東京海上がJEPLANの技術を利用し、PETのリサイクル保険

東京海上日動火災保険が、サーキュラーエコノミーを促すための保険商品を開発したようだ。

輸送・保管中に中身の入ったペットボトルなどを事故痔破損した場合、ケミカルリサイクルの利用費や工場への輸送費を払うとのこと。

「保険料は年数十万~数百万円で、保険金は数百万~数千万円となる見込みだ。保険料収入は今後3年間で年数億円をめざす」(日経2022.8.24)そうだ。

ペットボトルのケミカルリサイクルを担うのは、JEPLAN(今年5月に日本環境設計から社名変更)。

東京海上日動火災保険は、JEPLANと資本業務提携契約も締結した。

https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20220824&c=DM1&ng=DGKKZO6369377023082022EE9000

JEPLANは最近、佐賀市や宮津市など自治体ともペットボトルの水平リサイクルに関する連携協定を締結している。

ここまできたら、もうペットボトルは容リ法の対象から外すべきだ。

トムラ、最小の飲料容器自動回収機を開発

飲料容器の自動回収機の世界トップメーカー・トムラ(ノルウェー)が、びん・缶・ペットボトルを選別・保管できるこれまでで最小の自動回収機を開発した。

日本のペットボトル自動回収機も多くはトムラ製。ローカルデポジットが流行ったときは、国内でも缶などの自動回収機が開発されたり、オランダ製の回収機もあったりしたが、ローカルデポジットが廃れてからはトムラ製以外あまり見かけなくなった。

最近はコンビニ用に、トムラと一緒に日本で作った小さいペットボトル自動回収機もあるが、コンビニ用はあくまでもペットボトルしか回収しない。

しかし、多くのデポジット制度導入国では、回収品はビン・缶・ペットボトル。それに加えて、紙パックまでデポジット制度の対象にしている国もある。ペットボトルしか回収しない自動回収機など役に立たない。

今回、トムラが開発した自動回収機は、小さいスーパーにも置けるように必要な床面積は0.62平方メートルとのこと(幅98cm、奥行き63cm、高さ165cm)。最大270本のペットボトル、缶550個、ビンは砕かずに80本回収できるそうだ。

まもなくスコットランドでデポジット制度が開始されるはずなので、この自動回収機は狭い英国のスーパーを視野に開発されたものかもしれない。

<自動回収機の出典>

https://www.kioskmarketplace.com/news/tomra-introduces-smallest-reverse-vending-machine-for-container-recycling-2/?eType=EmailBlastContent&eId=7ffe8680-345b-4781-9c77-3fb76c54618e

富山市の川ごみ、やはりペットボトルが多い

富山市は、市内の川や用水路にフェンスを設置し、海へのごみ流出を防いでいる。日本財団と一緒に3年前から毎年行っているそうだ。

去年は3カ所の川に半年間設置し、180キログラムのごみを回収したとのこと。

https://www3.nhk.or.jp/lnews/toyama/20220810/3060011109.html

今年も行うという。

これまでの結果を富山市のウェブサイトで探したところ、これだけ見つかった↓

https://www.city.toyama.toyama.jp/data/open/cnt/3/3487/1/reiwa2abakekka.pdf?20210609103756

5日間の結果だけだが、ペットボトルごみの比率の高いことがわかる。

がめ川では回収ごみ373kgのうち5%がペットボトル(草木80%、ペットボトル以外のプラごみ5%、缶・びん3%)、広田用水では147kgのうちペットボトルは1%(草木92%、ペットボトル以外のプラごみ4%、缶・びん0%)、千俵用水では49kgのうちペットボトルは3%(草木91%、ペットボトル以外のプラごみ2%、缶・びん1%)とのこと。

