オーストラリアのデポジット制度:2018年4月時点での最新情報

デポジット制度は今、プラスチックごみの海洋汚染問題をきっかけに、再び注目を集めている(以前注目されていた時期は空き缶公害の1970年代から80年代にかけてと最終処分場の汚染が世界的に問題になった1990年代)。
最近、特に目を離せないのがオーストラリアだ。

オーストラリアでは、既に3州がデポジット制度を開始しているが、ようやく首都特別地域(ACT)でも今年6月30日から開始することが決定した。

ニューサウスウェールズ州(NSW州)の中にあるACTは、NSW州とほぼ同時期に開始すると見られていたが、その後、2018年の早い時期に開始すると発表された。しかし、具体的な時期は不明であった。
対象は、150ミリリットル以上3リットル以下の飲料容器で、アルミ、ガラス、PET、HDPE、スチール、紙パックとのことである。金額は、NSW州や南オーストラリア州、ノーザンテリトリー(北部準州)と同様、デポジット(預り金)もリファンド(返金)も10セントと見られる。

他に、クイーンズランド州も年内に制度開始予定だが、まだ正式日程は発表されていないようだ。
また、西オーストラリア州では、2019年1月1日から開始すると発表されている。もし遅れたとしても、2019年内には開始されるだろう。
ビクトリア州とタスマニア州の2州では、まだデポジット制度導入予定はない。この2州が制度を導入するならば、オーストラリア全土の飲料容器がデポジット制度の対象となる。

日本ではデポジット制度というと、なぜかドイツなどヨーロッパを思い浮かべる人が多いが、デポジット制度の発祥の地は、筆者の知る限り北米だ。制度対象容器の種類も北米のほうが多い。ヨーロッパでは缶・びん・ペットボトルのみを対象にする国が多く、カナダでは紙パックも対象にする州が多い(牛乳パックをも対象にする州はまだ少ないが、増加傾向にある)。オーストラリアも紙パックを対象に加える州が増えそうだ。

<参考>

ACT Government: ACT Container Deposit Scheme;

https://www.yoursay.act.gov.au/act-container-deposit-scheme

ごみは自治体へ、儲けはボトラーへ キリンのPETビール

キリンのペットボトル入り月額制宅配ビールが売れている。キリンにとっては喜ばしいことだ。しかし、空になった容器(ペットボトル)は自治体の資源回収に出すようにとのこと。こんな大きなペットボトルを1世帯毎月4本ずつ出される自治体はたまったものではない。回収費用はもちろん税金だ。宅配できるならば、容器回収もできるのではないか。

物流の発達でこのような売り方が可能になった。この販売方法は、これからもますます増えるだろう。しかし、ごみの処理方法は相変わらず自治体まかせである。

家庭ごみが自治体まかせになった理由は、昔のごみは生ごみや灰、し尿だったからで、今の廃棄物処理法はその時代の流れをくんでいるからだ。つまり、このようなプラスチックごみは全くの「想定外」。

そもそも事業活動によって排出されたごみは、事業者責任のはず。昔の酒屋は、酒の配達時に配達先の家のびんを、リターナブルびんだけでなくワンウェイびんも一緒に引取り、配達先にごみを残すことはなかった。

以前、飲料缶のポイ捨てが横行したとき、京都市にデポジット制度を導入しようと努力された方が、飲料缶メーカーの「空き缶はくずかごへ」を揶揄し「ごみは自治体へ、儲けはパッカーへ」とおっしゃった。今もまさに「ごみは自治体へ、儲けはボトラーへ」である。せっせと自治体がペットボトルを集めて売っても、回収費用は赤字だ。ペットボトルを売って儲けるボトラーは、自治体の赤字には眼をつむり、「容器包装リサイクル法に従っている」と主張する。

ペットボトルの散乱が各地で報告されている。ペットボトルリサイクル推進協議会は、毎年それらしいリサイクル率を報告し、その高さをアピールしているがその数字に一体どれだけの信憑性があるのだろうか。

プラスチックごみの海洋汚染問題をきっかけに、世界中でペットボトルの散乱量の多さに注目が集まった。そのため、デポジット制度の議論が盛り上がり、英国でも制度導入を決定した。

宅配ビールの容器でさえ自ら回収する気がないならば、メーカーはせめてデポジット制度の導入に賛成すべきだろう。日本でデポジット制度が議論され始めたのは1980年代。経団連をも巻き込んで、飲料メーカーがこぞって反対してここまで来たが、その結果が今のペットボトルの散乱状況である。飲料缶の散乱も決して少なくない。

日本の飲料メーカーは、いつまでデポジット制度を回避し続けるつもりだろうか?

