マルタで飲料容器デポジット制度がスタート

下記のニュースによると、マルタで7月31日から飲料容器のデポジット制度が開始されたようだ。

循環型経済(サーキュラーエコノミー)実現の一環だ。

デポジット額もリファンド額も0.10ユーロで、容器を指定された場所に返却すると、バウチャーが発行される。

やはりサーキュラーエコノミーを実現するには、デポジット制度が必要なのだ。もしくは、使い捨て飲料容器をすべて禁止するか、のどちらかだろう。さすがに後者を選択する国は今のところなさそうだ。

<関連記事>

マルタ 2019年12月からデポジット制度開始か

<出所>

MONDAQ(2020.8.5)Malta: Circular Economy: Beverage Containers Recycling Regulations In Force;

http://www.mondaq.com/economic-analysis/972896/circular-economy-beverage-containers-recycling-regulations-in-force

 

キリン、瓶入り飲料3種販売終了!時代に逆行? 

キリンがビン入りの「キリンレモン」を、2020年12月末で販売終了するそうだ。併せて「キリン オレンジ きりり」「キリン 烏龍茶」も同時期に終売予定とのこと。

ペットボトルと缶での販売は継続。

しかし確か、キリンはガラスや金属を使ったリユース容器による通信販売の「LOOP」に参加予定のはず。これまでビン入りを買いたくとも、近くで売っていないため買えなかった人たちが、ようやく買えるようになるのに・・・。

脱ペットボトル化が進みつつあるこの時期に、大事なビン入り飲料の販売をなぜ終了するのだろうか?

もう少し続ければ、売れるようになったのではないかと残念だ。

<参考>

「瓶の「キリンレモン」が生産終了へ キリン「販売数減少のためやむを得ず」 瓶の「烏龍茶」「オレンジきりり」も終売に」↓

https://news.yahoo.co.jp/articles/d7fa864bfaa305ebedac9a444fb4e998e64e2f56

東京新聞(2020.8.5)「キリンレモンの瓶入り、生産終了 12月末、販売数減少で」↓

https://www.tokyo-np.co.jp/article/47220?rct=economics

欧州の環境NGO、欧州委員会とEU諸国にデポジット制度を要求

欧州の環境NGOは、EUの使い捨てプラスチック指令(SUPD)で規制されているペットボトルの分別収集の実施に関し、懸念を表明している。

デポジット制度が、EUのペットボトルの回収目標である90%を達成するための最も効果的な方法であるにも関わらず、デポジット制度を検討しない国があるためだ。

懸念を表明する環境NGOは、世界的なBreak Free from Plastic(BFFP)運動のメンバーであるDeutsche Umwelthilfe(Environmental Action Germany、DUH)とRethink Plastic Alliance(RPa)。

このEU指令は加盟国に対し、デポジット制度などにより、遅くとも2029年までにペットボトルの90%を分別することを義務付けている。しかし、オーストリアとチェコ共和国では、デポジット制度以外の方法(ごみからペットボトルを分けるなど)で、この個別の収集目標を達成できると議論している。

NGOは、このEU指令についての誤った解釈が、本来の目的を損なう可能性があることを警告している。ペットボトルをデポジット制度で回収することが、使い捨てプラスチックによる汚染を防ぎ、循環経済への移行に大きく貢献できるためだ。

「ペットボトルは、ヨーロッパの川やビーチを汚染するトップアイテムの1つ。このため、ヨーロッパ全土にデポジット制度を導入することが特に重要です。ドイツでは、使い捨て飲料容器にデポジットをかすことで、ポイ捨て防止に大きな効果をもたらしました。これは、98.5%という非常に高い回収率に表れています。ペットボトルがカーブサイド回収によって集められている場合、回収率はかなり低くなります。さらに、ごみから取り出したペットボトルは汚れているため、ボトルからボトルへのリサイクルを危険にさらします。デポジット制度以外では、必要な品質を達成できません。」とのことだ。

きれいなペットボトルが回収された場合に限り、EU指令で設定された再生資源含有量目標を達成できる。指令では、2025年までに使い捨てペットボトルには25%以上の再生資源が含まれる必要があり、2030年までにはすべての使い捨てペットボトルに30%以上の再生資源が含まれる必要がある。

NGOによると、現在、ポルトガル、ラトビア、ルーマニアなどの国が、飲料容器にデポジット制度を導入しようとしている。

また、使い捨て飲料容器にデポジット制度を導入することで、消費者はリユース容器を選択しやすくなるというメリットがあるとのこと。返却場所が同じ場合、使い捨て容器よりもリユース容器の方を消費者は選びやすくなるためだ。

<出所>

RETHINK PLASTIC(2020.5.15)Single Use Plastics Directive: NGOs call on Commission and EU countries to resist attempts to undermine separate collection of plastic bottles;

https://rethinkplasticalliance.eu/news/resist-attempts-to-undermine-separate-collection-of-plastic-bottles/