やはり、ペットボトルごみの多いことがわかる。

缶・びんが少ないのは、発生量の差だけでなく、重いためフェンスに引っかかりにくいせいだろう。

ペットボトルも缶もびんも、全国回収率は90%以上だと業界団体は報告しているが、これほど流れているものがそんなに回収されているとは思えない。

正確な回収率を知るためにも、やはりデポジット制度が必要だ。

インド、7月から使い捨てプラ規制を強める

インドが7月1日から使い捨てプラスチックの規制を強化した。

前から予告はされていたけれど、ようやく実現した。

「インド環境・森林・気候変動省(MoEFCC)は、7月1日からポリスチレンおよび発泡スチロールを含む特定の使い捨てプラスチック(Single Use Plastic:SUP)製の袋、カップ、ストロー、皿、ペットボトル、特定の個別包装などの違法な製造、輸入、在庫、流通、販売、使用の禁止規則に対して、国および州レベルの管理室を設置し厳格化する」(JETRO, 2022.7.12)

とのこと。

https://www.jetro.go.jp/biznews/2022/07/939dbf28ffa25da5.html

朝日新聞によると、違反者には罰金が科される可能性があるそうだ。

「インドで1日、スプーンやフォークなどの使い捨てプラスチック製品の製造や輸入、販売、使用を禁止する規則が施行された。地元メディアによると、違反者は最大で5年間、刑務所に収容されたり、10万ルピー(約17万円)の罰金が科されたりされる可能性があるという」(朝日デジタル, 2022.7.1)

https://www.asahi.com/articles/ASQ7166MVQ71UHBI01X.html

また、「一部の報道によると、違反者には最大5年間、刑務所に収容されるか、10万ルピー(約17万円)の罰金が科される可能性がある」という報道もある(ELEMINIST, 2022.7.8)

https://eleminist.com/article/2164

デリー州で10日間猶予したという報道もあるが、概ね開始されたようだ。

具体的な禁止品目は

「プラスチック棒付き耳かき、風船用プラスチック棒、プラスチック旗、キャンディー棒、アイスクリーム棒、装飾用ポリスチレン、プラスチック皿、カップ、グラス、フォーク、スプーン、ナイフ、ストロー、トレイ、菓子箱の周りの包装または梱包フィルム、招待券、タバコの包み、100ミクロン未満のプラスチックまたはPVCバナー、撹拌機などです。さらに、一定の厚み以下のビニール袋も年末に禁止される」(ESG Journal, 2022.7.11)

とのこと。

ペットボトルについては、ラベルが禁止になったということのようだが、詳しい規制は不明だ。

ポカリスウェットがビンで発売

LOOP(ループ)にビン入りのポカリスウェットが加わったそうだ。

https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/93956

イオンやイオンスタイル66店舗で販売され、250mLで248円。ビンを返却すると、77円が返金される。

これはかなりうれしい。

しかし、できればポカリ以外の飲料がよかった。私自身、ポカリを買うのは山などへ行くときだけなので。

すべての商品がこのような容器でフツーに買えるようになれば、今のような大量廃棄社会はなくなり、もう少し安心して暮らせるのに、と思う。

南極の新雪にマイクロプラ、北極より少ない?

ニュージーランドのカンタベリー大学の研究チームが、南極の新雪からマイクロプラスチックを検出した。

これまでも、北極(ノルウェー領スヴァールバル諸島)の雪からマイクロプラスチックが検出されたとか、南極の海中から検出されたというニュースはあった。

だから驚くにはあたらないが、南極の新雪からというのは始めてだ。

チームは、西南極のロス棚氷に積もった雪の上部2cmから19サンプルを採取し、調べたところ全てのサンプルからマイクロプラスチックを見つけたという。

「観測基地の近くで採取されたサンプルからもっとも多くのマイクロプラスチックが見つかったことから、プラスチックは旗や調査機器、ジャケットのような合成衣料、あるいはごみに由来する可能性があると考えているそう。また、北極での調査結果のように、風に数千キロ運ばれたり、南極海で水しぶきに巻き上げられたりしたマイクロプラスチックが南極大陸に降下した可能性もある」そう。

https://news.yahoo.co.jp/articles/6286ab0f6283c862cfcecda4faf28b791b8f9af0

見つかったのは119個で、13種類のマイクロプラスチックだそう。雪解け水1リットル当たり、平均29.4個とのことで、一番多かった樹脂はPET。

PET樹脂は重いから、海底からも見つかっているが、富士山頂の大気からも見つかっている。PET樹脂のマイクロプラスチックが見つからない場所は、もはや地球上には存在しないようだ。

ペットボトルやポリエステル繊維は、リサイクルはしやすいけれど、もっと規制した方がよいのでは?

