100人以上の科学者が声明「リユース容器は安全」

英・ガーディアン紙によると、新型コロナウイルスの影響で使い捨てプラスチックが増えたことを懸念して、100人以上の科学者が「再利用可能なウイルス感染の可能性を高めない」という声明を発表したそうだ。

消費者に対する科学者のアドバイスは、再利用可能な容器を熱湯と洗剤または石鹸で洗えばよい、とのこと。

食洗機で洗えばまったく問題ないにも関わらず、一部のカフェなどでは使い捨てカップで飲物や食事を提供していることに対する抗議のようだ。

署名した科学者の1人であるオックスフォード大学の化学の教授は「特に包装などの用途で、使い捨てプラスチックの過剰消費を避けるためにあらゆる努力を払う必要がある」と述べている。

日本でもドトールはリユースカップで飲物を提供してくれるが、スターバックスはいまだに使い捨てカップでの提供。いくらストローを紙に変えても、カップが使い捨てでは話にならない。

<参考>

https://www.theguardian.com/environment/2020/jun/22/reusable-containers-safe-during-covid-19-pandemic-say-experts

 

レジ袋有料化が、こんなに話題になるとは・・

レジ袋有料化が始まり、ようやく一息。
10年以上にわたり悲願だった有料化。こんなこともできないようでは、日本には環境省などないも同じ!とさえ思っていた。
代替品は既にあるし、レジ袋の環境負荷はマイクロプラスチック化しやすいことや、多くの生物の誤食による被害、劣化するとポリエチレンはメタンが発生しやすいこと、などなど枚挙にいとまがない。
もらわなくて済むならば、もらう理由などは思い付かない。

コンビニの周辺に、よく小さいレジ袋がフワフワ飛んでいる。ちょっとしたものを買った人がコンビニを出るやいなや中身だけとりだして、レジ袋は放置した結果だろうと思うが、有料化のおかげで、そういう人は激減するはず。
コンビニの顧客の6割がレジ袋を辞退しているとの報道もあった。

しかし、ふと前を見ると、どこかの店でもらったとおぼしき「持ち手のない」プラ袋の上部を摑むように持って歩いている人がいた。国が規定したレジ袋とは「持ち手の付いたプラスチック製買物袋」であるため、持ち手のない袋は有料化の対象外だとして採用した店があったようだ。

そればかりではない。
資源循環戦略の基本原則「3R+Renewabl(持続可能な資源)」の観点から、3種類の代替レジ袋が無料配布してもよいことになった。
そのせいで、有料化の準備を進めていた事業者からも、「二酸化炭素の排出を減らしたいのか、海ごみを減らしたいのか、それともバイオプラスチックを増やしたいのか」「目的がわからないのでどう対応すべきかわからない」など焦りの声も聞かれた。
もしかすると政府が有料化した真の目的は、「他国との歩調合わせ」だったのかも?と思わずにはいられない。

案の定、今春国連環境計画から、代替レジ袋は温暖化にとって最悪の選択肢の可能性、というLCAの見地からの報告書が公表された。
まるで、日本の例外規定を牽制するかのような内容だ。
特に興味深かったのは、デンプンなどで作られたバイオマスプラスチックは、埋め立てるとメタンを発生するから悪いということ。
メタンガスは、劣化したポリエチレンからも発生するとハワイ大学での研究でいわれているが、確かにデンプンで作られたものからは、ポリエチレン以上に発生しそうだ。

それにしても、レジ袋を使ったり、作ったりする事業者が話題にするのは理解できるが、一般の人たちがレジ袋有料化でこんなに盛り上がるとは思わなかった。

豪クイーンズランド州でも脱プラ

オーストラリア・クイーンズランド州政府は、使い捨てのプラスチック製ストローやマドラー、カトラリー、プレートの販売または供給禁止を提案している。この法案は、議会委員会に提出され、審査が行われ、数か月以内に可決される見込み。
2021年7月施行するそうだ。
この禁止令は、クイーンズランド州のプラスチック汚染対策計画の一部。
今後さらに、厚地のレジ袋やポリスチレン製品、コーヒーカップ、テイクアウト用容器も禁止するらしい。
同州では、以前から使い捨てレジ袋も禁止している。

レジ袋有料化にさえ多くの例外規定をもうけ、脱プラどころかプラスチックを減らすこともできない日本政府を見ていると、別の惑星の法案を見ているようだ。

<参考>
クイーンズランド州政府:Single-use plastic products ban;
https://www.qld.gov.au/environment/pollution/management/waste/recovery/reduction/plastic-pollution/single-use-plastic-products-ban

Queensland’s whales and turtles to benefit from plastics ban;
https://www.miragenews.com/queensland-s-whales-and-turtles-to-benefit-from-plastics-ban/