タスマニア州も2022年までにデポジット制度を導入

オーストラリアで、デポジット制度の導入をまだ計画していないのはタスマニア州だけ、と思っていたが、タスマニア州でも計画していた。
ニュースを見落としていたが、昨年(2019年)環境大臣が、2022年までにデポジット制度を実施すると発表した。
これでオーストラリアは、全土で2023年頃までには制度が導入されそうだ。
タスマニア州では、15年前からデポジット制度の調査をしていたとのこと。これまでは産業界などの反対で導入できなかったが、ようやく環境団体や研究者、地方自治体等の長年のロビー活動が実り、実現の運びとなった。

日本はまだデポジット制度が議論の俎上にも上らない。
日本の環境政策の遅れは、既に周回遅れを通り越してしまった。

<参考>
Tasmanian Government(2019.6.6)Container Refund Scheme for Tasmania;
http://www.premier.tas.gov.au/releases/container_refund_scheme_for_tasmania

EXAMINER(2019.6.6)Tasmanian government commits to introducing container refund scheme;
https://www.examiner.com.au/story/6204168/tasmania-to-implement-container-refund-scheme-by-2022/

英研究チーム、新種の深海生物からPET樹脂発見

英ニューカッスル大の研究グループが、太平洋のマリアナ海溝で新種の甲殻類を見つけた。そのうち1匹の幼生の消化管からPET樹脂のマイクロプラスチックを発見したそうだ。

水深6000メートルを超える深海とのこと。深海生物のマイクロプラスチック汚染は以前から報告されているが、新種の生物までもが汚染されていた。

以下、共同通信の記事を転載↓

グループは、2014年11月、米国のシュミット海洋研究所の調査船を使って、太平洋のグアム島に近いマリアナ海溝の6010~6949メートルの深海で多数のオキソコエビの仲間を捕獲した。この中から遺伝子や形態の分析から新種とみられるオキソコエビの成体3匹、幼生8匹を発見した。

1匹の幼生の消化管から、長さ約650マイクロメートル(マイクロは100万分の1)の繊維状のマイクロプラスチックが見つかった。ペットボトルや合成繊維などに使われるポリエチレンテレフタレート樹脂とみられるという。

<出所>

日本経済新聞(2020.4.2)「新種の深海生物にプラ粒子 6千メートル超のマリアナ海溝 」↓

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO57549270S0A400C2CR0000/

 

「ペットボトルは使い捨て容器ではない」で論争 

コカ・コーラとタイの包装会社Indorama Venturesが、マニラ南西部のカビテ州で、2021年に完成予定の1,900万ドルの施設の契約を締結したそうだ。

完成すればフィリピン最大の「ボトルtoボトル」(ボトルをリサイクルし、またボトルに戻す)の工場になる。

そこまではフツウのニュースだが、なんと両社が「ペットボトルは使い捨ての容器包装ではない」と主張し、論争を巻き起こしているとのこと。

両社の言い分は、ペットボトルは100%リサイクル可能で、使い捨てではない、ということだ。

それに対し環境団体は、ペットボトルは使い捨てモデルの一部だと主張。リサイクルされたとしても、水とエネルギーを必要とし、その結果、有毒な廃液と排出物が発生するとして、両社の言い分を一蹴。

環境系の人でなくとも、多くの人が、ペットボトルは使い捨てであることに同意するだろう。いかに回収され、仮にペットボトルに戻ったとしても、それまでの間にいくつものハードル(回収・選別など)があり、それを乗り越えなければならない。そのハードルを越えたとしても、劣化によりリサイクルできない繊維もある。

おそらくこの工場は、ケミカルリサイクルではなくメカニカルリサイクルの工場だろう。リサイクルする度に一定量の劣化は避けられない。

そもそも回収すらおぼつかず、これだけの汚染を引き起こしていながら「使い捨てではない」というコカ・コーラらの主張など、通るわけがない。

<参考>

Eco-Business(2020.3.24)Will Coke’s new recycling facility help ease the Philippines’ plastic woes?;

https://www.eco-business.com/news/will-cokes-new-recycling-facility-help-ease-the-philippines-plastic-woes/

 

 

 

 

新型コロナの影響で、スコットランドのデポジット制度開始を延期

コロナウイルスが各地のデポジット制度に影響を及ぼしている。

来年4月から開始が予定されていたスコットランドでも、コロナ対応に追われ、2022年7月まで開始が延期されることになった。

スコットランドのデポジット制度は、イギリスの他の地域に先駆け、使い捨てのガラスびん、缶、プラスチックボトルにそれぞれ20pのデポジット(保証金)を付けて販売される予定。返却すると、デポジットは全額戻る。

カニンガム環境大臣によると、「気候変動問題の目標達成のための重要手段の1つは、資源を可能な限り使い続ける循環型経済を構築すること。デポジット制度はその一環だ」とのことである。