<参考(PETビールについて)>

日経TREND(2018.4.12)「キリンが1万5000人待ちの月額制ビールを始めたワケ」↓

http://trend.nikkeibp.co.jp/atcl/contents/feature/00055/00001/

全米海ごみリスト ワースト20

米国全土の複数のデータ(ICC: 国際海岸クリーンアップ、NOAAのMarine Debris Tracker、Clean Ocean Action、Project Aware、Heal the Bay)を合わせた上位20までの海洋汚染物質リストが公開されている。

それを見ると、日本でも早急に手を打つべき品目がわかる。
1位 18.6% 包装材(キャンディやポテトチップスの袋など)
2位 16.7% ボトルのキャップ
3位 12.0% 飲料ボトル(ペットボトル)
4位  9.4% レジ袋
5位  7.5% ストロー・かき混ぜ棒
6位  5.1% フタ(Lids・・ポリスチレン製のコーヒーカップのフタなど)

上位6位までで全体の約7割を占めている。この下に、タバコ関連やテイクアウト用容器などが並ぶ。
少なくとも2位のボトルキャップに関しては、散乱させない技術は整っている。フタを開けてもペットボトル本体にフタが付いたままになる飲料ボトルは既に販売されている。
3位のペットボトルに関しても、デポジット制度にするだけで大半は解決できる。理想を追い求める方々は、ペットボトルを禁止してリターナブルびん(リユースびん)したらよい、などといってデポジット制度を嫌うが、少なくとも日本でリターナブルびんのみの社会は現実的ではない。
4位はさらに簡単だ。各店舗がレジ袋を有料化するだけでよい。複数のアンケート調査結果を見ても、回答者の7割以上が日本でも有料化を望んでいる。日本では、とりわけコンビニが遅れているので早急に国が規制すべきだろう。
5位は、フランスや台湾、インドなど既に禁止あるいは禁止予定の国・地域もあるが、過剰サービスを旨とする日本では、おそらく禁止よりも紙製ストローに移行するのではないかと思われる。紙製ストローは既に日本でも販売され、利用しているカフェもある。

英国のマクドナルドでも、5月から紙製ストローを試験導入するそうだ。

ファーストフード店などで提供されるストローや使い捨てマドラーは、6位のフタも同様だが、申告制(ほしい人は申し出る)あるいは有料化するだけでおそらく9割は減るのではないかと思われる。いずれにせよ、サービスという名でプラスチックごみを押しつけることは、日本でももう終わりにすべきだ。

BETTER ALTERNATIVES NOW B.A.N.LIST 2.0;
https://static1.squarespace.com/static/5522e85be4b0b65a7c78ac96/t/5ab9837c70a6adbe9b66957a/1522107283213/PPC_BannedList2-downloadable.pdf

HUFFPODT(2018.3.30)「マクドナルドが、ストローをを紙にしてみるんだって」↓

https://www.huffingtonpost.jp/2018/03/28/mcdonald-2018-0329_a_23398083/

英国でデポジット制度導入を決定

2018年3月28日、マイケル・ゴーブ環境相がついに英国にデポジット制度を導入すると発表した。
ほとんどの缶・びん・ペットボトルに最大20p(約32円)までのデポジット(預り金)がかけられることになる(TIMES以外の新聞には22pまでと記載)。所定の場所に返却すると20pは返金される。
これにより、容器=お金と考えられるため、多くの人たちが容器をポイ捨てせず返却することになる。もし、容器を捨てる人がいたとしても、誰かが拾う。このため、デポジット制度で散乱ごみは全体で約4割減ると考えられている(散乱ごみの中の4割強を占める飲料容器の散乱がほとんどなくなるため)。

英国がデポジット制度を決定した背景には、昨年9月のスコットランドによる同制度の導入決定がある。その後、環境団体の声に押され、ゴーブ環境相は英国全体での導入を検討すると宣言したが、その後なかなか進まなかった。

しかし、エリザベス女王はプラスチックを減らすことを表明し、宮殿でのストローなどの使用を禁止した。また、先日オリンピックの著名な金メダリストたちがデポジット制度を導入するよう意見書をゴーブ環境相に提出した。それらのことも今日のデポジット制度導入表明のきっかけとなったのかもしれない。

<参考>

オリンピック金メダリストもペットボトルのデポジット制度を支持↓

オリンピック金メダリストもペットボトルのデポジット制度を支持

THE TIMES: Pay more at the till for drinks cans and bottles;

https://www.thetimes.co.uk/edition/news/pay-more-at-the-till-for-drinks-cans-and-bottles-d9j7f25sf