時代に逆行、レジ袋無料配布継続店

7月に入り、これで大半の店がレジ袋を有料化すると思いきや、案外多くの店が無料配布を継続している。
これだけマイクロプラスチックや気候危機が問題になっているのだから、いくら国が有料化の抜け道を用意したとしても、もっと多くの店が有料化に協力すると思っていた。
ビックカメラ、ケンタッキーフライドチキン、松谷フーズ、餃子の王将、吉野家、ジョイフル、しまむら、セイコーマート・・・などなどが無料配布を継続するようだ。
この時期にこのような選択をするようでは、これらの企業はESG投資に期待する気もないということだろう。

特にしまむらの判断はまったく理解できない。
これまでのレジ袋買取は一体何のつもりだったのか。買取より有料化の方がレジ袋削減には効果的だということはわかっているはずだ。
客層や商品を考えても、有料化が売上に影響を与えるとは到底思えないが、なぜわざわざ得にならない判断をしのだろうか?

風の強い日に異臭 近所の人が洗剤を変えた?

最近、少し風が強いと近所から強い異臭が漂ってくるようになった。
香り付きの合成洗剤か柔軟剤かわからないが、マイクロカプセルに香料が入った高残香性タイプのものだということはおそらく間違いない。
匂いだけでなく、プラスチック製のマイクロカプセルも一緒に飛来してきているのだろう。想像しただけで気分が悪い。
なぜこんなハタ迷惑なものが商品として認可されているのか、と不思議で仕方がない。
使用者はおそらく匂いになれてしまい、あまり感じないだろうが、高残香性タイプの洗剤や柔軟剤は本当に近所迷惑だ。
暑くなってきたが、うっかり窓も開けられない。

プチ「脱プラ」宣言⑭納豆も「脱マイクロプラ」で

発泡スチロール入り納豆がイヤでたまらない、と思いつつ、毎日1パック戴いている。
パカッとパックを開くと、ポリスチレンの粉末(マイクロプラスチック)が舞い、せっかくの納豆の中に入ったような気がするのだ。
スチレンは発がん性も疑われる物質*だから、納豆容器だけでなく、発泡スチロールトレイもできれば避けたいと思っている。(しかし、スーパーは肉も発泡スチロールトレイ入りのものばかり・・)
たまに発泡スチロール入りではない納豆を見ることはあるが、たいていは値段が高すぎて毎日買う気にはとてもなれない。
紙コップ入りもたまに見かけるが、1パック30g入りと小さすぎて買う気になれなかった。
先日ようやく、それ程高すぎもせず、素材も納得できるものが見つかった!
経木と紙でくるまれている。
毎日スーパーで売られているかはわからないが、見つかれば今度から毎回これにしたいと思う。
いつも買う納豆は、国産大豆が3パック(1パック40グラム)で98〜128円程度。
この「都納豆」は80グラム入りが1個で98円。少し高めだが、大粒の北海道産大豆で経木入りならば、この程度の値段は許容範囲だろう。
有り難いことに、発泡スチロール製の納豆パックを開けると納豆の上に必ずかけられているプラスチック製のフィルムもない。
これで久々に少しだけ脱プラできた気がする。

*アメリカ国家毒性プログラムは、スチレンを「発がん性があるとする合理的理由がある」としている。また、東京都衛生研究所は2001年7月、スチレンダイマーとスチレントリマーの一部に環境ホルモンとしての作用があることを乳がん細胞を使った実験から突き止めた。
(東京都衛生研究所の件の出所:村田徳治著『化学はなぜ環境を汚染するのか』)

(後日捕捉)
その後、この「都納豆」を扱うスーパーへ行き、あったら必ず購入している。昨日は2個しかなかったが、数日前にはまだ5個残っていた。買い占めるのは気が咎めるが、夕方だから許してもらうことにして、全部買い占める。とても美味しい!
すぐに食べない分は、冷凍庫へ。
他のメーカーではなぜ経木にしないのか、不思議だ。

<関連記事>

プチ「脱プラ」宣言⑬紅茶は「脱マイクロプラ」で

プラスチック利用、企業に開示要求 合成繊維は?

