紙製容器にもPFAS 、プラスチックコーティングとどちらがマシか

PFASが含まれている紙を調べていたら、「電子レンジ用ポップコーン袋」とあった。

https://www.fsc.go.jp/fsciis/foodSafetyMaterial/show/syu06230340105

どんな袋かと調べたら、フツーの紙袋にしか見えない。他に「持ち帰り用の板紙容器」とある。これはケーキやドーナツの箱などのことだろうか?

ファストフードの包装紙は警戒していたが、ケーキなどの箱は盲点だった。

アメリカの研究では「デザートとパンの包装紙には56%、サンドイッチとバーガー類の包み紙には38%、紙箱には20%のPFASが含まれていたことが明らかになっています」とのこと。

また、紙コップはポリエチレンがラミネートされているので、PFASは使われていないという。

https://www.eurofins.co.jp/pfas分析-pfospfoapfhxs等/pfas-media/世界のpfasニュース/pfasは紙コップにも使用されている-国内外の調査結果と企業の動向/

要するに、油分や水分の多いものを紙で包む際は、プラスチックかPFASのどちらかを使わないと染み出すということか。どちらがマシだろうか?とつい考えてしまうが、やはりマイ容器を持参して買う以外は安心できないようだ。

焦げ付き防止フライパンはやっぱり危険

2022年のコンシューマーレポートによると、「PFOAフリー」「毒性なし」と書かれたPTFEコーティング(フッ素樹脂加工)のフライパンからPFOAを含む多くのPFASが検出されている。

https://www.consumerreports.org/toxic-chemicals-substances/you-cant-always-trust-claims-on-non-toxic-cookware-a4849321487/

コンシューマーレポートが調べたフライパンは次の三種類。

Our Place Always Pan(セラミックコーティング)
Red Copper Pan(セラミックコーティング)
Swiss Diamond Pan(PTFEコーティング)

セラミックコーティングの2製品からはPFASは検出されなかったが、PTFEコーティングのフライパンからはPFOAを含む16種類のPFASが検出されたという。

https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/24/021600096/?P=2

しかも、結構な濃度だ。PFOAを含まない製品でさえ、製造方法により化合物が含まれている可能性があるとのこと。

PFASを摂取したくなければ、鉄やセラミックコーティングのフライパンが推奨されている。

仮にPFOAを含まずPTFEだけだったとしても、PTFEは内臓や尿から検出されているので、「分子量が大きいから体内に吸収されない」というのは間違いだ。尿から検出されるということは、血流に乗って全身を回ってから腎臓までたどり着いたということだ。

しかも、フライパンに使われているかどうかは知らないが最近は低分子量のPTFEというものもある。

https://www.mc-fluoro.co.jp/fluoropolymer/ptfe/

高分子であろうと低分子であろうと、体に入ったらどういう動きをするかわからない。PTFEもPFASの一種なのだから、やはり安心できない。使わないに越したことはない。

熊本、半導体工場がPFASを放流 川の濃度高まる 

昨年できたばかりの熊本の半導体工場が、PFASを垂れ流していたようだ。

台湾積体電路製造(TSMC)の工場の排水を下水処理場で処理し、放流した川の水の濃度が高かった。

https://news.yahoo.co.jp/articles/2f7649e2a1cd5559413fd39480099c88f4c727df

昨年末に本格稼働したばかりなのに、1月に川の水を調べたら、工場で使われているPFBSとPFBAの濃度が上がっていたとのこと。川に直接放流しているわけではなく、下水処理場を経て放流されているにも関わらず、もう検出されたということは、一体どれだけ高濃度のPFASを垂れ流しているのだろう?

しかも、この工場は日本が大枚はたいてお願いして来てもらった工場だ。この後、第2工場、第3工場と建設計画が続く。

日本にはまだまともなPFAS基準値はない。まして、PFBSとPFBAなどのようなPFASはどれだけ流しても法に触れることはない。しかし、これらのPFASは、いずれ有害だとして規制されることは間違いない。

なぜこのような工場を誘致したのか。理由はいろいろ書かれているが、納得できない。

日本政府も誘致するならば、PFBSやPFBAの基準値を厳しく設定するなど、最期まで責任を持ってほしい。

それにしてもこの工場、台湾国内にある工場でも垂れ流いるのだろうか。

人工芝化する校庭の増加理由は、不完全な「学校保健安全法」のせいか

以前は大学などのサッカー部が使うサッカー場を人工芝にする傾向があった。特に強豪校といわれる学校は、人工芝が好きだった。最近では、サッカー部を強くしたい高校のサッカー場も人工芝になってきた、と思ったら、小中学校の校庭まで人工芝にする学校が増えているようだ。

理由は、近隣への砂塵対策などだと聞くが、人工芝化された校庭をもつ学校に通う児童は気の毒だ。

人工芝には内分泌かく乱作用のある化学物質が含まれている。芝葉の部分にはノニルフェノールやUV-328など、ゴムチップにはフタル酸エステルをはじめ、気になる物質がてんこ盛りに含まれる。PFASも含まれている可能性が高い(PFASは芝葉部分に多い傾向)。

