大阪市のペットボトル、新たな回収方法でサントリーの原料に

海洋プラスチックごみ汚染問題対策の一環として、メーカー各社がペットボトルを再生樹脂で作るという動きが国内外で広がっている。

消費者サイドで見ると、ペットボトルは削減が最も重要であることは間違いない。しかし、メーカー側としては当然の動きだといえる。

そのため、質の高い廃ペットボトルを確保するため、さまざまな動きが展開されている。

国内では、日本コカ・コーラがセブン&アイや日本財団と連携するなど動きが活発だが、サントリーも大阪市で、ペットボトル確保に動き出した。

東大和市と同様、市の約割は広報のみだが、大阪市の方は、回収に協力した団体にある程度お金が入るらしい。要するに、古紙回収のついでに廃ペットボトルも集めると、重量換算でペットボトルも売却できるというもの。

興味深い取組だと思うが、考えてみればこれはたいして目新しいことではない。関西方面では以前からペットボトルを古紙と一緒に集団回収している地域が散見されたし、東京都足立区の資源ごみ買取市も考え方は同じだ。

本来、廃ペットボトルは廃プラであるとして、運ぶにも許可が必要であるため、「専ら物(もっぱらぶつ)*」の古紙や金属類と一緒に集団回収するのは難しい部分がある。

しかし今後はおそらく何らかの手段を講じて、集団回収でペットボトルも古紙と一緒に回収する団体が増えるのではないか。

(以下、毎日新聞)

大手飲料メーカー「サントリーホールディングス(HD)」と古紙回収業「マツダ」(神戸市)の2社とペットボトルの回収・リサイクルの新たな枠組みで連携協定を結んだ。古紙回収と同様、回収量に応じた売却益を地域に還元する仕組み。

*専ら物:専ら再生利用(リサイクル)の目的となる廃棄物として、廃棄物の運搬や処分に必要な許可が例外的に扱われる。

<出所>

毎日新聞(2019.6.8)「ペットボトル コスト減・利益還元・資源確保、三方よし サントリーなど大阪市で回収」

https://mainichi.jp/articles/20190608/ddn/041/020/015000c%20class=

レジ袋有料化 例外も、容リ法改正を視野(原田環境相)

日本経済新聞(紙ベースで2019.6.7)によると、レジ袋有料化は業界ごとに課金に対応するとのことで、業界団体に所属していない個人店舗などのことはこれから検討する。例外もありうるらしい。

生分解性プラスチック(バイオベースのみ?)も例外として検討する見込み。

容器包装リサイクル法を一部改正し、対応する方向。

前回の発表とあわせて考えても、要するにレジ袋は「有料義務化」以外はまだ何も決まっていないようだ。

(以下、補筆)

経済産業相は、容器包装リサイクル法に基づく省令で対応すべし、といっている(以下、2019.6.7 JIJI.COM)。

世耕氏は「地球環境への負荷という点から、踏み込んだ政策を取らないといけない」として、有料化の方針自体は支持する考えを表明。その上で、既に容器包装リサイクル法に基づく経産省などの省令で小売店には有料化などを通じてごみを減らす努力が求められており、省令改正で有料化を実現するべきだとの考えを示した。

(再度補筆)

経済産業相の発表(2019.6.15)によると、レジ袋有料化は、2019年4月1日からの実施を目指すそうだ。

朝日新聞デジタル(2019.6.15)「レジ袋、来年4月から有料義務化 対策迫られるコンビニ」

https://digital.asahi.com/articles/ASM6H3631M6HULBJ003.html

<関連記事>

レジ袋、オリンピック前に有料義務を法制化(環境相発表)

<参考>

日本経済新聞(2019.6.6)「レジ袋有料化、「価格、業界ごとに設定を」環境相 」

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO45764950W9A600C1000000/

JIJI.COM(2019.6.7)「経産相、有料化は省令対応=レジ袋めぐり政府内で相違」

https://www.jiji.com/jc/article?k=2019060700480&g=soc

 

東大和市、セブン・イレブンとペットボトル回収

東大和市が、セブン・イレブンと協定し、ペットボトルを回収することが話題になっている。4日から回収が始まったとのこと。

市内15カ所のセブン・イレブンに自動回収機を設置し、使用済み廃ペットボトルを集め、それを再生工場まで運んでリサイクルする。

役割分担は以下の通り。

・東大和市:市民の皆様への事業の周知と適正な排出の広報
・セブン‐イレブン店舗:ペットボトル自動回収機の運用と回収したペットボトルの管理
・日本財団:セブン‐イレブン店舗に設置するペットボトル自動回収機の費用を支援
・東大和市清掃事業協同組合:店舗が回収したペットボトルの保管場所への運搬

