武蔵野市で民間井戸のPFAS調査を来年度実施 PFHxSも

東京都武蔵野市で来年度、市内の民間井戸のPFAS調査を実施すると発表。関連経費582万円を新年度予算案に盛り込んだ。

調べるPFASは、PFOS(ピーフォス)」「PFOA(ピーフォア)」「PFHxS(ピーエフヘクスエス)の3項目だ。

https://www.asahi.com/articles/ASS2F75MGS2FUTIL01F.html

ペルフルオロヘキサンスルホン酸(PFHxS:ピーエフヘクスエス)は昨年12月1日、化審法の第一種特定化学物質に指定された物質だ。施行日は今年2月1日。これにより、製造は原則禁止され、使用にも制限がかかった。今年6月1日からは、一部の製品はPFHxSが使用される場合、輸入できなくなる。

https://www.dowa-ecoj.jp/houki/2023/20231202.html

とはいえ、私たちは死ぬまでPFHxSとは縁が切れない。しかもPFHxSに代わる物質として、これから似たようなPFASが使われるに違いない。そして数年後には、それも危険であるとして禁止されるだろう。

早く、EUのように日本でもPFAS全体を禁止する方向で検討を進めるべきだ。

もちろん、国の規制を待つまでもなく、相模原市もぜひ井戸水と地下水、河川水のPFHxSを調べて欲しい。

調べたEU政治家全員の血液からPFASが見つかる 

EUでは、欧州委員会の副委員長3人、および環境委員、欧州環境庁長官、そして欧州諸国から来た6人の欧州議員が、体内から13のPFAS(パーおよびポリフルオロアルキル物質)が検出されるか、自主的に調べたそうだ。

その結果、11人全員の血液からPFASが検出された。

見つかったPFASは、PFOA、PFNA、PFDA、PFUnDA、PFHxS、PFHpS、PFOSの7種類。5人の政治家が規制の懸念レベルを超えていた。

見つかった7種類のPFASのうち、「PFOAとPFOSはすでにEUでは使用が禁止され、その他の物質(PFNA、PFDA、PFUnDA、PFHxS)については、いくつかの用途が規制されているが、PFHpSはまだEUでも使用が認められている」とのこと。

https://rief-jp.org/ct12/142562

EUは現在、PFASグループ全体を規制する方向で検討している。これで規制に拍車がかかるかもしれない。EUがPFAS禁止を決定すれば、日本も多少変わるかもしれないと期待している。

PFASがプラスチック容器にも 米研究

PFAS(有機フッ素化合物)は、高密度ポリエチレン製(HDPE)のプラスチック容器にもよく使われているそうだ。昨年、アメリカ化学会で発表された。

発表したのは米ノートルダム大学の研究チーム。著名なPFAS専門家でこの論文の著者の一人であるグラハム・ピースリー教授によると、農薬の容器にフッ素化された容器が使われると、農薬を通してPFASが農作物に移行し、それを人間が食べることになるそうだ。

その結果、「前立腺癌、腎臓癌、精巣癌、低出生体重、免疫毒性、甲状腺疾患など、いくつかの健康問題に関連する有害化学物質への重大な曝露の直接的なルートになる」とのこと。

https://news.nd.edu/news/plastic-containers-can-contain-pfas-and-its-getting-into-food/

PFAS濃度の平均合計は、「63.75±13.2 ng/gプラスチック」。家庭用洗剤、農薬、パーソナルケア製品などを調べた結果だ。

https://pubs.acs.org/doi/10.1021/acs.estlett.3c00083

日本で使われているプラスチック容器にもPFASが使われていることは間違いないだろう。粘着性のある液体が容器にくっつきにくくするためには、おそらくPFASが役に立つ。

ハンバーガーなどの包装紙にもまだ使っている大手ファストフードチェーンがあるくらいだから、もしかしたら、食品用の容器にも使われているかもしれない。マヨネーズは大丈夫だろうか?

