容器包装リサイクル法が、熱回収が必要な理由の1つになっている!?

プラスチック製容器包装には、材料リサイクルしにくいものが多い。

例えば、マヨネーズ容器などは複数の素材が層になっているため、せっかくきれいに洗って回収に出しても熱回収以外に他に利用法がない。

シャンプーなどの詰替用が「エコ商品」として売れている日本ではリサイクルしにくいこの手の軟質系プラスチックが多い。業界が熱回収の必要性を力説する気持ちはよくわかる。

今一度、容器包装リサイクル法の対象品目を見直し、容器包装というカテゴリーにこだわらず、材料リサイクルしやすいもののみを選んで回収したらいかがだろう?そうでなければ、いつまでも熱回収をも加えた「プラスチック有効利用率」が環境指標としてまかり通ってしまう。

毎日新聞の11月16日付け「なるほドリ」も、それを主張したくて選んだテーマではないか?

毎日新聞(2018.11.16)「弁当容器、再利用できる?複数素材使用 分別難しく」

https://mainichi.jp/articles/20181116/ddm/003/070/046000c

香港・台湾の環境団体 ペットボトル散乱で中国メーカーに申し入れ

香港のNGO8団体と台湾のNGO3団体が合同で、香港と台湾の海岸清掃を行ったところ、ペットボトルごみの3分の2(約66%)に簡体中国語のラベルがついていた。中国本土から漂着したものとみられるという。

そのため、香港と台湾の環境保護団体が、中国本土の飲料メーカーにプラスチックごみ削減のための対策を講じるよう呼びかけたそうだ。

中国の研究チームが海水でも溶けるプラスチックを開発し、その技術を中国メーカーに提供したというニュースもあるが、分子として残るということから完全に分解するわけではなく崩壊して見えなくなるもののようだ。それでは、マイクロプラスチック問題は根本的に解決されない可能性がある。

技術開発が大事であることはいうまでもないが、日本も中国も、技術に頼る前にまずきちんとした回収システムを構築するべきだろう。

香港の回収システムは知らないが、台湾は拡大生産者責任(EPR)が徹底しているため、メーカーの支払ったお金を利用して様々な方法で回収されている。そのため、回収率は100%近い。台湾のビーチに台湾製のペットボトルがほとんど落ちていなかっただろうことは容易に想像がつく。

個人のモラルに頼る回収システムは、理想的かもしれないが、うまくいかないことは、容器包装リサイクル法制定後20年を経た今、日本の海岸にペットボトルなどのプラスチックごみや飲料缶が大量に落ちていることからもわかる。

回収システムの根底には、生産者責任の徹底が必要だろう。

<参考>

Record China(2018.9.6)「香港・台湾のビーチのペットボトルごみ、3分の2が中国から―香港紙」↓

https://www.recordchina.co.jp/b640940-s0-c30-d0139.html

人民網日本語版(2018.9.6)「中国人科学者が海水に溶けるプラスチックを開発」↓

http://j.people.com.cn/n3/2018/0906/c95952-9498126.html

時代遅れの容リ法 ペットボトル回収にラベル剥がしを義務付け

世界は、使い捨てプラスチックを規制する方向で進んでいる。その動きはだいぶ前からあったが、オセロゲームの白黒が大きく反転し、規制が鮮明になったのは2015年頃だった。

環境に関心の高い団体や政府による脱使い捨てプラスチックの動きは、レジ袋、プラスチックカップ、ストローと続き、次のターゲットはペットボトルだ・・といわれている。

インドは既にペットボトルで最初の手を打った。世界で最も厳しい罰則でレジ袋を禁止したケニアでも、次はペットボトルだ、といわれている。オーストラリアでは既に大半の州で飲料容器のデポジット制を導入、あるいは来年までに導入することを決定した。欧州でも、まだデポジット制度を導入していなかった国々は、検討中かあるいはすでに採用を決めた(例えばイギリスやルーマニア)。

コカ・コーラやエビアンなど、危機感をもった海外メーカーは、次々と生き残るための手を打ち始めた。このままでは、メーカーへのデポジット制度義務付けどころか、政府による小型ボトルの禁止や、販売量規制、あるいは環境団体による不買運動が実行される気配が見えたためだ。

しかし、日本の動きは相変わらず鈍く、これまで缶やびんが主流だったものまでペットボトルに転換する動きが目立つ。それほどペットボトルにしたいならば、自主回収せよと抗議する環境団体に対し、それら飲料メーカーは「日本では、容器包装リサイクル法(容リ法)により、回収は自治体がおこなうこととなっています。弊社は同法を遵守しています」と容リ法を楯にして言い放つ。

環境行政も、日本は世界と真逆の方向へ進む。 その一例が、G7のプラスチック憲章署名拒否であり、また、2017年度(平成29年度)から変更された容器包装リサイクル協会の「市町村からの引き取り品質ガイドライン」である。

