飲料容器は脱プラ?実は「脱ガラス」

最近の海外ニュースで、日本の飲料容器はペットボトルからアルミ缶に切り替わりつつある、というようなことが紹介されていた。

しかし、それはごく一部の話。実際は、「脱ガラス」が進んでいる。

日経新聞(2021.8.2)によると

「お茶や水、炭酸飲料を手掛けるサントリー食品インターナショナル(サントリーBF)は、飲食店やホテルの宴会場などで使う業務用のガラス瓶を全廃する。既に製造は終了しており、流通分が無くなれば飲食店や旅館などから今夏中にも姿を消す見込みだ。ペットボトルは家庭用と同じ生産ラインで製造できるため効率も高い」とのこと。

また、アサヒビールは「6月、チェコからの輸入ビール「ピルスナーウルケル」を瓶に加えて缶で全国販売を始めた」。

これまでは輸入元である欧州では主に瓶で流通しているため、アサヒビールが扱う海外ビールはすべて瓶で販売していたが、これからは缶に変えていくらしい。

もはや「リターナブルびん」どころか、ガラスびん全般を見る機会がなくなりそうだ。小手先のCO2排出量の計算や目先の利便性に目を奪われているのでは?とガッガリする。

脱プラの波は日本を避けてうねっているようだ。

<出典>

日本経済新聞(2021.8.2)「飲料「脱・ガラス瓶」進む お茶など業務用で全廃も」↓

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC26E650W1A520C2000000/

クジラやイルカのPCB濃度は高位安定、ペットボトルのキャップからも環境ホルモン

「2003年から2020年までの珠江河口からの幼生および成体のクジラ類におけるポリ塩化ビフェニル(PCB)の歴史的変化」という論文が発表された。

https://www.sciencedirect.com/journal/science-of-the-total-environment/vol/800/suppl/C

PCBは難分解性で体内に蓄積されやすい環境ホルモンだ。何十年も前に禁止されたとはいえ、まだ水中に残留している。クジラのような食物連鎖の上位にいる生物への蓄積は避けられない。

人間にもおそらく蓄積されているのではないだろうか。

また、同じ論文誌に東京農工大の高田先生たちの論文も掲載された。

https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0048969721044478

ペットボトルのキャップなどからベンゾトリアゾール系の化学物質が検出されている。紫外線吸収剤として使用されたもののようだ。

ベンゾトリアゾール系物質はPCBと同様、難分解性で体内に蓄積されやすい。

この手のレガシー汚染濃度は、時間がたってもあまり減らないようで、恐ろしいが、ベンゾトリアゾール系物質はまだ使用中の化学物質だ。

やはりペットボトル飲料などは、使わないに越したことがない。

オランダ、2023年から缶もデポジット制度の対象に

これまでオランダは、大容量のペットボトルなどプラスチックボトルのみを対象にデポジット制度を実施していた。そのため、デポジット制度実施国は?と聞かれた時に、オランダを実施国に入れるべきかどうか、いつも悩んでいた。

しかし、オランダ政府は昨年4月末、今年の7月1日からデポジット制度を拡大し、1リットル未満のプラスチックボトルも制度の対象に拡大すると発表した。

https://www.government.nl/ministries/ministry-of-infrastructure-and-water-management/news/2020/04/30/deposit-on-small-plastic-bottles-to-reduce-street-litter

金額は、デポジットもリファンド(返金)も15セントだ。(※日本食糧新聞(2021.12.28)によると、中小サイズのペットボトルは10セントの統一金額で7月から開始されたとのこと)

実際に7月からデポジット制度が拡大されたかはよくわからない。もしかすると、新型コロナ感染禍の影響で遅れているかもしれない、と思っていたところ、こんなニュースが報道された。

オランダの農業大臣が、ごみを減らすためにパッケージとボトル、ソフトドリンク缶、紙容器に少額のデポジットをかける法案を作っているというのだ。

また、電子機器にもクレジットを付けるか、またはバウチャーを発行するとのこと。

オランダのソフトドリンク缶は、2022年末までにデポジット制度の対象にすることが既に発表されているので、いずれアルミ缶以外にもさまざまな容器包装が、デポジット制度の対象になるかもしれない。(もしかすると、缶以外はデポジット制度ではなく、リファンドのない「投げ捨て税」のようなものかもしれない)

