英国でデポジット制度導入を決定

2018年3月28日、マイケル・ゴーブ環境相がついに英国にデポジット制度を導入すると発表した。
ほとんどの缶・びん・ペットボトルに最大20p(約32円)までのデポジット(預り金)がかけられることになる(TIMES以外の新聞には22pまでと記載)。所定の場所に返却すると20pは返金される。
これにより、容器=お金と考えられるため、多くの人たちが容器をポイ捨てせず返却することになる。もし、容器を捨てる人がいたとしても、誰かが拾う。このため、デポジット制度で散乱ごみは全体で約4割減ると考えられている(散乱ごみの中の4割強を占める飲料容器の散乱がほとんどなくなるため)。

英国がデポジット制度を決定した背景には、昨年9月のスコットランドによる同制度の導入決定がある。その後、環境団体の声に押され、ゴーブ環境相は英国全体での導入を検討すると宣言したが、その後なかなか進まなかった。

しかし、エリザベス女王はプラスチックを減らすことを表明し、宮殿でのストローなどの使用を禁止した。また、先日オリンピックの著名な金メダリストたちがデポジット制度を導入するよう意見書をゴーブ環境相に提出した。それらのことも今日のデポジット制度導入表明のきっかけとなったのかもしれない。

<参考>

オリンピック金メダリストもペットボトルのデポジット制度を支持↓

オリンピック金メダリストもペットボトルのデポジット制度を支持

THE TIMES: Pay more at the till for drinks cans and bottles;

https://www.thetimes.co.uk/edition/news/pay-more-at-the-till-for-drinks-cans-and-bottles-d9j7f25sf

 

PETのサーキュラーエコノミー戦略

サーキュラーエコノミー(循環型経済)についての話題を各地でよく聞くようになった。

2015年末に採択されたEUのサーキュラー エコノミー パッケージは、確かに画期的だった。経済価値も創出され、環境も雇用も守れるならば、いうことはない。

しかし、最近話題になっているサーキュラーエコノミーは、単にリサイクル率をいかに高めるかが主流になっている気がする。これでは、大量消費・大量リサイクル時代は終わらない。

先日、ヨーロッパのPETバリューチェーンがブリュッセルに集まり、PETのサーキュラーエコノミー戦略について、2日間にわたり200人以上の業界の専門家をまじえ話し合われたとのこと。

詳細な内容はわからないが、デポジット制度による回収と非デポジット制度によるそれとの比較についても話題になったようだ。

リサイクルしやすい製品設計に変えていくことが必要なのは当然だが、消費者からの使用済み製品をいかに回収するかが、サーキュラーエコノミーのカギになるはずである。

次回は、海ごみを減らすためにも、せめて散乱しやすいペットボトルは、デポジット制度により回収することを決議してほしい。

その上で、PET業界のみならず、地球全体が持続可能になるようなサーキュラーエコノミー戦略について考えてほしいものだ。

 

Recycling Magazine: Petcore: Strategy for PETin the Cicular Economy;

Petcore: Strategy for PET in the Circular Economy

 

デポジット制度:ノルウェーのペットボトルリサイクル制度

海ごみ対策として、スコットランドがデポジット制度導入を表明したことをきっかけに、英国全土でデポジット制度が検討されている。

BBCニュースで、ノルウェーのペットボトルのデポジット制度が紹介された。96%もの高い回収率を達成していることから、海洋プラスチックごみ汚染問題の解決の一助になるのみならず、資源の節約にもなるという。さらに、飲料メーカーがシステムに必要な費用を支払うため、税金も節約できる。

しかも、この映像にあるノルウェーのペットボトルはキャップが外れないタイプだ。キャップを付けたまま自動回収機に入れられ、工場へ運搬後、リサイクルされる。

日本のスーパーや行政回収では、廃ペットボトルの品質向上のためとして、キャップやフィルムを剥がすことが求められている。しかし、海外でペットボトル回収の際に、キャップ外しを要求されることは少ない(ラベル剥がしを求められることはまずありえない)。なぜ日本のペットボトルリサイクルだけが、消費者にキャップやフィルム外しを過度に要求するのか不明である(もちろん、理由はそれなりにいわれている。要は中間処理施設での圧縮や、工場での選別工程の問題であるが、納得できる理由ではない)。

日本のこのキャップ外しの習慣が、キャップの外れないペットボトルの普及を阻害し、結果として、キャップが大量に川辺や海岸に落ちている原因の1つとなっているのではなかろうか?

BBC News: Plastic bottle plan that could save oceans;

http://www.bbc.com/news/av/world-europe-42968529/plastic-bottle-scheme-that-could-help-clean-the-oceans

<関連記事>

ノルウェーのデポジット制度 高い回収率維持の理由

キャップの落ちないペットボトル

プラスチックごみによる海洋汚染問題は、地球温暖化問題同様、緊急に対処すべき問題である。

どういう種類のごみが多いかについては、数えながらごみを拾う(一社)JEANなどののデータにより判明している。

例えば、ICC2016によると、「ボトルキャップ(プラスチック)」は11番目(破片類を除くと8番目)に多いごみである。これらキャップは、コアホウドリなどの生物に誤食されている。

かつて飲料缶のプルタブは、缶から外れた。しかし、野外に落ちたプルタブで、子どもが足に怪我をしたり、動物が誤食するなどの被害が増加し問題になったことから、今ではプルタブは缶から外れなくなった(背景として、アメリカで、外れるプルタブを禁止する州が増加したことがある)。

キャップの落ちないタイプのペットボトルは既に存在している。特許がらみの問題などもあるのかもしれないが、食環協は、散乱するボトルキャップを減らすため、キャップの落ちないタイプのペットボトル以外では飲料を販売しないというルールを業界内に設けるべきではなかろうか。

もし、食環協が自主的にできないのならば、農水省か環境省が業界を指導すべきである。

ノルウェーの飲料容器自動回収機の映像を見ると、キャップ付きのペットボトルがキャップが付いたまま回収されている。

参考:「デポジット制度:ノルウェーのペットボトルリサイクル制度」↓

デポジット制度:ノルウェーのペットボトルリサイクル制度

ICC2016↓

http://www.jean.jp/activity/result/Jean2016shortR2.compressed.pdf