このガイドライン変更により、それまでペットボトルをラベル付きで回収していた自治体もラベルを剥がさないと、「適切な分別がなされていない」と判断されることとなった。

ラベル剥がしの主な理由は以下である。

http://www.jcpra.or.jp/Portals/0/resource/gather/h29/29moushikomi_s_09.pdf

最近の傾向としてPETボトル自体の軽量化により、キャップ に比べ、ラベルとボトルとの分離が従来以上に難しくなっており、ラベルなどの異物が除去 できずに再商品化製品に紛れ込むと商品価値が落ち、場合によっては再商品化製品利用事業 者から返品されることもあります。昨今、より高品質な再商品化製品の安定供給が求められ ており、再生処理事業者は、少しでも品質の良いベールを落札しようとする傾向があります。

しかし、容リ法による「指定PETボトル」か否かの見極めは、案外難しい。例えば、ノンオイルの青じそドレッシングはペットボトルとして回収すべき「指定PETボトル」だが、オイル入りのPET樹脂製ボトルはペットボトルではあっても容リ法上は「プラスチック製容器包装」であり、ペットボトルとして回収してはならない。しかし、自治体の回収に間違えて出す住民は多い。

回収後の選別を障がい者団体などに委託している自治体は多く、選別ラインでペットボトルか否かを見極めるのはマークが頼りだ。ラベルを剥がされてしまっては、そのマークが見えなくなる。

そのような自治体にとって今回の措置は実に困ったことだ。例えば、奈良市はそれまで市民に「ラベルを見ながら選別しているので、ラベルを剥がしてはならない」と周知してきた。それを昨年、「ラベルを剥がして」に無理矢理変更した。

もともと奈良市がラベルを剥がさなくてよいと決めていた背景には、奈良市のペットボトルをよく落札していた工場が、「剥がす必要はない」と言っていたことがある。大半の大手再生工場は「ラベルが付いていようといまいと、ほとんど関係ない」と言っていると聞く。

ボトルが薄くなったからボトルとラベルが選別しにくくなり、剥がさないと品質に重大な影響が出る、といっている再生工場を、あいにく筆者は知らない。しかし、そのような工場がもしあったにせよ、拡大生産者責任ということを考えれば、それは飲料メーカーが対処すべき問題であり、自治体や消費者にしわ寄せするべき問題ではない。

そもそも、ラベルは重要な情報であるから、世界では、ラベルを剥がしてはならないと規定する国も多い。例えば、デポジット制度を採用している国は、デポジット(預り金)の支払いを識別するため、ラベルで管理する。ラベルの付いたボトルを返却すれば返金を受けられるが、ラベルを剥がしたボトルを持参しても、返金を受けられない。デポジット制度を採用していない台湾にしても、メーカーが再生工場にリサイクル費用を援助するため、国内ボトルか否かは重要な情報である。従って、台湾でもペットボトルのラベル剥がしは禁じられている。

つまり、海外の再生工場では、ペットボトルはラベル付きのまま回収・リサイクルできている、ということである。日本の工場だけがラベル付きボトルのリサイクルを嫌がるのはなぜだろうか。

ラベル剥がしを消費者に強要する国は、消費者や自治体を下に見て、消費者にムリをいうのを当然のこととし、自治体に回収義務を負わせている日本だけではないか。回収のハードルを上げることで、面倒に思う消費者がペットボトルを焼却ごみに出したり、あるいはどこかに放置したりすることも十分考えられる。

飲料メーカーは、自社の利益のためにペットボトル需要をどんどん拡大させてきた。小型ペットボトルがこのように氾濫する前に(小型ペットボトル販売・製造の自主規制解禁と引き替えに)考えられた法律が容リ法である。それが今の状況、すなわち川や海にペットボトルが散乱する状況を招いたと考えられる。つまり、散乱は消費者の責任ではなく、回収・リサイクル方法の構造的な欠陥なのだ。

この容リ法を拡大生産者責任の視点にたって見直そうというならばわかるが、今回のガイドライン変更は、日本の環境行政が、ますます自治体と消費者を締め付ける方向に動いたことを示している。

増える一方のペットボトルを、自治体に税金で回収させた挙げ句、ラベルを剥がさないとランクを下げる、とはよくいえたものだ。

対抗措置として、自治体のすべきことは、容リ法からの決別であろう。

ペットボトルに関しては、独自ルートで最寄りの再生工場に売却することから初めて、徐々に回収頻度を減らし、近い将来、自治体はペットボトル回収をやめるのが良いのではないか。やれAランクだBランクだとランク付けされた挙げ句、Aランクでも大して合理化拠出金をもらえるわけではない。有償分(廃ペットボトル売却代金に相当)にしても、これまでも回収費用の数分の1だったが、中国ルートがなくなったことから国内処理量が増えたため、今後金額は下がる一方だ。容リ協会にしがみつくメリットはないといえる。

