積水化学、「可燃ごみ→エタノール→プラスチック→可燃ごみ」の無限ループ?を開発中 26年以降実現

積水化学工業が開発中の事業に注目が集まっている。

「可燃性ごみを分別することなくガス化し、微生物の力でエタノールに変換する新技術(BRエタノール技術)により、可燃性ごみ→エタノール→プラスティック製品→可燃性ごみという、これまでになかった資源循環の実現が可能に」なるとのこと。

https://forbesjapan.com/articles/detail/67315

本当にこんなうまい話があるのだろうか。

可燃ごみをガス化し微生物の力でエタノールにするというが、微生物が嫌いなガスは発生しないのだろうか?また、このリサイクル工程でどの程度目減りするのだろう?

26年以降の本格稼働を目指しているそうだ。

この技術だけではマイクロプラスチック問題は解決しないが、とても画期的なリサイクルだ。

EU、売れ残りの服や靴の廃棄を禁止 規制適用は大手2年後、中小6年後

欧州連合(EU)の立法機関である欧州議会と、加盟国の代表でつくる欧州理事会が、アパレル事業者に売れ残った服や靴などの衣料品廃棄を禁じる法案に大筋で合意した。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR05DFY0V01C23A2000000/?n_cid=NMAIL007_20231206_A

「今後、正式な承認手続きに入り、2年後から施行する。流行品を低価格で大量消費する「ファストファッション」による衣料品の廃棄拡大に歯止めをかける」とのこと。

環境を顧みず、低価格で衣料品を提供し、大量消費・大量廃棄を促すファストファッションを規制する画期的な法案で、商品の環境配慮設計を義務づける「エコデザイン規制」の改正案だ。

エコデザイン規制とは、繊維製品や家電などを対象に、製品の耐久性や修理可能性などの情報を消費者に提供する義務を販売業者に課すなどして、循環経済を実現するための規制だ。

https://www.jetro.go.jp/biznews/2022/04/a08c5c6a05bd0c33.html

欧州委員会は昨年、繊維戦略を発表した際、ファストファッションを「時代遅れ」と批判している。

https://www.jetro.go.jp/biznews/2022/04/a5dc1b749bd99990.html

なぜペットボトルからフタル酸エステルが検出されるのか。キャップやラベルからの移行かも(追記)

「ペットボトルには、可塑剤としてフタル酸エステルは使われていない」ということをよく聞かされる。

しかし、それならばなぜペットボトルに入れた水などからフタル酸エステル類が検出されるのだろうか?

それについて、先日行われた環境ホルモン講演会に参加し、講師に聞いてみた。講師曰く「フタル酸エステルは移りやすい性質を持っているので、保管時に他の製品(例えば、消しゴムなど)からフタル酸エステルが移ったのではないか」とおっしゃった。

しかし、ある程度は他の製品から移行したものであるにせよ、これまで多くの論文がペットボトルのフタル酸エステルについて指摘・研究している。それら論文の著者が皆オマヌケで、保管場所など気にせず、保管により汚染されたペットボトルばかりを調べていたとはちょっと考えられない。

ペットボトルに入れられていた水などからフタル酸エステル類を検出する研究は、1つや2つではないのだ。

気になって、10本ほどの関連論文を調べたが、ペットボトルにフタル酸エステルがなぜどのように使われているかはわからなかった。しかし、ペットボトルを高温・長期間で保存するほどフタル酸エステル類はペットボトルから中身へ移行することは確かなようだ。

これについては複数の論文で言及されている。例えば↓

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2854718/

また、空になったペットボトルを個人で再利用するのもよくない。再利用により、フタル酸エステル類の一種であるDEHPが「驚くべき早さで移行」するそうだ。

https://bibgraph.hpcr.jp/abst/pubmed/32642892

1つ確かなことは、たとえフタル酸エステルが直接ボトル成形時に使われていなかったとしても、ペットボトルのキャップやラベル(インクや接着剤)に使われているため、そこから移行することだ。

この論文にもフタル酸エステルやビスフェノールAは、キャップやラベルから移行すると書かれている。

https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0304389422001984

一部機械翻訳↓

「カラフルなラベルが付いたPETボトルや、使用されるキャップ(Cincotta et al., 2018)など、ブランディング目的と市場性のための包装慣行は、これらの物質の移行源である可能性があります」。

また、英紙ガーディアン(2022.3.18)によると、「広く使用されている種類のリサイクルペットボトルは、新しく製造されたボトルよりも潜在的に有害な化学物質を中身にもたらす、と研究者は警告している」そうだ。「ペットボトルから飲み物に浸出する150の化学物質を発見し、そのうち18の化学物質は規制を超えるレベルで発見された」。

https://www.theguardian.com/environment/2022/mar/18/recycled-plastic-bottles-leach-more-chemicals-into-drinks-review-finds