 

オリンピック金メダリストもペットボトルのデポジット制度を支持

昨年9月、スコットランドの首相が飲料容器のデポジット制度を導入すると宣言した。これを受け、英国全体でも制度導入を検討すると表明していたマイケル・ゴーブ環境相に、ウォータースポーツ団体とオリンピックの金メダリスト4人らが、海洋環境を保護するため、デポジット制度を要求した。

ゴーブ環境相へのデポジット制度要求署名に加わった英国のヨット選手Sir Ben Ainslie(ベン エインズリー) は、シドニー五輪、アテネ五輪、北京五輪、そしてロンドン五輪でも金メダルを獲得している英国の国民的スターで、サーの称号も授与されている。

 

<出所>

Mail Online(2018.3.16)‘The time for action is now’: Olympic sailing star Sir Ben Ainslie backs calls plastic bottle deposit and return scheme;

http://www.dailymail.co.uk/news/article-5461959/Olympic-gold-medallist-Sir-Ben-Ainslie-backs-plastic-bottle-scheme.html#ixzz59Bqt9dEP 

デポジット制度:ノルウェーのペットボトルリサイクル制度

海ごみ対策として、スコットランドがデポジット制度導入を表明したことをきっかけに、英国全土でデポジット制度が検討されている。

BBCニュースで、ノルウェーのペットボトルのデポジット制度が紹介された。96%もの高い回収率を達成していることから、海洋プラスチックごみ汚染問題の解決の一助になるのみならず、資源の節約にもなるという。さらに、飲料メーカーがシステムに必要な費用を支払うため、税金も節約できる。

しかも、この映像にあるノルウェーのペットボトルはキャップが外れないタイプだ。キャップを付けたまま自動回収機に入れられ、工場へ運搬後、リサイクルされる。

日本のスーパーや行政回収では、廃ペットボトルの品質向上のためとして、キャップやフィルムを剥がすことが求められている。しかし、海外でペットボトル回収の際に、キャップ外しを要求されることは少ない(ラベル剥がしを求められることはまずありえない)。なぜ日本のペットボトルリサイクルだけが、消費者にキャップやフィルム外しを過度に要求するのか不明である(もちろん、理由はそれなりにいわれている。要は中間処理施設での圧縮や、工場での選別工程の問題であるが、納得できる理由ではない)。

日本のこのキャップ外しの習慣が、キャップの外れないペットボトルの普及を阻害し、結果として、キャップが大量に川辺や海岸に落ちている原因の1つとなっているのではなかろうか?

BBC News: Plastic bottle plan that could save oceans;

http://www.bbc.com/news/av/world-europe-42968529/plastic-bottle-scheme-that-could-help-clean-the-oceans

<関連記事>

ノルウェーのデポジット制度 高い回収率維持の理由

キャップの落ちないペットボトル

プラスチックごみによる海洋汚染問題は、地球温暖化問題同様、緊急に対処すべき問題である。

どういう種類のごみが多いかについては、数えながらごみを拾う(一社)JEANなどののデータにより判明している。

例えば、ICC2016によると、「ボトルキャップ(プラスチック)」は11番目(破片類を除くと8番目)に多いごみである。これらキャップは、コアホウドリなどの生物に誤食されている。

かつて飲料缶のプルタブは、缶から外れた。しかし、野外に落ちたプルタブで、子どもが足に怪我をしたり、動物が誤食するなどの被害が増加し問題になったことから、今ではプルタブは缶から外れなくなった(背景として、アメリカで、外れるプルタブを禁止する州が増加したことがある)。

キャップの落ちないタイプのペットボトルは既に存在している。特許がらみの問題などもあるのかもしれないが、食環協は、散乱するボトルキャップを減らすため、キャップの落ちないタイプのペットボトル以外では飲料を販売しないというルールを業界内に設けるべきではなかろうか。