それにしても、以前発表された北極域での雪のマイクロプラスチックは1リットル当たり1万個以上あったということだったはず。南極は北極より少ないのだろうか。

それとも、検出方法が違うためか、それとも対象のサイズが違うためだろうか?

<参考:2017年の南極の海洋からマイクロプラスチック検出の研究(英ハル大学、他)>

Science of The Total Environment, 2017.11

https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0048969717308148

米国「プラスチック汚染からの脱却法」

アメリカでプラスチック汚染からの脱却法の法案が現在、上院財務委員会に付託されているという。

どうなるか楽しみだ。もし、この法案が通過したら、アメリカは変わる。

もともとはジェフ・マークリー上院議員とアラン・ローウェンタール議員によってトランプ時代に提出された。しかし、通るはずもなく、2021年3月に再提出された。その後どうなったのかわからず、気になっていた。

この法案の画期的なところは、自治体レベルではなく、国全体での廃棄物規制が実現されること。しかも、画期的な規制だ。

主な骨子は次の通り。

1.プラスチック製容器包装の拡大生産者責任プログラム(EPR)

2.飲料容器のデポジット制度を全国10セント(容器1個当たりの保証金額)で導入(アメリカでは確か既に10州で実施されているが、まだ5セントの州もある。5セントでは効果が薄くなっている)

3.再生材利用の義務化。2040年までに再生プラスチックを最低80%含有させること

4.プラスチック製造施設の許可の発行に3年間のモラトリアムを導入することで、プラスチック生産を大幅に削減する

この法案は、化学工業会などから猛反対されているようだが、もしこれが通ればアメリカにも欧州並みの規制ができることになる。

<参考>

https://www.wasteinfo.com/news/wbj20220603A.htm?eType=EmailBlastContent&eId=429de508-61ac-4e8b-88de-f89b0db8c971

仏コカコーラ、飲食店内はガラスびんに切り替え。英コカコーラ、ひも付きキャップに

欧州のコカ・コーラは環境に配慮し始めたようだ。

フランスのコカ・コーラユーロパシフィックパートナーズ(CCEP)は2022年末までに、フランス国内のホテルやレストラン、カフェで提供する容器に入ったすべての飲料を詰め替え可能なガラスビンに変更するそうだ。

https://www.packaginginsights.com/news/coca-cola-france-moves-all-packed-beverages-to-refillable-glass-bottles-in-hospitality-sector.html?utm_source=ActiveCampaign&utm_medium=email&utm_content=24+May+%7C+Behn+%2B+Bates++zero-hunger+concept+-+Coca-Cola+France+s+refillable+bottle+transition+-+IFFA+2022%3A+Amcor+bends+to+global+market+challenges&utm_campaign=2022-05-24+Daily+Newsletter+PI&eType=EmailBlastContent&eId=45c3773d-658e-490b-810b-244a82d384a4

また、EUでは2024年7月3日以降、3Lまでの飲料容器は開栓後もプラスチック製のキャップはボトルにしっかりと取り付けたままにする必要がある。キャップがペットボトル本体から離れてはならない。

そのため、EU域内で販売する各メーカーは対策しているが、コカ・コーラはイギリスでも同様に対策をとるようだ。英国全土で、テザーキャップに切り替えることを発表した。

https://www.packaginginsights.com/news/coca-cola-lightens-environmental-impact-with-new-neck-design-and-attached-caps-for-pet-bottles.html?utm_source=ActiveCampaign&utm_medium=email&utm_content=18+May+%7C+Coca-Cola+s+lightweighted+bottle+necks+and+attached+caps+-+EuPC+annual+meeting+preview+-+WPO+publishes+Waste+Stream+Mapping+Guides&utm_campaign=2022-05-18+Daily+Newsletter+PI+%28Aicomp+Webinar%29&eType=EmailBlastContent&eId=390b7250-4988-4648-b160-ed8a95c26565

飲料自販機に回収ボックスがない!

