ポイント付与」と有料化とでは効果に雲泥の差がある。
一体誰がジャマをしているのか。少し前までの報道には、環境省は小売店でレジ袋を有料化する方針としか書かれていなかった。しかし、にわかに「ポイント付与」が加わった。
セブン・イレブンが有料化を検討しているという『オルタナ』の報道により、これで有料化はスムーズにいくだろう、と思っていたが、その後の報道でセブン・イレブンがその件で口を閉ざしている様子が感じられた。そのため、セブン・イレブンは環境省から自らに有利な条件(例えば、5円はイヤだ イトーヨーカドーと同様2円にしたい、だからレジ袋辞退率の目標を設定せず単に「有料化」であればよいとせよ、など)を引き出すための交渉で迷っているフリをしているだけだろうと思っていた。
しかし、まさか「ポイント付与」などというほとんどレジ袋が減らないことまで条件に加えるとは思っていなかった。
セブン・イレブン以外の大手コンビニで、有料化を嫌がるところがあるとは思えないが・・・まさかローソンが嫌がっているのだろうか?
しかし、ローソンは既に新潟県佐渡市内の8店舗で有料化を実施している。有料化によるレジ袋辞退率の効き目を十分知っているはずだ。セブン・イレブンが「有料化」のリーダーシップを取ろうとしていることに、ケチを付けるためだけに、これほど重大なことを言い出すとは考えにくい。
一体、誰が「ポイント付与」などということを言い出したのかわからないが、それを真に受ける環境省は本当に情けない組織だ。この「ポイント付与」が、どれほどレジ袋削減に効果がなく、その上有料化協力店の足を引っ張る愚策だということを、環境省は知っているはず。環境省の背後で、経産省や経団連がにらみをきかせているのだろうか?
それとも、消費税10%を予定通り強行したい自民党が、レジ袋有料化を和らげるため「ポイント付与」などという馬鹿げた提案をプラスチック戦略会議の「素案」に加えるよう、原田環境相を説き伏せたのだろうか?
いずれにせよ、レジ袋の海洋への悪影響はストローの比ではない。タイで瀕死の状態で見つかったクジラのお腹から、80枚ものプラ袋が出てきたこともまだ記憶に新しい。
このような低レベルの「戦略」がG20で発表されれば、世界からヒンシュクを買うことは間違いない。
(補筆2018.10.16)日経新聞(2018.10.16)によると、環境省は、コンビニにもレジ袋有料化を義務付け、レジ袋1枚当たり数円の支払いを想定しているとのこと。一体どちらが本当だろうか?コンビニやスーパーでは有料化し、もっと小さい個人商店はポイント付与ということだろうか?
日経新聞(2018.10.16)「コンビニでもレジ袋有料化 環境省、数円を想定」↓
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO36493620V11C18A0MM8000/?n_cid=NMAIL007
(補筆2019.12.26)
12月25日開催のレジ袋有料化検討小委員会で、環境省からレジ袋価格は1円以上にするという説明があった。
https://www.env.go.jp/recycle/council/03recycle/yoshi03-13.html
<引用文の出所>
JIJI.OM(2018.10.12)「有料化、ポイント付与を義務に=レジ袋削減へ取り組み強化-環境省」↓
https://www.jiji.com/jc/article?k=2018101201218&g=eco
ハザードラボ(2018.6.5)「悲報!漂着したクジラの腹からビニール袋80枚8kg分!タイ」↓