心臓からマイクロプラスチックが検出される

「心臓からマイクロプラスチックが検出された」というニュースが流れている。

ついに人間の心臓からも・・。これだけあちこちから検出されているのだから、想定の範囲内だが、やはり感慨深いものがある。

心臓に溜まることで、どういう影響があるのかはまだわからないようだが、よい影響などあるはずはない。

中国の病院で手術を受けた15人の患者から、心臓組織をもらって調べたものだ。ついでに患者の手術前と手術後の7組の血液も調べた。

調べた心臓組織は、心膜サンプルを6個、心外脂肪組織も6個、心膜脂肪組織11個、心筋3個、左心房付属物5個。血液は7人の静脈からもらったようだ。

心臓から検出されたマイクロプラスチックの最大サイズは469μm(0.469ミリメートル)と結構大きく、5種類の組織から9種類のマイクロプラスチックが見つかった。

見つかったマイクロプラスチックは、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリスチレン(PS)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリウレタン(PU)、ナイロン(PA)、ポリカーボネート(PC)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)。最多はPETだ。

いずれも、容器包装や衣類、日常品などあらゆるところでフツーに使われているものばかり。

個数は、数個の人もいるが、心膜(Pericardium)から7万個以上が見つかった人もいる。また、何も見つからなかった人もいる。もちろん、すべての人からすべての部位をとって調べたわけではないから、何も見つからなかった人はたまたま蓄積しにくい部位だっただけで、他の部位にはマイクロプラスチックが入っていた可能性は十分ある。

それに比べ、血液はサイズも小さく、数も少なめだ。手術前にも手術後にもマイクロプラスチックは血液に入っていたが、全体に手術後の方が数も種類も増えていた。手術後に圧倒的に増えた人が一人いるが、これは手術室の空気や医療機材がプラスチックで汚染されていたせいだろうか?

他の人はせいぜい数個か10個台だが、手術後に84個ものナイロンが血液から見つかった人がいる。この方の手術前の血液からはナイロンは検出されていなかった。

一過性のものだったらよいが、この方の予後が気になる。追跡調査をしてもらえないだろうか?

手術室からはプラスチックを極力排除する必要があるが、最近の手術グッズはほぼプラスチックでできているのかもしれない。

プラスチックは延命にも役立っているだろうが、私たちはジワジワとプラスチックに殺されているような気もする研究結果だ。

論文↓

https://pubs.acs.org/doi/10.1021/acs.est.2c07179

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