マイクロプラ、肝硬変患者の肝臓から検出(一部修正)

オランダで今年3月、人間の肺からマイクロプラスチックを検出したという報告があったが、今度はドイツで、肝硬変患者の肝臓からマイクロプラスチックが見つかった。

肝疾患のない人の肝臓からは見つからなかったそうだ。

慢性肝疾患が人間の肝臓にマイクロプラスチックを蓄積させる重要な要因になっているようだ。しかし、肝臓へのマイクロプラスチック蓄積が、線維症の潜在的な要因であるかどうか、または、肝硬変や門脈圧亢進症の結果であるかどうかはわからないので、今後調べる必要があるようだ。

見つかったのは、4から30マイクロメートルの範囲の6種類のプラスチック。ポリスチレン(PS)、ポリ塩化ビニル(塩ビ, PVC)、PET、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリオキシメチレン(POM)、ポリプロピレン(PP)。

肝疾患のある研究対象者は全員が白人で、女性2人、男性4人、年齢の中央値は56歳。肝疾患のない検体の対象は女性1人、男性4人、年齢の中央値は64歳とのこと。

便に始まった人体からのプラスチック検出は、胎盤、痰、肺、血液・・と次々と明らかになった。

食べ物は、最初の頃は、塩や魚介類、蜂蜜、ビールなどで、そのうち発泡スチロール製の食品トレイに載せた肉などもPSで汚染されていることがわかった。ペットボトルや水道水、そして野菜や果物にも入っていることがわかり、牛乳でもプラスチック検出が報告された。

最近では、豚肉や牛肉にもプラスチックが含まれていることがわかってしまっている。

プラスチック汚染は確実に広がっている。

<出所>

https://www.thelancet.com/journals/ebiom/article/PIIS2352-3964(22)00328-0/fulltext

<追記>

日経メディカル(2022.8.5)にも掲載されている↓

https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/hotnews/etc/202208/576062.html

山室乳業、シェイクなどの容器をガラスビンに

伊勢神宮の近くで乳製品を販売する山室乳業が、持ち帰り以外の容器をガラスびんに変更した。

これまではプラスチック容器だったとのこと。

この取り組みで「年間400キロあまりのプラスチック製品の使用量を最大で84%削減できる」とのこと。

持ち帰り用の容器は、今使っているプラ容器がなくなり次第、バイオプラスチック製に切り替えるそう。

昔は、乳製品はガラスビン入りが当たり前で、容器返却も当然だった。プラスチックがなかった時代の習慣を、早く取り戻したいと思う。

<出所>

NHK News(2022.8.1)「伊勢市の乳製品販売店で脱プラスチックの取り組み始まる」↓

https://www3.nhk.or.jp/lnews/tsu/20220801/3070008507.html

炎上相次ぐEV車。本当にエコ?

EV車の炎上事故が世界的に増えている。

先日も台湾の俳優が乗ったテスラ車が炎上した↓

https://www.excite.co.jp/news/article/Recordchina_898233/

台湾の事故では人が救助されたがまだよいが、韓国では衝突から3秒後に炎上したため、救出できず乗っていた人は全員助からなかったそうだ↓

充電中に発火することも多いらしく、充電中のEV車が次々に炎上していく映像もネット上に流れている。

中国の大学構内に停車していたバスは猛暑のためか、自然発火で次々と炎上したそうだ↓

https://news.tv-asahi.co.jp/news_international/articles/000216376.html

フランスでもバスが炎上している↓

https://merkmal-biz.jp/post/11710

自然発火したり、わずかな衝撃で燃え上がるような車に乗るのは、まるでカチカチ山のタヌキの心境だろう。

EV車はまだ発展途上。温暖化を促進しそうだ。エコとは程遠い。

インド、7月から使い捨てプラ規制を強める

インドが7月1日から使い捨てプラスチックの規制を強化した。

前から予告はされていたけれど、ようやく実現した。

「インド環境・森林・気候変動省(MoEFCC)は、7月1日からポリスチレンおよび発泡スチロールを含む特定の使い捨てプラスチック(Single Use Plastic:SUP)製の袋、カップ、ストロー、皿、ペットボトル、特定の個別包装などの違法な製造、輸入、在庫、流通、販売、使用の禁止規則に対して、国および州レベルの管理室を設置し厳格化する」(JETRO, 2022.7.12)

