鎌倉市も「かまくらプラごみゼロ宣言」

今年9月の「かながわプラごみゼロ宣言」に次いで10月に「かまくらプラごみゼロ宣言」が発表された。

内容は、神奈川県の宣言よりも多少具体性がある。

1 これまでの取り組みの強化

(1) 市民や事業者等に対する取り組み
1 ライフスタイルの見直しに向けた啓発
マイバック、マイボトル、マイ箸を使用し使い捨て製品の使用を控えるなどの啓発 を引き続き実施し更に徹底します。
・自治・町内会説明(平成 29 年度 56 回)、鎌倉ごみ減量通信等においてマイバッ ク、マイボトル等の啓発
2 生産、流通、販売工程における使い捨て物品の削減
工場における容器包装の減容化、販売工程におけるレジ袋の削減等の啓発を引き続き実施し更に徹底します。
・分別徹底等事業者訪問の際にレジ袋等の削減について要請(平成 29 年度 個別訪問 561 社)
3 3Rに貢献している事業者等の地域での取り組みPR
・ごみの減量資源化に取り組む(マイバックの推進やレジ袋有料化など)の市内事業者を「エコショップ」として認定し公表しています。
4 リユース(再使用)の推進
・お祭りやイベント時のリユース食器の補助制度を更に推進します。
5 滞在者に対する協力の呼びかけ
・観光旅行者等に対するマイバックの使用やごみの持ち帰りなどチラシ等による情 報発信を行ってまいります。
(2) 鎌倉市役所の取り組み
1 職員のマイバック、マイボトルの使用を徹底します。
2 ペットボトル飲料の会議等での使用制限を徹底します。

2 今後の取り組み
新たな取り組みとしてプラスチック製ストローの利用廃止や市役所の自販機でのペッ トボトル飲料の販売を極力廃止するなど、神奈川県と歩調を合わせながら新たな取り組 みを検討し実施してまいります。

できればもう一歩踏み込んで、市役所内の自販機でのペットボトル販売廃止のみならず、屋外も含めた公共スペース内でペットボトルを販売しない、あるいはアディダスのように、オフィス内での職員のペットボトル使用禁止、などまで踏み込んでほしいところだが、今のところこれが精一杯なのだろう。

今後に期待したい。

また、他市町村にも早く宣言してほしい。

<関連記事>

鎌倉市の先進的な取組

<出所>

鎌倉市(2018.10.1)「かまくらプラごみゼロ宣言」↓

https://www.city.kamakura.kanagawa.jp/kisya/data/2018/documents/plasticwaste.pdf

豪クイーンズランド州 11月1日からデポジット制度開始

オーストラリア大陸の4分の1を占め、2番目に大きい州であるクイーンズランド州で、2018年11月1日から飲料容器のデポジット制度が開始される。

州内には飲料容器と引き換えに、デポジット(預り金)を払い戻すためのリファンドポイントが230以上準備された。

デポジットもリファンド(返金)も10セントで、150mLから3Lまでの飲料容器が対象。牛乳やワインは対象外だ。

デポジット制度により、散乱ごみの減少とリサイクル率の向上、さらに新たな雇用などにより、地域経済に利益をもたらすと見込まれている。

<出所>

Queensland Government, “About the container refund scheme”

https://www.qld.gov.au/environment/pollution/management/waste/container-refund-about

注目を集めるパラオの環境対策 ユニークなデポジット制度と世界初の「環境誓約」

最近パラオの環境対策が、島嶼国の間で注目を集めているという。

例えば、飲料容器の散乱を防止するため、少し変わった飲料容器の「デポジット制度」が導入されている。

国により飲料に課金されたデポジット(10セント)の半額は、飲料容器を持参した人に支払われるが、残りの5セントのうちの半分(2.5セント)はリサイクルセンター(回収施設)の手数料に、もう2.5セントは国の環境事業などに使われる。

カナダの4つの州で行われている「ハーフバックデポジット」(預り金の半額を消費者に返金し、残りの半額をデポジット制度の運営費用や州の環境対策などに使用する)と形は少し似ているが、それとも少々異なるユニークなデポジット制度である。

