P&Gとユニリーバ、日本でもシャンプーをリユース容器で販売、デポジット方式で

米プロテクター・アンド・ギャンブル(P&G)と英蘭ユニリーバの日本法人は、2020年にも日本国内で、金属製など再利用できる容器で試験販売するそうだ。

世界は「脱プラスチック」に向かって進んでいるにも関わらず、日本では日本酒のペットボトル容器が、経済産業大臣賞を受賞(日本印刷産業連合会)するなど、相変わらずの「プラスチック礼賛」だと思っていたが、海外メーカーが日本でもやってくれるようだ。

運用は、アメリカのハーゲンダッツなどと同様(関連記事2019.4.20参照)、テラサイクルが行うようだ。

仕組みは、「牛乳配達方式」で、専用の通販サイトから注文すると、金属製やガラス容器に入った食品や日用品が届き、使い終わった容器は、新商品を受け取る際に配達員が回収する。回収した容器は、洗浄して再利用される。

利用者は、最初に容器のデポジット(預り金・保証金)を支払う。

2020年の試験運用には5000人規模が参加し、課題などを見極めるとのこと。

従来の詰替容器は、自分で詰め替えて、詰め替え終わった薄いペラペラのプラ包装(本当にリサイクルできるのか限りなく疑わしいフィルム状の袋)を、自治体の回収に出す必要があった。

しかし、この方式ならば、プラスチックを使い捨てるという罪悪感を感じずに済むので、とてもよい方法だ。

できれば近所の店で、デポジット方式で容器を回収し再利用してもらえると、より助かるが、最初はこの方式でテストするのは良いと思う。

<関連記事>

ハーゲンダッツとトロピカーナ、リユース容器で販売か

<出所>

日本経済新聞(2019.4.19)「P&Gなど、金属容器を再利用 日用品も脱プラ狙う」

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO43971630Z10C19A4EA5000/

ハーゲンダッツとトロピカーナ、リユース容器で販売か

アメリカで、ハーゲンダッツのアイスクリームとトロピカーナのオレンジジュースが、使い回しのできる容器に入れられて、「牛乳配達方式」で実験販売される。

ハーゲンダッツは金属容器に入れられ、トロピカーナはガラスびんに入れられるとのこと。

テラサイクル社が運営するショッピングプラットフォームで、1容器1ドルから10ドルのデポジット(保証金)を払うと買えるようだ。

アメリカでは、ハーゲンダッツはネスレが、トロピカーナはペプシコが販売しているため、これはネスレとペプシコの環境配慮である。

日本では、ハーゲンダッツはサントリーの関連会社が、トロピカーナはキリンか。

日本でも、サントリーとキリンに頑張って、リユース容器での提供を検討してほしい。

それにしても、日本は相変わらずプラスチック容器が大手を振っているが、海外では脱プラスチックが進んでいる。

<出所>

FOOD & WINE; Haagen-Dazs and Tropikana Test Refillable Containers

https://www.foodandwine.com/news/haagen-dazs-tropicana-refillable-containers

米オレゴン州の飲料容器回収率、過去最高を記録

オレゴン州はアメリカで初めてデポジット・リファンド制度(以下、デポジット制度)を開始した州である。
そのオレゴン州で、2018年、過去最高の回収率を達成したとのこと。
過去最高とはいってもおそらく、ここ数年以内での最高記録、ということだろう。オレゴン州ではここしばらく回収率がずっと低迷していたが、制度導入当初は高かったので。

オレゴン州でデポジット制度が開始されたのは1972年。
当時の雑誌記事によると、きっかけは、使い捨ての瓶や缶が増え、美しい自然豊かだった州内が、次第に使い捨ての瓶や缶の散乱で汚れていったことだ。
その汚さに耐えかねた市民たちが、議員に相談した。
1969年、デポジット制度を法律にするため、219時間に及ぶ公聴会が開催された。しかし、州議会では可決直前までいったが、否決。
知事はデポジット制に賛成だったとのこと(理由は、自然を美しくするためには缶代を付けるべき)だが、ビールや清涼飲料メーカーは反対。缶メーカー(瓶に市場を取られてしまう)や瓶メーカー、小売店や問屋も反対した。
反対者の影響を受けた議員は「わずかなお金のために空き瓶や空き缶を返しに行く人はいない」と、否決した。

人々がすっかり諦めかけたとき、あるスーパー経営者が私財を投じ、自分の店で実験し有効性を証明した。
自分の店で売った瓶・缶を、1.5セント/個で引き取る、と発表したのだ。
2週間で約5万人が押し寄せ、350万個の空き瓶・空き缶が集まったそうだ。

1971年 再び法案提出。全米から、缶・瓶メーカーや鉄鋼メーカー、アルミ会社、ビール会社、清涼飲料会社(ペプシコ以外)、大手スーパーなど圧力団体がオレゴンに集まり、大金をかけ反対のキャンペーンをしたが、見事に可決された。
1972年に、デポジット制度が開始。開始当時のアンケート調査によると、州民の90%以上が、きれいになった州内を見て、デポジット制度を支持したそうだ。