東大和市清掃事業協同組合というのがよくわからないが、もしここが市の税金で運営されているとすると、東大和市はなぜこのようなことをしたのか?と疑問を感じる。(追記:同組合は民間なので、回収に税金は使われていないとのこと。詳しくは補筆参照)

廃ペットボトルの回収に税金を使うということは、ペットボトルに補助金を出すのと同じことだ。ペットボトルの販売量を増やすことにも繋がりかねない。もしこの回収に市が加担しているならば、市がセブン・イレブンの顧客サービスの片棒を担いでいるようにすら見える。(追記:市は回収に税金を使っていないということなので、この部分は筆者の誤解だったようだ。しかし、やはり「ペットボトルを持ってセブン・イレブンに行こう!」という広報はやめるべきではないか。市としては、セブン・イレブンも他の回収協力店と同列に扱うべきだし、ペットボトルよりもマイボトルやマイカップを推進すべきだと思う。)

(補筆)

東大和市清掃事業協同組合というのは、税金で運営されている団体ではなく、完全な民間で、社会貢献のために協力しているとのこと。従って、市の役割は広報のみ、というこなので少し安心した(少なくとも広報にしか税金が使われていないという点でひと安心)。セブン&アイと日本コカ・コーラは、容器に100%再生樹脂を使ったペットボトルの緑茶飲料を共同で企画・販売するそうなので、その原料になるのかもしれない。

<参考>

東大和市「ペットボトルを持ってセブン・イレブンに行こう!~市内全店舗に、ペットボトル自動回収機が設置されます」

https://www.city.higashiyamato.lg.jp/index.cfm/31,97323,328,732,html

 

 

 

レシートを脂取り紙に利用するのは危険(ビスフェノール類)

先日(2019.5.31)の「家政夫のミタゾノ」(テレビ朝日系)で、家事情報として「レシートを脂取り紙に」と紹介していた。顔の皮脂がよく落ちるとのこと。

しかし、最近のレシートの大半は感熱紙だ。感熱紙には、熱をかけると色が浮き出すコーティング剤が塗られている。そのコーティング材に、ビスフェノール類が使われている可能性が高い。

必要以上に皮膚と接触させない方がよいのではないか。

米カリフォルニア州では、食品容器などにビスフェノールA(BPA)が含まれる場合には、「生殖障害を引き起こす可能性がある」などの警告表示を義務付けている。そのカリフォルニア州で、ビスフェノールAの危険性を理由に、昨年レシートの提供禁止法案が議員により提出された。

EUでも昨年、ビスフェノールAの規制が強化された。

日本では、ビスフェノールAが環境ホルモンだといわれてから多くのものがビスフェノールSなどに切り替わった。そのため、日本の感熱紙はBPAよりもBPSの方が多いかもしれない。しかし、危険性はそれほど変わらないという研究結果もある。

少なくとも、これから子どもを授かる可能性のある若い人や妊婦、乳幼児は、必要以上に感熱紙に触るようなことはやめた方がよい。レシートを脂取り紙に利用することはもちろん、メモ用紙やお絵かきに利用することも、避ける方がよいと思う。

※すべての感熱紙のレシートにビスフェノール類が使われているわけではありません。

<参考>

ビューローベリタスジャパン(2018.3.29)「EUにて、食品に接触する材料および製品に含まれるビスフェノールA(BPA)規制が強化されます」

https://cps.bureauveritas.jp/news/180329.html

NATIONAL GEOGRAPHIC(2015.3.3)「欧米で回避されるBPA、代替物質も有害?」

https://natgeo.nikkeibp.co.jp/nng/article/20150302/437627/

国立環境研究所(2017.6.30)「内分泌かく乱化学物質ビスフェノールAの健康への影響:種差はあるのか?」

https://www.nies.go.jp/kanko/kankyogi/65/column4.html

Food Safety(2018.3.6)Warning: Temporary Prop 65 Safe Harbor for BPA Exposures from Canned and Bottled Foods and Beverages Has Expired

https://www.foodsafetymagazine.com/enewsletter/warning-temporary-prop-65-safe-harbor-for-bpa-exposures-from-canned-and-bottled-foods-and-beverages-has-expired/

