米国内の基地は浄化が進むのに、日本の基地は進まない理由は?

米国防省が、米軍施設の浄化を強化すると発表した。PFAS汚染地である米軍施設の浄化が既に55カ所で進んでいるそうだ。

https://www.tokyo-np.co.jp/article/357333

しかし、日本国内では、在日米軍施設が汚染源と疑われる地域の汚染は放置されたままで、浄化どころか認めているかも怪しい。「米軍が浄化を強化する新指針は米国外は適用外な上、日米地位協定や日本の規制の緩さが「交渉の壁となっている」」とのこと。

日米地位協定は、日本だけですぐにどうこうできる問題ではないが、日本国内の規制を強化することはすぐにでもできるはずだ。

しかし、日本政府にPFAS規制を強化しようという気はまったく感じられない。そんな日本政府のあいまいな姿勢を見ているため、米軍施設を有する地方自治体も及び腰だ。

米軍施設に対してだけでなく、3M社のような企業に対しても自治体は及び腰に見える。

このまま各地で外資による半導体工場などが増加し、PFASを垂れ流しても、多くの自治体は黙っているのだろう。

外資系企業にとって、現在、日本は格好の餌食だろう。「円安」「おとなしい国民性」「几帳面にいわれた仕事はやる」「訴訟を好まない」など、外資が喜ぶ条件がすべて日本に揃っている。

吉備中央町が活性炭を放置したPFAS汚染企業に1億円超えの損害賠償請求 しかし活性炭使用企業はまだ不明

PFASで水源が汚染された岡山県吉備中央町は、財産区に使用済み活性炭を放置した地元企業「満栄工業株式会社」に1億円以上の損害賠償請求をしたようだ。

住民に返還した過去3年分の水道料金のほか、原因調査にかかった費用や住民に対して給水車を使った費用などから試算した。

https://www.ohk.co.jp/data/26-20240717-00000003/pages/#

しかし、ダムを使用できなくなったため損害額は1億円で済むはずはない。今後、PFOAを含んだ活性炭をこの会社に渡した企業にも賠償請求をすることになるだろう。

どこの会社だろうか?

クラレの名前が挙がっているが、クラレの社長は否定している。

今後、汚染企業を追求することになるだろうが、多地域ではどうするのだろうか。沖縄や東京・多摩地域のように米軍基地由来の場合はどこに請求できるのか?

自衛隊施設が汚染源の場合は、日本政府に請求できるのか?

摂津市はダイキンに、相模原市はスリーエムに、静岡市はデュポン系企業に賠償請求ができるのか?と考えると、相手が大きいほど請求しても勝ち目がないような気がしてくる。

PFAS問題で最後に嗤うのは、ペットボトルメーカーや浄水器のメーカーだとしたら、情けない話だ。

米軍基地内のPFAS汚染、対策費用を日本政府が肩代わり

東京新聞によると、沖縄の米軍普天間(ふてんま)飛行場で、有害な有機フッ素化合物(PFAS=ピーファス)の対策工事にかかった費用1億7600万円を、日本政府が負担していたそうだ。しかも、それとは別に、基地内のPFASを含んだ汚水の処理も日本側が引き受け、9400万円を負担していたとのこと。

補修工事は毎年のように実施されており、2013年度から2023年度までの間の工事費のうち217億円を日本側が負担していたそうだ。

https://www.tokyo-np.co.jp/article/348407#:~:text=PFAS(ピーファス)%20泡消火剤,指針値を定めた%E3%80%82

しかし、ドイツでは米軍が対策費用を負担している。同じ敗戦国なのに、この違いは一体なぜだろう?

しかも、基地周辺の対策費用は沖縄県まかせ。そのため、沖縄では水道料金を値上げせざるを得なくなっている。

日本政府はもっと本腰を入れて、PFAS問題に取り組んでほしい。このままでは、PFAS汚染も対策費用も増える一方だ。

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人工芝:三菱地所が丸の内で危険な社会実験 都庁の都民広場でも

三菱地所は7月25日(木)~ 8月18日(日)まで、丸の内仲通りに人工芝を敷き、社会実験をおこなった。

都会に緑の空間を求めたい気持ちはわかるが、人工芝を敷き詰め、色だけ緑。これではオアシスどころか、ヒートアイランドを激化させるだけだ。人工芝は夏は連日60度を超えるので。

しかも、人工芝にはPFASが含まれているので、アメリカでは人工芝を禁止する自治体が相次いでいる。

2019年から実施とのことだが、来年からは絶対にやめてほしい。

https://www.mec.co.jp/news/detail/2024/07/10_mec240710_msp

また、都民広場でも人工芝を敷くのが恒例行事になっているらしい。

今年も人工芝を敷くと聞いているが、昨年と同じだろうか?