5セントのデポジット・リファンド額で開始されたが、だんだん回収率が低迷した。おそらく、市民が5セントになれたためだろう。
2017年、10セントに値上げされた。
その成果で、2018年に90%もの高い回収率になったようだ。
回収率増加のもう1つの理由としては、以前は小売店回収のみだったのが、専用の容器回収施設ができたこともある。
そこで効率的に回収できるようになったことも、回収率上昇の原因だと考えられる。

<参考>
THE HILL(20192.4)Oregon bottle recycling rate hits record-high;
https://thehill.com/policy/energy-environment/428377-oregon-bottle-recycling-rate-hits-record-high

「無香料方針」コロンや香水、ヘアスプレー、制汗剤はご遠慮を

日本では、柔軟剤などの香料入りグッズが流行っているが、カナダでは「無香料方針」が普及しているらしい。

きっかけは、ノバスコシア州ハリファックスの病院の看護師が、患者とスタッフの健康のため、院内を無香料にしたことだそうだ。
ノバスコシア州といえば、ゼロ・ウェイスト宣言で知られる州。ハリファックスはその州都で、その昔、ハリファックスのごみ問題を解決するため住民たちが話し合い、ゼロ・ウェイストを決め、市と州はそれをもとにいろいろ決めた。
その1つが「ハーフバック・デポジット制度」というデポジット制度で、リユースびんには10セントのデポジット(保証金)をつけ販売し、びんを返すと10セント戻ってくるが、ペットボトルや缶などのワンウェイ容器は10セントのデポジットを払っても5セントしか戻らず、残りの5セントはごみを減らすために使われる。
おかげで現在ノバスコシア州の埋立ごみ量は、カナダの平均的な量の半分ほどしかない。
そんなノバスコシア州だからこそ、「無香料方針」に先鞭をつけられたのだと思われる。
ノバスコシア交響楽団のサイトには「コロンや香水・ヘアスプレー、制汗剤は、家に置いてきてください」と書かれている。

日本もノバスコシア州くらい住民の健康を考えてくれればよいけれど、日本で香料規制は当分されそうにない。

Since several of our patrons have severe scent allergies, we ask that you please leave the cologne, perfume, hairspray, and deodorant at home!

<ノバスコシア交響楽団>

What about perfume and cologne?

トルコ、2023年までにすべての飲料容器をデポジット制で回収

ペットボトル回収率を90%以上にすることが求められつつあるEU(欧州連合)では、デポジット制度の導入が進む。

今年1月からレジ袋を有料化したトルコでは、今度はすべての飲料容器を2023年までにデポジット制度で回収することを発表した。
今までは、自治体ごとに対策が取られていたが(例えば、イスタンブールでは地下鉄駅に設置された自動販売機にペットボトルやアルミ缶を入れると、イスタンブールカードにチャージされ、運賃として利用できる)、今度は国が本格的にデポジット制度を導入する。

<出所>
DAILY NEWS(2019.1.21)Bottles deposit return scheme gets green light in Turkey
http://www.hurriyetdailynews.com/bottles-deposit-return-scheme-gets-green-light-in-turkey-140671

<関連記事>
https://env-eco.net/1791.html

ポルトガル ペットボトル回収に本腰、2022年からデポジット制度開始か

ポルトガル政府が新しい法案を発表し、再利用不可能なペットボトルの回収を促すプログラムを開始した。

このパイロットプログラムは2019年12月21日まで続くとのこと。

再利用不可能なペットボトルを返却する消費者に、何らかのプレミアム(報償?)が与えられる。

大規模小売事業者は、プラスチックボトルを環境省が決めたプレミアムと交換するスペースを無償提供し、機器を設置することが義務付けられる。どういうプレミアムになるかはまだ未定とのこと。

2022年1月1日から、ポルトガル政府はプラスチックやガラス、スチール、アルミなど再利用不可能な材料でできた飲料容器に対し、デポジット制度を実施する。

<筆者補筆>

詳しい記述がないためよくわからないが、ポルトガルでは今年試験的に、環境省が用意したプレミアムにより、ペットボトルを回収するようだ。2022年からは、缶・びん・ペットボトルをデポジット制度で回収するということか。

<ポルトガルについての出所>

ESM(2019.1.2)Portugal Encourages Return Of Non-Reusable Plastic Bottles;

https://www.esmmagazine.com/portugal-encourages-return-non-reusable-plastic-bottles/69174

ECO(2019.1.1)Returning plastic bottles will be rewarded by the Portuguese Ministry of the Environment;

Returning plastic bottles will be rewarded by the Portuguese Ministry of the Environment

 

西オーストラリア州のデポジット制度、2020年開始

2019年1月からの開始を予定していた西オーストラリア州では、デポジット制度の開始が1年ほど遅れるようだ。

2020年の早い時期に開始するとのこと。

制度の対象は、150mLから3Lまでのプラスチック製、ガラス製、紙製、アルミ製、スチール製の飲料容器で、内容物は、ソフトドリンク、水、香り付き牛乳(小)、ビール、サイダー、スポーツドリンク、スピリットベースのミックスドリンク。