そのパラオで、2017年12月7日から入国者に対し、環境を守ることを誓約する「パラオ・プレッジ(誓約)」を求め始めた。まだ拒否した旅行者はないようだ。

近年、旅行者の増加に伴い、サンゴを破壊したり、海にペットボトルを投げ込んだり・・など旅行者による環境破壊が目立った。ウミガメの甲羅を持ち帰る旅行者もいたようだ。

そのため、危機感を感じた女性達(メレンゲサウ大統領夫人とマーケティングに詳しい4人の女性)が環境誓約を考案したとのこと。

誓約の内容は次の通り

パラオの皆さん、

私は客人として、皆さんの美しく

ユニークな島を保存し

保護することを誓います。

足運びは慎重に、行動には思いやりを、

探査には配慮を忘れません。

与えられたもの以外は取りません。

私に害のないものは傷つけません。

自然に消える以外の痕跡は残しません。

違反者には罰則(最大100万ドル)もあるそうだ。

<参考>

日経ESG(2018.7)「入国に「環境誓約」義務付け」

Forbes Japan(2017.12.19)「パラオ政府、観光客に「環境を守る誓約書」のサイン義務付け」↓

https://forbesjapan.com/articles/detail/19004

駐日パラオ共和国大使館↓

パラオ・プレッジ(誓約)導入について|Start of Palau Pledge upon Arrival

ノルウェーのデポジット制度 高い回収率維持の理由

飲料容器の回収に、デポジット制を採用している国・地域は多い。ノルウェー、スウェーデン、フィンランド、ドイツ、オーストリア、オランダ、イスラエル、アメリカ(10州)、カナダ(イヌイット自治準州を除いたすべての州・準州)、オーストラリア(実施あるいは実施予定のない州は2州のみ)・・・などなど、書き切れないほど多くの地域で、デポジット制度が実施されている。

それらはすべて異なる方法で行われている、といっても過言ではない。対象容器や回収方法、運営方法など、どの地域もそれぞれの考え方や状況に合わせ、少しずつ変化させている。

なかでもカナダのデポジット制度は、州ごとのバリエーションが豊かで、しかもデポジット対象容器の種類が多いので、私は最も気に入っている。しかし、「回収率の高さ」という点で、ノルウェーのデポジット制度を成功事例として取り上げるケースが多い。

確かにノルウェーのデポジット制度は回収率が高く、現在97%を超えている。デポジット制度実施国とはいえ、たまに8割を切るケースもある中、ノルウェーは恒常的に高い。

同国の高回収率の理由の一つに、国の税制が関係しているのではないか、とある記事(下記にURLを掲載)を読んで思った。

ノルウェーのプラスチック製造業者は、環境税を支払うことになっているが、リサイクル量が増えれば増えるほど税率は低くなる。95%を超えると環境税の支払いはゼロになるそうだ。既に7年間にわたり95%を超えたため、環境税を支払っていないという。

このことが、ペットボトルを利用する飲料メーカーの回収意欲を増している可能性がある。

デポジット制度を実施すると、回収率はたいてい急上昇するが、運営方法次第ではその後低迷するケースもある。デポジット額(預り金額)やリファンド額(払戻額)が物価と見合わなくなった場合や、回収ポイントの設置状況が適切でなかった場合には、回収率は当然低下する。

ノルウェーが恒常的に95%以上を維持できているのは、運営主体に高い回収意欲があり、常に回収率向上に気を配っていることが想像される。

ノルウェーの事例は、適切に課税し、正しくデポジット制度を実施することで、プラスチックでも100%近くの回収率が達成できることを証明している。

ひるがえって、日本の容器包装リサイクル法の下では、生産者は躊躇することなく、安易にペットボトルを採用することができる。回収量が多かろうと少なかろうとメーカーはほとんど関係ない。逆に、交通の便の悪い島などでヘタにペットボトル回収量が増えると、メーカーはかえって再商品化費用を余分に支払うハメになる。

これでは日本のメーカーは、売れれば売れるだけペットボトルを使い、回収には真剣に取り組まない。水やお茶、コーラ、果汁飲料、ノンアルコールビール、コーヒー、アルコール飲料・・・最近はお米までペットボトルに入れて売られている。