缶飲料に関しては、2022年12月31日までに缶飲料メーカーの責任で少なくとも15セントのデポジットをつけることが決まっている。

https://business.gov.nl/amendment/deposit-on-beverage-cans/

水やソフトドリンク、ビール、その他のアルコール飲料の缶が対象だ。

スーパーは缶(ペットボトルなどデポジット制度対象容器も)を回収しなければならないということなので、多くのスーパーにデポジット機能付きの自動回収機が設置されることになる。小規模小売店やホテル、カフェなどは回収が免除される。

ようやく2023年からオランダも他の多くの国々と同様のデポジット制度が開始されるようだ。

追記

日本食糧新聞(2021.12.28)によると、

https://news.yahoo.co.jp/articles/61d9862e32a362b8e36afc5328354d0e81bfb645

2023年1月1日から缶飲料の購入時にも課金が開始することがまっている。缶飲料への課金は15セントとなっている。ただし現行の法律だと酒類(ビール除く)、ジュース、乳製品およびシロップは課金対象外となる

とのことだ。

迷惑なのはどっち?自販機横回収ボックスのゴミ箱化

自動販売機横の回収ボックスに目的物以外のごみが三割ほど混入しているという。

確かに、レジ袋などがヒラヒラ落ちていると拾ってゴミ箱に入れたくなる。あいにく近くにゴミ箱がなく、自販機横に回収ボックスがあれば、そこに入れたくなるのがフツーの感覚だろう。落ちていたごみを拾って、自宅まで持ち帰りたい人はいない。

自販機で買った飲料をポイ捨てする人も多いから、自販機があるせいで迷惑している人が多い。自販機でペットボトルを買い、自販機前に立っている飲み干している人など見たことがない。たいていは持ったまま立ち去っている。なかにはポイ捨てする人もいるだろう。落ちている他のごみをたまに回収ボックスに入れてもよいではないか、と私などは思うのだが、自販機設置者はそうは思わないようだ。

異物が混入すると、入りきらない容器がどんどん周りに捨てられ散乱を招く、と全清飲は心配してくれるが、それならばそもそも自販機など置かないでほしい。

自販機を設置する人や飲料メーカーは自販機によって儲けられるが、その近隣の人たちの多くはポイ捨てされた飲料容器に迷惑している。回収ボックスに三割程度他のごみが混入する程度は、許容してほしいと思う。

記事によると、

「海中に漂うPETボトルなど海洋ごみは私たち日本人が出した物なのか、世界から流れてきているのか分かりませんし、どのように排出されたものが、どのような経路で海に流れ出すのかなども解明できていません」

とのことだが、海岸にも街にも川にも、しっかり日本のメーカーのラベルのついたペットボトルが多数落ちている。

「ゴミ箱じゃないよ。リサイクルボックスです」という言葉に、わかってるよと思いつつ、少々ウンザリする。

自販機を置くならば、デポジット制度で容器を回収すべきだろう。その方が、回収ボックスを置くよりもずっと回収効果が高い。「ペットボトルの100%有効利用を目指す」というのが本心ならば、すぐにデポジット制度を採用すべきだ。

<参考>

「自販機横のボックスは、ごみ箱じゃない」ペットボトルの100%有効利用を目指して↓

https://gyoppy.yahoo.co.jp/featured/152.html?cpt_n=mailmaga&cpt_m=em&cpt_s=369_1&cpt_c=&cpt_k=ang_252390_159721930_20210811

LOOP、ウェブサイトで8月31日から販売開始

以前、Loopに登録しておいたところ、昨日カスタマーサービスから連絡があった。それによると、Loop ECサイトの実証実験開始が、8月31日(火)に決定したそうだ。

いよいよウェブサイト上で販売が開始されるらしい。現在、3県(神奈川県、埼玉県、千葉県)で2000世帯を上限に二次募集を行っているそう。

「Loop ECサイトには、キッコーマン、味の素、資生堂など新しいブランドを含む17商品が登場予定」とのこと。多少商品が増えたようだ。

早くリユースびんに入った醤油やマヨネーズ、トマトケチャップを買いたいものだ(トマトケチャップのメーカーはまだ不参加?)。

LOOP(ループ)↓

https://loopstore.jp

「プラスチック・ニュートラル」は偽装エコ?