ペットボトルから大量のマイクロプラ、だけどプラスチックに付着した化学物質はそれより怖いかも

米科学アカデミーの紀要(PINAS)に、大量のマイクロプラスチックがペットボトルから検出されたとの研究結果が掲載された。

https://www.pnas.org/doi/10.1073/pnas.2300582121

メディアはマイクロプラスチックのみに注目しているが、本当の問題はそこに留まらない。プラスチックに付着あるいは添加されていた化学物質が何か、ということも問題なのだ。

PET樹脂には可塑剤は使われないから安全だ、とよく聞くが、そんなことは決してない。ペットボトルから、いろいろな化学物質が検出されている。

例えば昨年、熊大の研究で分析されたフタル酸エステル類は、胎児や子どもの発達、生殖能力などにも影響を与える環境ホルモンだ。

熊本大学の研究チームの研究「Polymer types and additive concentrations in single-use plastic products collected from Indonesia, Japan, Myanmar, and Thailand」(インドネシア、日本、ミャンマー、タイから集められた使い捨てプラスチック製品の樹脂の種類と添加剤濃度)↓

https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0048969723026049

しかも、PINAS論文によると、ペットボトルの水で見つかったプラスチックはPETだけではなく、ナイロンやポリプロピレン、ポリスチレン、塩ビまでもが見つかっている。ナイロンは水をろ過する際に使われたのかもしれないが、ポリスチレンや塩ビはなぜだろうか?ちょっと怖い気になる樹脂だ。

しかし、最近はコマーシャルの影響か、日本でも「水は買うのが当たり前」になっていると聞く。プラスチックに入れられた水の方がよほどアブナイと思うのだが・・。

「安心」な環境に慣れすぎたせいで、危険かもしれないプラスチックに心が動くのだろうか?怖い物みたさ?それとも「プラスチック中毒」の人が増えているのかもしれない。

ファミマの環境対応:スプーンなど有料に。「ファミマのレシートにはビスフェノール類が入っていなかった」

ファミリーマートはスプーンやストローなどを今月29日から有料化する。

価格は4円から6円。まずは全国にある直営店およそ100店舗を対象に始め、全国およそ1万6000店に順次、広げるそう。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240119/k10014327161000.html

ファミリーマートの「脱プラ」対応は、セブンなどに比べ進んでいる。やはりカトラリーは有料にするか、EUやカナダなどのように原則禁止にすべきだ。

そういえば、先日参加したTウォッチの環境ホルモンセミナーで、感熱紙のビスフェノール類の話があった。

日本はビスフェノールAがそうそうにやめたが、代わりにビスフェノールSを使ったというのは有名な話だが、ビスフェノールSの毒性もビスフェノールAとそうは変わらない。

そのため、その講師が所属する団体ではあちこちの感熱紙レシートのビスフェノール類を調べたそう。

その結果、大手コンビニの中では、ファミリーマートのレシートにビスフェノールAもSも含まれていなかったという。ただそれが、調べたそのファミマの店舗だけのことなのか、ファミマ全体なのかはわからないとのこと。

スーパーは、調べた店すべてでビスフェノール入りレシートが使われていたが、自治体の施設の感熱紙レシートは、ビスフェノール類を使っていない自治体も多少あったらしい。

感熱紙を使っている限りビスフェノール類から逃れられないと思っていたため、それまで普通紙に印字されたレシート以外はこわごわ触れていた。しかし、ビスフェノール類フリーの感熱紙もあるというのは朗報だった。

もし、ファミリーマート全店でビスフェノール類フリーのレシートを使っているならば、もっとファミマ広報部は宣伝すべきだ。

相模原の川魚のPFAS濃度は、中国産アサリよりも高い

東京新聞によると、相模原市東部を流れる道保川(相模川の支流)の上流から約3.5キロ地点で捕った魚やアメリカザリガニのPFAS濃度を調べたところ、カワムツの肝臓に1キロ当たり14万ナノグラム、身には同2万9000ナノグラムものPFASが含まれていた。

https://www.tokyo-np.co.jp/article/302128

1週間に身を8g食べれば「健康リスク」もあるというレベルだという。8gということは、刺身にしたら1切れの半分も食べられない計算だ(刺身1切れは15から20g)。

昨年、Food Safety Citizen` Watch No.78,(2023.10.27)に掲載されていた中国産アサリの水煮は1450から3678ng/kg、同じく中国産アサリを使った「あさり飯の素」が5132ng/kgだったことを考えると、相模原産の川魚はさらに高濃度だということだ。