日本企業がペットボトルを好んで使う反面、デポジット制度を嫌がり、ペットボトルは散らかるままでよいと考える理由の1つは、いつまでも改正されないまま時代遅れとなった容器包装リサイクル法にあるのではないか。

<スウェーデンの環境税の参考>

HUFFPOST(2018.8.22)Norway Has A Radical Approach To Plastic Pollution, And It’s Working;

https://www.huffingtonpost.com/entry/norway-plastic-pollution_us_5b7c07e0e4b05906b41779ee

<関連記事>

デポジット制度:ノルウェーのペットボトルリサイクル制度

豪キャンベラ デポジット制度開始から1ヶ月

オーストラリアのACT(首都特別地域)では、2018年6月30日からデポジット制度が開始された。

開始から1ヶ月で、45万本以上の飲料容器(ペットボトルや缶)が返却され、4万5000ドル以上が返金された。

住民は容器1個につき10セントの返金を受けるか、またはその分を慈善団体に寄付することもできる。約10%が慈善団体に寄付されたとのこと。

現在ACT内の回収ポイントは9カ所だが、来年7月までには2倍に増やす計画だ。

なお、ACTを取り囲んでいるニューサウスウェールズ州は、2020年までに散乱ごみを40%減らすことを目的に、2017年12月1日からデポジット制度「Return and Earn」が開始されている。

<出所>

The Canberra Times(2018.8.4)Almost 500,000 bottles returned to container deposit scheme in first month;

https://www.canberratimes.com.au/national/act/almost-500-000-bottles-returned-to-container-deposit-scheme-in-first-month-20180731-p4zuq1.html

<関連記事>

オーストラリアのデポジット制度:2018年4月時点での最新情報

<参考>

ニューサウスウェールズ州のデポジット制度(Return and Earn)↓

https://www.epa.nsw.gov.au/your-environment/recycling-and-reuse/return-and-earn

ACTのデポジット制度(Returns & refunds)↓

https://www.actcds.com.au/how-to-return

時代遅れの容リ法 ペットボトル回収にラベル剥がしを義務付け

世界は、使い捨てプラスチックを規制する方向で進んでいる。その動きはだいぶ前からあったが、オセロゲームの白黒が大きく反転し、規制が鮮明になったのは2015年頃だった。

環境に関心の高い団体や政府による脱使い捨てプラスチックの動きは、レジ袋、プラスチックカップ、ストローと続き、次のターゲットはペットボトルだ・・といわれている。

インドは既にペットボトルで最初の手を打った。世界で最も厳しい罰則でレジ袋を禁止したケニアでも、次はペットボトルだ、といわれている。オーストラリアでは既に大半の州で飲料容器のデポジット制を導入、あるいは来年までに導入することを決定した。欧州でも、まだデポジット制度を導入していなかった国々は、検討中かあるいはすでに採用を決めた(例えばイギリスやルーマニア)。

コカ・コーラやエビアンなど、危機感をもった海外メーカーは、次々と生き残るための手を打ち始めた。このままでは、メーカーへのデポジット制度義務付けどころか、政府による小型ボトルの禁止や、販売量規制、あるいは環境団体による不買運動が実行される気配が見えたためだ。

しかし、日本の動きは相変わらず鈍く、これまで缶やびんが主流だったものまでペットボトルに転換する動きが目立つ。それほどペットボトルにしたいならば、自主回収せよと抗議する環境団体に対し、それら飲料メーカーは「日本では、容器包装リサイクル法(容リ法)により、回収は自治体がおこなうこととなっています。弊社は同法を遵守しています」と容リ法を楯にして言い放つ。

環境行政も、日本は世界と真逆の方向へ進む。 その一例が、G7のプラスチック憲章署名拒否であり、また、2017年度(平成29年度)から変更された容器包装リサイクル協会の「市町村からの引き取り品質ガイドライン」である。

