プラスチックに付着するトキソプラズマ、強毒性の株がラッコを殺す

プラスチックに病原菌やウイルスが付着し、遠方まで運ばれることがわかっている。

人畜共通の感染病を引き起こすトキソプラズマ原虫もその1つで、プラスチックの上で長く生き延び、陸から海に流出した後もプラスチックを舟にして遠くまで運ばれる。

https://mainichi.jp/premier/health/articles/20220518/med/00m/070/003000d

結果として、海の生き物に感染するが、通常感染した生物がすぐに死ぬことはなかった。しかし、強毒性の株が表れ、カリフォルニアラッコを数週間で死に至らしたそうだ。

https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/23/060200277/?n_cid=nbpnng_mled_html&xadid=10005

この強毒性の株はこれまで野生の豚で一度感染が確認されたが、水生生物で確認されたのは初めてだというが、今後増殖し、他にも被害を広げそうだ。

もし、人間にも感染するとどうなるかだが、これまでのトキソプラズマならば妊婦以外は目立った症状はないが、危機意識が欠如し、交通事故に遭いやすくなることがわかっている。

https://natgeo.nikkeibp.co.jp/nng/article/news/14/7449/

恐怖心が鈍くなるため、交通事故に遭う確率が2倍になるということだ。

また、これよると、免疫細胞を乗っ取ることで、統合失調症などの精神疾患にも関連している。

トキソプラズマ原虫はプラスチック登場前からいただろうが、プラスチックが蔓延したせいで生息域を伸ばし、強毒性になることを助けているようだ。

プラスチック汚染の影響は目に見えないところにまで広がっている。本当に怖い。

「地球は既に限界」ネイチャー発表。「地球の表面の生態系はほぼ自然のまま半分は覆われる必要がある」

世界トップクラスの科学者グループが、英科学誌「ネイチャー」に論文を発表した。地球は既に安全の限界点を超えているそうだ。

気候、生物多様性、水、自然生態系、土地利用、肥料、エアロゾルの影響など8つの地球システムの限界点のうち、7つが限界点を突破したという。

「地球の表面の50〜60%はほぼ自然のままの生態系に覆われる必要があるが、既にそれ以下になった」とのこと。

日本国内を見ていても、神宮外苑は再開発の美名のもと木が伐られているし、全国各地で人工芝グラウンドも増えた。公園などはプラスチック遊具が置かれ、その下の地面はゴムチップ舗装か人工芝だ。家庭の庭さえも人工芝で覆う家が増えている。「ほぼ自然のままの生態系」が残っている土地など、いかに森林率の高い日本でも半分もあるだろうか。

ウクライナではダムまで壊された。人間は地球に寄生しながら、地球を滅ぼしている。

ネイチャーに掲載された論文の出典は日本経済新聞(2023.6.8)↓

https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20230608&c=DM1&ng=DGKKZO7170779007062023FFJ000

米研究:海水で分解実験。ポリ乳酸を使い捨ての「アリバイ」にすべきではない 

「堆肥化可能」といわれる生分解性プラスチックの「ポリ乳酸」を使用したプラスチック製品が増えている。

例えば、伊藤園の「おーいお茶 緑茶」のティーパックもこれだ。

https://www.itoen.co.jp/news/article/14415/

宿泊施設で無償提供される歯ブラシやクシが、ポリ乳酸製のこともある。

ポリ乳酸を使った使い捨てプラスチックが着々と増えてきた理由は、使用感が一般的なプラスチックと同じなのに、よりマシだと思われているからだろう。

確かに植物性という点で温暖化対策の見地からは多少マシかもしれない。しかし、ティーバッグや食品容器がポリ乳酸の場合、お腹にマイクロプラスチックが入ることには変わらないし、マイクロプラスチックが下水に流れれば下水処理施設をくぐり抜け、海まで行くかもしれない。つまり、ポリ乳酸はプラスチック汚染問題の解決には決してならない。

それを証明したのが、最近発表された論文だ。

https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0284681

論文によると、アメリカの研究チームが、ポリ乳酸と一般的なプラスチック、天然および再生セルロース繊維を海水に浸け、分解実験をした。

その結果、ポリ乳酸は428日以上海洋環境で分解しないことがわかったそうだ。

対照的に、天然および再生セルロース繊維は、約35日以内に完全な生分解をしたとのこと。

ポリ乳酸のような産業用堆肥化施設でのみ分解するプラスチックを「生分解性プラスチック」と呼ぶことで、「破壊的な使い捨て行動を永続させるためのアリバイにすべきではない」と主張している。