それよりも自治体は、最寄り企業と独自に協定し、キャップやラベルなどはその契約先と協議した上で、方針を決めるべきである。わけのわからないルールに振り回され、市民を混乱させてはならない。

もちろん、自治体回収を中止できるところは中止すべきである。自治体がペットボトル収集をやめても、住民はスーパーやコンビニへ持参すればよいので、たいして困らない。むしろ回収に税金を使わずに済めば、喜ぶ住民は多い。もしそれでペットボトルを焼却ごみに出し、回収量が低下するようなことがあれば、その時こそメーカーも自主回収に動くのではなかろうか。

拡大生産者責任を回避するメーカーに、未来はない。

国に希望をいうだけでは容リ法は変わらない。メーカーの自覚を促すためにも、自治体は容リ法から決別することも選択肢として考える必要がある。国が企業の利益に最大限配慮するならば、住民の利益を守るのは自治体である。

 

 

ごみは自治体へ、儲けはボトラーへ キリンのPETビール

キリンのペットボトル入り月額制宅配ビールが売れている。キリンにとっては喜ばしいことだ。しかし、空になった容器(ペットボトル)は自治体の資源回収に出すようにとのこと。こんな大きなペットボトルを1世帯毎月4本ずつ出される自治体はたまったものではない。回収費用はもちろん税金だ。宅配できるならば、容器回収もできるのではないか。

物流の発達でこのような売り方が可能になった。この販売方法は、これからもますます増えるだろう。しかし、ごみの処理方法は相変わらず自治体まかせである。

家庭ごみが自治体まかせになった理由は、昔のごみは生ごみや灰、し尿だったからで、今の廃棄物処理法はその時代の流れをくんでいるからだ。つまり、このようなプラスチックごみは全くの「想定外」。

そもそも事業活動によって排出されたごみは、事業者責任のはず。昔の酒屋は、酒の配達時に配達先の家のびんを、リターナブルびんだけでなくワンウェイびんも一緒に引取り、配達先にごみを残すことはなかった。

以前、飲料缶のポイ捨てが横行したとき、京都市にデポジット制度を導入しようと努力された方が、飲料缶メーカーの「空き缶はくずかごへ」を揶揄し「ごみは自治体へ、儲けはパッカーへ」とおっしゃった。今もまさに「ごみは自治体へ、儲けはボトラーへ」である。せっせと自治体がペットボトルを集めて売っても、回収費用は赤字だ。ペットボトルを売って儲けるボトラーは、自治体の赤字には眼をつむり、「容器包装リサイクル法に従っている」と主張する。

ペットボトルの散乱が各地で報告されている。ペットボトルリサイクル推進協議会は、毎年それらしいリサイクル率を報告し、その高さをアピールしているがその数字に一体どれだけの信憑性があるのだろうか。

プラスチックごみの海洋汚染問題をきっかけに、世界中でペットボトルの散乱量の多さに注目が集まった。そのため、デポジット制度の議論が盛り上がり、英国でも制度導入を決定した。

宅配ビールの容器でさえ自ら回収する気がないならば、メーカーはせめてデポジット制度の導入に賛成すべきだろう。日本でデポジット制度が議論され始めたのは1980年代。経団連をも巻き込んで、飲料メーカーがこぞって反対してここまで来たが、その結果が今のペットボトルの散乱状況である。飲料缶の散乱も決して少なくない。

日本の飲料メーカーは、いつまでデポジット制度を回避し続けるつもりだろうか?

<参考(PETビールについて)>

日経TREND(2018.4.12)「キリンが1万5000人待ちの月額制ビールを始めたワケ」↓

http://trend.nikkeibp.co.jp/atcl/contents/feature/00055/00001/

日立市に続いて、武雄市でもプラ分別廃止を発表

佐賀県武雄市がプラスチック製容器包装の分別収集を4月から廃止すると発表した(佐賀新聞2018.2.16)。

茨城県日立市でも3月31日に、プラスチック製容器包装の拠点回収ボックスを終了すると発表している。

2016年度からの和歌山市でのプラ容器分別廃止は、当時多少の驚きをもって報じられたが、今ではもう誰も驚かない。おそらく多くの自治体は、「次はうちも」と考えているのではなかろうか。

武雄市も日立市も、今年度末をもってプラ容器の分別をやめ、可燃ごみとして焼却する方針である。

現在の容器包装リサイクル法は、市町村にとって協力するのがバカバカしいほど不利であることを考えると、廃止方針は理解できる。拡大生産者責任はごく一部にしか適用されていないので、まじめにやればやるほど多くの税金が必要になるからだ。マテリアルリサイクルされている、といえれば市民へのウケも良いが、ケミカルリサイクルの場合は説明すら難しい。