このガイドライン変更により、それまでペットボトルをラベル付きで回収していた自治体もラベルを剥がさないと、「適切な分別がなされていない」と判断されることとなった。

ラベル剥がしの主な理由は以下である。

http://www.jcpra.or.jp/Portals/0/resource/gather/h29/29moushikomi_s_09.pdf

最近の傾向としてPETボトル自体の軽量化により、キャップ に比べ、ラベルとボトルとの分離が従来以上に難しくなっており、ラベルなどの異物が除去 できずに再商品化製品に紛れ込むと商品価値が落ち、場合によっては再商品化製品利用事業 者から返品されることもあります。昨今、より高品質な再商品化製品の安定供給が求められ ており、再生処理事業者は、少しでも品質の良いベールを落札しようとする傾向があります。

しかし、容リ法による「指定PETボトル」か否かの見極めは、案外難しい。例えば、ノンオイルの青じそドレッシングはペットボトルとして回収すべき「指定PETボトル」だが、オイル入りのPET樹脂製ボトルはペットボトルではあっても容リ法上は「プラスチック製容器包装」であり、ペットボトルとして回収してはならない。しかし、自治体の回収に間違えて出す住民は多い。

回収後の選別を障がい者団体などに委託している自治体は多く、選別ラインでペットボトルか否かを見極めるのはマークが頼りだ。ラベルを剥がされてしまっては、そのマークが見えなくなる。

そのような自治体にとって今回の措置は実に困ったことだ。例えば、奈良市はそれまで市民に「ラベルを見ながら選別しているので、ラベルを剥がしてはならない」と周知してきた。それを昨年、「ラベルを剥がして」に無理矢理変更した。

もともと奈良市がラベルを剥がさなくてよいと決めていた背景には、奈良市のペットボトルをよく落札していた工場が、「剥がす必要はない」と言っていたことがある。大半の大手再生工場は「ラベルが付いていようといまいと、ほとんど関係ない」と言っていると聞く。

ボトルが薄くなったからボトルとラベルが選別しにくくなり、剥がさないと品質に重大な影響が出る、といっている再生工場を、あいにく筆者は知らない。しかし、そのような工場がもしあったにせよ、拡大生産者責任ということを考えれば、それは飲料メーカーが対処すべき問題であり、自治体や消費者にしわ寄せするべき問題ではない。

そもそも、ラベルは重要な情報であるから、世界では、ラベルを剥がしてはならないと規定する国も多い。例えば、デポジット制度を採用している国は、デポジット(預り金)の支払いを識別するため、ラベルで管理する。ラベルの付いたボトルを返却すれば返金を受けられるが、ラベルを剥がしたボトルを持参しても、返金を受けられない。デポジット制度を採用していない台湾にしても、メーカーが再生工場にリサイクル費用を援助するため、国内ボトルか否かは重要な情報である。従って、台湾でもペットボトルのラベル剥がしは禁じられている。

つまり、海外の再生工場では、ペットボトルはラベル付きのまま回収・リサイクルできている、ということである。日本の工場だけがラベル付きボトルのリサイクルを嫌がるのはなぜだろうか。

ラベル剥がしを消費者に強要する国は、消費者や自治体を下に見て、消費者にムリをいうのを当然のこととし、自治体に回収義務を負わせている日本だけではないか。回収のハードルを上げることで、面倒に思う消費者がペットボトルを焼却ごみに出したり、あるいはどこかに放置したりすることも十分考えられる。

飲料メーカーは、自社の利益のためにペットボトル需要をどんどん拡大させてきた。小型ペットボトルがこのように氾濫する前に(小型ペットボトル販売・製造の自主規制解禁と引き替えに)考えられた法律が容リ法である。それが今の状況、すなわち川や海にペットボトルが散乱する状況を招いたと考えられる。つまり、散乱は消費者の責任ではなく、回収・リサイクル方法の構造的な欠陥なのだ。

この容リ法を拡大生産者責任の視点にたって見直そうというならばわかるが、今回のガイドライン変更は、日本の環境行政が、ますます自治体と消費者を締め付ける方向に動いたことを示している。

