PFASが原因?日本人の腎臓がんは7割が特殊なタイプ 国立がん研究センターを含む国際共同研究結果

今日のPFASセミナーで、講師から標記の報告があり驚いた。

日本の国立がん研究センターなど国際共同研究による研究で、日本人の腎がん(腎臓がん)の7割以上に、他国ではまれな遺伝子変異が存在することが判明したそうだ。

https://www.ncc.go.jp/jp/information/pr_release/2024/0514/index.html#:~:text=解析の結果、日本人,ことが分かりました%E3%80%82

世界11ヶ国で腎がん(ccRCC)を全ゲノム解析し、ネイチャーに発表された研究論文だ。何らかの環境要因である可能性が高いとのこと。

リスク因子には、「年齢、喫煙、肥満、高血圧、糖尿病、PFASへの環境曝露」などが考えられるとネイチャーに書かれているそうだ。しかし、特殊なタイプは日本だけということで、消去法でPFASが原因である可能性が高い。発表した先生はPFNAを疑っている。PFNAは日本で作られているPFASで、他国ではあまり使われていないためだ。

恐ろしいことに、PFOAやPFOSが規制されるなか、日本ではPFNAの使用が増えている。

やはりPFASは徹底的な規制が必要だ。

そういえば、以前読んだニュースで、胎児期のフッ素への曝露で、7歳児のIQがわずかに低下するとの報告があった。

母胎が汚染されていれば、当然胎児も汚染される。PFASから逃れられない胎児は本当に可哀想だ。

(付記)

ネイチャーを確認したところ、確かに「年齢、喫煙、肥満、高血圧、糖尿病、PFAS化合物への環境曝露など」と書かれていた。国立がんセンターには早急に危険因子を解明してほしい。

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カリフォルニア州がプラ汚染でエクソンを提訴「リサイクルで解決できない」 フィラデルフィアは人工芝で訴訟

米カリフォルニア州が9月23日、世界的なプラスチック汚染を引き起こしたとして、エクソンモービルを提訴した。

同社は数十年間にわたり、人々にプラスチックの廃棄問題はリサイクルで解決できると人々に信じ込ませてきたことが詐欺や迷惑行為にあたるというものだ。

アメリカのことは好きではないが、プラスチックやPFASなどのメーカーを提訴し、責任を追及する国民性は素晴らしい。

日本人もここまでやれば、多少はマシな社会になるのだろうか?

そういえば、米フィラデルフィア市では今春、住民が市を提訴した。市が自然溢れる大きな公園に人工芝を敷くなどしていることが原因だ。

フィラデルフィア市が一体何を考えて、こんなによい自然公園を破壊しようとしているのかわからないが、この訴訟がどうなろうと、ペンシルベニア州の州議会で現在、PFAS規制の審議が進められている。

人工芝も規制対象になり可決される可能性が高いと聞く。可決されれば2027年からPFASを含む人工芝は使用できなくなるだろう。

米国内の基地は浄化が進むのに、日本の基地は進まない理由は?

米国防省が、米軍施設の浄化を強化すると発表した。PFAS汚染地である米軍施設の浄化が既に55カ所で進んでいるそうだ。

https://www.tokyo-np.co.jp/article/357333

しかし、日本国内では、在日米軍施設が汚染源と疑われる地域の汚染は放置されたままで、浄化どころか認めているかも怪しい。「米軍が浄化を強化する新指針は米国外は適用外な上、日米地位協定や日本の規制の緩さが「交渉の壁となっている」」とのこと。

日米地位協定は、日本だけですぐにどうこうできる問題ではないが、日本国内の規制を強化することはすぐにでもできるはずだ。

しかし、日本政府にPFAS規制を強化しようという気はまったく感じられない。そんな日本政府のあいまいな姿勢を見ているため、米軍施設を有する地方自治体も及び腰だ。

米軍施設に対してだけでなく、3M社のような企業に対しても自治体は及び腰に見える。

このまま各地で外資による半導体工場などが増加し、PFASを垂れ流しても、多くの自治体は黙っているのだろう。

外資系企業にとって、現在、日本は格好の餌食だろう。「円安」「おとなしい国民性」「几帳面にいわれた仕事はやる」「訴訟を好まない」など、外資が喜ぶ条件がすべて日本に揃っている。