昨年の様子↓

https://www.metro.tokyo.lg.jp/tosei/hodohappyo/press/2023/09/22/02.html

東京都は、都庁周辺にテラス空間や都民広場などを整備する「都庁周辺の空間再編計画(素案)」を公表したとのことだが、もしかすると人工芝を恒久的に敷くつもりではなかろうか?

まさかとは思うが、神宮外苑再開発や葛西臨海水族園の整備事業などを押し進める都知事のことだから、何をするかわからない。

もし、人工芝を敷くならば、周辺地域のPFAS汚染とヒートアイランドはますます加速されてしまう。

最近の研究では、PFASは皮膚からも吸収されるそうだ↓

https://www.newsweekjapan.jp/stories/lifestyle/2024/07/post-105208.php

「最も広く使用されている17種類のPFASについて実験を行い、うち15種類が皮膚を通じて吸収されることを確かめた」ということは、人工芝に触れただけでも多くのPFASが体内に入るということだ。

街路樹などを伐りたいだけ伐って、色だけ緑にするため地面に人工芝を敷きつめるのは、本当にやめてほしい。

8月1日は世界のアースオーバーシュートデー

アースオーバーシュートデーとは、「1年間に地球が供給する生物資源と人間が消費する使用量を比べて期日に換算したもの、言わば「年間資源使い切りデー」」(エコロジカル・フットプリント・ジャパン)のこと。

2024年の日本のアースオーバーシュートデーは5月16日だった。そして、2024年の世界のアースオーバーシュートデーは8月1日。

ちなみに、昨年のそれは8月2日だったから1日早まった。ということは、昨年よりも資源の浪費が激しかったということか。

ロシアによるウクライナ侵攻は2022年からだから、早まった原因の1つはイスラエルのガザ侵攻だろうか?

戦争は最大の環境破壊であるのは当然だが、先進国が過剰な資源浪費を今すぐやめなければ、人間は地球に住めなくなるのは確かなことだ。

オリンピックも万博も見直すべきだ。とりわけ大阪万博は、やる意味がまったくわからない。神宮外苑再開発もあまりに過剰で、暴挙としかいいようがない。

こんなムダなことをしているから、日本は半年も経たずに(世界平均より2ヶ月半も早く)地球の資源を使い切ってしまうのだろう。

「続・水どぅ宝」上映会のお知らせ

沖縄テレビが制作し、2024年2月に放送した番組「続・水どぅ宝」の上映会をするそうだ。

子どもたちをPFASから守りたいと声を上げた母親たちの闘いを追ったドキュメンタリー。優れた番組を表彰する放送文化基金賞のドキュメンタリー部門で奨励賞を受賞している。

