日本も来年からようやく省庁での使い捨てプラを禁止か

環境省が、国の省庁の庁舎内で営業する食堂でストローなどの使い捨てプラスチック製食器類を使用禁止とするよう、すべての省庁に求める方針を固めたとのこと。

これまで配り放題だった庁舎内のコンビニのレジ袋も削減する方針。

来年度以降、業者との契約内容に次の案を盛り込むようだ。

▽庁舎内で営業する食堂では再利用可能な食器に限る

▽会議の運営を外部委託する場合も使い捨てプラ製カップやペットボトル入り飲料などは使用禁止

▽コーヒーなどの飲料を販売する店舗などでは再利用可能な容器に対応できるかどうかを契約の判断基準に加える

▽店舗で配布するレジ袋は植物由来のプラスチックに限る

庁舎の会議でのペットボトル飲料の使用禁止などは、イギリスなどは2008年からやっている。ちょうど10年遅れたが、ようやく日本でも禁止になると思うとホッとする。

ついでに庁舎に出入りする弁当屋の使い捨て弁当容器もなんとかすべきだと思うが、どうだろう?昼食後の環境省の廊下に多数の使い捨てプラスチック弁当殻が積まれているのを見たことがある。リユース弁当容器を扱う弁当業者のみ、出入りを許可するのがよいのではないか。大学でさえ、弁当容器をデポジット制度で回収するところがあるのだから、環境省も真似てはいかがだろう?

さらにいえば、環境省が入っている合同庁舎内のコンビニで、ペットボトル飲料や使い捨てカップ入りコーヒーの代わりにリユースびん入り飲料を販売するようにしたならば、他省庁や地方自治体も見倣うかもしれない。ぜひ範を示して欲しい。

<参考>

毎日新聞(2018.10.31)「環境省 全省庁で「使い捨てプラ食器」禁止へ」↓

https://mainichi.jp/articles/20181031/k00/00m/040/146000c

日本でも「脱プラ」進む 那須どうぶつ王国も使い捨てプラ食器廃止

海外からのプラスチック削減報道は毎日のように届くが日本の動きは遅い・・と思っていた。しかし、日本の各企業も確実にプラスチック削減に向かって進んでいるようだ。

昨日の日経新聞によると、那須どうぶつ王国は10月23日から、園内の飲食店5カ所で使用していたプラスチック製のストローやカップ、食器を紙製カップや木製・金属製の食器に切り替えた。

また、アクアワールド茨城県大洗水族館も、来年4月までにプラスチック製ストローを廃止。プラスチック製ナイフやフォークも見直しを検討するとのこと。

東日本を中心に多数の店舗を展開するスーパーマーケット・ベイシアは惣菜用容器を「紙と透明なフィルムでできた袋」*に切り替えた。

全国にカラオケ「まねきねこ」や温浴施設などを展開しているコシダカは、約530ある全店でストローを廃止、希望者にのみ提供する。

日本でもようやく、使い捨てプラスチックを提供することは「サービス」ではなく「CSRリスク」に繋がりかねないことが、認識され始めたようだ。

*ベイシアのウェブサイトを調べたところ、「紙と透明なフィルムでできた袋」とは袋型のハーフクリアパックのようだ。確かによくスーパーの惣菜コーナーで見かけるプラスチック容器よりもこの袋型の方がエコかもしれない。https://www.beisia.co.jp/企業情報/環境への取り組み

<出所>

日本経済新聞(2018.1.1)「「脱プラ」北関東でも コシダカ・那須どうぶつ王国」

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO37253130R01C18A1L60000/

日本を含む8カ国の人の便からマイクロプラスチック検出

ウィーン医科大学などのチームが発表したところによると、日本を含む8カ国の人の便を調べたところ、全員の便から0.05~0.5ミリのマイクロプラスチックが見つかったとのこと。

便10グラム当たり平均20個が検出された。1人当たり最大で9種類のプラスチックだそうだ。

8カ国とは、日本、オーストラリア、フィンランド、イタリア、オランダ、ポーランド、ロシア、英国。これらの国に住む33歳から65歳の人の便を調べた。

食品包装などに使われるポリプロピレンや、ペットボトルの素材のペット樹脂などが多かったとのこと。

「食品の包装などに使われるポリプロピレンや、ペットボトルの素材のペット樹脂などが多かった。検出との因果関係は不明だが、食事の記録から8人全員がプラスチックで包装された食品や、プラスチック容器に入った飲み物を摂取していた。6人は魚を食べていた。米メディアは「ハウスダストや容器など、何に由来するのか調べる必要がある」との英ヨーク大の専門家の話を紹介した。

動物での研究によると、マイクロプラスチックの中でもごく小さいものは、消化器で吸収されて血管やリンパ管に入り込む可能性があるという。」

食品容器やペットボトルなどの飲料容器、魚介類などが主な由来(原因)として疑われているのだろう。

早急にもっと大規模な調査をして、どこの国のどのような生活をしている人からどのような種類のプラスチックが多く検出されるのか、そしてその影響について、調べて欲しい。

<出所>

日本経済新聞(2018.10.24)「人の体内に微小プラ粒子 日本含む8カ国、便で検出」↓

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO3684888024102018CR0000/

 

マレーシア2030年までに使い捨てプラゼロ、日本は25%削減?!