 

レジ袋、オリンピック前に有料義務を法制化(環境相発表)

原田環境相が今日(6月3日)、レジ袋について発表した。

「できるだけ早く、実施までもっていかなきゃいけない。そのためには、法律のかたちにすることが大事」「オリンピックが来年(2020年)の夏秋ですから、それには遅れないように、ことし(2019年)から来年くらいまでに」

スーパー、コンビニ、ドラッグストア、百貨店などの事業者が一律に対象となるようだ。

有料化の方法やレジ袋価格は一律にならず、各事業者が決定するとのこと。

安い設定で消費者の歓心を得ようとする店があるのではないかと心配だ。1枚が1円や2円では、一時的には減ってもすぐに慣れ、大して減らないのではないかと思う。筆者の近所のスーパーは5円だが、多くの人が購入している。

(追記)「1枚当たり数円から10円程度を想定」しているとのことだが、イギリスなどのように最低価格を決めるべきだ。

<関連記事>

「コンビニ改心」でレジ袋有料化はほぼ完了、次のターゲットは?

<出所>

BSフジLIVEプライムニュース(2019.6.3)「【速報】スーパー・コンビニ一律対象 環境省、レジ袋有料義務化へ」

https://www.fnn.jp/posts/00418681CX/201906031839_CX_CX

YAHOO ニュース(共同2019.6.3)「レジ袋無償配布禁じる法令制定へ 環境相が表明、プラごみ排出抑制」

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190603-00000100-kyodonews-soci

 

大阪湾底にレジ袋が300万枚、底引き網にはペットボトル

関西広域連合が、大阪湾に沈んでいるレジ袋は300万枚、ビニール片は610万枚と推定した。

広域連合は、2府4県に広がる琵琶湖・淀川水系の治水や環境保全策を継続的に研究しており、昨年11月に大阪湾中央部の約8万平方メートルで底引き網漁船の網にかかったごみを調べた。その結果、レジ袋163枚、ビニール片337枚を確認。広さ1450平方キロメートルの湾全体で推計したところ、レジ袋は300万枚、ビニール片は610万枚となった。

流域人口の多さなどから、主な流入源を淀川水系と分析。2017年11~12月に実施した調査では、京都市などを流れる桂川で20リットル入りポリ袋換算で2000個超、木津川と宇治川で各400個前後のプラごみが確認され、昨年5月から続ける定点調査では、内訳として食品の包装類、ペットボトル、レジ袋の順に多いという。

流域人口の多さなどから、主な流入源を淀川水系と分析。2017年11~12月に実施した調査では、京都市などを流れる桂川で20リットル入りポリ袋換算で2000個超、木津川と宇治川で各400個前後のプラごみが確認され、昨年5月から続ける定点調査では、内訳として食品の包装類、ペットボトル、レジ袋の順に多いという。

確かに、かつての藤枝繁先生(鹿児島大)の研究で、瀬戸内海に流入する13河川の中で、淀川水系のごみが最多だった。

今回の調査で、内訳として、食品包装類が1番多く2番目はペットボトルで3番目がレジ袋、とのことだが、食品包装の中にキャンディの包み紙や菓子袋、食品トレイや弁当容器などまで含まれるならば、最多で当然だろう。むしろ、ペットボトルやレジ袋の多さに愕然とする。

今後、関西広域連合の「海ごみ抑制プラットフォーム」の対策・研究に期待したい。

<出所>

毎日新聞(2019.5.31)「大阪湾に沈む「レジ袋300万枚」、広域連合対策検討組織が発足へ」

https://mainichi.jp/articles/20190531/k00/00m/040/062000c

環境省の自治体廃プラ焼却要請の真実とG20に向けた海プラ対策ニュース(まとめ)

最近、いくつもの海ごみ関連ニュースが飛び交っているので、とりあえずひとまとめにした。

1.環境省が自治体に廃プラ焼却要請をした理由について(G20と直接関係ないが、最も衝撃的なニュースだったため加える)

焼却要請の理由は、産廃事業者の団体から自民党の議員らが頼まれたからということのようだ。要するに、不法投棄防止などは後付けの言い訳で、産廃業者とそこにゴミを委託する企業の儲けのために、自治体の焼却炉を利用するということ。バカバカしくて話にならない。