ちなみに、ペットボトルの中身からよく検出されているビスフェノールAは、ペットボトルのキャップが汚染源であることは確かなようだ。先述の論文でも指摘されていたが、Bach et al. (2012)も、「PETボトル入り飲料水の容器のキャップがBPAの供給源である可能性」を指摘している。

災害時の備蓄用としてペットボトルを使うのは仕方ないかもしれないが、普段の飲用にはやはり浄水器を通した水道水を飲むのが良さそうだ。

ちなみに我が家の備蓄用の水は、紙パック入りだ。飲む時は少々面倒かもしれないが、それは1リットル以上のペットボトルでも同じこと。なんとかなるだろうと思う。もちろん、紙パックのポリエチレンラミネートを100%信用しているわけではない。しかし、ビン入りを保管した場合のリスク(地震で割れてしまう可能性など)を考えると、他によい選択肢が思い浮かばない。

岐阜・各務原市のPFAS汚染、79人が米指針値超え 原因は航空自衛隊か

今朝の東京新聞(2023.12.5)によると、各務原(かかみがはら)市と岐阜市の住民131人のPFAS血中濃度を調べたところ、うち79人の血中濃度がアメリカの指針値を超えていた。

原因は航空自衛隊岐阜基地で使われている泡消火剤のようだ。三井水源地付近3カ所と航空自衛隊基地の東側2カ所で、国の暫定目標値を上回るPFASが検出されたという。

泡消火剤には危険だとして既に禁止されたPFOSが含まれている。その代替品として横田基地で使われていた消火剤にもやはりPFOSとPFOAが含まれていたことが、漏出事故により既に発覚している。

日本の航空自衛隊もこれまでは米軍基地と同じ消火剤を使っていたのだろうが、もしかしていまだにPFOS入り泡消火剤を使い続けているのだろうか。

そうであれば、岡山のPFAS汚染源も航空自衛隊だろうか?使用済み活性炭の入ったフレコンバッグを長期にわたりダム近くに置いていたため水が汚染されたといわれているが、活性炭の汚染源があるはずだ。

https://topics.smt.docomo.ne.jp/article/ohk/region/ohk-18988

<関連記事>

https://www.tokyo-np.co.jp/article/289798

COP28、日本4回連続化石賞「環境に優しいように見せかけている」 脱石炭連盟に非加盟なのはG7で日本だけ

アラブ首長国連邦(UAE)で開催された国連気候変動枠組み条約第28回締約国会議(COP28)の会場で、日本はまた「化石賞」を受賞した。化石賞は、国際環境NGO「気候行動ネットワーク」が温暖化対策に後ろ向きな国に贈る不名誉な賞だ。

受賞理由は、日本の石炭火力を延命させるための方策を、「見せかけの温暖化対策」と評価されたため。

日本は、石炭火力発電所を延命させるため、水素やアンモニア、パームヤシガラなどを石炭と一緒に燃焼させることで、「発電効率のよい火力発電所」を演出している。しかも、それを他国にも輸出しようとしている。それが見せかけの温暖化対策と見なされた。

さらに、アメリカのNGO・Oil Change Internationalが発表した最新のレポートによって、日本は化石燃料に対する世界最大の公的支援をしていることが明らかになったことも化石賞受賞の理由だという。

加えて、石炭の使用廃止を訴える約160の国や自治体などでつくる「脱石炭国際連盟」に米国が参加したにも関わらず、日本は参加しなかった。これまではアメリカと歩調を合わせていたため日本の不参加はあまり目立たなかったが、バイデン政権のもとでケリー特使は2日、SNSで脱石炭連盟に参加すると表明したのだ。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20231203/k10014276101000.html

ついに先進7ヶ国(G7)で日本だけが石炭使用を進める国となった。それにも関わらず、4回連続化石賞受賞を日本政府は重く受け止めていない。日本の環境政策の後れは誰の目にも明らかで、このままでは次も受賞することになりそうだ。

「PFAS汚染問題シンポジウムin京都」の録画が公開

11月25日に開催された「汚染問題シンポジウムin京都」の動画が公開された。

当日視聴できなかったので、早速視聴したが、とてもよかった!

小泉先生のお話は専門的だが、わかりやすく、その後に続く地元団体の方のお話などもよかった。PFASは、原爆にも使われるほど軍事利用に役立つ技術だそうだが、人の健康にも生態系にも悪いことは間違いない。日本でも早急にPFASグループ全体を禁止してほしいものだ。

長時間にわたるシンポジウムだったため、録画は前半と後半に分かれている。

なお、チャット欄の記載で知ったのだが、シャボン玉石けんが北九州市立大学などと連携し、石けん系消火剤を開発。ウクライナにも贈ったそうだ。

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000056.000067163.html

PFASなど使わなくても泡消火剤が作れるのに、なぜいまだにPFAS入り泡消火剤の漏出事故が後を絶たないのだろうか。

逗子市、バスの乗り入れ場所に人工芝を敷設?!