空の飲料容器を返却ポイントまで持ち込むと、10セント返金される。

ごみの減少、リサイクルの促進、環境保護、企業の社会参加機会の提供などの利点があるとされ、「西オーストラリア州の散乱ごみ戦略2015-2020」や廃棄物戦略を補完できるものである。

西オーストラリア州の散乱ごみ戦略2015-2020については、下記↓

クリックしてFINAL%20Litter%20Prevention%20Strategy%202015%20web.pdfにアクセス

散乱ごみのアイテム別調査結果と容量別調査結果が掲載されている。アイテム別では、タバコの吸い殻がトップ、二番目がプラスチックである。容量別では、プラスチックがトップで、2番目が紙。

<出所>

WA Container Deposit Scheme;

https://www.der.wa.gov.au/our-work/programs/111-wa-container-deposit-scheme

 

 

 

マルタ 2019年12月からデポジット制度開始か

以前から飲料容器へのデポジット制度の導入を宣言していたマルタで、いよいよ制度の概要が固まってきた。

150m2以上の面積をもつ小売店などに350台の自動回収機を設置して回収する。大型店は設置義務があるが、小規模店は選択できる。容器を回収すれば、回収手数料として1000個で4ユーロが支払われるとのこと。

容器を返却した消費者への返金額は10セント。対象容器の材質は、プラスチック、金属、ガラスで、この制度が、同国の廃棄物管理に大きな変革をもたらすと期待されている。

今年の12月から開始される予定だ。

海ごみ対策のため、世界では次々とデポジット制度が開始、あるいは開始予定となっている。

インドのマハラシュトラ州でも、バイバック制だったはずが、いつのまにかデポジット制度に代わり、既に開始された。イギリスでも昨年開始が決まり、今まさに制度の詳細が検討されている。オーストラリアではもうほとんどの州で開始された。

これらの国々の多くは、以前空き缶散乱が問題となったときにデポジット制度を開始しようとしたが、飲料メーカーらの強い反対により開始できなかったところだ。

昨今の海洋プラスチック汚染問題の厳しい現状に、さすがの反対派たちも、デポジット制度に反対することはかえって消費者の反発を招き、不買運動に発展する恐れがある、と判断したのだろう。コーラ会社も昔ほどは反対していないように見える。

日本も今年、デポジット制度についての議論が再開されることを強く願っている。

<参考>

TIMES MALTA(2018.10.23)Significant reduction in plastic waste expected with beverage refund scheme;

https://www.timesofmalta.com/articles/view/20181023/business-news/significant-reduction-in-plastic-waste-expected-with-beverage-refund.692322

TVM(2018.12.12)10c refund for disposal of plastic, metal and glass bottles in special depositories – PM;

10c refund for disposal of plastic, metal and glass bottles in special depositories – PM

ニュージーランドでもデポジット制度の気運高まる

ヨーロッパでは今年5月、欧州委員会がプラスチックを減らすため、海岸に散乱の多い「10品目プラス漁具」を対象に、それぞれの製品に応じた規制をかけることを提案した。その法案が今年10月に欧州議会で可決された。

その10品目の1つが飲料容器で、デポジット制度などにより90%の回収率を達成すること、であった。

このため、まだデポジット制度を導入していない国々では、デポジット制度への期待が高まっている。

欧州のみならず、オーストラリアやニュージーランドでも以前からデポジット制度を求める声が大きい。

とりわけオーストラリアではここ数年、デポジット制度を開始する州が相次いでいるが、ニュージーランドでも、デポジット制度の気運が近年高まった。

ニュージーランドの多くの都市で、デポジット制度を模倣するイベントが、地元のゼロ・ウェイストを目指す団体により繰り広げられている。空のペットボトルや缶を持参してもらい、現金と交換するイベントだ。

デポジット制度を求める請願書の署名も全国的に集められ、来週議会に提出する予定とのこと。

ペットボトルなどで汚れた通りや海岸を見るのにウンザリした大勢の人々が、署名をしたそうだ。

デポジット制度は、「海岸や海洋生物を有毒なプラスチックから守るだけでなく、陸上でのリサイクルを促進し、資金調達や雇用創出の面で、コミュニティに広く利益をもたらす。」と、支持されている。

<ニュージーランドについての出所>

Hundreds across country claim cash for bottles;

http://www.voxy.co.nz/national/5/327037

 

豪 クイーンズランド州でデポジット制度スタート

オーストラリアのクイーンズランド州が、11月1日からデポジット制度をスタートさせた。

最初の週末に約150万個の缶やペットボトル、ビール瓶などが回収・リサイクルされたとのこと。

多くの人は容器を現金と交換することを希望し、銀行口座への入金を求める人も多かったとのこと。小売店のバウチャーとの交換を望む人は少なかったようだ。

オーストラリアでまだデポジット制度を導入していない州はあと3州のみである。

<関連記事>

豪クイーンズランド州 11月1日からデポジット制度開始

<出所>

brisbane times(2018.11.4)1.5 million containers collected in first weekend of Queensland recycling scheme;

https://www.brisbanetimes.com.au/national/queensland/1-5-million-containers-collected-in-first-weekend-of-queensland-recycling-scheme-20181104-p50dyc.html