PFAS:ドイツの米軍基地は責任を認め、4億円かけ自ら浄化

ドイツの拡大生産者責任は世界的にも有名だ。

そのドイツでは、駐留する米軍兵士までもが生産者責任(というか汚染者負担の原則)をまっとうしようとするようだ。

バイエルン州にある米陸軍駐屯地の飛行場では、約10年前に消火訓練場周辺の土壌と地下水がPFASで汚染されていることがわかった。米陸軍は、汚染した地下水が基地外に流出しないように9つのの井戸を掘ってポンプをくみ上げ、浄化して小川に流す計画を策定。工事費として約260万ドル(約4億円)を計上したとのこと。

4月10日に工事の起工式が開かれ、駐屯地司令の大佐が「飲料水を守り、環境を大切にすることは、国籍に関係なく全ての市民の責任です。米軍兵士として、私たちはどこに駐留していても良き市民でありたい」と語ったとのこと。

https://x.com/kakusanbuchoo/status/1797776721141436692

日本の米軍関連施設の人達も、「良き市民」として日本に駐留してくれればよいけれど、日本ではどうなのだろうか。

犬とヒトの精巣からマイクロプラ。塩ビやPETは生殖能力に影響か

以前から人間の精巣にマイクロプラスチックがあることは知られていたが、今年5月に発表された米ニューメキシコ大学の論文によると、生殖能力にも影響を及ぼしている可能性がある。

https://academic.oup.com/toxsci/advance-article-abstract/doi/10.1093/toxsci/kfae060/7673133?redirectedFrom=fulltext

これまではフタル酸エステルやビスフェノール類などの環境ホルモン(内分泌かく乱化学物質)作用のある化学物質が、少子化に大きく影響するといわれていたが、マイクロプラスチックも影響している可能性が高いようだ。

米ニューメキシコ州で死亡した23人の男性と、去勢手術を受けた47頭の犬の精巣で調べたところ、精巣1グラムあたりのマイクロプラスチックの平均濃度は、体組織1gあたり329.44マイクログラム。また、犬の精巣のマイクロプラスチックのそれは、1グラムあたり122.63マイクログラムだったとのこと。

12種類のマイクロプラスチックが見つかり、最多はPE(ポリエチレン)だ。

また、犬の精子の数とマイクロプラスチックの比較では、PEは相関関係は認められなかったが、PVC(塩ビ)とPET(ポリエチレンテレフタレート)は認められた。PVCとPETは精子の形成を妨げるようだ。PVCの濃度が高いと精子の数が少ない傾向があった。

精巣内に蓄積されたマイクロプラスチック、とりわけPVCとPETは、少子化に影響しているようだ。

精巣から検出されたマイクロプラスチックの発生源は多数考えられるが、一番可能性が高いのは、PVCは壁のビニールクロスやクッションフロア(塩ビ製床材)、PETはペットボトルだろうか?

南橋本の汚染源はやはりスリーエム。相模原市長はPFAS汚染をどう考えているのか

相模原市南橋本の汚染源(あるいは汚染源の1つ)はやはりスリーエムジャパングループの「スリーエムジャパンイノベーション相模原事業所」(以下、3M)であることが判明した。

これまでの時系列は以下になる。

・2022年10月7日:3Mが相模原市にPFAS汚染結果を報告。資料「スリーエムジャパンイノベーション相模原事業所のPFAS類分析結果」によると、3MのPFAS分析(サンプル採取)は5/27、7/26に行われ、3M敷地内の井戸#5ではPFOAが優勢(最高値が7/26で870ng/L)、他の井戸や雨水池手前、雨水池ではPFOSが優勢(最高値が7/26の井戸#7で360ng/L)で、PFHxSやPFHxA、PFBS、PFBAも検出されている。

・2022年10月13日:相模原市の調査で中央区南橋本のPFOAが1500ng/L、PFOSが37ng/L

・2023年8月2日:相模原市の要請により3Mが井戸#5の分析結果を市に報告。これによると、2022年10月6日に採取された井戸#5から1700ng/LのPFOAを検出

・2023年10月23日:相模原市が中央区南橋本の地下水を分析。結果はPFOAが1400ng/L、PFOSが29ng/L、PFHxSが20ng/L

・2023年12月26日:3Mが市を訪問。そのときの資料によると、井戸#5(サンプル採取日10/23)の結果はPFOAが1300ng/Lなど。放流水(サンプル採取日10/6)の結果はPFOSが520ng/L、PFOAが59などと放流水はPFOSが優勢。井戸#7はPFOSが210ng/L、PFOAが160など。また、市の分析場所を3Mがクロスチェックしたところ、PFOAが1300ng/L、PFOSが23ng/L。

・2024年3月 :市民団体「相模川さがみ地域協議会」が市へ公文書公開請求

・2024年4月 :相模原市は黒塗りの文書を開示。南橋本の企業が市に相談していたことは明かしたものの、企業名は秘匿

・2024年4月25日:再度、同協議会が公文書開示請求を行う

・2024年5月25日:市が公文書を開示。相談企業が3Mだということを公式に認める

・2024年5月31日:市と協議会が面談。協議会が出していた質問に市が回答

以上でわかったことは、相模原市の隠蔽体質(3Mに忖度しているように見える)と南橋本の汚染源の1つはやはり3Mだったことだ。しかも、同社は今でもPFAS入りの水を放流していて、それについての有効な手段を市は打てないでいる。

わからないのは、3M相模原事業所は工場ではないとHPには書かれているが、何を製造(あるいは研究)し、PFASを流出させているのか、ということ。相模原事業者が絡んでいる同社のフッ素系の商品は同社資料によると、粘着テープとポストイット、フッ素系不活性液体とのことで、既に製造を中止した商品は泡消火剤だ。

一番、わからないのは相模原市長がなぜ無言のままなのかという点だ。何を考えているのかさっぱりわからない。ふつうならば、市の財産(土地)を汚染した汚染者に対し、現状復帰を求めるはずだと思うのだが、何も感じていないのだろうか?