中川環境相 海洋プラスチックごみ対策を中央環境審議会に諮問

中川環境大臣が、7月13日、プラスチックごみの海洋汚染問題の対策を中央環境審議会に諮問した。

中央環境審議会では「プラスチック資源循環戦略小委員会」を設置し、プラスチックの資源循環を総合的に推進するための戦略の在り方について検討する。

具体的には、今年度内に、先般のG7で署名しなかった「海洋プラスチック憲章」の事項や数値目標などを検討し、日本でも可能な事項や目標値を設定するものと考えられる。その上で、それを来年のG20で披露するつもりだろう。

<出所>

環境省「中央環境審議会循環型社会部会議事次第・資料」↓

https://www.env.go.jp/council/03recycle/post_136.html

 

 

国連大学とペットボトル

先日、国連大学にて開催されたエコロジカル・フットプリントの考案者であるウィリアム・リース先生の講演会に参加した。

講演会開始前、司会者が「飲料につきましては、キャップのできるペットボトル飲料の水・お茶のみ会場内で飲むことができます。」とアナウンスしたので、驚いた。

え!ペットボトルの水とお茶だけ?水筒はダメなの?

聴衆は外国人も多く、外国人は水筒を持参している人が少なくなく、ペットボトル持参者はいなかった。日本人は水筒持参者もいたが、ペットボトル持参者も少なからずいる。

ペットボトルしか許されていないのならば、水筒をバッグにしまうべきかとも考えたが、講師やパネラーの席にはペットボトルではなく、コップに入った水が置かれている。

水筒持参者は全員司会者の注意を無視し、水筒を使い続けていた。

国連大学の中は、なぜペットボトルの水とお茶しか飲用してはいけないのか?国連環境計画(UNEP)は使い捨てをやめようと言っているのに、国連大学ではペットボトルを推奨しているのか?などと考えながら、リース先生のオーバーシュートの話を聞いた。

小型ペットボトルを多用している限り、オーバーシュートは避けられないだろうと思う。

時代に逆行?キューピードレッシング

キュービーはドレッシングの容器を、150ミリリットル入りのガラスびんボトルから180ミリリットル入りのプラスチックボトルに変更するとのこと。

脱プラスチックを目指し、各国が包装材への規制を強める中、日本のメーカー各社は脱プラスチックを目指しているようには見えない。

国の海洋プラスチックごみへの対応の鈍さが、民間企業にも伝染しているように見える。

マクドナルドなども海外ではストローをプラスチック製から紙製に切り替えているが、日本では切り替えるという話は聞かない。

日本の消費者は環境に疎いから、何をしても大丈夫!と企業から思われているのではなかろうか。

<出所>

日本経済新聞(2018.7.4)「キユーピー、ドレッシング容器刷新 使い切り想定」↓

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO3256567003072018XQH000/

 

 

ルーマニアでレジ袋禁止 2019年1月から

ルーマニアで、持ち手のあるレジ袋が禁止される。

2018年7月1日以降は、国内市場における事業者向けの販売が、2019年1月1日以降は消費者向けも含めた全ての販売が禁止されるとのこと。

フランス同様、50マイクロメートル以上の厚手のレジ袋は、再利用できるとして、規制の対象外だ。

違反者には罰金が科せられる。

<出所>

JETRO(2018.5.1)「環境保護のためレジ袋の取り扱いを規制(ルーマニア)」↓

https://www.jetro.go.jp/biznews/2018/05/f8fe620b989dc185.html

 

日本 規制遅れ、健康への影響も懸念

近年、多くの環境対策が後手に回っている日本だが、中でもレジ袋の規制遅れが著しい。

世界では既に67カ国で、禁止や有料化などの措置が取られているという。

この数は既に導入済みの国で、導入することが決まっている国(例えばモンゴルなど)も合わせると、かなりの数に上る。

日本のレジ袋対策は、いまだに事業者の「環境意識」に任されているため、自治体が努力して有料化協定を結んでも、「顧客離れ」などを理由に協定から離脱するスーパーも少なくない。コンビニにいたっては、大手チェーンなどはこれまで協定の席にすらつこうとしなかった。