日本は、レジ袋やペットボトル、食品容器包装など使い捨てプラスチックを削減するためのプラ循環戦略の目標値を、「2030年までに現状からの25%削減」ということに決めたようだ。

レジ袋は、早ければ2020年に原則として有料化を目指すとのこと。国連環境計画や欧州、カナダなどに押された形で、「外圧」によりようやく・・といった感じだが、まだ目標値が低すぎるのではないか?

先頃、目標値を発表したマレーシアは、使い捨てプラスチックを2030年までにゼロを目指すとして、そのロードマップ(行程)を発表した。

レジ袋は原則禁止で、使用する分には課税する方針。

2019年1月1日からマレーシアの都市クアラルンプール、プトラジャヤ、ラブアンでは、使い捨てプラスチック製ストローの使用が全面禁止され、違反企業は2020年から貿易・食品取扱事業免許が更新されないそうだ。

マレーシアの目標は日本よりも、本気度が伝わる内容となっている。

JTBサイトによると、セランゴールド州でも2019年1月からレジ袋提供の規制が強化され、ポリスチレン容器も小売店などでの使用が禁止されるとのこと。

<参考>

朝日新聞(2018.10.17)「使い捨てプラ30年までに25%減 レジ袋原則有料検討」↓

https://www.asahi.com/articles/ASLBJ5DCDLBJULBJ00W.html

東京新聞(2018.10.13)「使い捨てプラごみ25%削減目標 環境省の戦略素案」↓

http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2018101301001633.html

Sustainable Japan(2018.9.29)「【マレーシア】政府、2030年までの使い捨てプラスチック製品禁止方針発表。2019年から大都市でストロー使用禁止」↓

https://sustainablejapan.jp/2018/09/29/malaysia-plastic-ban/34673

MALAYSIA’S ROADMAP TOWARDS ZERO SINGLE-USE PLASTICS 2018-2030

https://www.mestecc.gov.my/web/download/1905/2018/39652/malaysia-roadmap-towards-zero-single-use-plastics-2018-2030.pdf

JTB  LAPITA 「【マレーシア】レジ袋など提供禁止に、セランゴール州で来年1月から」↓

http://www.lapita.jp/2016/08/post-2174.html

 

レジ袋有料化にまさかの「ポイント付与」加わる!?

海洋プラスチック汚染はいまや待ったなしの状態で、使い捨てプラスチックは早急に減らす必要がある。

中でもレジ袋は、生物への悪影響や代替品の存在、使用時間の短さなどから「なくてよいもの」の筆頭だ。そのため海外では、既にレジ袋を60カ国以上の国で規制し、フランスやケニアなど既に禁止している国も多い。

しかし日本では、レジ袋禁止は難しいだろうと思っていた。イギリスや中国と同様に「有料化」で進むだろうと。

しかし、一昨日発表された環境省の提案はなんとポイント付与でもOKにするようだ。

環境省が、レジ袋の有料化や辞退する客へのポイント付与といった「プライシング(価格付け)」を、スーパーやコンビニなどの小売店舗に義務付ける方針を固めたことが12日、分かった。容器包装リサイクル法などの関連法改正も視野に、19日に公表する「プラスチック資源循環戦略」の素案に盛り込む。

この期に及んでまだ「ポイント付与」とは・・・開いた口が塞がらない。

最低でも「有料化」だろうと思っていた。「ポイント付与」と有料化とでは効果に雲泥の差がある。

一体誰がジャマをしているのか。少し前までの報道には、環境省は小売店でレジ袋を有料化する方針としか書かれていなかった。しかし、にわかに「ポイント付与」が加わった。

セブン・イレブンが有料化を検討しているという『オルタナ』の報道により、これで有料化はスムーズにいくだろう、と思っていたが、その後の報道でセブン・イレブンがその件で口を閉ざしている様子が感じられた。そのため、セブン・イレブンは環境省から自らに有利な条件(例えば、5円はイヤだ イトーヨーカドーと同様2円にしたい、だからレジ袋辞退率の目標を設定せず単に「有料化」であればよいとせよ、など)を引き出すための交渉で迷っているフリをしているだけだろうと思っていた。

しかし、まさか「ポイント付与」などというほとんどレジ袋が減らないことまで条件に加えるとは思っていなかった。

セブン・イレブン以外の大手コンビニで、有料化を嫌がるところがあるとは思えないが・・・まさかローソンが嫌がっているのだろうか?