もし、手を挙げる自治体があれば、当該自治体在住者はもちろんのこと、市外在住者も「空気と水はつながっている」と廃プラ焼却受入れに反対すべきだろう。
https://www.toseishimpo.co.jp/modules/news_detail/index.php?id=6817

https://blog.goo.ne.jp/wa8823/e/3db60d7f20fbefa3434345286ca8208b

2.プラスチック資源循環戦略がようやく策定

(案)が取れ、少し長くなったが、内容はほとんど変わっていないようだ(しっかりまだ見ていないが・・)。
http://www.env.go.jp/press/106866.html

3.海洋プラスチックごみ対策アクションプランが策定

肥料のカプセル(被覆肥料)については記載されたが、日本消費者連盟など香害関連団体が禁止を要請したマイクロカプセルについては触れられていない(ここでいうマイクロカプセルとは、柔軟剤や合成洗剤等に香り成分等を包む目的で入れられている微小カプセル。これにより成分が少しずつ環境中に放出され、長時間匂いなどが持続する)。メーカーのドル箱には触れないということだろうか?また、ペットボトルについては、事業者の自販機横の回収箱設置を支援するなど、どうでもよいことばかり記載されているが、削減に向けた具体的な方策については触れられていない。そもそも環境省が事業者の回収箱設置を支援するというのもおかしい。これではまるで環境省は事業者の下請け機関だ。

「アクションプラン」というからには、このような教科書的(国会答弁的?)なことではなく、もっと具体的な内容が記載されるのではないかと期待していた。残念だ。

http://www.env.go.jp/press/106865.html

4.海岸漂着物対策法の基本的な方針の変更について

昨年6月の同法の改正に伴い、基本方針も修正された。
http://www.env.go.jp/press/106864.html

以上、最近の海プラ関連ニュースをまとめてみた。

5.少し前に、経産省から海洋生分解性プラスチックのロードマップも発表されている。

経済産業省「海洋生分解性プラスチック開発・導入普及ロードマップを策定しました」

https://www.meti.go.jp/press/2019/05/20190507002/20190507002.html

これでG20のために日本が慌ただしく用意した海ごみ対策の目玉は、ほぼ出そろったように見えるが、他の省庁のアクションプランはどうなったのだろうか。

<関連記事>

環境省、産廃の廃プラを自治体に焼却要請

海洋プラごみアクションプランと生分解性プラのロードマップ

環境省、産廃の廃プラを自治体に焼却要請

キャップ回収について(ご質問への回答)

ペットボトルのキャップを集めて回収施設に持っていくことは環境にいいことだと思っていました。しかし、いろいろなサイトを見ていると、良いこととは限らないという趣旨のものもありました。それは、リサイクル処理をする段階で二酸化炭素を排出してしまったり、キャップをリサイクル施設まで運送する際に排気ガスを出しているからということらしいです。
キャップをリサイクルしても、結局このような問題のせいで環境への影響がプラスマイナスゼロになったり、むしろマイナスの要素が大きくなってしまうことはないのですか?

あと、分別されたキャップを集めている施設は知っているのですが、ラベルを集める施設は在りますか?

回答の方よろしくお願いします。

ご質問をありがとうございます。

おっしゃる通り、キャップを単独で回収するのはメリット・デメリット両方あると思います。条件により結果も異なるため、どちらが良いかは一概にいえないでしょう。

メリットとしては、

1.キャップの単独回収により、同一素材のプラスチックが大量に集まるため、自治体で集める容器包装プラスチックなどのように雑多な種類のプラスチックが集まるよりも、マテリアルリサイクル(また製品に返るリサイクル)しやすいこと(質の高いリサイクルができれば、CO2削減にもなります)

2.もし落ちているキャップを拾って回収に出してくれる人がいれば、キャップの散乱が減る可能性があること

などがあります。

またデメリットとしては

1.キャップを運搬する際に車両から排出される排ガスやCO2、またキャップを運ぶ際に必要な袋や箱など、相応の環境負荷がある(メリット1と比べ、どちらの方が環境負荷が高いかは、いろいろな要素があり、一概にはいえません。運搬の距離や運搬方法次第では、環境負荷の方が大きくなる可能性もあります)

