豪クイーンズランド、デポジット制導入後ビーチのごみが減少

オーストラリアのクイーンズランド州では2019年に、飲料容器のデポジット制度が導入された。

2019年の導入前の調査では、観光地であるウィットサンデー諸島地域の海岸でクリーンアップをするボランティアの人たちが拾ったごみは、平均約120個だった。これが2020年には77個に減ったという。

主にペットボトルやアルミ缶が減り、その後も減り続けているそうだ。明らかに、デポジット制度の成果だといえる。

オーストラリアでは、今年11月からビクトリア州がデポジット制度を開始する。来年タスマニア州が開始することで、オーストラリア国内全土がデポジット制度になる。

<出所>

https://phys.org/news/2023-09-deposit-schemes-rubbish-beaches.html?eType=EmailBlastContent&eId=e825228b-19f5-448e-969c-f065090d2d09

日本のスーパーにも「プラスチック攻撃」は必要か でも人目を気にする日本人には難しいか

日本でもスーパーで購入後すぐに外した食品トレイなどをごみ箱に捨てる人がいて、話題になっていた。

海外ではそれを「プラスチックアタック(攻撃)」と命名し、世界的な運動になっているようだ。

https://edition.cnn.com/2018/08/02/health/plastic-attack-movement/index.html

プラスチック以外の包装か、あるいは無包装で買いたいのに、なぜかいつもプラ包装が付いてくる。

プラスチック攻撃は、そんな不要なトレイなどを押しつけられることに苛立った消費者によるスーパーへの意思表示だ。要らないものをなぜ「洗って乾かして」という手間をかけ、また持参しないとダメなのか、腹立たしい限りだと私も思う。

日本ではトレイとトレイに付着していたラップが主に捨てられているが、イギリスではトレイが少ないせいか軟質包装材も対象になっているらしい。

人目を気にする日本人である筆者は、なかなか行動に踏み切れないが、実行している人には密かにエールを送っている。スーパー側にしてみたら、「食品の品質維持」のため必要だと思って善意でやっていることだというだろう。

しかし、トレイや野菜のプラ袋は、消費者としては本当に不要だ。トレイに入っているだけで、食品にポリスチレン(PS)製のマイクロプラスチックも付着しているだろうなぁと想像してしまう。

特に、トレイの底に敷いてある薄い白色や緑色のシートは一体何なのか。水分や油分を吸い取らせるためだと思われるが、見るだけでも気持ちが悪い。とりわけ緑色のシートは、使用されている着色料まで頭に浮かび、もしかしたら重金属も使われているかもと思うと、もう買えない。

また、刺身の上などに乗っている葉っぱの形状をしたプラスチックも意味不明だ。幼子のお店屋さんごっこでもあるまいし、見ただけで買う気が失せる。なぜ、不要なごみを顧客に押しつけるのか。

トレイの上にかかっているラップ(おそらく塩化ビニリデン製 or 塩化ビニル製)の安全性も気になるところ。

フランスのスーパーの最近の写真を見ると、プラスチックを使わなくても多くの野菜や果物、キノコが販売可能だとわかる。肉や魚も、販売員を1人貼り付ければトレイは不要だ。人件費をかけられないとの声も聞こえてきそうだが、なんとか工夫できないものか。

私も買い物の度、スーパーに不要な包装材を置いてきたい、と真剣に思う。

アイルランド、来年2月開始のデポジット制度準備整う。ラテ税はまだ

アイルランドは首都ダブリンで開催された年次循環経済会議で、スミス国務大臣が来年2月1日からデポジット制度を全国で開始することを確認した。

対象はアルミ缶とペットボトル。今後、対象を増やすことも視野に入れているが、まずは対象をこの2つに絞ったという。

アイルランドのすべてのスーパーに、容器を回収する自動回収機を設置する。

大臣は、制度の目的は毎年捨てられている20億個の缶とペットボトルの大半を回収することだ、と話した。

デポジット制度については明確に言及したが、予定されているラテ税に関してはまだ明確な言及はない。

ラテ税は使い捨てのテイクアウト用カップにかける予定の税で、20セントを予定している。

<出所>

https://www.rte.ie/news/environment/2023/0927/1407658-deposit-return-scheme/?eType=EmailBlastContent&eId=e825228b-19f5-448e-969c-f065090d2d09

<関連記事>

高濃度のマイクロプラ摂取でアルツハイマーに?!