マテリアルリサイクルされた年でさえも、「残渣が多いし、できる製品はたかがしれている」などと聞きかじった市民からいわれる場合もある。どれが容器包装プラなのか、同じプラスチックなのになぜ容器包装だけが対象なのか、市民に理解してもらうだけでも一苦労だ。

いずれにせよ、容器包装リサイクル法は市町村の割に合わない。そのことを多くの市町村が気付き始めた、ということだ。

今のような中途半場な拡大生産者責任ではなく、回収から最終の処理段階まで生産者に責任をもたせる方向で容リ法を改正するしか、日本でリサイクル率を上げる術はない(もちろん、対象を「容器包装」に限定する必要もない)。

このままでは、ペットボトルの回収でさえも中止する市町村が、早晩現れるに違いない。

 

佐賀新聞「武雄市、プラスチック製容器包装の分別廃止」↓

http://www.saga-s.co.jp/articles/-/182206

日立市「プラスチック製容器包装の拠点回収が終了となります」↓

http://www.city.hitachi.lg.jp/shimin/007/002/001/p064328.html

日本コカ・コーラの「ビジョン」に失望

1月19日の米国のザ コカ・コーラカンパニーの100%回収するというグローバルプランを受けて、日本コカ・コーラも容器の新しい目標を発表した。

しかしながら、これはグローバルプランに比して見劣りのするプランである。

柱は以下の3つ。

■ PETボトルの原材料として、可能な限り、枯渇性資源である石油由来の原材料を使用しません。原材料としてリサイクルPETあるいは植物由来PETの採用を進め、PETボトル一本あたりの含有率として、平均して50%以上を目指します。
■ 政府や自治体、飲料業界、地域社会と協働し、国内のPETボトルと缶の回収・リサイクル率の更なる向上に貢献するべく、より着実な容器回収・リサイクルスキームの構築とその維持に取り組みます。国内で販売した自社製品と同等量の容器の回収・リサイクルを目指します。
■ 清掃活動を通じて、地域の美化に取り組みます。また、容器ゴミ、海洋ゴミに関する啓発活動に積極的に参画していきます。

要するに、原材料に植物由来原料を50%以上使うということの他は、これまでとの違いが不明である。

コカ・コーラはこれまでも、グリーンバードなどの「清掃活動」には一応協力しているはずで、「啓発活動」も1970年代の空き缶散乱問題からこのかた、効果はともかくとして、やっていたはず。

「2030年までに自社製品の包装材を100%回収してリサイクルする計画に着手する」ということが、19日に発表した目標の主旨ではなかったのだろうか?

日本では容器包装リサイクル法(以下、容リ法)により、分別収集は自治体、再商品化は製造・利用事業者、とその役割分担が決められている。例えば、誰かがペットボトルのコカコーラを買って、自治体の分別収集にボトルを出したとすると、それは税金で集められ、税金で選別・圧縮・梱包後にようやく再商品化事業者に有価で引き渡される。有価とはいえ、自治体が負担した費用を取り戻せるほど高額であるはずはなく、自治体は回収のたびに大損をする。しかし、コカ・コーラ社などが負担するペットボトルの再商品化費用などはゼロに等しい。要は、売れば売るほどメーカーは儲かるが、自治体は損をする(税金が使われる)というのが今の日本の仕組みである。

ペットボトルを使う人も使わない人も、もれなく支払う税金を使って分別収集をするということは、税金でコカ・コーラ社などの飲料メーカーを応援しているのと同じなのだ。

多くの研究者や市民団体は、分別収集責任を自治体におく容リ法はおかしい、というが、環境省が非力であるためこれまで改正されてこなかった。19日に米国で発表された目標を聞いたときは、日本コカ・コーラが率先してデポジット制度などの新たな回収スキームを計画し、これまでの自治体任せの回収から抜け出してくれれば、日本の容リ法も「外圧」により改正されるかも?という期待を抱いたが、どうも甘かったようである。

日本の現在の回収率は、自治体の税金による成果である。その上にあぐらをかいたビジョンではなく、せめて自社販売量に等しい量の缶やペットボトルを自費で回収する覚悟を決めてから、ビジョンを発表してほしかった。

世界中の海洋で汚染が指摘されている。ペットボトルは、海洋汚染物質の1つに名指しされている。日本からの流出も多い。

グローバル企業としての責任の果たし方として、19日のグローバルプランは評価に値した。しかし、今回の日本コカ・コーラの発表は、それを消し去ったように見える。

 

「廃棄物ゼロ社会を目指して。日本コカ・コーラ、容器の2030年ビジョンを発表」↓

https://www.cocacola.co.jp/press-center/news-20180129-14-1