最近、自動販売機横にあるはずの回収ボックスが減っている。

気になって調べたところ、商店街では約半分の自販機に回収ボックスがない。

住宅街や大きな通りに面したところでは3割はなく、平均すると、約4割の自販機に回収ボックスがないようだ。

数年前に「ポイ捨て禁止条例」が緩和された相模原市の傾向だろうと思っていたところ、先日出かけた藤沢市でも回収ボックスのない自販機が目に付いた。

他地域の人も同じような感想を持っていたところを見ると、どうも全国的な傾向のようだ。

条例で、回収ボックスの設置を義務づけ、自販機設置を自治体に届け出る義務のある自治体でない限り、「異物混入」や「置くスペースがない」ことなどを理由に、回収ボックスは避けられているようだ。

しかし、回収ボックスを置かないならば、「飲料自販機を置く権利はない」ことを設置者は認識すべきだろう。

ごみの垂れ流しはやめてほしい。ペットボトルはもちろんのこと、飲料缶にもプラスチック(塗料)が使われている。

缶もマイクロプラスチック汚染の原因物質だ。

使い捨てプラは環境汚染の「時限爆弾」、マイクロプラは免疫系の病気に影響

使い捨てマスクやウェットティッシュがポイ捨てされている。先日、藤沢市の環境団体が行った「数えるごみ拾い」に参加したところ、筆者も町中でマスクを5枚ほど拾った。

BUSINESS INSIDER(2022.3.7)によると、

「世界中で毎月1290億枚のマスクが使用されている。これはざっと毎分300万枚の計算」で、「2021年の経済協力開発機構(OECD)の報告によれば、コロナ禍が始まってから世界における使い捨てプラスチックの消費量は4倍に急増した」とのこと。すごい量だ。

https://www.businessinsider.jp/post-250818

ウミガメもマスクを飲み込んでいるということが以前報道されていたが、ウミガメ以外の生物もさぞ迷惑しているだろう。

同記事によると「プラスチック業界は、コロナ禍をチャンスと捉えました。政策立案者や一般の人たちに対して、再利用可能なマスクは汚くて危険だから、安全のためには使い捨てプラスチックを使う必要があると必死に働きかけた」とのこと。

一昨年、レジ袋有料化や廃止を妨害するため、日本でも欧米でも、まるでマイバッグにコロナウイルスが付着しているかのように喧伝されたことを思い出す。

プラスチック業界にとって、使い捨てプラスチックをなくすことなど、あってはならないようだ。使い捨てマスクを使うか、リユースできる布製マスクを使うかは時と場合によると思うが、プラ業界の宣伝に踊らされないように気をつけたい。

マイクロプラスチックが人体にも悪影響を与えることは既にわかってきている。免疫系の疾患にも影響を与えているようだ。

今年、国際学術誌に発表された中国の研究によると、食品や大気に含まれるマイクロプラスチックは、炎症性腸疾患(IBD)にも影響を与えている。

https://pubs.acs.org/doi/10.1021/acs.est.1c03924

炎症性腸疾患とは、「ヒトの免疫機構が異常をきたし、自分の免疫細胞が腸の細胞を攻撃してしまうことで腸に炎症を起こす病気」とのこと。比較的若い人が発症するそうだ↓

https://www.mitsuihosp.or.jp/division/department/digestive-i/ibd/

使い捨てプラスチックは、環境汚染にとっても人類の未来にとっても「時限爆弾」だ。