上映会は7月7日と8月4日。参加費無料。

PFAS汚染は、相模原市も他人事ではない。

詳細はチラシをご確認ください↓

EU、ペットボトルのキャップ規制がまもなく始動

3リットル未満の容器のキャップを対象として、EU規制がまもなく始まる。

2018年に発表されたEU指令の1つで、開栓後もキャップが本体に付いたままになっていなければならない。

従来タイプのペットボトルは、開栓時にキャップが落ちやすく、散乱ごみになりやすかった。

ようやく7月3日から規制が開始される。

街や海岸を歩いていると、キャップが落ちているのをよく目にする。海鳥など野生生物にも誤食されやすく危険だ。日本も早くこの規制を導入してほしい。

山梨、産廃の最終処分場からPFAS。全国の処分場からの検出が今後相次ぐ可能性

山梨県北杜市の産業廃棄物の最終処分場内からPFASが見つかった。

https://news.goo.ne.jp/article/abematimes/nation/abematimes-10129489.html

山梨県が5月に産業廃棄物の最終処分場である「明野処分場」の敷地内6カ所で採水調査した。その結果、PFOSとPFOAが検出されたという。

「処分場の廃棄物層を通過した雨水を集めた処理前の水には、この指針値は適用されませんが、今回、指針値の約6倍以上の320ナノグラム」とのこと。

処分場のPFASの川への影響を調べるため、県は6日、処分場に近い湯沢川の2地点で水質調査が行った。結果は、約1カ月後に出るようだ。

以前から、最終処分場の浸出水のPFAS汚染が研究による確認されていた。

たとえば、

https://www.jstage.jst.go.jp/article/mcwmr/32/1/32_33/_pdf

もちろん、一般廃棄物の最終処分場も例外ではない。

この千葉県環境研修センターの研究によると、一般廃棄物の最終処分場の浸出水から1リットルあたり1,000ナノグラムを越えるPFASが多数検出されている↓

クリックして12_shimizu.pdfにアクセス

今回判明した山梨県の処分場の数値は、一部のPFASしか測っていないせいか、想像していたよりもかなり低い。これまで処分場近くで測定していなかった自治体も、これからは測定する可能性がある。もっと高い数値のPFASが、今後各地の一般廃棄物などの処分場で検出されることが予想される。

米マサチューセッツ州やカリフォルニア州で人工芝設置を禁止する自治体が増えている

アメリカではPFASのために人工芝を禁止する自治体が増えつつあるが、マサチューセッツ州のオークブラフでも禁止が決まったようだ。

理由は「化学物質が島の主要な帯水層を汚染する可能性がある」ため。

https://vineyardgazette.com/news/2024/04/23/oak-bluffs-board-health-bans-turf-fields

ボストン市を皮切りに、マサチューセッツ州では人工芝を禁止する自治体が増えているようだ。

同州のシャロンでも人工芝が禁止されているが、PFASだけでなく、マイクロプラスチックやゴムチップの有害性も禁止理由にあげられている。

https://ecode360.com/37379890

また、同州のコンコードは、ゴムチップに含まれる化学物質を理由にモラトリアムが2016年から継続しているようだ。同州ウェイランドもモラトリアム(一時停止)を決めている。

https://www.wgbh.org/news/local/2022-05-10/more-games-or-more-grass-fields-turf-wars-play-out-across-massachusetts

カリフォルニア州ではミルブレーで人工芝が禁止されている。個人住宅の庭に敷くのもNGらしい。

https://www.ci.millbrae.ca.us/276/Prohibition-of-Artificial-Turf

同州のサンマリノはモラトリアムを決めているそう。

https://abc7.com/fake-grass-artificial-turf-california-environmental-concerns/13942121/

カリフォルニア州が自治体の人工芝禁止を認めてから、禁止する自治体が増えている。

また、ニュージャージー州のケープ・メイ市でも公共施設と私有地の両方の人工芝が禁止になったようだ。

ワシントン州エドモンズは、ゴムチップを充填する人工芝の設置に30ヶ月のモラトリアムを課した。

メリーランド州では人工芝の処分を受け入れていないので、処分したい場合はバージニア州など近隣の州で処分する必要がある。

unsustainable「Artificial Turf: Impacts on Environment and Human Health」2024.2.28

そういえば、ニューヨーク州では2023年に人工芝のモラトリアム法案が提案されたが、その後どうなったのだろうか。

日本ではなかなか人工芝を禁止しないだろうから、早晩日本の庭や公園は人工芝だらけになりそうだ。

日本の今年のオーバーシュートデーはまもなく。地球1個分の暮らしにはほど遠い

エコロジカル・フットプリント(以下、エコフット)は、人間が消費する量(需要)と地球が生産する量(供給)を比べる指標だ。

人間が地球の供給量を上回らず、地球1個分で暮らしている限りは、気候変動や森林破壊、プラスチック汚染などは起きなかったはず。しかし、今は地球の生態系サービスの量以上に人間は資源を使い、CO2を放出している。

そのせいで、いろいろひずみが生じ、環境問題も起きてしまった。

人間の活動が、生態系の再生能力を超える日がオーバーシュートデーだ。その日以降の暮らしは赤字の状態と同じで、私たちは子孫に借金をしながら暮らしていると考えられる。

昨年、世界のアースオーバーシュートデーは8月2日だった。

今年のオーバーシュートデーはまだ不明だが、日本のオーバーシュートデーは5月16日とのこと。まもなくだ。

新年からまだ半年も経っていないのに、私たちはエコフットの小さい国や子孫にツケを回しながら、赤字状態で暮らすことになる。

https://overshoot.footprintnetwork.org/newsroom/country-overshoot-days/