とのこと。

https://www.jetro.go.jp/biznews/2022/07/939dbf28ffa25da5.html

朝日新聞によると、違反者には罰金が科される可能性があるそうだ。

「インドで1日、スプーンやフォークなどの使い捨てプラスチック製品の製造や輸入、販売、使用を禁止する規則が施行された。地元メディアによると、違反者は最大で5年間、刑務所に収容されたり、10万ルピー(約17万円)の罰金が科されたりされる可能性があるという」(朝日デジタル, 2022.7.1)

https://www.asahi.com/articles/ASQ7166MVQ71UHBI01X.html

また、「一部の報道によると、違反者には最大5年間、刑務所に収容されるか、10万ルピー(約17万円)の罰金が科される可能性がある」という報道もある(ELEMINIST, 2022.7.8)

https://eleminist.com/article/2164

デリー州で10日間猶予したという報道もあるが、概ね開始されたようだ。

具体的な禁止品目は

「プラスチック棒付き耳かき、風船用プラスチック棒、プラスチック旗、キャンディー棒、アイスクリーム棒、装飾用ポリスチレン、プラスチック皿、カップ、グラス、フォーク、スプーン、ナイフ、ストロー、トレイ、菓子箱の周りの包装または梱包フィルム、招待券、タバコの包み、100ミクロン未満のプラスチックまたはPVCバナー、撹拌機などです。さらに、一定の厚み以下のビニール袋も年末に禁止される」(ESG Journal, 2022.7.11)

とのこと。

ペットボトルについては、ラベルが禁止になったということのようだが、詳しい規制は不明だ。

ポカリスウェットがビンで発売

LOOP(ループ)にビン入りのポカリスウェットが加わったそうだ。

https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/93956

イオンやイオンスタイル66店舗で販売され、250mLで248円。ビンを返却すると、77円が返金される。

これはかなりうれしい。

しかし、できればポカリ以外の飲料がよかった。私自身、ポカリを買うのは山などへ行くときだけなので。

すべての商品がこのような容器でフツーに買えるようになれば、今のような大量廃棄社会はなくなり、もう少し安心して暮らせるのに、と思う。

子どもと大人のマイクロプラスチック生涯蓄積量

Lifetime Accumulation of Microplastic in Children and Adults(子どもと大人のマイクロプラスチック生涯蓄積量)という興味深い論文があった↓
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC8154366/

マイクロプラスチックを含むことがわかっている8種類の食品(魚、軟体動物、甲殻類、水道水、ボトル水、塩、ビール、牛乳)と大気から摂取するマイクロプラスチックについて、ヒトの体内に入る量から排泄される分などを差し引いて、シミュレートして体内に残るマイクロプラスチック量を計算したものだ。

マイクロプラスチックと一緒に体内に入る化学物質についても検討したそうだ。

結論として、マイクロプラスチックも化学物質も、他の体内に入る無機粒子量や化学物質量などに比べると、微量だから影響は少ないだろうという結論のようだ。

しかし、身体中にまんべんなく溜まるわけではなく、特定の臓器に蓄積するだろうことを考えると、今後もヒトへの影響を調査する必要はあるそうだ。「局所的に、はるかに高い濃度に達するだろう」とのこと。

摂取するMPsは、食品よりも大気からのほうが多い。

また、果物や野菜に含まれるマイクロプラスチックについては計算していないそうだが、これらに含まれる量を考慮すると、かなり増える。しかし、たとえ7桁まで増えたとしても1日に摂取する無機粒子の量の0.004%に過ぎないとのこと。

コロンビア、使い捨てプラスチック禁止法案を可決

コロンビア議会は6月1日、シングルユースプラスチック法案を可決したそう。このあと大統領承認手続きが完了すれば、2025年から施行されるとのこと。

2年後と8年後の2段階に分けて開始されるとのことで、「まず2年後にはレジ袋、プラスチック袋ロール、雑誌の包装袋、プラスチック製ストロー、持ち手がプラスチックの綿棒などが禁止になり、さらに8年後には食品の持ち帰りに使われるようなプラスチック製の容器や食品用ラップフィルム、誕生日パーティで使われる風船やプラスチック紙吹雪、デンタルフロスの容器、フルーツに貼付されるステッカーなども禁止対象」となるそうだ。

https://www.newsweekjapan.jp/worldvoice/matsuo/2022/06/plastico-solo-uso.php

コロンビアの規制対象はEU規制と似ているが、デンタルフロスの容器とかフルーツに貼付されるステッカーなどはEU規制より具体的だ。

確かに、生ごみ処理器に入れた果物の皮は、皮が消えてもラベルだけいつまでも分解せずに残っていてつまみ出すことになる。

日本でも禁止してほしい。

南極の新雪にマイクロプラ、北極より少ない?