PFAS:妊婦の血中濃度が2倍になると、子の染色体異常は2倍超

これまでのエコチル調査では、PFASと子どもの健康問題への関連はなぜか見られなかった。しかし、ようやく妊婦のPFAS血中濃度が倍増すると、生まれた子どもの染色体異常の割合が関係することがわかった。

妊婦のPFOS(ピーフォス)の血中濃度が2倍になると、生まれた子どもの染色体異常が2.08倍になると推定できるそうだ。また、PFNA(ピーエフエヌエー)では1.81倍、7種類のPFAS合計では2.25倍になるとのこと。

https://www.tokyo-np.co.jp/article/358233?rct=PFAS

染色体異常は、流産やダウン症と関連があるという。日本産婦人科医会によると、異常がある場合の流産は、80%は妊娠12週までに起きるそうだ。

https://www.jaog.or.jp/note/2%EF%BC%8E染色体異常/

しかし、エコチル調査では妊娠12週までのデータがないため、染色体異常と関連する流産の8割は見逃されたことになる

PFASが原因の染色体異常は、もっと多い可能性が高い。

最近多い「不育症」の一因に、PFASもあるのではないだろうか。

吉備中央町が活性炭を放置したPFAS汚染企業に1億円超えの損害賠償請求 しかし活性炭使用企業はまだ不明

PFASで水源が汚染された岡山県吉備中央町は、財産区に使用済み活性炭を放置した地元企業「満栄工業株式会社」に1億円以上の損害賠償請求をしたようだ。

住民に返還した過去3年分の水道料金のほか、原因調査にかかった費用や住民に対して給水車を使った費用などから試算した。

https://www.ohk.co.jp/data/26-20240717-00000003/pages/#

しかし、ダムを使用できなくなったため損害額は1億円で済むはずはない。今後、PFOAを含んだ活性炭をこの会社に渡した企業にも賠償請求をすることになるだろう。

どこの会社だろうか?

クラレの名前が挙がっているが、クラレの社長は否定している。

今後、汚染企業を追求することになるだろうが、多地域ではどうするのだろうか。沖縄や東京・多摩地域のように米軍基地由来の場合はどこに請求できるのか?

自衛隊施設が汚染源の場合は、日本政府に請求できるのか?

摂津市はダイキンに、相模原市はスリーエムに、静岡市はデュポン系企業に賠償請求ができるのか?と考えると、相手が大きいほど請求しても勝ち目がないような気がしてくる。

PFAS問題で最後に嗤うのは、ペットボトルメーカーや浄水器のメーカーだとしたら、情けない話だ。

米軍基地内のPFAS汚染、対策費用を日本政府が肩代わり

東京新聞によると、沖縄の米軍普天間(ふてんま)飛行場で、有害な有機フッ素化合物(PFAS=ピーファス)の対策工事にかかった費用1億7600万円を、日本政府が負担していたそうだ。しかも、それとは別に、基地内のPFASを含んだ汚水の処理も日本側が引き受け、9400万円を負担していたとのこと。

補修工事は毎年のように実施されており、2013年度から2023年度までの間の工事費のうち217億円を日本側が負担していたそうだ。

https://www.tokyo-np.co.jp/article/348407#:~:text=PFAS(ピーファス)%20泡消火剤,指針値を定めた%E3%80%82

しかし、ドイツでは米軍が対策費用を負担している。同じ敗戦国なのに、この違いは一体なぜだろう?

しかも、基地周辺の対策費用は沖縄県まかせ。そのため、沖縄では水道料金を値上げせざるを得なくなっている。

日本政府はもっと本腰を入れて、PFAS問題に取り組んでほしい。このままでは、PFAS汚染も対策費用も増える一方だ。

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人工芝:三菱地所が丸の内で危険な社会実験 都庁の都民広場でも

三菱地所は7月25日(木)~ 8月18日(日)まで、丸の内仲通りに人工芝を敷き、社会実験をおこなった。

都会に緑の空間を求めたい気持ちはわかるが、人工芝を敷き詰め、色だけ緑。これではオアシスどころか、ヒートアイランドを激化させるだけだ。人工芝は夏は連日60度を超えるので。

しかも、人工芝にはPFASが含まれているので、アメリカでは人工芝を禁止する自治体が相次いでいる。

2019年から実施とのことだが、来年からは絶対にやめてほしい。

https://www.mec.co.jp/news/detail/2024/07/10_mec240710_msp

また、都民広場でも人工芝を敷くのが恒例行事になっているらしい。

今年も人工芝を敷くと聞いているが、昨年と同じだろうか?

