シンガポールもデポジット制採用を発表

3月4日、シンガポールの環境庁(NEA)は、2022年までに飲料容器をデポジット制度で回収することを発表した。

これは拡大生産者責任アプローチの第一段階になるとのこと。

指定された返却ポイントに容器を返却すると、デポジット(保証金)が払い戻される。

世界では、飲料容器を生産者責任によるデポジット制度で回収することが、もう当たり前になってきた。

一方、日本ではペットボトルでさえいまだに税金で回収されている。拡大生産者責任などなんのその。2022年4月から施行される法律も拡大生産者責任の視点はゼロだ。

これがいかに時代遅れで馬鹿げているか・・飲料メーカーは十分知っているはずなのに、容リ法や、その元となった廃棄物処理法の上であぐらをかき、何も変えようとしない。

環境団体もいまだに「サーマルリサイクル」批判に明け暮れているように見える。

<参考>

CNA(2020.3.4)New Deposit Refund Scheme to encourage recycling of beverage containers;

https://www.channelnewsasia.com/news/singapore/deposit-refund-scheme-to-encourage-recycling-budget-2020-12500234

コカ・コーラ、ごみ集積所や回収箱からごみ漏れ出しを確認

先般、日本コカ・コーラと日本財団が海洋ごみの流出経路を調べたところ、東京都と神奈川県を流れる境川流域のごみの約1割が、集積所などから漏れ出したごみだったとのこと。

また、自販機横の回収ボックスからの漏れもあることが確認された。

つまり、回収方法さえ改善すれば、簡単に回避できる海ごみがあるということだ。

日本はいつまでこのような無駄なことをしているつもりか、とつくづく思う。

海外でよく見かけるようなごみを入れるコンテナを各世帯に1個ずつ渡し、そこにごみを入れ、指定日に自宅前に置いておく方式に変更するならば、風やカラスが集積所を荒らし、ごみを散らかすこともない。

ごみの回収に今のようなパッカー車は使えなくなるが、今の方式は作業員が回転板にまかれる事故が散見するし、コンテナを機械的に持ち上げごみを投入する方式の方が、収集作業はラクだろう。

この方式が難しい地域は、ごみ集積所をしっかりしたものに整備するのがよい。できれば屋根付きが望ましい。

また、自販機横の回収ボックスは早急になくすべきだ。ごみはごみを呼び、回収ボックスはどうしたってごみの発生源になる。

デポジット方式での飲料容器回収ならば、回収ボックスなど不要だ。

せっかく大金かけて調査したならば、結果を有効に反映させた回収方法を日本コカ・コーラには考えてもらいたい。

<参考>

朝日新聞デジタル(2020.2.21)「「陸域から河川への廃棄物流出メカニズムの共同調査」調査結果を報告」↓

https://www.asahi.com/and_M/pressrelease/pre_10101122/

ついに豪ビクトリア州で、デポジット制度導入か

オーストラリアでデポジット制度導入あるいは導入予定のない州は、ビクトリア州とタスマニア州の2州のみだった。

しかし、ビクトリア州で、ついに制度導入を決定したようだ。今のところ、2023年のスタートを目指すらしい。

コカ・コーラ・アマティルも制度を支持している。コカ・コーラといえば、昔からデポジット制度を潰すため訴訟を起こしていた企業。それが2017年頃を境にデポジット制度支持に回っている。

但し、それは日本以外の話で、日本コカ・コーラはいまだにデポジットのデの字も言う様子がない。

日本では、容器包装リサイクル法という半端な拡大生産者責任で済んでいるため、寝た子を起こさないようにしているのだろう。

黙っていても税金で大量に回収してくれるから黙っていよう・・と。しかも、環境団体は給水器を設置するだけで満足しているように見える。水のペットボトルなど、ペットボトル飲料全体の2割に過ぎないにも関わらず・・。

世界はそれでは済まない。デポジット制度などで自ら回収費用を払う姿勢を見せなければ、ペットボトルなど市場から追い出されてしまう。日本を除く世界の飲料メーカーは、何とかしようと躍起になっている。

オーストラリアでは、西オーストラリア州が2020年6月2日から制度を開始する予定。

残りはタスマニア州のみだ。

<参考>

https://www.news.com.au/finance/money/victoria-to-get-container-deposit-scheme/news-story/4de8f84de405153eb2ae818da365eca6

https://www.foodanddrinkbusiness.com.au/news/amatil-supports-victorian-cds

 

 

海ごみ対策でデポジット制度急増、対象人口6億12百万人に

2018年以降、いくつもの国や地域で飲料容器を対象とするデポジット制度が開始された。昨年(2019年)は、欧州を中心に多くの国・地域が2022年から制度を開始すると発表した。

海洋プラスチック汚染についての認識が広まり、対策に乗り出す国・地域が増えたためだ。

CRIによると、2010年地点で2億7900万人(36国・地域)しかなかったデポジット制度を実施している地域の人口が、地域が急増することにより2022年には6億1200万人になるそうだ。

これは既に確定している地域の人口だけなので、今後もっと増えそうだ。

販売した量の空き容器をほぼ全量回収しないならば、ペットボトルや缶など使ってはならない、と考える人が増えた結果だろう。

世界は確実に循環型社会に向かっている。

 

ブルーボトルコーヒー、2020年末までに全米でごみゼロへ 日本の店は?