近頃、プラスチック・ニュートラルという言葉を聞くようになった。カーボンニュートラルが市民権を得ているため、それを真似た考えだ。

プラスチックオフセットという言葉も聞いた。プラスチックをどうやったらオフセット(相殺)できるというのか。リサイクルやごみ拾いのために資金提供したらオフセットできるということらしいが・・。

プラスチックを世に出す企業とリサイクルする企業(あるいはごみ拾い団体)の間を取り持つのはコンサルティング会社やNGOらしいが、いかにもインチキくさくないか。

いつまでもプラスチックを生産し続けたい企業にとってはよいアイディアかもしれない。しかし、カーボンニュートラルの考えでさえ批判されている昨今、プラスチック・ニュートラルなどあり得ない。

カーボンはオフセット(相殺)できたとしても、プラスチックは決してオフセットできないためだ。

多くのプラスチックは水平リサイクルできないし、プラスチックは生産した時点から劣化が始まる。どんなにリサイクルしても、どんなにプラごみを拾っても、プラスチック製造と相殺できるとは思えない。

オフセットできないものが、ニュートラル(中立)になどなるわけがない。

そう腹立たしく思っていたところ、フランスの第一線で活躍するプラスチック研究者が書いた『プラスチックと歩む』(ナタリー・ゴンタール、エレーヌ・サンジェ著)の文章が目に止まった。

「現在まで、リサイクルでプラスチックが消えたことは一度もなく、リサイクルされたプラスチックはバージン材の代わりにならないからだ。もしそれが可能なら、シリアルバーの包装の小袋は、間違いなく同じ素材をリサイクルしたプラスチックで作られているはずだ。つまり、どう考えても「プラスチックニュートラル」とは、人を欺く専門用語なのである。」(p.145『プラスチックと歩む』、原書房、2021)

やはり、プラスチック・ニュートラルやプラスチックオフセットは、グリーンウォッシュ(見せかけのエコ、偽装エコ)だろう。

ペットボトルのリサイクル方法、日米の違い

ナショナル・ジオグラフィック別冊の『脱プラスチック』に、ペットボトルのリサイクル方法が少し書いてあり、面白かった。

ナショジオによると「ラベルを剥がすために暖かい石けん水に浸される(ラベルを貼り付けている糊を熱で溶かす)。次にグラインダーにかけ、プラスチックをフレーク状にする。それから溶かし、濾過してナードルにするのだ。ナードルは、新たなプラスチック製品を作る工場に向けて出荷される。」とのこと(p.55)。

ナショジオはアメリカで書かれているのだろうから、これはアメリカのリサイクル方法なのだろう。

日本のペットボトルのラベルは糊付けされていないためか、「暖かい石けん水に浸される」などという行程は聞いたことがない。

この日本シーム(株)のサイトでは、ラベル剥離機で剥がされている↓

https://www.nihon-cim.co.jp/plant-system/pet-bottle.html

自治体が回収しているような住民が自らラベルを剥がした後のペットボトルが多ければ、もしかするとこの行程が省かれ、粉砕後に風力選別機(あるいは水槽式比重選別機)にかけられるのかもしれない。

PETボトルリサイクル推進協議会↓

https://www.petbottle-rec.gr.jp/more/mechanical.html

まさに、所変われば・・・で面白い。

EUのプラ規制、カップや生理用品にはどんなマークが付くの?