しかし、ローソンは既に新潟県佐渡市内の8店舗で有料化を実施している。有料化によるレジ袋辞退率の効き目を十分知っているはずだ。セブン・イレブンが「有料化」のリーダーシップを取ろうとしていることに、ケチを付けるためだけに、これほど重大なことを言い出すとは考えにくい。

一体、誰が「ポイント付与」などということを言い出したのかわからないが、それを真に受ける環境省は本当に情けない組織だ。この「ポイント付与」が、どれほどレジ袋削減に効果がなく、その上有料化協力店の足を引っ張る愚策だということを、環境省は知っているはず。環境省の背後で、経産省や経団連がにらみをきかせているのだろうか?

それとも、消費税10%を予定通り強行したい自民党が、レジ袋有料化を和らげるため「ポイント付与」などという馬鹿げた提案をプラスチック戦略会議の「素案」に加えるよう、原田環境相を説き伏せたのだろうか?

いずれにせよ、レジ袋の海洋への悪影響はストローの比ではない。タイで瀕死の状態で見つかったクジラのお腹から、80枚ものプラ袋が出てきたこともまだ記憶に新しい。

このような低レベルの「戦略」がG20で発表されれば、世界からヒンシュクを買うことは間違いない。

(補筆2018.10.16)日経新聞(2018.10.16)によると、環境省は、コンビニにもレジ袋有料化を義務付け、レジ袋1枚当たり数円の支払いを想定しているとのこと。一体どちらが本当だろうか?コンビニやスーパーでは有料化し、もっと小さい個人商店はポイント付与ということだろうか?

日経新聞(2018.10.16)「コンビニでもレジ袋有料化 環境省、数円を想定」↓

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO36493620V11C18A0MM8000/?n_cid=NMAIL007

(補筆2019.12.26)

12月25日開催のレジ袋有料化検討小委員会で、環境省からレジ袋価格は1円以上にするという説明があった。

https://www.env.go.jp/recycle/council/03recycle/yoshi03-13.html

<引用文の出所>

JIJI.OM(2018.10.12)「有料化、ポイント付与を義務に=レジ袋削減へ取り組み強化-環境省」↓

https://www.jiji.com/jc/article?k=2018101201218&g=eco

ハザードラボ(2018.6.5)「悲報!漂着したクジラの腹からビニール袋80枚8kg分!タイ」↓

https://www.hazardlab.jp/know/topics/detail/2/5/25074.html

農水省 プラごみ削減有識者懇談会を開催

最近プラスチック問題の動きがめまぐるしく、フォローしきれていないが、今度は農水省がプラスチックごみ削減のための有識者懇談会を開催するとのこと。

有識者には大学院教授のほか、環境省や経産省の代表も参加。29日に初会合だそうだ。

懇談の内容は、食品容器包装のほか、レジ袋や飲料カップ・フタなど食品産業の関わるプラスチック全般が対象。

初会合は10月29日。来年3月までに3回開催し、食品産業の今後取り組むべき方向性をまとめるとのこと。

環境省の3回のプラごみ戦略会議もあと残り1回を開催した後、パブコメに入るようだ。市民団体を含め、各方面の動きが慌ただしい。

<出所>

時時通信(2018.10.11)「プラごみ削減へ有識者懇談会=食品の容器包装-農水省」↓

https://www.jiji.com/jc/article?k=2018101101149&g=eco

毎日新聞(2018.10.11)「農水省 プラごみ削減へ有識者会議 対策とりまとめ」↓

https://mainichi.jp/articles/20181012/k00/00m/020/110000c?fm=mnm

 

豪クイーンズランド州 11月1日からデポジット制度開始

オーストラリア大陸の4分の1を占め、2番目に大きい州であるクイーンズランド州で、2018年11月1日から飲料容器のデポジット制度が開始される。

州内には飲料容器と引き換えに、デポジット(預り金)を払い戻すためのリファンドポイントが230以上準備された。

デポジットもリファンド(返金)も10セントで、150mLから3Lまでの飲料容器が対象。牛乳やワインは対象外だ。

デポジット制度により、散乱ごみの減少とリサイクル率の向上、さらに新たな雇用などにより、地域経済に利益をもたらすと見込まれている。

<出所>

Queensland Government, “About the container refund scheme”

https://www.qld.gov.au/environment/pollution/management/waste/container-refund-about