また、スコットランド政府は、「スコットランドのデポジット制度は、リサイクル率を高め、ごみを減らす効果的な方法であるだけではない。高品質の素材の供給源であり、リサイクルのインフラを開発し、雇用を創出する大きなチャンス」であると分析している。

また、スコットランドのデポジット制度は、毎年費やされる4600万ポンド(約60億円)の税金による清掃費の節約になる上、85,500台もの車を道路から追放するのと同等の二酸化炭素節約効果もあるそうだ。スコットランドの経済規模で60億円というのはかなり大きい。

日本の政府や環境団体も、早くこの認識を持ってくれると良いのだが・・・、日本の大手環境団体の多くは、デポジット制度についてまだ全く関心がないようだ。

<出所>

HOLYROOD(2020.3.17)Deposit return scheme delayed to 2022 to allow businesses time to deal with impact of coronavirus;

https://www.holyrood.com/news/view,deposit-return-scheme-delayed-to-2022-to-allow-businesses-time-to-deal-with_15236.htm

HOLYROOD(2019.7.10)Deposit Return Scheme will increase trade and create jobs, finds Scottish Government analysis;

https://www.holyrood.com/news/view,deposit-return-scheme-will-increase-trade-and-create-jobs-finds-scottish-go_10560.htm

 

 

リトアニア、デポジット制度導入で街がきれいに。住民も大満足

2016年に飲料容器のデポジット制度を導入したリトアニアで、導入2年後にはペットボトルのリサイクル率が74 %に達した。

システムはとてもシンプルで、デポジット(保証金)が上乗せされた飲料を購入した場合、消費後、店舗に設置された自動回収機に空き容器を投入するだけ。消費者には、現金か店で利用できるバウチャーが支払われる(0.1ユーロ/個)。

デポジット制度の対象容器は、缶・びん・ペットボトル。それらの回収率は91.9%に達した。

街が清潔できれいになったことから、消費者の満足度もきわめて高いとのこと。

<参考>

GOOD NEWS NETWORK(2020.3.7)In Just 2 Years, Lithuania Steals The Crown For Best European Recycler By Using an Innovative Return Program

In Just 2 Years, Lithuania Steals The Crown For Best European Recycler By Using an Innovative Return Program

シンガポールもデポジット制採用を発表

3月4日、シンガポールの環境庁(NEA)は、2022年までに飲料容器をデポジット制度で回収することを発表した。

これは拡大生産者責任アプローチの第一段階になるとのこと。

指定された返却ポイントに容器を返却すると、デポジット(保証金)が払い戻される。

世界では、飲料容器を生産者責任によるデポジット制度で回収することが、もう当たり前になってきた。

一方、日本ではペットボトルでさえいまだに税金で回収されている。拡大生産者責任などなんのその。2022年4月から施行される法律も拡大生産者責任の視点はゼロだ。

これがいかに時代遅れで馬鹿げているか・・飲料メーカーは十分知っているはずなのに、容リ法や、その元となった廃棄物処理法の上であぐらをかき、何も変えようとしない。

環境団体もいまだに「サーマルリサイクル」批判に明け暮れているように見える。

<参考>

CNA(2020.3.4)New Deposit Refund Scheme to encourage recycling of beverage containers;

https://www.channelnewsasia.com/news/singapore/deposit-refund-scheme-to-encourage-recycling-budget-2020-12500234

進むフランスのごみ防止法、ペットボトルも半減目標

今年1月、フランスではごみを防止する画期的な法案が議会を通過した。

2025年までにすべてのプラスチックをリサイクル可能にし、今後10年で使い捨てプラスチックのボトル(ペットボトルなど)の使用を50%削減するという。

また、ファーストフードのレストランやテイクアウト用の容器にプラスチックを使うことを、遅くとも2023年までに中止する。

さまざまな製品で、生産者責任(汚染者負担)も強化されつつある。例えば、たばこの製造業者は、来年からたばこの吸い殻の処分費用を支払う必要があるそうだ。

既にスーパーでの売れ残り食品の廃棄も禁じられている。

一方日本は、使い捨てが規制されず、無駄が多い。

それどころか、日本の廃棄物処理法は時代にそぐわなくなっているにも関わらず、漫然と継続され、いまだに多くの製品が税金で回収されている。

(追記)

フランスの法案について、「オヴニー・パリの新聞」にも記載されていた。

「プラスチック使用などを制限する無駄撲滅法案が国会で最終成立した。同法案は2025年のプラスチックのリサイクル100%、2030年までに使い捨てペットボトルの使用を半分にする目標に掲げる。」

とのことだ。

無駄撲滅法案、最終成立

<参考>

The Guardian(2020.1.30) Landmark French law will stop unsold goods being thrown away;

https://www.theguardian.com/world/2020/jan/30/france-passes-landmark-law-to-stop-unsold-goods-being-thrown-away