カリフォルニア生まれのコーヒーショップのブルーボトルは、全米で2020年末までに廃棄物ゼロを目指している。

手始めとして、カリフォルニア州サンフランシスコの2店舗で、使い捨てカップを廃止する方針を打ち出した。

コーヒーをテイクアウトしたい客は、マイカップを持参するか、それともデポジット(保証金)を支払い店で提供する再利用できるカップにコーヒーをいれてもらうことになる。

デポジット金額は、3〜5ドルとのこと。カップを返却すればデポジットは戻ってくる。

また、プラスチック袋入りのコーヒー豆は販売を取りやめ、コーヒー豆を購入したい人には容器を持参してもらう。

ブルーボトルコーヒーは「使い捨てカップをなくすことができることをお客様と世界に示したい」とのこと。

日本にもブルーボトルのコーヒーチェーンは何店舗かあるが、どうするのだろう?期待している。

<参考>

Los Angeles Times(2019.12.24)San Francisco cafes are banishing disposable coffee cups;

https://www.latimes.com/world-nation/story/2019-12-24/san-francisco-cafes-are-banishing-disposable-coffee-cups

 

 

誰がクジラを殺した?クジラの胃から100キロのプラごみ

英国スコットランドの海岸で11月に見つかったクジラの死骸を解剖したところ、お腹からロープやペットボトル、コップ、手袋など100キロものプラスチックごみが見つかったという。

100キロものプラスチックごみを飲み込んでいたのは、まだ10歳の若いクジラで、ハクジラの一種のマッコウクジラだ。ヒゲクジラは、ヒゲ板でエサをこしとるため、これ程のプラスチックを飲み込むことはないそうだ。

私たちがプラスチックを使い続け、海底に大量のプラスチックが沈んでいる限り、クジラの悲劇は終わらない。

海洋生分解性プラスチックも、海ですぐに分解するわけではないから、このような悲劇を終わらせる役には立たない。

社会システムが適切に整備されていれば、散乱ごみはそんなにひどいことにはならないはずだ。クジラを殺したのは、ごみを捨てた人だけの責任ではない。

プラスチックは大変便利で、現時点ではある程度は必要だと思われるが、パンドラの箱を開けてしまったような気がする。

早急かつ抜本的なプラスチックの大幅削減政策と、漁具や容器にはデポジット制度を中心とする徹底した回収・再利用政策が必要ではないか。

<参考>

SPUTNIK(2019.12.3)「スコットランドでマッコウクジラの胃の中から100キロのゴミ発見」↓

https://jp.sputniknews.com/incidents/201912036885623/

ナショナルジオグラフィック(2019.12.11)「クジラの胃に100kgのごみ、なぜプラごみ食べる?」↓

https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/19/120900714/

 

 

イオン、来年秋からリユース容器で販売開始。LOOPにも参画

2020年5月からといわれていたLOOP(ループ)の実証開始が、2020年秋以降にずれ込むようだ。

ループとは、消費者がデポジット(保証金)を払いリユース容器入りの製品を購入し、容器を返却するとデポジットが戻る仕組み。テラ・サイクルが運営し、既にニューヨークやパリで開始されている。

日本では東京都が助成したにも関わらず、参加企業が5社しか集まらないとのことだったので、日本では失敗か、と思っていた。しかし、エコプロダクツでの発表によると、ようやく13社集まったとのこと。

現在、まだ交渉中の企業もあるそうで、今後もっと増える予定。

これまでの5社(P&G、サントリー、グリコ、ロッテなど)に加え、イオンや資生堂、キリンなども参加を表明した。

さらに、イオンは来年秋から、先行して東京都内の店舗でリユース容器に入れた商品の先行販売と容器回収を開始するそうだ。2021年には順次、東京以外の地域でも開始するとのこと。

イオンでは、2020年秋から、東京都の「イオン」「イオンスタイル」で、リユース(再使用)容器を利用した商品の先行販売と使用後の容器回収を開始する。2021年には順次、本州・四国の約400店舗への拡大を目指す。

フランスではカルフールが中心となって、LOOPでリユースを頑張っている。なぜ、イオンがLOOPに参加しようとしないのか、とずっといぶかっていたが、ようやくイオンもリユースに取り組む。