昨年の様子↓

https://www.metro.tokyo.lg.jp/tosei/hodohappyo/press/2023/09/22/02.html

東京都は、都庁周辺にテラス空間や都民広場などを整備する「都庁周辺の空間再編計画(素案)」を公表したとのことだが、もしかすると人工芝を恒久的に敷くつもりではなかろうか?

まさかとは思うが、神宮外苑再開発や葛西臨海水族園の整備事業などを押し進める都知事のことだから、何をするかわからない。

もし、人工芝を敷くならば、周辺地域のPFAS汚染とヒートアイランドはますます加速されてしまう。

最近の研究では、PFASは皮膚からも吸収されるそうだ↓

https://www.newsweekjapan.jp/stories/lifestyle/2024/07/post-105208.php

「最も広く使用されている17種類のPFASについて実験を行い、うち15種類が皮膚を通じて吸収されることを確かめた」ということは、人工芝に触れただけでも多くのPFASが体内に入るということだ。

街路樹などを伐りたいだけ伐って、色だけ緑にするため地面に人工芝を敷きつめるのは、本当にやめてほしい。

住民の3割が血液検査で米指針値超え:PFAS

京都大と市民団体は11日、摂津市の住民ら約1190人を対象に実施した血液検査の結果を公表した。

国は血中濃度の健康影響は、明らかでないとして標準的な値を示していないし、血液検査も推奨していない。しかし、環境省が2021年に実施した国内調査値を上回り、平均でおよそ2倍の血中濃度の値が出たという。

また、ダイキンの元従業員の1人は米指針値の約30倍を示した。

血液検査は、専門家と市民団体が昨年9月から12月にかけて、摂津市や大阪府内などに住む人たちを対象に行われた。

https://www3.nhk.or.jp/kansai-news/20240811/2000086666.html

https://www.sankei.com/article/20240811-O3FYQ4BG2RKGHIJLGV5GUHCE7I/

環境省、PFAS血液検査をしないように指示 自治体向け手引きに

東京新聞によると、環境省は自治体向けに示している対応手引の修正案に、住民の血液検査について「かえって不安が増す可能性がある」と、否定的な考えを新たに盛り込んだ。

https://news.line.me/detail/oa-tokyoshimbun/x3kzz6trxif4?mediadetail=1&utm_source=line&utm_medium=share&utm_campaign=none

これではまるで、血液検査を国が反対しているようなものだ。

汚染を心配する自治体が、住民の血液検査に踏み切ったとしても、国は一切助成せず、傍観するつもりだろう。

そう思っていたところ、やはり伊藤信太郎環境相は2日の閣議後会見で、国としての支援策を問われ「費用の助成などをする考えはない」と述べた、とのこと。

https://www.tokyo-np.co.jp/article/344878

伊藤大臣の環境大臣としての資質を疑う。国がこの調子では疫学調査も進まない。

疫学調査をわざと進めず、PFAS曝露による健康影響も認めずに、先進国ではあり得ない高い水道基準値などを示し続けるつもりなのだろう。

それで一体誰が得をするのか。PFASを使い続け、儲けたい産業界が一時期だけ得をするだろうが、それで作った製品をEUや米国などが買うことはない。

基準の緩い国内向け製品だけを作るつもりだろうか。国民の健康は国力の衰えにも直結する。

国民の健康をないがしろにする政治家は要らない。

米コロラド州でも人工芝禁止が決定 州内すべての土地でNG

アメリカではPFASを理由に人工芝を禁止する州が増えている。

コロラド州でも今年5月、禁止が決まった。

https://www.jetro.go.jp/biznews/2024/07/e3312aa51fcac115.html

「2026年1月1日以降、州内のいかなる土地にも、PFASを使用した人工芝を設置することを禁止する」とのこと。

業界は2026年までにはPFASを使わない人工芝を開発しようと躍起になっているようだが、すべての過程で使わないのは難しそうだ。

しかし、いずれPFASフリーの人工芝を作ることができるかもしれない。PFASを禁止の理由にせず、マイクロプラスチック発生を理由にしてくれたら、人工芝を永久に追放できるのに・・と思うと、少し残念だ。

それにしても、PFASに甘い日本では、これからもPFAS入り人工芝を使い続けるつもりだろうか。