中国の研究チームは昨年、二次マイクロプラスチックの摂食は、精神疾患の潜在的な原因になる可能性があるという論文を発表した。マウスを使った実験で、胎児の脳にマイクロプラスチックが蓄積すると、成長してから不安行動を引き起こしたり、新しい物事を模索する意欲や能力が低下した、というものだった。

今度は、アメリカの大学の研究だ。

高濃度のマイクロプラスチック入りの水を与えられたマウスは「GFAP発現が低下」し、「マウスのアルツハイマーを含む神経変性疾患の初期段階と関連がある」そうだ。

https://www.gizmodo.jp/2023/09/effects-of-microplastics-on-mammals.html

この記事の原著論文をあたったところ、興味深い実験をしていた。

https://www.mdpi.com/1422-0067/24/15/12308

若いマウスと年を取ったマウスに、それぞれマイクロプラスチックの濃度により4種類にわけた水を飲ませ、実験をしたそうだ。

同じような環境であっても、老マウスと若者マウスは少し異なる影響を示したようだが、どちらのマウスもGFAP発現が低下し、特に若いマウスに有意だったようだ。

まだしっかり読んでないので、間違って解釈しているかも?だが、もしこれが人間にも当てはまり、若者の方が脳への影響が大きいようでは大変だ。

やっぱり怖い紙コップ ポリ乳酸で生物に発育障害

インド工科大学の研究で以前、毎日温かいコーヒーを3杯飲む人は、毎日75,000個のマイクロプラスチックを体内に取り込んでいることになる、という研究結果が発表された(Journal of Hazardous Materials)。確か、100ccで25,000個のマイクロプラスチックがでるという結果だった。

今度は、スウェーデンのヨーテボリ大学の研究で、紙コップとプラスチック製コップの有害性比較だ。

https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0269749123008382

紙コップとプラ製コップを水と泥に浸し、その水と泥を入れた水槽にユスリカの幼虫を放した。

結果は、ユスリカの幼虫に「著しい成長阻害が観測された」とのこと。

日本語の記事↓

https://www.gizmodo.jp/2023/09/negative-effects-of-paper-cups.html

紙コップにはポリ乳酸(生分解性プラの仲間で、産業用堆肥化装置でのみ分解する)がラミネートされていたから、プラ製コップと同様、マイクロプラスチックが大量に放出されたと考えられる。

そのため、ユスリカの幼虫の成長、発達などに影響がでたようだ。

影響は7日後から現れ、滲出時間の増加に伴い影響が大きくなったという。

それにしても、ポリ乳酸は、近年伊藤園のおーいお茶のティバッグなどで使われているが、日本ではそれほど一般的に出回っているわけではない。紙コップのラミネートに使われているものは少なく、ポリエチレンのラミネートのほうがフツーな気がする。

欧州では紙コップといえばもうポリ乳酸のラミネートが主流なのだろうか?

2021年にインド工科大学で行われた紙コップ実験で使われた紙コップは、ポリエチレンでのラミネートだったが・・。

それと、もう1つ気になるのは、以前(2019年)行われたアメリカのティーバッグの実験では、ティーバッグに熱いお湯(95℃)を注いだら大量のマイクロプラスチックがでた、そのマイクロプラスチックで生物(ミジンコ)にも悪影響がでた、というものだった。

https://pubs.acs.org/doi/full/10.1021/acs.est.9b02540

今度の実験は多分お湯ではなく、水を使ったはず。ということは、冷たい水でさえも、紙コップやプラカップは必ずしも安全ではないということだろうか?

<関連記事>

ワシントン州、飲料缶のビスフェノール類の禁止を採択

ワシントン州では2023年5月31日、飲料缶のビスフェノール類ベースのエポキシライナーの禁止を採択した。

食品缶のビスフェノール類のエポキシライナーは「報告要件」とのこと。

https://www.packaginglaw.com/news/washington-state-adopts-first-nation-ban-bisphenols-drink-can-liners#:~:text=On%20May%2031%2C%202023%2C%20Washington,epoxy%20liners%20in%20food%20cans?eType=EmailBlastContent&eId=e53f7b5a-ee73-4c5b-8a60-5e91ff43e49a

飲料缶や食品缶の内側は、プラスチックでコーティングされている。そのプラスチックは以前はビスフェノールA(エポキシ樹脂の原材料として使用)を使うことが多かったが、ビスフェノールAが危険だと認識されるようになってからは他のビスフェノール類がよく使われていた。

そのビスフェノール類の使用が飲料缶で禁止、食品缶で「報告」を課されることが決まったようだ。

報告というのがよくわからないが、カリフォルニア州のように缶の表面の見えるところに、「ビスフェノール類使用につき・・・などの危険性がある」などと書くのだろうか?