仏、五輪でペットボトルやカップなどの使い捨てプラを使わない方針

ロイターによると、2024年にフランス・パリで開催されるオリンピック・パラリンピックでは、使い捨てプラスチックを禁止にするそうだ。

さすがフランスだ。東京五輪でもそうしてほしかったが、東京は「スポンサーの意向」などでできなかった。スポンサーとは主にコカ・コーラを指していたと思う。

パリ五輪では、コカ・コーラも協力し、ガラス瓶を使用するとのこと。

マラソンでも再利用可能なカップが提供される。

ロイター↓

https://jp.reuters.com/article/olympics-environment-idJPKBN2XI01W

フランスでは2025年までに使い捨てプラスチック包装の年間市場投入量を、2018年比で20%減らす目標を立てている。

そのため、既に青果のパッケージなども一部を除きほとんど禁止され、ティーバッグやファストフード店の子ども用おもちゃなども禁止された。2024年からはマイクロプラスチックを含む医療機器の販売が禁止となるそう(JETROビジネス短信)。

量り売りや容器持参の取組も進んでいる。

https://www.jetro.go.jp/biznews/2021/05/413407e4a686561c.html

一方日本は、使い捨てプラスチックは一部減ったような気もしないでもないが、増えているプラスチック製品の方があまりに多すぎて、プラ新法の効果はいまだ見えない。海外の人から指摘される日本人の「プラスチック中毒」は、かなり深刻なようだ。

国際プラ条約の第2回会合前に、日本がまさかの「野心連合」入り

とにかく驚いた。日本はこれまでとは打って変わり、プラスチックの国際条約に向けて高い野心をもつ連合国の仲間入りを果たしたのだ。

環境省と経産省の発表を見て、目を疑ったが、確かなようだ。

環境省↓

https://www.env.go.jp/press/press_01684.html

経産省↓

https://www.meti.go.jp/press/2023/05/20230526005/20230526005.html

一部に、「野心連合の野心を削ぐためではないか」という憶測もあるが、とりあえず素直に評価し、歓迎したい。

世界中で法的拘束力のある規制をしなければ、2040年までにプラスチック汚染をなくすことなどは不可能だ。

町田・八王子が紙おむつリサイクルの実証実験に協力

東京都は、使用済み紙おむつのリサイクル推進に向けた実証事業を公募した。その結果、4社(凸版印刷株式会社、白井グループ株式会社、住友重機械エンバイロメント株式会社、トータルケア・システム株式会社)共同による「家庭用紙おむつの効果的回収と完結型リサイクル事業」が採択された。

八王子市と町田市で、一般家庭から使用済み紙おむつを分別回収し、紙おむつに使用されているパルプとプラスチックを再生原料にリサイクルするシステムの事業性を検証したらしい。

また、紙おむつの効果的な収集方法や、AIシミュレーションによる効率的な収集運搬、リサイクル資源の有効活用などについて検証が行われたとのこと。

もし、多摩地域に紙おむつのリサイクル工場ができたら、相模原市で発生した紙おむつも引き受けてくれるかも?と思うと、何となくうれしい。

しかし、リサイクル工場からマイクロプラスチックが発生するのは避けられそうにない。

八王子市↓

https://www.city.hachioji.tokyo.jp/kurashi/gomi/001/001/p029927.html

下水道へ紙おむつを流すプロジェクトは中止らしい

国土交通省が進めていた、下水道に紙おむつを流す計画は中止になったという噂を聞いた。

調べたところ、p.34「今後の方針」にこう書かれている↓

「今後は、下水道への紙オムツ受入を検討する自治体や紙オムツ処理装置メーカー、紙オムツ 素材メーカー等、関係者間での情報共有を図りつつ、技術開発の動向やマイクロプラスチック に関する知見等について収集する。
ガイドラインの作成については、知見の蓄積状況や技術開発の動向等も踏まえて、課題の解 決に向けて十分な知見が蓄積されたと判断した時点で検討を再開することとする。」

要するに、さまざまな課題が解決されたら再開するということのようだ。

しかし、マイクロプラスチックのでない紙おむつというのは、プラスチックを使わない紙おむつが開発されない限り不可能なので、「再開の見込みがない=中止」と考えて良さそうだ。

それにしても、本当にお粗末なプロジェクトだった。

紙オムツなどを流したら、マイクロプラスチックがでることは最初から予想できたはず。しかも、下水道に流すなどと言い始めた頃にはもうユニチャームやトータルケアが九州でリサイクルを始めていた。

実証実験までやって、税金の無駄遣いも甚だしい。

<参考>

国土交通省ウェブサイト↓

https://www.mlit.go.jp/mizukokudo/sewerage/mizukokudo_sewerage_tk_000540.html

<関連記事>

人工芝の問題はゴムチップだけではない。粉茶のような芝片もマイクロプラとして流出

人工芝から流出したマイクロプラスチックというと、自宅玄関マットなどに使われる小さな木べらのような形の芝片がよく紹介されている。

しかし、最近の人工芝は、家庭の庭用のものでさえも、もっと丈の長い本物の草のような形状だ。根元から千切れた場合、細いとはいえ、長さは数センチあるからマイクロプラスチックとは言い難い。まして、競技場などで使用されるロングパイル人工芝は5センチはあるから、千切れてもフィルターさえあれば捕捉出来るだろう、と思っていた。