昨年調べられた水煮やあさり飯の素は、いずれも中国産のアサリを使い日本企業が日本国内で販売しているものだ。アサリがPFASに汚染されたのは、渤海に流れ込む河川の上流でのフッ素化学工場を含む工業地帯からの排水が原因だと推定されていた。

しかし、一緒に調べられた国産の「活アサリ(三重県産、北海道産、愛知県産)」はそれより1桁濃度が低かったため、「活アサリを食べれば大丈夫」と楽観していた。

ところが、地元の川魚のほうが、心配していた中国産アサリの水煮より1桁から2桁濃度が高かったのだ。

原因は、南橋本に立地している工場の排水だろうか?それとも??

この記事を読んだ後、図書館へ『これでわかるPFAS汚染』(原田浩二編著、合同出版)を借りに行った。昨年末に出たばかりの本で図書館にはまだなかったため、買ってほしい本としてリクエストしようとしたが、「購入するかどうかはわからない」と言われた。

https://www.godo-shuppan.co.jp/book/b636379.html

相模原市の図書館には、最新のPFAS情報を「PFASにおびえる市民」に提供する義務がある、と思うのだが。

<補筆2024.3.8>

相模原市立図書館がようやく『これでわかるPFAS汚染』を購入した。他の人からのリクエストもあったようだ。感謝!

<関連記事>

相模原市、今年度の地下水と河川のPFAS濃度を公表。南橋本の汚染源はどこ?

気付かなかったが、今年度(2023年度)の相模原市の地下水と河川のPFAS濃度が発表されていた。

https://www.city.sagamihara.kanagawa.jp/kurashi/1026489/kankyo/1026503/jyokyo/1023819.html

昨年同様、最も濃度が高いのは南橋本の地下水だ。1400ng/Lと突出している。昨年は1500ng/Lだったから、多少マシになったのか、それとも誤差の範囲なのだろうか。

相模原市の場合、以前新聞に書かれていたように、各地で検出されるPFOSとPFOAの比率が明らかに異なっているから、汚染源は複数だと考えられる。PFOSが優勢な地域の汚染源は米軍補給廠などが由来の泡消火剤だと思われるが、南橋本の汚染源はどこかの工場だろう。

PFASを使う工場はどこなのか。市は汚染源を把握し、指導しているのか。もし、市がまだ何も手を打っていないとしたら・・恐ろしい。

市が測定するPFASはPFOSとPFOAのみだが、昨年11月に第一種特定化学物質に指定することが閣議決定された「PFHxS若しくはその異性体又はこれらの塩」も調べて欲しい。少なくとも、市内の飲み水だけでもPFHxSを調べるべきではないか。

安心な水道水の享受は、住民の権利のはず。

横浜市の水道水の検査項目を見ると、PFHxSも昨年度から追加された。神奈川県も県内3カ所の浄水場でPFHxSを調べているようだが、これだけでよいのか不安が募る。

液体ミルクは大丈夫?食品中にフタル酸エステルなどのプラスチック添加剤。オーガニック食品やベビーフードにも

アメリカの消費者専門誌が「コンシューマーレポート」によると、スーパーとファーストフードの食品を調べたところ、プラスチックの添加剤が多く認められた。

検査した85種類のうち84種類に、プラスチックに柔軟性を持たせるために添加する可塑剤「フタル酸エステル」が含まれていたそうだ。さらに、79%の食品からビスフェノールAなどのビスフェノール類も見つかった。

https://jp.reuters.com/life/P5BI5HV735JYJKAEZ6Y4ZJCGC4-2024-01-05/

基準値は超えていなかったと言うが、そもそもフタル酸エステルやビスフェノールのような環境ホルモンの有害性には閾値がないため、基準値より低いから安全だとは限らない。

ビスフェノールAは2009年の検査時よりも低かったが、フタル酸エステル類は1サンプルを除き、全ての食品から見つかった。特に乳製品や調理済み食品にフタル酸エステルが多かったという。