例外は「テトラメチルビスフェノールF」で、これならば使用してもよく、報告義務もないそうだ。

テトラメチルビスフェノールFは、他のビスフェノール類と異なり低毒性だという研究結果があるためのようだ。

「テトラメチルビスフェノールF」↓

https://jglobal.jst.go.jp/detail?JGLOBAL_ID=202002224608989340

ピロー包装でノートレー商品が増える?!英スーパーは軟質プラも店頭回収

イギリスのスーパー大手のテスコが、ミンチをピロー包装にして、トレーをなくすという記事を見た。

ピロー包装って何?と思い、元の記事を見たら写真がでていた。

https://www.tescoplc.com/tesco-unveils-fresh-mince-pillow-packs-that-use-less-plastic/

包装の中を空気で少し膨らませて潰れるのを防ぐのが「ピロー包装」のようだ。

トレーを使わなくてもよいし、しかも中身の劣化も防いでいるらしい。

トレーに入った肉は、肉の上に塩ビ製あるいは塩化ビニリデン製ラップがかかり、ベタッと肉にくっついている(ポリラップを使っているスーパーを、最近はあまり見かけない)。

そのため、ラップの添加剤が肉に移っている気がして、何となく気持ちが悪い。

しかも、ポリスチレン製のトレーも、決して気持ちの良いものではない。スチレンオリゴマーが・・などと思うと、買おうとする手も止まりがちだ。

ピロー包装のプラスチックはおそらくポリプロピレンかポリエチレンだろうから、トレーとラップの組み合わせよりもマシな気がする。

本当はプラスチックなしで販売してほしいけれど、スーパーでは難しいならば、せめてピロー包装製品を増やしてほしい。しかし、あまり膨らませすぎるとかさばるので、困るからせめてトレー程度のかさばり程度で、とお願いしたい。

テスコではピロー包装のプラスチックを、他の軟質プラスチックと一緒に、店舗で回収しているそうだ。

日本のスーパーもトレー回収ばかりやってないで、ぜひ軟質プラスチック回収もやってほしい。それでこそ、生産者責任をまっとうすることになる。

なぜ日本は、プラスチック回収を税金でやるのか。毎週捨てる容器包装プラスチックの大半が、食品包装だ。

減プラに配慮している人は、「プラスチック回収にオレの税金を使うな!」ともっと怒るべきだと思う。

イオン、衣料品などの有料買い物袋を紙製に

イオンが衣料品や日用品などの有料レジ袋を紙製に切り替える。

紙製レジ袋は10月5日より。価格は、小サイズが20円、中・大・特大サイズが30円とのこと。

これまでのプラスチック製有料レジ袋は3円と5円だったので、レジ袋購入者は減りそうだ。

せっかくプラ袋を減らしても紙袋が増えたのでは話にならないので、とてもよいと思う。

FSC認証紙を採用するそうだ。

<出典>

https://www.watch.impress.co.jp/docs/news/1528649.html

マカオ、来年から使い捨て皿やコップ、トレーを輸入禁止に

マカオ政府環境保護局(DSPA)は9月4日、使い捨ての非生分解性プラスチック製の食品皿とコップ、そして使い捨ての発泡スチロール製食品トレーを輸入禁止とすることを発表。2024年1月1日に施行される。

マカオでは、2020年1月からは発泡スチロール製食器(弁当ボックス、カップ、コップ、皿)、2022年1月からはプラスチック製ストロー及びマドラー、2023年1月からはプラスチック製ナイフ、フォーク、スプーンの輸入と中継輸送が禁止となっているそうだ。

<出典>

https://news.yahoo.co.jp/articles/e7a22fa270dc921017feba4ae2da0b854f47a906

ソウル市が使い捨てプラの削減対策を発表、使い捨てカップをデポジット制に。プラごみ発生量を10%減らす計画

環境政策が進む韓国で、ソウル市は今日、使い捨てプラスチック削減の総合対策を発表した。

2026年までにプラスチックごみの発生量を21年比で10%減らし、プラスチックのリサイクル率は79%と10%引き上げることを目標に掲げたそうだ。

さらに、2025年から使い捨てカップの使用時に保証金(デポジット)として300ウォン(約33円)を上乗せして販売する。飲み終わった使い捨てカップを返せばデポジットは返金される。ポイ捨て防止に最も効果のある対策だ。

また、漢江(ハンガン)公園では使い捨てのテイクアウト容器の持ち込みを禁じる計画とのこと。使い捨て容器の持ち込み禁止エリアは順次拡大。今年は、盤浦大橋の下の潜水橋一帯で始め、2025年には漢江公園全域で持ち込みを禁じる。

市内の葬儀場では来年からリユース容器のみを使用する。

https://jp.yna.co.kr/view/AJP20230907001400882

ソウル市の廃プラスチックの1日平均発生量は、2014年の896トンから2021年には2753トンに3倍以上跳ね上がった。

そのため、市は2026年までに3大推進戦略と22の課題を推進し、廃プラスチック排出量を従来より10%少ない2478トンまで減量することにした。

そのために合計1793億ウォンを投資する計画だという。

https://www.hankyung.com/article/202309071090i#:~:text=2025년부터%20서울%20한강,종합대책%27을%20발표했다.