2.小さいキャップを回収・運搬するに当たり、その過程で散乱する可能性もあること

3.キャップやボトル本体をリサイクルするから使ってもよい、と勘違いし、ペットボトルを気軽に使う人がいるかもしれないこと

などが考えられます。

いずれにせよ、ペットボトルなど使い捨て製品は、使わないで済めば使わないのが一番!マイボトルを忘れ、どうしても使わざるを得ない場合や、山へ行く際に極力軽い装備で行きたい、などのケースもありますが、マイボトルを持参できる場合の方が日常では多いはず。もし、水道水がカルキ臭くて美味しくない、何となく不安、などとお思いならば、浄水器を付ければ済むことです。

とはいえ、使わざるを得ないケースがある以上、リサイクルは必要ですので、例えばペットボトルをスーパーの回収箱に入れに行った際に、回収箱の隣りにキャップの回収箱があれば、そこにキャップを入れるのは良いと思います。スーパーでは商品搬入の帰り便などを利用して、おそらくどこかへ運ぶでしょう。

しかし、ご存知の通り、リサイクルは使い捨て製品使用の免罪符になりがちです。そうならないように十分注意しなければなりません。

ペットボトルのラベルに関しては、自治体が決める方法で回収に出すのが良いと思います。例えば、容器包装プラスチック(容リプラ)を回収している自治体にお住まいならば容リプラとして出すのが良いでしょうし、自治体が容リプラを回収していなければ自治体が決める方法で(可燃ごみ、不燃ごみ、等)。

日本は、リサイクルのためと称し、ペットボトルのキャップやラベルを消費者に外させますが、デポジット制度での回収を実施している国などではラベルは剥がさないことが原則です。うっかり剥がすとデポジット(上乗せ金)は戻ってきません。

またEU(欧州連合)では、使用中にキャップがボトルから取れないタイプにペットボトルをデザイン変更しなければならないことが決まっています。早晩すべてのペットボトルが、ステイオンタイプのボトルに切り替わります。

ラベルやキャップが付いていても、リサイクル工場で一手間かければ問題なくリサイクルできます。日本もそのうち、EUのようにキャップが外れないタイプのペットボトルに切り替わるのではないかと、期待しています。キャップは、生物が誤飲しやすく、危険ですので、日本の飲料メーカーもその程度の工夫はすべきです。

ラベルは散乱した場合、マイクロプラスチックになりやすいので、ラベル剥がしなど本来消費者にやらせるべきではないと私は思っています。

つい最近まで、自治体の選別工程で必要だという理由で、ラベルを剥がしてはいけないと指導していた自治体が複数ありましたが、そういう自治体のペットボトルも問題なくリサイクルされていました。

お答えになっていないかもしれませんが、下記の記事も参考になさってください(ご返信遅くなり申し訳ありませんでした)。

<関連記事>

キャップが落ちるペットボトルを禁止 カリフォルニアで検討

キャップの落ちないペットボトル

時代遅れの容リ法 ペットボトル回収にラベル剥がしを義務付け

全米海ごみリスト ワースト20

デポジット制度:ノルウェーのペットボトルリサイクル制度

ペットボトルはキャップとラベルを外さずに回収する方がよい

U20メイヤーズ・サミット、特定の使い捨てプラ段階的廃止に東京と大阪が署名

G20に先駆け、5月20日から22日まで行われたU20(世界の主要都市の首長らのサミット)のコミュニケ(公式声明)が発表されている。

U20には、世界の主要都市26都市が参加。日本からは、大阪市の松井市長と東京都の小池知事が参加した。

コミュニケの内容を読むと、下記がプラごみに関する部分のようだ。

III.海洋ごみに関する深刻な状況に鑑み、廃棄プラスチックの発生を削減する。そのために、 特定の使い捨てやリサイクルしにくいプラスチックを段階的に廃止し、廃プラスチック の輸出入に関するバーゼル条約の規制に沿い、法的に拘束力のある新しい国際合意を検 討する。
IV.持続可能な開発目標12(SDG12)に従い、また、ゼロウェイスト(廃棄ゼロ)に向け、 3R(リデュース、リユース、リサイクル)や環境に配慮した廃棄物処理をさらに促進 する。そのために、2030年までに一般廃棄物の最低70%を埋立・焼却以外の方法で処理 する。

これに承認したということは、松井市長も、使い捨てプラスチックやリサイクルしにくいプラスチックを段階的に廃止し、2030年までに「リサイクル率&リユース率70%以上」を目指すということだろう。