人工芝から発生するマイクロプラスチックが大気へ放出されると、そのマイクロプラスチックに付着したこれら化学物質も一緒に放出されることになる。それを吸い込むのは、通っている児童・生徒だけではないが、やはり毎日学校にいる子が多く吸い込みそうだ。

もちろん、すぐに毒性が現れるような物質ではないので、気にしない親も多いだろうが、私ならば我が子を通わせるのは躊躇する。こんな幼い子どもたちまで、なぜプラスチック付けにして育てようとするのか、理解できない。

韓国では日本よりも早く、校庭の人工芝化が始まった。しかし、2008年に環境団体が校庭の人工芝から基準を超える鉛を見つけた。その後、2014年に国の外郭団体が全国調査を行ったところ、約17%の学校の校庭の人工芝から基準値を超えた重金属やベンゾピレンなどの発がん性物質などが見つかった。そのため、基準を超えた人工芝校庭は土の校庭などに戻された(天然芝校庭になった学校もある)。それ以降、多くの自治体が2年ないし3年ごとに校庭の有害物質調査を行い、結果を公表している。

日本ではなぜこのような調査が行われていないのか?と不思議に思い、「学校保全安全法」を調べてみた。この法律には、感染症や事故、衛生問題などは想定されているが、校庭に存在するかもしれない有害物質については考慮されていないようだ。

確かに、昔は校庭の危険性などは、せいぜい砂場の砂の衛生問題(たとえば、砂場にペットが排泄するなど)程度しか考えられていなかっただろう。

しかし、今の校庭は心配な人工物だらけだ。人工芝にゴムチップ舗装、陸上競技用のウレタントラックなど。日本にそれらに含まれる(あるいはそれらから揮発する)有害化学物質の基準値はあるのだろうか?

「学校環境衛生管理マニュアル」(文科省)などを見ても、校庭についてはほとんど触れられていない。「屋上や校庭の側溝等の雨水排水溝について検査を行う」程度だ。

人工芝やゴムチップなどは、施工時は基準値内でも周辺から多環芳香族炭化水素(PAHs)などを吸着し、有害性を増すことが知られている。日本の校庭や公園は、敷設の際に調べられた形跡はないし、敷設後も調べられることはないと思われる。

メーカーから安全性に関する書類を提出させるのかもしれないが、敷設時はもちろん、数年ごとに有害物質調査をする必要がある。

韓国では人工芝だけでなく、校庭の陸上トラックも調べたところ、問題のある物質がいくつもの校庭から見つかった。ウレタン舗装時に早く乾燥させるために使われた薬剤に問題があったようだ。

今のままの学校の安全基準で、子どもたちを守ることは到底できそうにない。至急、校庭の有害物質を調査し、さらに教室内の電磁波なども測定すべきだ。

PFAS論文差し替えと森友学園文書改ざんの共通点

食品安全委員会のPFASワーキンググループは、PFASの規制値を緩く設定するため、論文の7割を水面下で差し替えていたという。

257本中の7割だから、相当な数だ。それについて、高木仁三郎市民科学基金などによる「PFASプロジェクト」が3月3日、記者会見を行った。

https://news.yahoo.co.jp/articles/93440f26e9052f7d5a570475dd6dd42fa7cdd7dd

これまでもバレなかっただけで、このようなことはあったのだろうと思うが、これから先はますます増えそうだ。まさに貧すれば鈍すで、命よりもカネが大事な人は多い。企業に忖度し、論文を差し替える委員たちは、今後ますます増えそうだ。

他方では、これまで隠されていた森友学園の文書が開示されることになった。今後1ヶ月をメドに開示するとのこと。

改ざんを苦にして自殺した赤城さんの妻・雅子さんが裁判で頑張ってくれたおかげだ。

https://mainichi.jp/articles/20250304/k00/00m/010/156000c

隠蔽に改ざん・・この2つの事件は、都合の悪いことを隠すため、忖度を迫る圧力がいかに強いかを示していて、気味が悪い。

日本の「劣化」を証明しているが、裁判で勝ったことは救いだ。

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PFAS水質基準値のパブコメ開始 根拠論文を故意に差し替えた疑い

「水道における水質基準等の見直しについて(第1次報告案)」及び「水質汚濁に係る人の健康の保護に関する環境基準等の見直しについて(第7次報告案)」等に関するパブコメが開始された。

https://www.env.go.jp/press/press_04505.html

飲み水の基準を「PFOS 及び PFOA の量の和として 0.00005mg/L(50ng/L)以下とするという案で納得できる人は、PFAS製造・利用事業者くらいではないだろうか?