ところが、本当の芝片は粉状のものだ。すり切れて、芝はだんだん短くなる。それに伴って、粉茶のようなものが場外に流出している。

関東学院大学の鎌田 素之先生の模擬講義(「水の世紀」に化学にできること)の36分目から人工芝の話だ。どう見ても苔か粉茶にしか見えない大量の芝片(芝粉?)の流出光景が紹介されている↓

https://univ.kanto-gakuin.ac.jp/academics/science-and-engineering/applied-chemistry.html

こんなマイクロプラスチックが人工芝を敷設したところから流出しているのかと思うとゾッとする。

人間はプラスチックで様々なものを作ったことで、どうしようもない間違いを侵してしまった気がしてならない。この芝粉からもPFASがでているのだろうか。

ストックホルム条約に新たな規制対象、人工芝からも検出されるUV328が加わる

有害化学物質を国際的に規制するストックホルム条約の今年の会合で、自動車製造などで使われるプラスチック添加剤2物質の使用、製造、輸出入を禁止することが合意された。

プラスチックが劣化したり変色したりするのを抑える紫外線吸収剤「UV328」と、燃えにくくする難燃剤の「デクロランプラス」だ。

https://news.yahoo.co.jp/articles/1e412be8c2d713cec1800f639e699e897f25f67d

この難燃剤もあちこちに使われているようだが、UV328は人工芝からも検出されている。

2021年に発表されたカナダの研究によると、UV328のようなベンゾトリアゾール紫外線吸収剤は、農村部の川よりも都市部の川で最大4倍の濃度で見つかったそうだ。

そして、人工芝からもUV328が見つかった。

https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S2589914721000281

人工芝は相模原市内でも増えてきたが、東京都23区内の学校や幼稚園の校庭・園庭でも使われている。

人工芝をやたらにあちこちに敷くのはやめてほしい。子ども達の健康も心配だ。

EUの意図的添加のマイクロプラ、REACH委員会が決議。これについて、AIに聞いてみた

REACH委員会が、4月26日に意図的添加のマイクロプラスチックを決議した。これについて詳細を調べたけれど、なかなか追加情報が出てこない。

わかっていることは、今後欧州議会と理事会が精査し、3ヶ月後には正式に発効される可能性が高いということだ。しかも、猶予期間は当初いわれていたよりもかなり延びてしまった。当初は最長で8年といっていたのに、化粧品などは12年になった。

そうだ、こういう時こそAIだ!とAI博士に聞いてみたが、要領を得ない答えしか返ってこなかった。どうも欧州の意図的添加のマイクロプラスチック規制を理解していないらしい。

そのため今度は、perplexityに聞いてみた。今度はまともな答えだったが、少し前の情報ばかりで、最新情報については知らなかった。

いろいろ試しているうちに、「日本でも同様の規制が導入される予定はありますか」という質問例がでてきたので、クリックすると、以下の答え。

「日本でもプラスチック問題に対する規制強化の動きがありますが、マイクロプラスチックに関する具体的な規制についてはまだ明確になっていません。2020年7月1日からは、 全国でプラスチック製買物袋の有料化が開始され、 プラスチック製買物袋の過剰な使用抑制が呼びかけられています。ただし、 日本でもプラスチック問題に対する関心が高まっており、 G20サミットでの発信や、 環境省によるマイクロプラスチックに関する調査・研究が進められています。今後、 国内外の動向を踏まえ、 日本でも同様の規制が導入される可能性があります」

とのこと。認識が甘いなぁと思い、次の質問例「日本のマイクロプラスチック規制は他国と比べてどうか?」をクリックした。

すると、的を得た答えがでてきた(後半の太字部分)。ただし前半は古い情報で、事実とは異なる。

「日本は、 プラスチック問題に対して積極的な取り組みを進めていますが、 マイクロプラスチックに関する具体的な規制についてはまだ明確になっていません。一方、 欧州連合(EU)では、 2022年最大5mmの意図的に追加されたマイクロプラスチックの禁止が施行される予定であり、 一部の製品では最大8年の移行期間が提案されています。また、 中国は2017年にプラスチックの輸入規制を実施し、 マイクロプラスチックを含む海洋プラスチックごみに対する取り組みを進めています。日本は、 プラスチック製買物袋の有料化を2020年に開始するなど、 プラスチック問題に対する取り組みを進めていますが、 他国と比べるとまだ規制が進んでいないと言えます」

だそうだ。

AIの進化はすごい。