増える一方のペットボトルを、自治体に税金で回収させた挙げ句、ラベルを剥がさないとランクを下げる、とはよくいえたものだ。

対抗措置として、自治体のすべきことは、容リ法からの決別であろう。

ペットボトルに関しては、独自ルートで最寄りの再生工場に売却することから初めて、徐々に回収頻度を減らし、近い将来、自治体はペットボトル回収をやめるのが良いのではないか。やれAランクだBランクだとランク付けされた挙げ句、Aランクでも大して合理化拠出金をもらえるわけではない。有償分(廃ペットボトル売却代金に相当)にしても、これまでも回収費用の数分の1だったが、中国ルートがなくなったことから国内処理量が増えたため、今後金額は下がる一方だ。容リ協会にしがみつくメリットはないといえる。

それよりも自治体は、最寄り企業と独自に協定し、キャップやラベルなどはその契約先と協議した上で、方針を決めるべきである。わけのわからないルールに振り回され、市民を混乱させてはならない。

もちろん、自治体回収を中止できるところは中止すべきである。自治体がペットボトル収集をやめても、住民はスーパーやコンビニへ持参すればよいので、たいして困らない。むしろ回収に税金を使わずに済めば、喜ぶ住民は多い。もしそれでペットボトルを焼却ごみに出し、回収量が低下するようなことがあれば、その時こそメーカーも自主回収に動くのではなかろうか。

拡大生産者責任を回避するメーカーに、未来はない。

国に希望をいうだけでは容リ法は変わらない。メーカーの自覚を促すためにも、自治体は容リ法から決別することも選択肢として考える必要がある。国が企業の利益に最大限配慮するならば、住民の利益を守るのは自治体である。

 

 

インド・マハラシュトラ州のペットボトル回収制度

インドのいくつかの州では使い捨てプラスチック製品が禁止されている。しかし、ペットボトルと牛乳容器(ミルク用プラスチック袋、以下、ミルクポーチと記載)は免除されている。

マハラシュトラ州でも500mL未満のペットボトルは禁止されたが、それ以外のペットボトルとミルクポーチは、使用後に製造事業者(飲料メーカー)が買い取り、リサイクルすることが求められた。

コカコーラやペプシコも、その規制に従い、ペットボトルに買い戻し価格を印刷し始めたとのこと。

買い戻し金額は、ミルクポーチ1個が50paise(1ルピーは100パイサ、約1.6円であるとして、50パイサということは0.8円相当か?)、200mLから1Lまでのペットボトルが2本で50パイサ、1L以上のペットボトルが1本50パイサである。

空き容器を自動回収機に投入するか、小売店へ持参すると、現金と交換できる。

もしポイ捨てが、警官などに見つかった場合は罰せられるが、当局による監視は不可能なので、その代わりの手段として経済的インセンティブを採用した制度とした。

(筆者付記)デポジット制度としては少額過ぎるので、単なる買い戻し制度(バイバック)だと考えられるが、インドならばこのような少額でもウェイストピッカーが活躍するため、散乱防止効果は高そうだ。

*ただし、日本のスーパーで行われているペットボトル1本につき0.2円分のポイントのつく自動回収機は、散乱防止効果はないと考えられる。

<出所>

THE TIMES OF INDIA(2018.8.6)After banning plastic, Maharashtra readies with buyback scheme;

http://org2.salsalabs.com/dia/track.jsp?v=2&c=nseFT019ZQgrziIwZalKJ%2Bojb6c6WEtx

 

チェコでもデポジット制度検討か

環境コンサルタント会社Eunomia Research and Consultingは、 Czech Institut Cirkulární Ekonomiky(チェコサーキュラーエコノミー協会?)と大手飲料会社Mattoniの委託を受け、チェコでの飲料容器のデポジット制度を設計をしている。

メーカーの支払いが最小限になるように、ペットボトルのみの場合と、アルミ缶も加えてデポジット制度をおこなった場合の制度運営費用を比較する。

チェコでは毎年約1200万個のペットボトルが使い捨てられ、リサイクル率は54%だ。そのリサイクル率を90%にまで上げるのが狙い。

近年海外では、飲料メーカーが自主的に回収やデポジット制度を先導している。しかし、日本の飲料メーカーは相変わらず容器包装リサイクル法の上にあぐらをかき、自治体に回収を委ねている。