この数値を正当化するため、姑息な手を使ったらしい。評価するための論文を7割も密かに差し替えた「論文差し替え疑惑」が指摘されている。

https://slownews.com/n/n016e6347a901

PFASの曝露が腎臓がんや流産などと関係することを指摘する「都合の悪い論文」を省き、代わりに都合のよい論文を採用したという。これが本当ならば、日本は独裁者が統治する後進国と変わらない。

パブコメの〆切は3月27日だ。

「大阪PFAS汚染と健康を考える会」によると、以下の文案を参考にパブコメを書くのがよいようだ。

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意見 (別紙1-1のP4~5および全体への意見)←コレは必ず必要

環境省が新たに決めようとしている水質基準値50ng/ℓは、米国基準値の検出下限値であるPFOS4ng/ ℓ・PFOA4ng/ℓやEU諸国と比べて桁違いの高い値となっています。しかも、環境省自身が2010年より行ったエコチル調査(大規模疫学調査)で「非常に低い曝露濃度で染色体異常が起こる」との研究論文を全く無視しています。世界的趨勢及び重要な疫学調査を踏まえ、我国の水質基準は少なくとも米国基準以上に厳しくし、0.25ng/ℓ以下とすることを求めます。

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埼玉で240倍基準超えのPFAS、産廃か?

さいたま市内の河川からPFASが検出され、汚染源をたどるとある事業所(浦和区上木崎2丁目)にたどり着いたようだ。

https://news.yahoo.co.jp/articles/56780af567973165b78acaad51b6a624724778d5

何の事業所だろうかと思い、「有害物質使用特定施設設置事業場一覧表」を見てみたが、「事業所には現在、PFASが発生する要素はない」そうなので、ここに掲載されているところとは限らない。

一体何を作っていた会社だろうか?それとも産廃処理業か?

相模原市、今年度のPFAS結果を公表

相模原市が、2024年度のPFAS結果を公表した。

3M社敷地内(南橋本)の地下水のPFAS濃度が870ng/Lと、なぜか激減している。昨年は1400ng/L、一昨年は1500ng/Lだったはずだ。

PFASが漏れ出さないように、何か有効な手を打ったのだろうか?

それとも??

市の検査日を知っていた同社が、検査直前に井戸を真水で薄めたのでは?などと疑いも頭をよぎる、まさかそんなことはしないだろうと信じている。

PFASとマイクロプラスチックの組み合わせで、毒性がパワーアップ:英研究

英バーミンガム大学の研究チームが新たな研究を発表した。マイクロプラスチックとPFASがミジンコに与える影響を調べたのだ。

その結果、マイクロプラスチック単独でもPFAS単独でもミジンコにとって有害だった(PFASの方が有害性が強かった)。

しかし、マイクロプラスチックとPFASを一緒にミジンコに曝露させると、単独のときよりも毒性が増した。しかも、複合効果は41%が「相乗的」とのこと。

つまり、ミジンコにとってマイクロプラの毒性が5,PFASの毒性が10だとすると、一緒に与えることでミジンコは15の毒性による影響を示すと考えられるが、それ以上の影響を示したということだ。

ミジンコは、成長が遅くなり、生殖への影響もでた。さらに、生存率も低下した。

https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0269749124018505?via%3Dihub

まさに「複合汚染」だ。

少し前に中国の研究で、湖にマイクロプラとPFASがセットで存在するという報告があったが、マイクロプラはPFASを引き寄せ、毒性をパワーアップさせているようだ。

この実験で使用したマイクロプラスチックはPET粒子、PFASはPFOSとPFOAだ。一般にPETの化学物質吸着能力は、ポリエチレンやポリプロピレンに比べ低いとされている。この実験では吸着させて与えたわけではなく、単に一緒に与えただけのようだが、もしかすると、PETの代わりにポリエチレンなどを使った方がより毒性がパワーアップしたかもしれない。

いずれにせよ、このままPFASとプラスチックをを使い続けると、ミジンコが激減し、ミジンコを餌にしていた生物も減り、生態系が大きなダメージを受けることは確かだ。

欧州、化粧品285品から禁止されているPFASや環状シロキサンを検出

ECHA(欧州化学物質庁)が、13ヶ国で販売されている化粧品約4500種を調べたところ、うち285製品から禁止されている物質が見つかった。

「ペルフルオロオクタン酸(PFOA)、長鎖ペルフルオロカルボン酸(PFCA)および関連物質、および環状シロキサンD4およびD5の存在」を調べたそうなので、見つかった物質はREACH規則で禁止されているPFASや環状シロキサンだ。

・ペルフルオロノニルジメチコン
・ペルフルオロオクチルエチルトリエトキシシラン
・ペルフルオロノニルエチルカルボキシデシルPEG-10ジメチコン
・シクロペンタシロキサン(D5)、シクロメチコン(D4、D5、D6のブレンド)、シクロテトラシロキサン(D4)

https://echa.europa.eu/-/hazardous-chemicals-found-in-cosmetic-products

環状シロキサンはシリコンの化合物で、日本の化粧品にもよく使われている。

PFASは日本を含む世界各国の化粧品に含まれているため、前から注意が呼びかけられているが、これからはシロキサンにも注意が必要だ。

日本語の記事によると、アイライナーやリップライナー、コンディショナー、ヘアマスクなどの製品から有害物質が見つかったそうだ。

https://news.yahoo.co.jp/articles/0850658ef73eea92e7e85e500b91c52e393aaf92