もし、食環協が自主的にできないのならば、農水省か環境省が業界を指導すべきである。

ノルウェーの飲料容器自動回収機の映像を見ると、キャップ付きのペットボトルがキャップが付いたまま回収されている。

参考:「デポジット制度:ノルウェーのペットボトルリサイクル制度」↓

デポジット制度:ノルウェーのペットボトルリサイクル制度

ICC2016↓

http://www.jean.jp/activity/result/Jean2016shortR2.compressed.pdf

日本コカ・コーラの「ビジョン」に失望

1月19日の米国のザ コカ・コーラカンパニーの100%回収するというグローバルプランを受けて、日本コカ・コーラも容器の新しい目標を発表した。

しかしながら、これはグローバルプランに比して見劣りのするプランである。

柱は以下の3つ。

■ PETボトルの原材料として、可能な限り、枯渇性資源である石油由来の原材料を使用しません。原材料としてリサイクルPETあるいは植物由来PETの採用を進め、PETボトル一本あたりの含有率として、平均して50%以上を目指します。
■ 政府や自治体、飲料業界、地域社会と協働し、国内のPETボトルと缶の回収・リサイクル率の更なる向上に貢献するべく、より着実な容器回収・リサイクルスキームの構築とその維持に取り組みます。国内で販売した自社製品と同等量の容器の回収・リサイクルを目指します。
■ 清掃活動を通じて、地域の美化に取り組みます。また、容器ゴミ、海洋ゴミに関する啓発活動に積極的に参画していきます。

要するに、原材料に植物由来原料を50%以上使うということの他は、これまでとの違いが不明である。

コカ・コーラはこれまでも、グリーンバードなどの「清掃活動」には一応協力しているはずで、「啓発活動」も1970年代の空き缶散乱問題からこのかた、効果はともかくとして、やっていたはず。

「2030年までに自社製品の包装材を100%回収してリサイクルする計画に着手する」ということが、19日に発表した目標の主旨ではなかったのだろうか?

日本では容器包装リサイクル法(以下、容リ法)により、分別収集は自治体、再商品化は製造・利用事業者、とその役割分担が決められている。例えば、誰かがペットボトルのコカコーラを買って、自治体の分別収集にボトルを出したとすると、それは税金で集められ、税金で選別・圧縮・梱包後にようやく再商品化事業者に有価で引き渡される。有価とはいえ、自治体が負担した費用を取り戻せるほど高額であるはずはなく、自治体は回収のたびに大損をする。しかし、コカ・コーラ社などが負担するペットボトルの再商品化費用などはゼロに等しい。要は、売れば売るほどメーカーは儲かるが、自治体は損をする(税金が使われる)というのが今の日本の仕組みである。

ペットボトルを使う人も使わない人も、もれなく支払う税金を使って分別収集をするということは、税金でコカ・コーラ社などの飲料メーカーを応援しているのと同じなのだ。

多くの研究者や市民団体は、分別収集責任を自治体におく容リ法はおかしい、というが、環境省が非力であるためこれまで改正されてこなかった。19日に米国で発表された目標を聞いたときは、日本コカ・コーラが率先してデポジット制度などの新たな回収スキームを計画し、これまでの自治体任せの回収から抜け出してくれれば、日本の容リ法も「外圧」により改正されるかも?という期待を抱いたが、どうも甘かったようである。

日本の現在の回収率は、自治体の税金による成果である。その上にあぐらをかいたビジョンではなく、せめて自社販売量に等しい量の缶やペットボトルを自費で回収する覚悟を決めてから、ビジョンを発表してほしかった。

世界中の海洋で汚染が指摘されている。ペットボトルは、海洋汚染物質の1つに名指しされている。日本からの流出も多い。

グローバル企業としての責任の果たし方として、19日のグローバルプランは評価に値した。しかし、今回の日本コカ・コーラの発表は、それを消し去ったように見える。

 

「廃棄物ゼロ社会を目指して。日本コカ・コーラ、容器の2030年ビジョンを発表」↓

https://www.cocacola.co.jp/press-center/news-20180129-14-1

 

平成28年度海洋ごみ調査結果

平成28年度海洋ごみ調査結果をまとめた資料が公開された。

環境省報道発表資料↓

http://www.env.go.jp/press/104995.html

27年度の調査結果と比較するとそれほど大きな変化はないが、ザッと見た限りではペットボトルの比率が減少しているようである。

27年度資料↓

http://www.env.go.jp/water/marine_litter/1_h27_hyochakugaiyou.pdf

いずれにせよ、飲料容器をデポジット制度など散乱ごみ対策に定評のある方法で回収することで、少なくともこの分の海洋ごみは激減する。

海洋ごみを警戒し始めた国では、近年続々とデポジット制度を採用し始めた(例えば、オーストラリアのニューサウスウェールズ州など)。

日本でも真剣に検討すべき時期に来ているのではなかろうか。

また、有機ハロゲン系の難燃剤PBDEが、採取した全ての地点のマイクロプラスチックから検出されたとのことである。この結果は、わずかな便利さのために、化学物質を安易に使うことに対する警鐘であると考えられる。