フタル酸エステルが最大だったのは、缶に入ったアニーのオーガニックチーズラビオリだった。

https://www.consumerreports.org/health/food-contaminants/the-plastic-chemicals-hiding-in-your-food-a7358224781/

プラスチック包装だけでなく、缶詰も避けた方が良さそうだが、包装材がなんであろうと調理済み食品は調理時に手袋や調理器具にプラスチックが使われているため、フタル酸エステルなどは避けようがない。

調理済み食品をやめ全てを手作りするのは難しいが、少なくとも子どものいる家庭は極力避ける必要がありそうだ。

最近流行の液体ミルクは安全なのだろうか。消費者庁は液体ミルク中のフタル酸エステル類を測っているのか?おそらく測っていないのではないかと、心配だ。

映画「イチケイのカラス」でPFASがテーマに

テレビで映画「イチケイのカラス」が放送された。なんとPFASがテーマだった。「ダイキン城下町」のような企業城下町で起きた公害。公害を隠蔽するため犯罪を主導したのは当然企業、と思いきや実は・・という設定だった。企業に配慮したのかも?

しかし、どうもPFASらしくない。映画の中では「PFOM」というおそらく架空の物質が毒性の高いPFASという設定だったようだが、もし、このような即効性のある毒ならばすぐに禁止されるから、被害はあまり広がらないような気がする。

実際のPFASは、影響がわかるまで数年(あるいは数十年)かかる。たとえPFASで健康被害が出たとしても、PFASが原因物質だと特定されることはまず期待できない。

たとえ、PFASで発症する病にかかり、PFAS血中濃度が著しく高くても証明は難しい。PFASのような物質はそこが不気味なのだ。

人工芝のような「高品質」のプラスチック製品の多くにPFASは含まれていると思うが、メーカーが「意図的に入れることはない」と言い張れば、自治体は検査もせずに人工芝敷設の旗を振る。

相模原市の人工芝野球場(相模原スポーツ・レクリエーションパーク内)はまもなくオープンする。

PFASの危険性を意図的に隠蔽 3M社1950年代から

Minnesota Reformerによると、3M社の科学者たちは1950年代から人間は動物の体内にPFASが蓄積していることを知っていたという。

1979年には3M社は、環境中でPFASが分解しないことや、ガンの発生リスクが高まることを確認しておきながら、人の血液中に含まれるPFASの存在を隠蔽するよう指示を出していたそうだ。

https://gigazine.net/news/20240101-3m-toxic/

PFASで汚染された魚介類を食べる野鳥の血液にPFASが含まれていることが確認され、アザラシなどの哺乳類もPFASで汚染されている可能性があったにも関わらず、隠蔽された。

その結果、現在私たちが食べる魚介類や汚染地域でとれた野菜からもPFASが検出され、私たちの血液からも検出される事態になった。まさに犯罪的だが、3M社はいまだに大企業のまま「2025年末までにPFAS事業から撤退する」などというのんきなプレスを出している。

https://news.3mcompany.jp/2022-12-28

腹立たしい限りだが、PFASは原爆に使われたのが始まりだったそうだから、もともと犯罪的な要素を持った化学物質なのだろう。

相模原市のPFAS汚染は日本の中でもトップレベルのようだが、発生源は米軍補給廠だけでなく、複数あるらしい。同じ発生源ならば、地下水から検出されるPFOAとPFOSの比率は似ているはずだが、似ていない数値も見つかっている。

横浜市は昨年度からPFHxSの濃度も測っているが、相模原市は相変わらずPFOAとPFOSしか測定していない。

https://www.city.yokohama.lg.jp/kurashi/sumai-kurashi/suido-gesui/suido/suishitsu/suidosui/yuukifussokekka.html

お金がないためか?それとも関心がないせいで測らないのかわからないが、相模原市議の反応もイチイチ薄いように感じる。これまでは地産地消の見地から、できるだけ地元の野菜を選んでいたが、最近は避けたくなっている。

相模原市でも、せめてストックホルム条約で禁止が決まっているPFHxSも、PFOAとPFOSとともに測定してほしいものだ。