ニュージーランドのカンタベリー大学の研究チームが、南極の新雪からマイクロプラスチックを検出した。

これまでも、北極(ノルウェー領スヴァールバル諸島)の雪からマイクロプラスチックが検出されたとか、南極の海中から検出されたというニュースはあった。

だから驚くにはあたらないが、南極の新雪からというのは始めてだ。

チームは、西南極のロス棚氷に積もった雪の上部2cmから19サンプルを採取し、調べたところ全てのサンプルからマイクロプラスチックを見つけたという。

「観測基地の近くで採取されたサンプルからもっとも多くのマイクロプラスチックが見つかったことから、プラスチックは旗や調査機器、ジャケットのような合成衣料、あるいはごみに由来する可能性があると考えているそう。また、北極での調査結果のように、風に数千キロ運ばれたり、南極海で水しぶきに巻き上げられたりしたマイクロプラスチックが南極大陸に降下した可能性もある」そう。

https://news.yahoo.co.jp/articles/6286ab0f6283c862cfcecda4faf28b791b8f9af0

見つかったのは119個で、13種類のマイクロプラスチックだそう。雪解け水1リットル当たり、平均29.4個とのことで、一番多かった樹脂はPET。

PET樹脂は重いから、海底からも見つかっているが、富士山頂の大気からも見つかっている。PET樹脂のマイクロプラスチックが見つからない場所は、もはや地球上には存在しないようだ。

ペットボトルやポリエステル繊維は、リサイクルはしやすいけれど、もっと規制した方がよいのでは?

それにしても、以前発表された北極域での雪のマイクロプラスチックは1リットル当たり1万個以上あったということだったはず。南極は北極より少ないのだろうか。

それとも、検出方法が違うためか、それとも対象のサイズが違うためだろうか?

<参考:2017年の南極の海洋からマイクロプラスチック検出の研究(英ハル大学、他)>

Science of The Total Environment, 2017.11

https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0048969717308148

相模原市の最終処分場見学会に行ってきた

相模原市の最終処分場見学会は人気が高い。先着順での受付だが、前回はダメだったので、今回は申込み開始直後に申し込み、参加できた。

麻溝公園第3駐車場に集合し、埋立地と浸出水処理施設、そして「ノジマメガソーラーパーク」の3カ所を約1時間かけて見せてもらった。

今使っている埋立地はあと10年でいっぱいになるとのこと。既に次の場所を検討しているそうだが、詳しい話はなく、残念。次はどこなのだろう?

相模原市はガス化溶融炉なので、最終処分場に埋め立てているのは、スラグ、飛灰、ガラクタ(溶融できなかったもの)の3種類だ。スラグは、基本的には公共事業で路盤材として使用するそうだが、残りは埋め立てられているそう。

現在は二期目の整備地に埋め立てている。一期目は既にノジマ電器に貸し出され「ノジマメガソーラーパーク」になっている。パネル数は7688枚。約500世帯分の電気をまかなう予定だったが、調子がいいので約600世帯分の電気を生み出しているらしい。

FITのソーラー買取額がまだ高い時に作ったので、それなりの収入になっているそうだ。しかし、買取価格が下がったため、二期目の整備地はソーラーはダメだろうとのこと。

一期目は今と違う方式でごみを埋め立てていたそうで、ガス抜きの管がパネルの横に見えた。まだメタンガスなどが出ているようだ。

できれば次の最終処分場は作らずに、なんとかごみを減らして(ゼロ・ウェイストを目指し)、今のところをできるだけ延命して使ってほしい。

米国「プラスチック汚染からの脱却法」

アメリカでプラスチック汚染からの脱却法の法案が現在、上院財務委員会に付託されているという。

どうなるか楽しみだ。もし、この法案が通過したら、アメリカは変わる。

もともとはジェフ・マークリー上院議員とアラン・ローウェンタール議員によってトランプ時代に提出された。しかし、通るはずもなく、2021年3月に再提出された。その後どうなったのかわからず、気になっていた。

この法案の画期的なところは、自治体レベルではなく、国全体での廃棄物規制が実現されること。しかも、画期的な規制だ。

主な骨子は次の通り。

1.プラスチック製容器包装の拡大生産者責任プログラム(EPR)

2.飲料容器のデポジット制度を全国10セント(容器1個当たりの保証金額)で導入(アメリカでは確か既に10州で実施されているが、まだ5セントの州もある。5セントでは効果が薄くなっている)

3.再生材利用の義務化。2040年までに再生プラスチックを最低80%含有させること

4.プラスチック製造施設の許可の発行に3年間のモラトリアムを導入することで、プラスチック生産を大幅に削減する

この法案は、化学工業会などから猛反対されているようだが、もしこれが通ればアメリカにも欧州並みの規制ができることになる。

<参考>

https://www.wasteinfo.com/news/wbj20220603A.htm?eType=EmailBlastContent&eId=429de508-61ac-4e8b-88de-f89b0db8c971