欧州連合(EU)加盟国では今年7月3日よりプラスチック製の皿やカトラリー、風船の棒、綿棒の軸、ストロー、マドラー、発泡スチロール製食品・飲料容器、発泡スチロール製カップ(カバー、フタ含む)などが禁止になった。

同時に、特定の使い捨てプラスチック製品に、プラスチックの含有情報や廃棄物管理方法などに関するラベル表示の義務化も開始された。

飲料用カップ、生理用品、ウェットティッシュ、フィルター付きたばこ製品などに付けるラベルは一体どんなものか。気になって調べてみた。

生理用品やウェットティッシュなどには「PLASTIC IN PRODUCT」という文字とイラスト2種(トイレに捨てるのはダメということがわかるイラストと、亀がぐったりしているイラスト)を付けるようだ。

このマーク↓

たばこのフィルターや一部にプラスチックが使われている飲料カップもほぼ同様のマークだが、完全にプラスチック製のカップは白黒のマークで「MADE OF PLASTIC」と書かれている。

これならば、生理用品やウェットティッシュ、紙コップなどを紙だけでできていると信じてトイレに流したり、ポイ捨てしたりする人は減るかもしれない。

詳しくは↓

https://eur-lex.europa.eu/legal-content/EN/TXT/?uri=CELEX:32020R2151

<参考>

JETROビジネス短信(2021.6.7)

https://www.jetro.go.jp/biznews/2021/06/88299a30b5475ed7.html

プラ新法、安全面からも指針策定を 

今日の「中央環境審議会循環型社会部会プラスチック資源循環小委員会、 産業構造審議会産業技術環境分科会廃棄物・リサイクル小委員会 プラスチック資源循環戦略ワーキンググループ 合同会議(第9回)」を傍聴した。

最初に環境省から「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律」についての説明があり、次いで各委員からのコメント、といういつもの流れだ。

全都清の委員から、収集・リサイクル工程におけるリチウムイオン電池などの安全面にも配慮した指針を策定してほしいという意見があった。

確かに、これまでに起きたリチウムイオン電池に起因するパッカー車や焼却炉での火災事故を考えると、安全面に配慮することは必要だろう。

リチウムイオン電池のような危険物を使った製品は、拡大生産者責任(EPR)のもとで、しっかりと生産者が自主回収すべきだ。火災事故による被害は、作業員だけにとどまらず、修理や買い換えなどの費用は自治体にとって大きな負担だ。

なぜ、コストは自治体負担で、儲けはメーカーなのか。

そういう点でも、この新法はEPRの視点が欠如している、と考えていたところ、最後に座長の言葉に唖然とした。

この新法は従来のEPRよりももっと優れた日本ならではの??があるそうだ。エレン・マッカーサー財団がこだわるEPRはもう古いのだとか。

??部分はあまりにも驚いたため忘れてしまったが、EPRの神髄のようなものが新法にはあるらしい。

それにしても、日本流とか日本式などのような日本独自のスタイルに進化させることが、日本の研究者や産業界はお得意だ。いつのまにかEPRの考え方まで日本流に変化させたようだ。私には、ガラパゴス化したようにしか見えないけれど・・。

今日の資料は以下↓

https://www.env.go.jp/council/03recycle/9_4.html

1歳の雌死亡、シカのレジ袋被害は止まらない

奈良のシカはプラスチックごみを誤食し、被害を受けている。プラごみのなかでも、レジ袋のようなフィルム状のものは特に被害を受けやすい。紐状になり、排泄も吐き戻しもできずに、第一胃にたまったり、張り付いたりするからだ。

レジ袋有料化により、多少はレジ袋が減った。レジ袋が減った分だけ被害も減っただろうが、今でも有料化の抜け穴を利用して、レジ袋を無料で配っている店も多い。

また、有料で購入する人も少なくない。1円2円などと安く買えるため、その程度の値段ならばとためらわず買う人も多いのだ。

そのため、奈良のシカの被害は止まらない。

奈良の鹿愛護会のブログによると、1歳の雌ジカがプラごみを食べたことにより死亡したという。誤食したプラごみの写真を見る限りでは、レジ袋のようだ。

「プラスチックごみが第一胃の奥の方に詰まっており、それより先の消化管に食べ物があまり入っていなかったことから、プラスチックごみが食べ物の通過を邪魔して栄養不良となり、死亡に至る原因の一つになったのでは、と推測」されるとのこと。

<参考>

一般財団法人奈良の鹿愛護会ブログより