埼玉県教育委員会、高校の校庭人工芝化に前のめり 危険性は無視か

たまたま埼玉県立高校の校庭人工芝化を進めるための寄付募集の知らせを目にした。

浦和高校のグラウンドを人工芝にするための寄付募集だ↓

https://urawa-h.spec.ed.jp/page_20190830080515

「人工芝が引き出す生徒の安全(怪我の防止)とハイ・パフォーマンス!
体育の授業や各種スポーツ大会が県内一盛んと言われる浦和高校ですが、雨でぬかったグラウンドでは、本来のパフォーマンスも発揮できません。利用頻度が高く天然芝の維持は難しいので、人工芝の整備に取組みたいと考えています。
人工芝化することで、安全に確実に授業や行事を行うことができるようになり、生徒達もその力を存分に発揮することができるようになると思います。体育祭やスポーツ大会での怪我も減少することが期待できます。」

とのこと。まるで人工芝でケガが減ると言わんばかりだ。

人工芝の方がケガが多いというデータが多数あるのを知らないのだろうか。

特に、Jones骨折と呼ばれる骨折報告が多いようだ。

「大学男子サッカー選手のJones骨折発生に影響を及ぼす環境要素の検討」↓

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jossm/40/1/40_105/_article/-char/ja/

Jones骨折↓

https://www.hosp.hyo-med.ac.jp/disease_guide/detail/96

https://shindo-hospital.or.jp/archives/4471

天然芝に⽐べ、⼈⼯芝の⽅が⾜と⾜⾸の怪我の割合が⾼い(⽶国国⽴衛⽣研究所, 2022)という報告もある。

また、「米ナショナルフットボールリーグ(NFL)の選手たちは、ケガのために人工芝を禁止するようリーグに圧力をかけている。また、米サッカー代表チームも同じ理由で、天然芝でのみプレーする」と、英紙ガーディアン(2022.9.30)に書かれている↓

https://www.theguardian.com/environment/2022/sep/30/boston-bans-artificial-turf-toxic-forever-chemicals-pfas

さらに、「NFL選手の82.4%が、人工芝がケガに寄与すると考えている。NFL選手の89.1%が、人工芝がより多くの痛みと疲労を引き起こすと感じている。NFL選手の89.7%が、人工芝は競技人生を短くする可能性が高いと考えている」という報告もある。

「toto(スポーツ振興くじ)助成金に申請予定です」とのこと。スポーツ振興くじは人工芝化事業などに助成するのか、と思うとガッカリだ。

人工芝はマイクロプラスチックによる汚染や、気候変動にも拍車をかける。

さらにいえば、人工芝に含まれる化学物質は数多く、発がん性物質も少なくない。

PFAS含有の疑いもあるしノニルフェノールやUV-328なども含まれているという報告もある。さらに、ゴムチップには鉛などの重金属やベンゾピレンまで含まれている。

PAHs(多環芳香族炭化水素)発生量も人工芝グラウンドがダントツだ。

https://iwaponline.com/wst/article/87/9/2159/94206/Occurrence-and-risk-assessment-of-PAHs-from

高校生のケガも心配だが、ガンも心配だ。最近のAYA世代のがん発生率の高さは人工芝やゴムチップ舗装も関係しているのではないかと疑っている。もちろん他にも原因はあるだろうが、特に女子生徒はグラウンドに近づかない方がよさそうだ。AYA世代のガンは女性に多い。

家庭や保育園の園庭もどんどん人工芝やゴムチップ舗装で覆われるなか、子ども達に逃げ場はない。

浦和高校だけでなく、浦和西高校のグラウンドでも人工芝化で寄付を募っていた。

https://congrant.com/project/unss/5620

埼玉県の教育委員会は、人工芝について自らもっと研究すべきだ。

その上で、「高校生の健康にも環境にも問題なし」と判断するならば、せめてEU指令で規制されたゴムチップだけでも使わない方向で検討したらよい。単に「サッカーをしやすい」「手入れが土や天然芝よりラク」などで決めず、各方面から情報をとるべきだ。情報源がメーカーに偏っているのではないか。

<補筆. 2023年10月15日>

埼玉県立高校を神奈川県立高校と誤記していました。指摘を受け、訂正しました。ご指摘ありがとうございました。ちなみに、神奈川県の教育委員会は人工芝には否定的な立場を取っているようです。