耳を疑うような話を聞いた。

神奈川県・逗子市はまもなく、公共施設の中庭の一角を人工芝にするそうだ。その一角とは、マイクロバスが乗り入れるようになったため、天然芝が剥がれてしまった場所だとのこと。

天然芝の中庭にバスが乗り入れ、そこで転回するようになったため、その部分の天然芝が剥げてしまった。そのため、剥げてしまった部分をコンクリートやアスファルトなどで舗装する・・ならばわかるが、なんとその部分を人工芝にするそうだ。

しかも、ロングパイル人工芝で、芝間にプラスチック製のチップを充填するとのこと。

しかし通常、ロングパイル人工芝の上は自転車の乗り入れさえ禁止されている。小学校の校庭でさえも、「人工芝がいたむため、ハイヒール・金属スパイク・ベビーカーの乗り入れは禁止です」と書かれている。

例えば、この小学校↓

まさか、バスの乗り入れ場所を人工芝にするとは・・。勇敢過ぎてあり得ないことのように思うが、本当に計画されているらしい。もし、実現したら見に行って、ロングパイル人工芝が車両でどのようにいたむかを、ぜひウォッチしたいものだ。

プラスチック製チップの充填材も、バスのタイヤにくっついてどれほど運ばれるか、それともすぐに粉々になるかも興味深い。

それにしても、このプラスチック製チップは、プラスチック業界が流出防止を企業に呼びかけているレジンペレットと形状は同じだ。それにも関わらず、流出防止どころか、最初から環境中にばら撒き、その上を車が走る・・マイクロプラスチックの散乱は目に見えている。業界団体は、そんな蛮行を許しておくのだろうか?

日本プラスチック連盟の樹脂ペレットの漏出対策↓

https://www.jpif.gr.jp/environment/ocean/resin-pellets/

もし、業界が黙認するとしたら、自主規制は役立たないことの証左だから、やはり日本にもペレット流出防止法が必要だ。

欧州委員会は今年10月、EUとして初めてペレットの意図しない放出による汚染防止を目的とした規制案を発表した。

https://www.jetro.go.jp/biznews/2023/10/a3e896c1f1e7a720.html

日本のプラスチック業界は、この樹脂チップとレジンペレットは形状が同じでも用途が違うから「バラ撒いてよい」と考えているのだろうか?

EUでは、人工芝に充填する合成ゴムなどで作ったゴムチップを、「意図的添加のマイクロプラスチック」として、既に8年以内に禁止することを決めている。

サラワク熱帯林保護で活動する現地NGOに四駆を JATANがクラファン開始

熱帯林行動ネットワークがクラウドファンディングをおこなっている。

https://readyfor.jp/projects/132272

マレーシアのサラワクで活動する現地NGOが使用していたセダンが壊れたため、買い換え費用に充てるそうだ。

サラワクは古くからのアブラヤシ生産地で、熱帯林破壊が特に心配されている地域だ。先住民が昔から暮らす土地を奪われていることでも知られている。

以下、JATANからのメールを転載↓

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「熱帯林コミュニティの慣習地保護活動をするNGOへ、四駆車を!」のためのクラウドファンディングですが、おかげさまで本日現在(11月29日)、目標額の44%に達しました。
https://readyfor.jp/projects/132272 

これまでご支援いただいた皆さまには心より感謝申し上げます。

「活動報告」は随時、アップデートしております。こちらも併せてご覧ください。
11月17日「鉱山開発地でマッピングの作業を継続しています」
https://readyfor.jp/projects/132272/announcements/296446
11月25日 「サラワク州東部のバラム河上流のプナン人コミュニティ」
https://readyfor.jp/projects/132272/announcements/297694
11月29日 「サラワク産熱帯材合板と日本の建設市場」
https://readyfor.jp/projects/132272/announcements/298270

また、リターン「サラワクの先住民コミュニティを訪問・滞在 現地ツアーコース」(35万円)を追加いたしました。JATANの現地調査に同行していただく形のご参加となります。
https://readyfor.jp/contributions/132272?reward_detail=&select_id=330510 

最終目標までは道半ばの状態です。引き続き、新規・追加の「ご支援」以外にもご友人やお知り合いの方々に拡散のご協力をいただければ幸いです。

支援募集は12月22日(金)午後11:00まででとなっております。

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共立女子大研究:縦型洗濯機の糸クズネット、3ミリ以上のマイクロファイバーは7割取れるが、もっと小さいファイバーは取れない