さらに小池都知事は、プラごみの焼却を2030年までに4割減らすことも発表している。以下首都圏NEWS WEB↓

東京都は、政府の目標に先んじる形で、2050年に都内の二酸化炭素の排出量を実質ゼロにすることを、新たな目標にします。
そのうえで、実現に向けた具体的な戦略をことし12月をめどに策定し、家庭や大規模なオフィスビルから排出されるプラスチックごみの焼却量を2030年までに4割削減することなども盛り込む方針です。

都が4割減らすための具体的な方法はまだ不明だが、少なくとも環境省の廃プラ焼却の要請には応じるつもりはないようだ。

大阪市と東京都が今後どのようにプラスチック削減やリサイクル率向上、CO2削減に取り組んでいくか、注目したい。

<参考>

「2019年U20東京メイヤーズ・サミット・コミュニケ(和訳)」

http://www.metro.tokyo.jp/tosei/hodohappyo/press/2019/05/22/documents/04_03.pdf

首都圏NEWS WEB(2019.5.21)「2050年にCO2実質ゼロ目標」

https://www3.nhk.or.jp/lnews/shutoken/20190521/1000029968.html

日本経済新聞(2019.5.17)「産廃プラ、自治体の処理「厳しい」 小池都知事が見解」

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO44935930X10C19A5L83000/

環境省による産廃廃プラ焼却推進論とデポジット制度反対論は同根

容器包装リサイクル法ができたとき、これで企業が再商品化費用を支払うことになり企業責任が明確になる、と安堵した反面、本来回収責任も企業にあるはずだということが忘れられてしまうのでは?と懸念した。

世界では、回収から最終処分(リサイクルなど)までを企業責任とする拡大生産者責任が当たり前になってきている。日本が真似をしたというフランスの包装令も、制度導入当初は5割ほどしかなかった生産者責任割合をどんどん拡大している。

しかし日本では、企業責任が縮小されつつあるようだ。

その一例として、環境省が自治体の焼却炉で産業廃棄物である廃プラの焼却を推進するかのような報道があった。焼却に協力した自治体には、環境省が支援金まで出すという。

産業廃棄物を100%企業責任で処理することは当然である。どんなに困っても、これに税金を使うべきではない。

同様に、使い捨ての容器包装なども企業責任で処理すべきだ。そうでなければ、自治体が税金を使って使い捨てを応援していることになる。

最近、飲料容器のデポジット制度に対する反対意見を読んだ。日本は十分回収率が高いのだから、デポジット制度にするのは意味がないのだそうだ。しかも、本来デポジット制度はリユースできるものが対象で、使い捨てのものをデポジット制度で回収するのはおかしい、というこれまでの経緯を無視するかのような「先祖返り的」意見も制度に反対する根拠の1つになっていた。

しかしこれらの意見にはいくつもの重大な間違いがある。うち1つに、先般の報道との類似点がある。

自治体が税金を使って、なぜいつまでも使い捨てのペットボトルや缶・びんを回収しなければならないのか?例えばペットボトルは、現在、自治体が半分以上を回収し、ようやく80%程度のリサイクル率を達成している。

なぜ、自治体が、月に幾度も集積所を廻って、住民が使い捨てた嗜好品の容器を回収し続けなければならないのか?回収費用のほうが、ペットボトルの売却費用よりもはるかに高くつくにも関わらず。

自治体が税金で回収し続ける限り、ペットボトルなど使い捨て容器に補助金を出しているのと同じだから、いつまでたっても使い捨ては減らない。

企業が、生産者責任として回収費用を最初から販売代金に上乗せして回収するのが当然ではないか。しかし、消費者が容器を回収ボックスまで返却しに行くのは、自治体回収よりも手間がかかる。そのため、返却にはインセンティブ(動機付け)が必要だ。その点でデポジット制度は優れた回収制度であろう。

デポジット制度に反対する人は、まず回収責任の所在、つまり「誰が責任を持つべきか」を考えてほしい。

自治体による産廃廃プラ焼却推進意見と、デポジット制度反対意見からは、「税金で処理して当然。税金で回収して当然。みんなで使ったものだから、みんなのお金で処理しましょう」という気持ちの悪い甘え(あるいは故意に責任の所在をウヤムヤにする意図)を感じる。

この甘さが、ペットボトルや缶の消費量と散乱量を増やしているのではないか。

<関連記事>

環境省、産廃の廃プラを自治体に焼却要請

環境省の自治体廃プラ焼却要請の真実とG20に向けた海プラ関連ニュース(まとめ)