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豪クイーンズランド、デポジット制導入後ビーチのごみが減少

オーストラリアのクイーンズランド州では2019年に、飲料容器のデポジット制度が導入された。

2019年の導入前の調査では、観光地であるウィットサンデー諸島地域の海岸でクリーンアップをするボランティアの人たちが拾ったごみは、平均約120個だった。これが2020年には77個に減ったという。

主にペットボトルやアルミ缶が減り、その後も減り続けているそうだ。明らかに、デポジット制度の成果だといえる。

オーストラリアでは、今年11月からビクトリア州がデポジット制度を開始する。来年タスマニア州が開始することで、オーストラリア国内全土がデポジット制度になる。

<出所>

https://phys.org/news/2023-09-deposit-schemes-rubbish-beaches.html?eType=EmailBlastContent&eId=e825228b-19f5-448e-969c-f065090d2d09

日本のスーパーにも「プラスチック攻撃」は必要か でも人目を気にする日本人には難しいか

日本でも以前、スーパーで購入後すぐに外した食品トレイなどをごみ箱に捨てる「くるりポイ」をする人がいて、話題になっていた。

海外ではそれを「プラスチックアタック(攻撃)」と命名し、世界的な運動になっているようだ。

https://edition.cnn.com/2018/08/02/health/plastic-attack-movement/index.html

プラスチック以外の包装か、あるいは無包装で買いたいのに、イヤでも過剰なプラ包装が付いてくる。

プラスチック攻撃は、そんな不要なトレイなどを押しつけられることに苛立った消費者によるスーパーへの意思表示であり、ささやかな抵抗だ。要らないものをなぜ「洗って乾かして」という手間をかけ、また持参しないとダメなのか。腹立たしい限りだといつも思う。

日本ではトレイとトレイに付着していたラップがスーパーのごみ箱に主に捨てられているようだが、イギリスではトレイが少ないせいか軟質包装材も対象になっているらしい。

人目を気にする日本人である筆者は、なかなか行動に踏み切れないが、実行している人には密かにエールを送っている。スーパー側にしてみたら、「食品の品質維持」のため必要だと思って善意でやっていることだというだろう。

しかし、トレイや野菜のプラ袋は、消費者としては本当に不要だ。トレイに入っているだけで、食品にポリスチレン(PS)製のマイクロプラスチックも付着しているだろうなぁと想像してしまう。

特に、トレイの底に敷いてある薄い白色や緑色のシートは一体何なのか。水分や油分を吸い取らせるためだと思われるが、見るだけでも気持ちが悪い。とりわけ緑色のシートは、使用されている着色料まで頭に浮かび、もしかしたら重金属も使われているかもと思うと、もう買えない。

また、刺身の上などに乗っている葉っぱの形状をしたプラスチックも意味不明だ。幼児のお店屋さんごっこでもあるまいし、見ただけで買う気が失せる。なぜ、不要なごみを顧客に押しつけるのか。

トレイの上にかかっているラップ(おそらく塩化ビニリデン製 or 塩化ビニル製)の安全性も気になるところ。

フランスのスーパーの最近の写真を見ると、プラスチックを使わなくても多くの野菜や果物、キノコが販売可能だとわかる。肉や魚も、販売員を1人貼り付ければトレイは不要だ。人件費をかけられないとの声も聞こえてきそうだが、なんとか工夫できないものか。

買い物の度、スーパーに不要な包装材を置いてきたい、と真剣に思う。

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アイルランド、来年2月開始のデポジット制度準備整う。ラテ税はまだ

アイルランドは首都ダブリンで開催された年次循環経済会議で、スミス国務大臣が来年2月1日からデポジット制度を全国で開始することを確認した。

対象はアルミ缶とペットボトル。今後、対象を増やすことも視野に入れているが、まずは対象をこの2つに絞ったという。

アイルランドのすべてのスーパーに、容器を回収する自動回収機を設置する。

大臣は、制度の目的は毎年捨てられている20億個の缶とペットボトルの大半を回収することだ、と話した。

デポジット制度については明確に言及したが、予定されているラテ税に関してはまだ明確な言及はない。

ラテ税は使い捨てのテイクアウト用カップにかける予定の税で、20セントを予定している。

<出所>

https://www.rte.ie/news/environment/2023/0927/1407658-deposit-return-scheme/?eType=EmailBlastContent&eId=e825228b-19f5-448e-969c-f065090d2d09

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