合成繊維の衣類は、着ている時もマイクロプラスチックファイバーを発生させるが、洗濯の際にも大量のファイバーを発生させる。

縦型洗濯機とドラム式洗濯機、どちらの方がより多くのマイクロプラスチックファイバーを発生させるか。これについては諸説あったが、共立女子大学の研究によると、縦型洗濯機の方が流出量は少ないようだ。

https://www.jstage.jst.go.jp/article/senshoshi/64/3/64_197/_pdf

洗濯機に付いている糸クズネットは、大きなマイクロプラスチックファイバーは取れても、小さなものはほとんど取れない。特にドラム式洗濯機のファイバー流出量が多いということは以前、京大の研究チームも学会で発表していた。

今年発表された共立女子大学の研究でも、細かいことは異なるが、結論は同じだ。

「縦型洗濯機ではドラム式洗濯機に比べてより多くのファイバーが生地や衣料から発生していた. 縦型洗濯機付属の糸くずフィル ターは,長さが 3mm以上のファイバーの 7 割程度を回収できたが,長さが 3mm未満のファイバーは ほとんど回収できずに,排出されていた. また,ドラム式洗濯機による洗濯で発生するファイバーの量は縦型に比べて少なかったが,そのフィルターは空隙が大きなためにほとんどファイバーを回収できなかった」とのこと。

要するに、縦型洗濯機の場合、3㎜以上のファイバーならば糸クズネットで約7割回収できるが、それより小さいファイバーは回収できない。ドラム式洗濯機は、発生量こそ少ないがフィルターの隙間が大きいためファイバー捕捉に役立たない。そのため、結果的に洗濯排水と一緒に流れてしまうマイクロプラスチック量は、縦型洗濯機の方が少ないということだ。

マイクロプラスチックファイバー発生量はドラム式洗濯機の方が少ないということは、よくいえば衣類への負担が少ないということだが、悪くいえば汚れがあまり落ちないということかもしれない。

これまでの研究でも、液体石けんより粉石けんの方が、そして低温の洗濯水よりも高温洗濯水の方が、マイクロプラスチック発生量は多いことが知られている。しかし、汚れ落ちは粉石けんや高温洗濯水の方が良い。つまり、マイクロプラスチック発生量が多い方が、汚れ落ちは良い可能性がある。

汚れ落ちという点でも、またマイクロプラスチックの環境中への流出量という点でも、ドラム式より縦型洗濯機の方が良さそうだ。

ニューヨーク州がペプシコを提訴、コカコーラは?

米・ニューヨーク州が州裁判所にペプシコを訴えた。

理由は、「州西部を流れるバファロー川が、ペプシコの商品に使われているプラスチックのボトルやキャップ、包装紙によって汚れ、飲料水が汚染され、生態系を傷つけていると指摘。同社はプラ容器などが健康や環境に与える潜在的なリスクに関して、消費者に警告を怠った」ためとのこと。

https://mainichi.jp/articles/20231116/k00/00m/030/026000c

ニューヨーク州のバファロー川流域は、ペプシコの商品がよく売れているようだ。

世界的に見れば、コカコーラがトップのプラスチック汚染企業だ。脱プラスチックネットワークBreak Free from Plastic主導の「プラスチック汚染企業調査」によると、コカコーラが5年連続トップの汚染企業だ。ペプシコのプラごみは2番目に多いが、コカコーラとの差は歴然としている。

プラスチック生産量や世界的なプラごみ散乱量がトップのコカコーラよりも、ニューヨーク州ではペプシコが最大の汚染企業だったわけだが、その理由として考えられることは、ニューヨーク州では以前から飲料容器を対象にデポジット制度が採用されていることだ。

ニューヨーク州のデポジット制度は金額が低く(わずか5セント)、しかも対象容器の種類も少ないため、最近はそれほど効果を発揮していないように見えるが、それでもペットボトルやアルミ缶はそれなりに回収されている。

そのため、飲料容器の量よりもスナック菓子の袋などの包装材が、ニューヨーク州の調査では多くカウントされたのではなかろうか。

コカコーラが何位だったのかはわからないが、どうせならばニューヨーク州にはペプシコだけでなく、トップ3までの企業をすべて提訴してほしかった。しかし、「見せしめ」の効果は大きいと思われる。

いずれにせよ、ニューヨーク州は早急にデポジット制度を見直し、対象を拡大すべきだ。おそらく1983年の施行以来、見直されていないのではないか。今どき、5セントでは効果が薄すぎる。回収拠点やボトルキャップの扱いについても再考すべきだ。