レジ袋の素材であるポリエチレンは、PET樹脂などに比べても化学物質を引きつける力が強く、しかもすぐに劣化し、ボロボロになる。マイクロプラスチックの大きな発生源の1つだ。

有害化学物質を吸着したマイクロプラスチックを食べた生物への影響や、魚介類をとおしてヒトの健康への悪影響も懸念される。

かつて、海洋ごみ問題の先駆者である北海道大学の小城先生が、海のプラスチックごみの害について、ジワジワシンドロームだとおっしゃっていた。影響がジワジワと浸透し、人間が海洋プラスチックの被害に気付いた時には既に手遅れになっているだろうとのことであった。

レジ袋は顧客サービスではなく、マイクロビーズと同様の有害物質だということに、日本政府も早く気付き、手を打つべきだろう。

<レジ袋規制国数についての出所>

東京新聞(2018.6.30夕刊)「使い捨てプラ 日本規制遅れ 世界60カ国以上で生産禁止や課金」↓

http://www.tokyo-np.co.jp/article/world/list/201806/CK2018063002000276.html

 

日本 来年のG20でG7目標を上乗せか

2019年6月28日・29日に大阪で開催されるG20サミット首脳会議で、日本は先般拒否したG7の「海洋プラスチック憲章」の目標を上回る目標を発表するようだ。

以下、時事通信 官庁速報(2018年6月27日)より

「サミットで日本は、国内の企業や消費者の理解を得る必要があるとして、合意を見送った。しかし、目標自体は十分に達成できる可能性があることから、さらに上積みした目標を盛り込んだプラスチック資源循環戦略を19年6月までに取りまとめ、同月に大阪で開かれる20カ国・地域(G20)首脳会議でアピールすることにした。

しかし、日本が署名しなかった海洋プラスチック憲章は、プラスチックのリサイクル率目標だけではない。日本が達成できそうな目標は「2030年までに、プラスチック用品を全て、再利用可能あるいはリサイクル可能、またはどうしても再利用やリサイクル不可能な場合は、熱源利用する」ということや「2030年までに、可能な製品について、プラスチック用品の再生素材利用率を50%以上にする」、あるいは投資を加速させることについてなどの項目である。

これらの項目については、言葉の解釈の仕方でいくらでも言い逃れ(達成)できる。例えば、日本が2030年までにペットボトルを50%再生材で作ることはそれほど難しくない。技術的には現在でも十分可能なはずだ。

投資額を多少増加させることについても難しくないはずだ。これまで日本が行ってきた投資は、抜本的にプラスチックごみを減らそうというものではない。例えばセブン・イレブン店頭にペットボトルの自動回収機を設置することに環境省は補助金を出したが、これなどはどうみても、使い捨てを助長する投資だ。ペットボトルの消費拡大にはつながるが、ポイ捨てを減らすことには働かないだろう。セブン・イレブンまでペットボトルを持参し、0.2円分のポイントを得ようとする人はもともとポイ捨てするような人ではなく、自治体回収やスーパーの回収ボックスにペットボトルを排出していた人たちだ。

これまでおこなってきたこのような投資先を見直した上で、金額を多少上乗せすることは、それ程難しくない。

問題は、「不必要な使い捨てプラスチック用品を著しく削減する」ことである。これを、日本は本当にするのだろうか?

国連や、G7の海洋プラスチック憲章が、日本のような国(回収率はそこそこ高いが、使い捨てプラスチック製品を多用している国)に本当に求めていることは、リサイクル率を上げることよりも、大幅に使い捨て製品を減らすことではなかろうか。

そうでなければ、今と変わらない「大量生産・大量消費・大量リサイクル」になってしまう。使ったものを100%回収することは、今の日本の回収システムでは不可能で、その結果が今の川ごみや海ごみの現状だ。

リサイクル率を上げることも大事だが、それよりもまず、使い捨てのプラスチック製品を大幅に削減できるような方策(例えば、使い捨てプラスチックコップや使い捨て食器の段階的禁止や課税、レジ袋の禁止、ペットボトルを規制できない場合はデポジット制度により100%の回収を目指す、など)を考えるべきである。

<関連記事>

「プラスチック資源循環戦略」策定へ

 