名古屋市 ティッシュ外袋を紙へ とても良いがしかし・・・

名古屋市は、これまで啓発用に配布していたポケットティッシュの外袋がプラスチック製であるとして、紙製に切り替える方針を発表した。

とてもよいことだと思う。さすが、ごみ減量に早くから取組み、レジ袋やトレイの削減にも力を入れていた自治体だけある、と尊敬する。外袋が紙製のポケットティッシュが当たり前になれば、街頭でポケットティッシュを受け取ることにも罪悪感がなくなる。

しかし、それによって増える費用を、公共施設内に設置している自動販売機の売り上げの一部で賄う(まかなう)というのはどうだろうか?、

ポケットティッシュの袋の素材を切り替える際の一番の問題はコストで、これまでの4倍ほど、年におよそ6500万円余分にかかるとみられています。

名古屋市では、市役所や区役所などに設置されているおよそ1000台の自動販売機の売り上げの一部が「環境保全基金」に寄付される仕組みを整え、捻出する考えです。

河村名古屋市長:
「生物が食べるということもあるし、名古屋の環境基金になって行けばそれはありがたいことだで、もしそういうことになればありがたいことですよ。賛成ですわ」

マイクロプラスチック削減に向けた名古屋市の取り組みは、来年度から始められます。

何かが違うのでは?

自動販売機は電気も使うし、販売する飲料はペットボトルや缶だ。ペットボトルはもちろん全部が、缶も内面塗装部分が、散乱した場合にマイクロプラスチックになる。

公共施設内にはできるだけ給水器を設置し、市民に水筒持参を呼びかけるのがスジではなかろうか。

環境に良いとはいえないものの売上の一部を使って、環境に良いことをするのは悪いことだとはいわない。しかし、ティッシュの袋の切り替えと同時に、1000台もの自動販売機の設置が本当に必要なのか、見直しをすべきだろう(既に見直しているのかもしれませんが・・)。

さらにいえば、それほど大量のティッシュを配布する必要性も再検討すべき。啓発グッズとして配布しているものが、果たして本当に啓発に役立っているのか、事業消化の自己満足で終わってないか、今一度見直してはいかがだろう?

これまで使ってきたプラスチックをまるまる他のものに切り替える・・だけでも立派だとは思う。が、大量の配布ティッシュが本当に必要なのか、1000台の自動販売機が本当に必要なのか(給水器に置き換えられる場所はないのか)、それについても再検討してほしい。

<参考>

東海テレビ ニュースOne(2018.9.25)「マイクロプラスチック削減で全国初 名古屋市が配布する『ポケットティッシュ』袋素材見直しへ」↓

http://tokai-tv.com/tokainews/article_20180925_63532

北海のフルマカモメの9割から、海氷下の稚魚からもプラスチック片

プラスチックの生産拡大に伴い、海鳥への影響は深刻化し、40年程前から既にその兆候が海鳥に現れていたとのこと。

現在、北海では93%のフルマカモメがプラスチックを体内に取り込み、2010年から2014年にかけて調査した525羽のうち、58%は0.1グラム以上を飲み込んでいたという。

海鳥は、直接海面からプラスチックを取ることで体内に入れる場合もあれば、プラスチックを食べた魚をプラスチックごと捕食してしまう場合もあるそうだ。

また、北極海の海氷の下で採取したホッキョクダラの稚魚の体内からも微小なプラスチック片が見つかるとのこと。

<出所>

毎日新聞2018.9.24

 

セブンイレブンがレジ袋有料化を検討!ストローはバイオマス素材で

オルタナによると、セブンイレブン・ジャパンがレジ袋有料化を検討すると明らかにしたとのこと。

これまで最も強硬に有料化に反対し、かつ最もレジ袋使用量の多いセブンイレブンが、レジ袋有料化を検討するならば、他のコンビニも追随することは間違いない。

ついでに、セブンイレブンのコンビニコーヒーカップも、タンブラー持参者にはカップをもらわなくてもコーヒーを購入できるようにしてほしい・・

日経ESG(2018.8)によると、セブンイレブンは店内の商材や包装材を環境配慮型にするため、セブンカフェでは、カップに間伐材、ふたにリサイクルPET、ストローにバイオマス素材を使った材料を使い、シャンプーや洗剤の詰替用包材にはリサイクルPETを使う、とのこと。

しかし、現在はタンブラー持参者でカップが不要な人にまでカップを使わせている。

セブンイレブンは全国に約2万店あり、セブンカフェでは年間10億杯を販売しているそうだ。

(後日補筆)

セブン&アイは2030年をメドに、グループでのプラスチック製レジ袋の使用量ゼロを目指すと発表。紙やバイオマス、生分解性といった素材に切り替える(日本経済新聞2019.5.8)。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO44513320Y9A500C1HE6A00/

<参考>

alterna

セブン-イレブン、レジ袋有料化検討:コンビニで初

日経ESG(2018.8)「食材、容器、電力を持続可能に」