日本政府は、年内に企業に対しプラスチックの利用状況について開示を要求するそうだ。
年内に指針を発表するとのことだが、強制はしないので、開示したくない企業はしなくても構わない。
しかし、グローバル企業であれば、開示しないとESG投資は期待できないので、当然開示することが見込まれている。
ガイドラインは年内にまとめて、企業に提示するとのこと。
これを機に、「プラスチック」の概念をきちんと整理して示して欲しい。
欧米では合成繊維や合成ゴムをプラスチックにカウントしているが、日本はこれらをプラスチックとみなしていないようで、日本のプラスチックの数字にこれらは含まれていない。
例えば、プラスチック資源循環戦略にも出てくる「廃プラスチックのリサイクル率 27.8%と熱回収率 58.0%を合わせて 85.8%の有効利用率」は、一般社団法人プラスチッ ク循環利用協会の出している数字なので、合成繊維や合成ゴムは含まれていない。
そのため、海外と比較できない上、日本では合成繊維や合成繊維はプラスチック問題の陰に隠れている。
今回政府が開示要求するプラスチックの利用状況の中に、まさか合成繊維が含まれていないということはないと思うが、これを機に明確にしてほしい。

<開示についての出所>
日本経済新聞(2020.6.7)「プラスチック利用、企業に開示要求 政府が年内に指針 」↓
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO60080100W0A600C2MM8000/

タスマニア州も2022年までにデポジット制度を導入

オーストラリアで、デポジット制度の導入をまだ計画していないのはタスマニア州だけ、と思っていたが、タスマニア州でも計画していた。
ニュースを見落としていたが、昨年(2019年)環境大臣が、2022年までにデポジット制度を実施すると発表した。
これでオーストラリアは、全土で2023年頃までには制度が導入されそうだ。
タスマニア州では、15年前からデポジット制度の調査をしていたとのこと。これまでは産業界などの反対で導入できなかったが、ようやく環境団体や研究者、地方自治体等の長年のロビー活動が実り、実現の運びとなった。

日本はまだデポジット制度が議論の俎上にも上らない。
日本の環境政策の遅れは、既に周回遅れを通り越してしまった。

<参考>
Tasmanian Government(2019.6.6)Container Refund Scheme for Tasmania;
http://www.premier.tas.gov.au/releases/container_refund_scheme_for_tasmania

EXAMINER(2019.6.6)Tasmanian government commits to introducing container refund scheme;
https://www.examiner.com.au/story/6204168/tasmania-to-implement-container-refund-scheme-by-2022/

テイクアウトで増えるプラごみに対抗、亀岡市のプラごみ削減の取組

レジ袋禁止条例を可決した亀岡市が、また新しい取り組みを始めた。
新型コロナ影響で増加するテイクアウト用のプラごみに対抗するため、テイクアウト用の容器やマイバッグ持参者には、来月末まで10円のクーポンをくれるそうだ。
そのため、弁当箱やタッパーウェアを持って、料理をテイクアウトする人が増えている。
これをきっかけに、日本全体で、テイクアウトする際には容器持参が当たり前の生活スタイルになることを期待したい。
下記で、取り組みを紹介するNHKの番組が見られる↓
https://www3.nhk.or.jp/lnews/kyoto/20200519/2010006760.html?fbclid=IwAR3sbotUf-CHfQhi1GqqsZkW4eVfjSbwnAvJEEoi1y2-Vbij0RnSPFJKKgo

アメリカではレジ袋禁止を一時ストップし、マイバッグの持ち込みを禁止するところもあると聞くが(マイバッグにウイルスが付着していることを懸念して)、日本はそうならなくて本当に良かった。

ピリカ最新データ公表、日本の川のマイクロプラスチック量はメコン川の下流並みのひどさ

川や湾岸のマイクロプラスチックを調査しピリカの最新データが公開された。

https://opendata.plastic.research.pirika.org/

ピリカの先日の報告会の動画も公開されている。

https://youtu.be/ytIz0mhkFlk

動画はなかなか面白かった。
日本の川のマイクロプラスチック浮遊量は、メコン川の下流に匹敵する多さだそうだ。

メコン川は、タイ、ラオス、カンボジア、ベトナムの順に流れているそうで、マイクロプラスチックの浮遊量もその順で増えている。しかし、日本の川の浮遊量は、下流であるカンボジアやベトナムに匹敵する量とのこと。

理由として、日本のプラスチック使用量が多いことや、昔から使っていたため既に劣化しているプラスチックが多いことなどが考えられるそうだ。

メコン川というと、大きなプラスチックごみがたくさん浮いているイメージがあるが、5ミリから0.3ミリ以上のマイクロプラスチック量は、少なくともタイやラオスでは日本よりずっと少ないようだ。

以前、磯部先生らの研究で、日本近海のマイクロプラスチック量は平均的な海と比べ27倍も多いという報告があった。今回のピリカの報告で、その原因が他のアジア諸国ではなく、日本にあるということがわかる結果だ。

また、日本の川に人口芝が多いということは以前の調査でも報告されていたが、今回も多かったそう。

人口芝を敷いている施設の管理者は自治体が多いので、住民が声を届けないと自治体も対策しにくい。声をあげることが大事だと言っているのも印象的だ。

やはり声をあげないと、何も変わらない。声をあげなければ、とあらためて思った。