インド 使い捨てプラ禁止違反でマックやスタバに罰金

インド第2の州マハラシュトラ州(人口1億人以上)で、使い捨てプラスチックの使用を禁止する州法が施行され、マクドナルドやスターバックスなどの大手チェーンが相次いで罰金を命じられた。

州法は2018年3月に発表され、同年6月23日施行された。インドの29州のうち少なくとも25州で使い捨てプラスチック禁止が制定されている。厳格に執行されている州ばかりとは限らないが、マハラシュトラ州では即座に取り締まりに乗り出したという。

マクドナルドは、これまでのプラスチック製品を木製容器やコーンスターチ製のストロー、紙コップに切り替えたものの、デリバリー用の飲料容器のフタについては代替品を見つけられなかったと説明している。スターバックスはコメントしていない。

罰金は、初回5000ルピー(約8000円)、2回目以降は2万5000ルピー(約4万円)、悪質な場合は禁固刑もありうるとのこと。医薬品や牛乳などは例外。

<出所>

CNN(2018.6.26)「インドの州がプラスチック禁止、スタバやマックに罰金」↓

https://www.cnn.co.jp/business/35121438.html

関連記事

インド 2022年までに使い捨てプラスチックを全排除

モンゴルでレジ袋の禁止決定 2019年3月から

モンゴル政府がレジ袋禁止を決定した。2019年3月1日からレジ袋の販売・使用を禁止するとのこと。

祭典や行楽地などでのレジ袋やペットボトルのポイ捨てが問題となっていたこと、レジ袋の輸入量が増加の一途を辿り、2017年は過去最高で5年前の3倍にもなったことが、今回の禁止の背景にあるそうだ。

<出所>

JETRO(2018.6.26)「プラスチック製レジ袋、2019年3月から販売・使用が禁止に」↓

https://www.jetro.go.jp/biznews/2018/06/822b029fd8aca0ee.html

グアムでレジ袋禁止決定 2021年1月から

グアムで6月5日、レジ袋禁止が法制化された。

開始は、2021年1月1日から。

パラオやフィジー、マーシャル諸島、ヤップ等も既に同様の禁止を決めているとのこと。

<出所>

THE GUAM DAILY POST(2018.6.18)Recycling advocates: Plastic bag ban marks progress;

https://www.postguam.com/news/local/recycling-advocates-plastic-bag-ban-marks-progress/article_a5cb2280-6eb6-11e8-9e80-77fbfd20e9bd.html

「プラスチック資源循環戦略」策定へ

政府は19日に閣議決定した「循環型社会形成推進基本計画」を機に、海洋ごみ対策を強化するため、使い捨て製品の削減などを柱とする「プラスチック資源循環戦略」を新たに策定するとのこと。

来年6月に大阪で開催する主要20カ国・地域(G20)首脳会議までに戦略をまとめるそうだ。中川環境大臣は、「海洋プラスチック対策でリーダーシップを発揮したい」と述べているそうだが、G7で落第(署名拒否)した日本に、リーダーシップが発揮できるのだろうか。

G20の中には、G7の国々も含まれている。他にオーストラリアや韓国、中国、インド、インドネシア、メキシコ、ロシア、サウジアラビア、南アフリカ、トルコ、アルゼンチンなどだが、このうち日本よりまだ対策が遅れていると考えられる国はわずかしかない。

インドは世界中で最も高いプラスチック削減目標を掲げ既に対策に取り組んでいるし、インドネシアも日本より意欲が高そうだ。韓国は早くから使い捨て製品削減に取り組み、意欲も法律もEUと遜色ない。レジ袋に関しては、中国は既に有料化し、南アフリカでは製造も輸入も禁止されている。

マイクロビーズにしても、少なくともリンスオフ化粧品(水で洗い流すタイプの洗顔料など)に関しては既に法律で禁止した国が多く、日本のような「事業者の努力義務」のような甘い国は少ない。

残念ながら、G20にも「日本がリーダーシップを発揮」できる場面はない。ヘタをすると、また落ちこぼれて署名拒否、あるいは協定のレベルを下げるようなことを言い出すのではないかと心配している。

毎日新聞(2018.6.19)「海洋ごみ対策「プラ資源循環戦略」策定へ」↓

https://mainichi.jp/articles/20180620/k00/00m/040/015000c