イオンは自宅から少し離れているため、これまで1〜2ヶ月に1度程度しか行かなかったが、リユース容器入り商品で販売開始したならば、もっと利用しようと思う。

<参考>

商人舎流通スーパーニュース(2019.12.6)「イオンnews|リユース容器使用の買物システム「loop」2020年秋開始」↓

イオンnews|リユース容器使用の買物システム「loop」2020年秋開始

資生堂ウェブサイト「資生堂、東京都が採択したショッピングプラットフォーム“Loop”に参加」↓

https://www.shiseidogroup.jp/news/detail.html?n=00000000002813&rt_pr=trf11

ラトビアでデポジット制度、2022年開始予定

10月24日、ラトビア議会でデポジット制度に関する法案が可決された。修正案への賛同議員は79名いたものの、反対はなかったとのこと。

開始は2022年2月1日からの予定。

<参考>

LETA100(latvian information agency) “Bottle deposit system to be introduced in Latvia in February 2022”

https://www.leta.lv/eng/home/important/0FE09B90-7738-4AE5-BD2A-D335BE4E61BA/

 

日本でもスタバなど紙コップリサイクル試行開始 でも店舗回収って?

東京都が伊藤忠紙パルプと組み、東京都内の飲食チェーン店で紙コップのリサイクルの実証実験を始めるとのこと。

10月21日から1ヶ月間、スターバックス5店舗とマクドナルド2店舗が参加して開始されるそうだ。

回収・リサイクル(紙袋などに再生)を担当するのは伊藤忠子会社。回収場所は店舗のみのようだ。

店舗回収ということは、店舗利用者が使った紙コップだろう。店舗ではリユースカップをなぜ使わないのか、と気になる。洗い場がない、洗っている時間が惜しい、顧客の希望などの理由はあるだろうが、都が絡むならば、店舗利用者は基本リユースカップを使うように促すのが本来の姿だ。

リサイクルしたら良いという問題ではない。

カナダのある自治体では、スタバなどの紙コップを市中回収していると聞く。市民がテイクアウトしたものだろう。EPRが徹底しているから、おそらく費用はスタバなどが負担しているのだろうと思う。

一方ドイツ・ハノーファー市などは、テイクアウト用にリユースカップを採用し、デポジット(保証金)を付けて、どこのカフェでも回収できるようにしている。つまり、店内利用者はもちろん、テイクアウトする人もリユースカップを使うということだ。さすがドイツ・・

ドイツではハノーファー以外にも多くの都市で、1ユーロ(130円)〜2ユーロ程度のデポジットを付けて、リユースカップを利用している。

都主導で、店舗利用の紙コップリサイクルの実証実験開始・・というニュースに「今さら?」と違和感を覚える。

今、試行すべきは、リサイクルではなくリユースだ。

やらないだけマシかもしれないが・・・海外のスタバやマック本社も、「使い捨てカップの店内提供を禁じる国(例えば、韓国)も増えている中、日本はまだ使い捨てコップを使ってよいのか」と驚いているのではなかろうか??

以下、日経新聞(2019.10.19)の一部↓

伊藤忠紙パルプによると、国内の飲食店ではプラ製コップが年間で十数億個、紙コップは同二十数億個が使われている。紙コップはにおいや汚れが残っていることなどからリサイクルが難しく、ごみとして焼却処理される場合が多いという。

同社は実験店から使用済みの紙コップを原則毎日回収する。洗浄して中間処理後に紙袋などに再生する。都は実証実験で成果を得られれば、他の飲食チェーンにも取り組みを広げたい考え。

<韓国についての参考>

https://www.konest.com/contents/nowseoul.html?id=15237

<ドイツについての参考>

http://www.newsdigest.de/newsde/regions/reporter/hannover/8747-1056/

テイクアウトでも使い捨てないカップ  〜ドイツにおける地域ぐるみの新しいごみ削減対策

ニュージーランド、デポジット制度導入か

ニュージーランドのユージニー・セージ環境副大臣が、飲料容器のデポジット制度を導入すると発表した。

制度設計については、2020年8月までに政府に提示され、2022年までには実施される見込み。

対象は、プラスチック、アルミ、ガラスを使った飲料容器で、デポジット(保証金)金額は5から20セントの予定。

ニュージーランドでは、長らく産業界がデポジット制度導入に強く反対していた。

オーストラリアの影響か、ようやく導入が決まったようだ。

欧州連合内では、海洋プラスチックごみ対策の一環で、最近デポジット制度の導入、あるいは検討する国が相次いでいるが、ニュージーランドではムリだろうと思っていた。

しかし、ニュージーランドでも導入が決まったということは、日本もあきらめるのはまだ早いかもしれない、と勇気づけられる。

<参考>

stuff(2019.9.25)Government announces beverage container return scheme;

https://www.stuff.co.nz/environment/116070622/government-announces-beverage-container-return-scheme