このような対応の差が、最近の日本企業の陰りにつながっているのではなかろうか。

先般、環境省の職員がある会合で、ドイツのデポジット制度の今後について、根拠も示さずに否定的な発言をしたと聞く。デポジット制度を嫌う日本の業界団体も以前似たようなことを言っていたから、環境省は自ら調べもせず業界団体のウケウリをしたのだと思われる。

国によって甘やかされすぎた業界も、業界にだけ寄り添う国も、やがて国民から見放されるのではなかろうか。

(補筆2020.5)
Eunomiaの報告書に、デポジット制度により、散乱ごみの40%を占める飲料容器が95%減るから、すべての散乱ごみは3分の1に減少する、と書かれていた。
しかしその後チェコは導入を断念したようだ↓
https://news.expats.cz/weekly-czech-news/the-czech-republic-will-not-introduce-a-pet-bottle-deposit-refund-system/

<チェコについての出所>

RESOURCE(2018.7.30)EUNOMIA TO LEAD PROJECTS ON CZECH DEPOSIT SCHEME AND EU PRODUCT CIRCULARITY;

https://resource.co/article/eunomia-lead-projects-czech-deposit-scheme-and-eu-product-circularity-12767

 

英国のスーパー 国に先駆けてデポジット制度開始

今年3月、国としてデポジット制度を採用することを決めた英国で、大手スーパーが国に先駆けてデポジット制度を開始している。

英国のスーパーMorrisonは、英国内の2店舗に自動回収機を設置し、ペットボトルを入れると店で利用できるクーポンか、あるいは慈善団体CLIC Sargentに1本につき10p寄付できる。

一日最大20本で、寄付ならば1本10p(16円程度か)の現金、クーポンの場合は一日最大100ポイントとのこと。

少なくとも日本のスーパーなどでよく見かける0.2円分のポイント(500本集めないと100円にならない!)しかつかないペットボトルの自動回収機より散乱防止効果がありそうだ。

Morrisonは最近、プラスチック使用を減らすため、買い物客が肉や魚を買う際に、みずから持参した容器を使うことを認め、さらにプラスチック製透明袋の代わりに茶色の紙袋を置いている。

<出所>

Climate Action(2018.7.18)Morrisons supermarket to trial plastic bottle return scheme;

http://www.climateactionprogramme.org/news/morrisons-supermarket-to-trial-plastic-bottle-return-scheme

Morrisons launches plastic bottles deposit return scheme trial

英 コカコーラがデポジット制度のビジョンを発表

イギリスでは、デポジット制度の導入を前に、環境団体が制度への詳細な希望を表明したり、既に制度を一部先取りして開始する大手スーパーなども現れ、動きが慌ただしい。

コカ・コーラ・ヨーロッパ・パートナーズとコカ・コーラ・ブリティッシュ・コロンビアも、イギリスでのデポジット制度に役立つだろう11の提案を公表した。

財務管理と不正行為の管理、イギリス全土をカバーする共通のアプローチ、非営利団体へのスキームの委託などだ。

運営費用は、回収された容器の売却益や、容器を返還しないため残った消費者の支払ったデポジット(預り金)、そして生産者と小売店によってカバーされるべきであると提案している。また、すべての当事者が制度に確実に参加するため、法律によってデポジット制度は規定されるべきだとしている。

以前公表された日本のコカ・コーラのビジョンには、回収を自治体に任せ続けたい気持ちが透けて見えて失望させられたが、ヨーロッパとイギリスのコカ・コーラは非常にまっとうな考えを持っているようだ。

デポジット制度の運営費用は、小売店によってカバーされるべきかは異論もあるだろうが(確かにそれもよいかもしれない)、容器売却益と未返還デポジットの不足分は、生産者責任によりカバーされるべきという意見には大賛成だ。

もちろん、イギリス全土にデポジット制度を導入するため、法律で規定すべきという意見も当然であろう。

<出所>

PACKAGING(2018.7.17)Coca-Cola unveils vision for deposit return scheme

https://www.packaging-gateway.com/news/coca-cola-unveils-deposit-return-scheme/